農林水産委員会

2000-11-07 衆議院 全345発言

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会議録情報#0
平成十二年十一月七日(火曜日)
    午前九時二分開議
 出席委員
   委員長 宮路 和明君
   理事 岸本 光造君 理事 西川 公也君
   理事 二田 孝治君 理事 松下 忠洋君
   理事 筒井 信隆君 理事 鉢呂 吉雄君
   理事 丸谷 佳織君 理事 一川 保夫君
      逢沢 一郎君    石破  茂君
      今村 雅弘君    岩倉 博文君
      金田 英行君    北村 直人君
      熊谷 市雄君    小島 敏男君
      後藤田正純君   田野瀬良太郎君
      中本 太衛君    浜田 靖一君
      福井  照君    松岡 利勝君
      森山 眞弓君    安住  淳君
      岩國 哲人君    後藤 茂之君
      後藤  斎君    佐藤謙一郎君
      津川 祥吾君    永田 寿康君
      長浜 博行君    楢崎 欣弥君
      三村 申吾君    山口  壯君
      漆原 良夫君    高橋 嘉信君
      中林よし子君    松本 善明君
      菅野 哲雄君    日森 文尋君
      山口わか子君    金子 恭之君
      藤波 孝生君
    …………………………………
   農林水産大臣       谷  洋一君
   農林水産政務次官     石破  茂君
   政府参考人
   (農林水産大臣官房長)  竹中 美晴君
   政府参考人
   (農林水産省経済局長)  石原  葵君
   政府参考人
   (農林水産省構造改善局長
   )            渡辺 好明君
   政府参考人
   (農林水産省農産園芸局長
   )            木下 寛之君
   政府参考人
   (農林水産省畜産局長)  樋口 久俊君
   政府参考人
   (農林水産省食品流通局長
   )            西藤 久三君
   政府参考人
   (農林水産技術会議事務局
   長)           小林 新一君
   政府参考人
   (食糧庁長官)      高木  賢君
   政府参考人
   (水産庁長官)      中須 勇雄君
   参考人
   (全国農業会議所専務理事
   )            中村  裕君
   参考人
   (社団法人日本農業法人協
   会会長)
   (有限会社船方総合農場代
   表取締役)        坂本 多旦君
   参考人
   (東京大学大学院農学生命
   科学研究科教授)     生源寺眞一君
   参考人
   (農業)         坂本進一郎君
   農林水産委員会専門員   和田 一郎君
    —————————————
委員の異動
十一月七日
 辞任         補欠選任
  後藤田正純君     中本 太衛君
  岩國 哲人君     後藤  斎君
  長浜 博行君     山口  壯君
  山口わか子君     日森 文尋君
同日
 辞任         補欠選任
  中本 太衛君     後藤田正純君
  後藤  斎君     岩國 哲人君
  山口  壯君     長浜 博行君
  日森 文尋君     山口わか子君
    —————————————
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 農地法の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

    午前九時二分開議
     ————◇—————
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宮路和明#1
○宮路委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、農地法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案審査のため、参考人として、全国農業会議所専務理事中村裕君、社団法人日本農業法人協会会長・有限会社船方総合農場代表取締役坂本多旦君、東京大学大学院農学生命科学研究科教授生源寺眞一君及び農業坂本進一郎君、以上四名の方々に御出席をいただき、御意見を承ることにいたしております。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、審査の参考とさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 まず、中村裕参考人、坂本多旦参考人、生源寺眞一参考人、坂本進一郎参考人の順に、お一人十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得ることになっておりますので、御了承願います。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。
 それでは、中村裕参考人にお願いいたします。
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中村裕#2
○中村参考人 おはようございます。ただいま御紹介いただきました全国農業会議所の中村でございます。本日はこのような機会をいただきまして、ありがとうございます。
 私は、御審議をいただいております農地法の一部を改正する法律案につきまして、賛成の立場から意見を申し述べさせていただきます。なお、時間の関係もございますので、ここでは、特に農業生産法人制度に関する意見といたしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。
 先生方に御尽力いただきまして、昨年の七月、食料・農業・農村基本法が施行をされました。また、ことしの三月には、新基本法の理念と施策の方向を具体化する食料・農業・農村基本計画が策定をされたところであります。この実現に向けて最も重要なことは、だれがこれに当たるのかということであります。いわゆる農業生産の担い手、そして地域社会の担い手の質と量の問題であります。
 私ども農業委員会系統は、農業経営の法人化につきましては、前の農業基本法が制定をされます以前の昭和三十二年からタッチをしてきております。このきっかけとなりましたのは、一ミカン農家が農家の経営を有限会社ということで申請をいたしましたところ、法的にこれが認められないということでありました。
 それ以降、自主性と主体性を持つ農業経営の実現を目指す観点からこれを支持してまいりまして、昭和三十七年に、有限会社、合資会社、合名会社そして農事組合法人に限り農地の取得が可能となる農業生産法人制度の実現を図ってまいってきたところであります。
 今回の改正法案は、農業生産法人の一形態といたしまして株式会社を認めるなど、農業生産法人制度の四つの要件を見直すものでありますが、この改正内容は、農業生産法人が家族農業経営の延長線上にあるという制度の基本を変えるものではなく、農村地域においても共存できる経営形態であると理解をしておるところであります。
 先進国におきます農業経営のあり方を見ましても、その大宗は家族経営であります。今後ともその方向は変わらないと考えておりますが、時代の変化に対応いたしまして、法人経営についても新たな展開が必要だと考えているところであります。
 このような基本的な視点に立ちまして、まず、要件の見直しの点について意見を申し上げたいと存じます。
 第一点は、事業要件であります。
 これまでの事業に加えまして、民宿あるいは造園、キャンプ場あるいは除雪作業など幅広い拡大が可能となります。この点は、労働力の周年雇用あるいは農機具の有効利用などを含め、経営の自由度の拡大や多角化あるいは都市住民との接点などを実現するものでありまして、現場からも強く望まれた点であります。
 第二点は、構成員要件の緩和であります。
 農業関係者以外につきましては、現行の構成員に加えまして、地方公共団体、それから法人と継続的取引関係にある者、例えば食品加工業者、生協、スーパーなどの参加を可能としております。この点は、農業経営の成否にかかわります加工、流通への参加でもありますし、また、資金の調達や人材の確保、消費者や都市住民との連携などの経営の強化と発展につながるものであります。これはまた、法人経営者などからも強い要望があったものでございます。
 特に、地方公共団体の参加による公益的な機能を持った農業生産法人が登場するということは、担い手の絶対的な不足に悩みます中山間地域などでの耕作放棄の防止あるいは解消、または新たな農業経営の展開として期待ができるものと考えているところでございます。
 以上二点に関しましては、事業要件としては農業関連事業が過半を占めることや、事業内容を農地取得時や経営段階において農業委員会がチェックすること、また、構成員の拡大では、農業関係者以外の出資について現行制度同様に議決権数に制限を加えるなどの措置が御案内のようにとられているところであります。
 第三点は、法人形態要件であります。
 農業生産法人要件に関しましては、農村現場が混乱をいたした原因が過去あろうかと思いますが、その一つは、株式会社一般に農地取得を認めるということではないのかという誤解があったというふうに考えております。これは、資本の利益を優先する株式会社に農地の取得を認めれば、投機的な農地取得や農村の土地利用の秩序に混乱をもたらすのではないかというような懸念であったと思います。
 しかし、今回の改正法案では、株式会社の株式の譲渡制限、農業関係者以外の出資につきましては、従来どおり全体の四分の一、構成員一人当たりの出資割合を十分の一以下に限定して、農業関係者以外の支配を抑える仕組みが整備をされているところであります。したがいまして、従来から心配されていました不特定多数の株主が発生するという点についても排除されているということであります。
 四点目は、業務執行役員要件も緩和をされておりますが、役員の過半が農業に常時従事する役員でありますし、かつ、その過半が農作業に従事するということであります。さらに、農業法人の代表者は、農業が営まれます地域に居住して、農業に従事する構成員であるというふうに聞いております。こうしたことによって、従来からの地域に根差した農業生産法人という性格は維持されるものと考えているところであります。
 しかしながら、生産現場に参りますと、この法人要件の緩和によりまして、農地の投機的な取得あるいは農村の水利、土地利用に混乱をもたらすのではないかといった懸念があるのも事実でございます。各要件の適合性を担保する措置について、十分な配慮と正確な情報の提供が必要ではなかろうかというふうに考えております。
 とりわけ、農業委員会に大変な役割が与えられておりますが、農地の取得段階における要件のチェック、立入調査などによる状況の把握、要件を欠いた場合の指導、勧告、農地譲り渡しのあっせんなど法律に基づくものはもとよりでありますけれども、日常的にしっかりした対応が重要だと考えております。
 今後、農業委員会が措置された対応策を実効あるものにするためには、私どもも一層取り組みを強化していく所存でございますが、農業委員会の体制並びに農業会議の支援体制の強化につきましても、特段の御配慮をいただきたいと思います。さらに、国と都道府県の農地行政につきましても、毅然とした態度で対応するようお願いをしたいと考えているところでございます。
 以上、時間の関係から十分申し上げることができませんでしたけれども、私からの意見といたします。臨時国会におきまして早期に成立するようお願いを申し上げて、終わります。ありがとうございました。拍手
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宮路和明#3
○宮路委員長 ありがとうございました。
 次に、坂本多旦参考人にお願いいたします。
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坂本多旦#4
○坂本(多)参考人 ただいま委員長より御紹介いただきました坂本でございます。私は、社団法人日本農業法人協会の会長として、また、農業生産法人を設立して三十年間運営してまいりました経験を踏まえ、今回の農地法の一部を改正する法律案に賛成の立場から意見を述べさせていただきます。
 まず、農業経営の法人化について私の意見を申し上げます。
 私ども農業者が真に自立し、みずからの判断で行動できる農業の仕組みをつくることが、今後の地域農業活性化を図る上で最も重要な目標であると考えます。この新しい農業の仕組みの一つとして、次の観点から農業経営の法人化を推進する必要があると考えます。
 一つに、組織やルールを重んじる個性豊かな若者や女性がふえております。彼らが期待する自己の確立と身分保障のためにも、法律やルールで設立、運営される農業法人が、農業をやりたいという若者を受け入れる受け皿として有効な仕組みであること。
 二つに、農業界にも国際化、市場経済化が進みまして、家族経営という規模単位だけでこれに対抗していくことには限界があること。
 三つに、これからの農業は生産だけではなく、加工、販売、交流等の事業展開が不可欠でございまして、農業外との交渉、提携のためには法人の仕組みが有効であること。
 四つに、農業経営の継承において、農地と経営を一体として継承することが重要であり、そのためには法人が有効な仕組みであること。
 五つに、農家の農業への思いに格差が生じまして、経営農業と兼業農業に農業が分化したことへ対応するために、法人は有効な仕組みであること。
 六つに、消費者や都市住民など農業以外の国民に法人化は農業理解が期待できることなど、今後、農村活動に大きな役割を果たすと考えられます。
 したがって、この農地法の一部改正案は、私ども農業生産法人経営者にとって法人運営の核をなすまことに重要な見直しであると同時に、二十一世紀の農業、農村の発展にかかわる重要な改正であると思います。
 私ども農業法人協会でも、みずからの課題でもございますから、議論を重ね、農業生産法人検討会に対してたびたび意見を述べてまいりました。この改正案は、私ども法人経営活動の方向とその考え方が反映されたものであり、この改正案が今国会で可決成立することを強く期待しているところであります。
 そこで、農業生産法人の要件の改正についてであります。
 現在の農業生産法人の四つの要件が定められましたのは、平成五年であります。今回の改正は、急速に変化する農村と農業経営環境の変化を踏まえた改正の内容であると考えております。この制度は、私ども農業生産法人にとって経営の成否を決めます重要な制度でありますから、以下四点について意見を申し上げます。
 第一点は、構成員要件の改正についてであります。
 この改正により、消費者など農業に関心を持って安定的に連携いただける方々が構成員として出資し、農業に参加することは、食料自給率の向上や農業の国民理解につながると考えております。また、耕種法人と畜産法人の連携による持続的な資源循環型農業の確立が可能となることからも、構成員要件の改正に賛成であります。
 第二点目は、事業要件の改正についてであります。
 これからの農業、農村活動を、農業生産だけではなく、二次、三次産業の分野も含めて、消費者が求める多様な期待、すなわち、安全で安定した顔の見える農産物の供給、多面的機能を生かした国土保全や命への体験、体感、いやしの場などとしてその期待にこたえる必要があると思います。また、安定した法人経営で、地域社会の期待にこたえるためにも経営の多角化、複合化を図り、総所得の拡大と雇用の拡大を図る必要があります。したがって、この改正案である加工、販売を含め、農業分野の売り上げが過半数というのは適切な水準だと考えます。
 以上のことから、事業要件の改正案に賛成であります。
 第三点目は、役員要件の改正についてであります。
 家族だけではなく、農業者が集まり、しかも、パートや従業員も含めて農業経営を営み、農業経営の複合化や加工、販売等、経営の多角化を図るには、企画管理労働は欠かせません。この企画管理労働こそ法の人となり得る基本的な作業であると思います。しかし、農作業にかかわる役員がゼロではいかがかと思いますが、提案されている内容は適切だと考えます。したがって、役員要件の改正案に賛成であります。
 第四点目は、法人形態要件の改正についてであります。
 農業生産法人の経営形態に株式会社を追加することについても、株式の譲渡制限があり、農業者が四分の三という構成員要件、農業分野の売り上げが過半以上という事業要件、さらに、役員要件を満たす株式会社ということでありますから、現実的には、現在の農業生産法人が雇用や融資など信用力を高めるために、株式会社を活用する経営形態であろうかと考えられます。
 また、これは私の私見でありますけれども、今後早急に解決しなくてはならない集落営農等、地域農業経営体を設立するとき、不在地主化が進むという新たな問題を抱えるこれからは、現場で農業経営に常時従事する者の権利確保を図るシステムがなければ、地域経営体に担い手の確保はできないのではないでしょうか。したがって、改正案に賛成であります。
 次に、農業生産法人の要件適合性を担保するための措置についてであります。
 法律とルールに基づいて設立、運営するのが法人、すなわち法の人であり、それを守ることは当然の義務であると思います。これまで農業法人は、地域農業において極めて少数派であるがゆえに、地域農業のあり方や方向性を検討する場に出席する機会が非常に少なかったのではないでしょうか。これを機会に地域農業のあり方を議論する場への参画ができるようになることを大いに期待したいと考え、この要件適合性を担保するための改正措置に賛成であります。
 以上、社団法人日本農業法人協会の代表として、また、農業生産法人経営三十年の現場での体験から、私見を含めて、意見を述べさせていただきました。
 どうもありがとうございました。拍手
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宮路和明#5
○宮路委員長 ありがとうございました。
 次に、生源寺眞一参考人にお願いいたします。
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生源寺眞一#6
○生源寺参考人 東京大学の生源寺でございます。
 現時点でこの改正案がほぼ妥当であると考えておりまして、その視点から若干の意見を述べさせていただきたい、こう思います。時間もございますので、農業生産法人の問題に限ってお話をさせていただきたいと思います。
 まず、改正案を妥当であるとした根拠でございますけれども、大きく二つございます。
 一つは、農業生産法人に関して、幾つかの面で経営としての自由度ないしは選択の幅を広げた、こういうことでございます。特に、事業要件の緩和と株式会社形態を、条件つきではございますが、平たく言うならば、農業者がつくった株式会社であれば容認しようという方向であるわけですけれども、こういった点を評価したい、こう思うわけでございます。自由度が広がったことで次のような効果が期待できるのではないか、こう思うわけでございます。
 一つは、経営の多角化あるいは信用力の向上を通じまして農業法人の魅力を高め、特に若い人材の確保、あるいはこれを通じて農業の活性化につながる可能性があるのではないか、こういうことでございます。現在、農業は絶対的に縮小するという傾向になっておりまして、残念ながら、担い手の確保あるいは農業の再建に特効薬はないと言わざるを得ないわけでございます。したがいまして、株式会社形態に道を開いたからといって、これで日本の農業ががらりと変わる、こういうことはないと思うわけでございます。ただ、さまざまな試みの一つとして取り組むことには十分意味があるのではないか、こう思うわけでございます。今も坂本参考人からお話がございましたように、現に既存の農業法人の方からもかなり強い関心が寄せられているわけでございます。
 自由度を拡大することのもう一つの効果でございますけれども、これは、農業の川下に位置する食品加工あるいは外食、こういった産業と農業法人が密接な関係を持つ場合の選択肢が広がったということでございます。もちろん、農業生産法人自身が川下のビジネスをみずからの経営に取り込んでいく、つまり、多角化を図っていくことも、少なくとも制度上はかなり容易になる、こういうふうに判断しているわけでございます。また、法人の株主になってもらうことで、個人としてあるいは組織としての消費者、つまり、消費生活協同組合が典型でございますけれども、こういったいわば消費レベルの方々とも結びつきを強めることが考えられるわけでございます。
 いずれにせよ、これからの農業は経営の面積の拡大、つまり、水平的な規模拡大だけではなく、関連する事業を取り込んでいく、いわば垂直的な拡大が非常に重要になるわけでございまして、この点でも今回の改正案はこういったニーズにこたえているのではないか、こういうふうに思うわけでございます。
 改正案を妥当と考えます二番目の根拠に移りたいと思うわけでございますけれども、これは、改正の中身を詰めるプロセスについてでございます。私は、印象といたしまして、いわば石橋をたたいて渡る、こういった方式で、相当慎重に事を運んでこられてきているのではないか、こう思うわけでございます。この点を評価したいわけでございます。農地の投機的な取得あるいは無秩序な転用は、いわば日本農業のがんと言ってもいいような非常に重要な問題であったわけでございます。また、現在もそういった問題が皆無になったわけではないわけでありまして、この点で今回の改正がもしマイナスの影響をもたらすとすれば、プラスの影響をいとも簡単に相殺してしまう、こういう要素もあるわけでございます。特に、土地の投機ということに関していいますならば、不用意な制度改正の議論が、いわばそれだけでよからぬ行動を誘発してしまうということまでも、考えておかなければならないわけでございまして、その意味では、相当時間をかけて慎重に中身を詰めてきた今回の改正案のいき方に関しましては、私は共感をしているところでございます。
 結果的に、このことも含めましてでございますけれども、株式会社形態とはいっても、株式の譲渡制限あるいは農業者以外の議決権の比率の制限といった相当に制約の強い改正案になっているわけでございます。その意味では、株式会社形態の導入に積極的であった向きには、あるいは期待外れの内容と映るかもしれません。私自身、農業生産法人の活動につきましては、農地が適切に利用され、また環境保全への配慮が万全であるならば、本来はできるだけ自由度を拡大することが望ましい、こういう判断に立つものでございます。
 ただ、同時に、私は、現在の土地利用をめぐる法制度の運用の実態のもとでは、今回の改正がぎりぎりの線ではないか、こういう判断もしているわけでございます。すなわち、土地利用規制が必ずしも有効に機能していない地域が少なくない中にあって、農地を守る手だてに万全を期するという観点から、農業生産法人にかなりきめの細かい制約をかけることは現時点ではやむを得ないのではないか、こういうふうに見ているわけでございます。本来であれば、長期的なビジョンに基づく計画的な土地利用、つまり、ゾーニングをしっかり確立して、これに従わない行動はいわば反社会的な行為として容認しないんだ、こういう風土が形成されて、その上で農業経営に対する制約をミニマムの行動規制に限定することが望ましいと思うわけでございます。規制の緩和という言葉は私は余り好きではございませんけれども、農業生産法人をめぐる規制の緩和の可能な度合いは、土地利用制度の規制の強化の度合いと裏腹の関係にあるのではないか、私はこう思うわけでございます。
 この点にも関連いたしますが、ここ数年、株式会社による農業をめぐっての議論が随分過熱したわけでございますけれども、そんな中で、本来深く検討されてしかるべき基本問題がどうも置き去りにされているのではないか、こういう気持ちを持っております。
 置き去りにされた基本問題というのは、農地をめぐる法制度の根本的な見直しでありまして、特に土地利用秩序を形成するというよりも、むしろ回復するための計画制度の検討でございます。御案内かと思いますけれども、食料・農業・農村基本問題調査会の答申には、農地は単なる資産ではなく、社会全体で利用する公共性の高い財であるという認識を徹底させ、農地の有効利用のため適切な利用規制を行うべきであるとうたわれているわけでございます。問題は、この基本理念に沿ってどこまで制度の見直しを行うことができるかでございます。非常に重いテーマでございます。
 ポイントは、憲法二十九条の私的な財産権の保護とこれに対する公共性からの制約、この両者のバランスをどう考えるか、こういう問題でございます。この根本の問題に切り込むためには、私見でございますけれども、もう一つの調査会をつくるぐらいのエネルギーと知恵が必要ではないか、しかし、どうしてもやらなければならない日本の農業あるいは日本の社会全体の課題ではないか、私はこう思うわけでございます。
 いずれにせよ、農地の利用をめぐる、あるいは土地の利用をめぐる制度は国民生活に深くかかわっておりますし、かつまた、農政上の最重要課題でございます食料の安全保障の確保にとっても非常に大切なテーマでございます。国民的な議論が展開されることを強く期待したい、こういう気持ちでございます。この気持ちを最後に表明させていただきまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。
 どうも御清聴ありがとうございました。拍手
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宮路和明#7
○宮路委員長 ありがとうございました。
 次に、坂本進一郎参考人にお願いいたします。
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坂本進一郎#8
○坂本(進)参考人 私は、株式会社の農業参入になぜ反対かということを一農民の立場として話してみたいと思います。
 それで、ちょっと迷ったんですけれども、この本をお配りしました。自分の宣伝になるのでどうかなと思いましたけれども、一応、株式会社の農業参入について反対の文章がまとまって百十九ページに書いてあります。ここに「世界に例のない「企業の農業参入」に道が開かれた」というふうに書いていますけれども、世界に例のないということで、私は、皮肉の意味と、それからちょっと怒りの気持ちを込めて書きました。
 以下に、二つの理由からなぜそう言えるのか話してみたいと思います。
 世界に例のないという意味は、ちょっと飛び飛びで済みませんが、百三十四ページのところに、後で読んでもらえばいいんですけれども、これまで、株式会社を含めて、広い意味の企業農業ですけれども、それで農業が継続してきたという事例はありません。
 例えば、ここに挙げましたラティフンディウムとか、最近で言えばソ連のソホーズ、それから今、人民公社は違いますけれども、人民公社もつぶれました。それから、アメリカで今やられているアグリビジネス多国籍企業による直接間接支配。ロッキー山脈のオガララ水系というのがありますけれども、私、四、五年前に行って環境問題に詳しい人に教えてもらいましたけれども、あそこの水脈というのは一万年かかってたまった地下水です。それもくみ上げられて、だんだん砂漠化している。だから、文明の後に砂漠が残ったという有名な言葉がありますけれども、アメリカ農業の後に、何百年たった後に一体、今までのまま維持できるのかなということがちょっと心配であります。歴史的に見たら、そういうことなんです。
 それからもう一つ、世界に例のないということで銘打ったという意味は、家族農業こそずっと持続性があるということ、人に優しいし環境に優しい、そういうことで皮肉を込めて書いたわけです。
 なぜそう言えるかというと、また飛び飛びで済みませんが、百二十五ページのところに、後で読んでもらえばいいんですけれども、簡単に説明しますと、登呂ムラというのがあります。あそこは八町歩あって、十二軒の農家が共同で水を引いて、それで農業が成り立っている。日本の村というのは、そういう視点で見ていくと、大体共同で水を引いてきて、二千年もずっとそうやってきたわけですけれども、大河川から人間の毛細管のようにずっと水路が伝わってきて、それであちこちで水社会と村が築かれてきた。
 そこに株式会社が入っていくということは、組織原理が全く違うというか、家族農業の場合は、私も、生業観というか、そういう気持ちで農業をやっています。そこに株式会社が入ってくるということは、利潤の追求ということで、詳しく説明する時間はありませんけれども、全く組織原理が違う。だから、間に合わなければやめるしということで、今までの村の美風というのがつぶれてしまうのじゃないかなというふうに考えています。
 私、以上で大体言うことは終わりなんですけれども、もう一つ、皮肉の意味を込めたというのは、我々のこれまでの体験があります。
 実は九二年の新政策で、株式会社の検討を始めますと、そのときはまだ実感がありませんでした、世論としても。名前を挙げて申しわけないんですけれども、文芸春秋にその二年後あたりに永野日経連元会長が、百万ヘクタールも減反するなら財界に土地を出せと。私はそれを読んだときに大変だなと思いまして、当時自民党も反対であったので、自民党の方を通して私にも反論を書かせてくれと言いましたけれども、結局没にされました。
 京都大学の名誉教授の飯沼先生は私、よく存じ上げているんですけれども、その先生が言うには、今の農政というのは三奪作戦、つまり人、作物、土地。人、作物は大体とられました。私の息子も大学の三年生で、この前東京に来たときに聞かれました。父さん、帰っても食いぶちはふえるけれどもいいかと、いや、食いぶちがふえるのはいいけれども、将来性がないので、まず就職してくれと私は言いました。そういうふうに人はとられて、作物も、今米をつくるのも非常に制限されています。最後に農地に王手がかかったというふうに私は思っています。
 農地法もいろいろ規制はかけられているようですけれども、一回風穴をあけられると、最後は、農地法は換骨奪胎されて雲散霧消してしまうんじゃないか。それは何年かかるかわかりませんけれども、これまでの経過を見ていると、そういう心配があります。
 では、株式会社はなぜかということなんですけれども、毎年交渉に来ているわけですが、九七年に経団連と、それから私は農林省の方に行くということで、秋田県から二、三人来て手分けして交渉に行きました。経団連に行った人は、経団連の方では、担い手がいないから私たちがお手伝いするんだ、こう言いました。しかし、私はそのお話を聞いてかちんときたのですけれども、さっき言いましたように、言葉はきついですけれども、三奪作戦によって農村がどんどん衰退しているので、株式会社が入ってくると。
 私、今ちょっとわけがあって満州のことを調べているのです。というのは、五歳のときに満州から引き揚げてきたので調べているのですけれども、満州で現地の、当時満人と言いましたけれども、中国人から二束三文で土地を取り上げて、そこに入植させたのですね。私のおやじはそういうところじゃなくて、興農合作社というところに勤めて農村の振興をやっていました。何か、一方では土地を取り上げながら、一方では満州の農業振興をやるというので、罪滅ぼしかなと思ったりしているのですけれども、今の状況というのは、農村を疲弊させて、それで農地を奪う。
 だから、今、遊休農地を二万ヘクタール持っているそうですけれども、企業は、なぜそんなに土地を欲しがるのかな、ちょっと欲張り過ぎじゃないかなと思っています。本当に農業をやりたいのだったら、山林の原野を開発してもやれるわけですから、その裏の方を考えてしまうというか、一農民としてはちょっと被害者意識があるかもしれませんけれども、時間も来たようですから、あとは質疑でお答えしたいと思います。
 ありがとうございました。
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宮路和明#9
○宮路委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
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宮路和明#10
○宮路委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西川公也君。
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西
西川公也#11
○西川(公)委員 私は自由民主党の西川公也でございます。
 きょうは、参考人の方々には、大変お忙しいところお出かけをいただき、貴重な御意見をいただきました。心から御礼を申し上げる次第でございます。
 今回の農業生産法人の見直しでありますけれども、地域農業をどう活性化していくか、こういう上には欠かせない改正だと思いまして、私も賛成でございます。
 そういう中で、たくさんの御意見をもらいましたけれども、農業は先の見通しを立てるというのは非常に難しい、これはだれもが感じていることだと思います。特に昨今の農業で、私は自由民主党の農林部会にとにかく数多く出席をして皆さんと意見を交わしておりますけれども、一番の問題は豊作を喜べない、これが一番農業者にとって、私どもも携わる者としてつらい立場でございます。難しい天候の中で農産物をしっかりつくってくるという立場では、豊作を喜べる、こういう産業に育て上げていかなければならない、私はこう考えております。
 そして、先の見通しが難しいという話、今四人の中からも出ましたけれども、きのう非常におもしろい新聞記事がありました。五百人を超える乗員を運ぶ超大型機の問題でありますけれども、今超大型機をつくっているのはたった二社しかないのですね。エアバスとボーイングしかないのですよ。それが今後の大型機導入に当たっても、エアバスは、二十年で千二百機以上必要だ、たくさん超大型機が走る時代が来る、こう言っているのですね。ボーイングは、いやそうじゃない、恐らくそれの四分の一ぐらいだろう、意見が分かれているのです。
 今後、世界の状況がどうなるかわかりませんけれども、変化は相当激しく来ると思います。特に農業は天候相手の話でありますから、非常に難しい問題がつきまとってくるわけであります。今の農林省の考え方も、とれ過ぎたら在庫調整、こういうことをやっていますけれども、そうできない部分がたくさんあるわけでありまして、そういう意味で、農業の活性化を図る上ではしっかりした考えでこの参入に取り組んでいかなければならない、こう私は思っています。
 そこで、まず生源寺参考人にお伺いをしたいと思いますけれども、賛成の立場でお話をくださいました。問題は、農業生産法人にこういう形で企業が参入したら、一手段にはなるけれども決め手にはなかなかなりにくいだろう、こういうふうに私は御意見を聞いたのですけれども、世界が変わる中で日本の農業をどう変えていったらいいか、こういうことを考えながら今回の法人化を進めること、この問題についての考え方を生源寺参考人に聞かせていただければと思います。
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生源寺眞一#12
○生源寺参考人 世界の情勢が変わる中で今回の農業生産法人の改正の問題をどう考えるか、こういうことで、非常に難しい御質問なんでございますけれども、私自身はすぐさま画期的な変化があらわれる、こういうふうには思っておりません。ただ、いろいろな側面はございますけれども、農業も非常に魅力のあるビジネスとなり得るというような意味で、かなり有力なメッセージというか、それを農業の内外に発することができる、これが受けとめられるならば二次的、三次的な効果もあるいは期待できるのではないか、こういうふうに思っております。
 株式会社の問題が非常にクローズアップされておりますけれども、こんなことも多分あるだろうと思います。株式会社形態であれば出資できる、こういうことが多分いろいろな形で報道されるということになるだろうと思います。そこで、関心を持った企業なり、消費者団体の方々が農業生産法人にアプローチをしてみる。その結果、株式会社形態よりも、むしろ有限会社の方がいいという選択をされるかもしれません。しかし、いずれにせよ、一たん農業の外の方とのつながりがつくことが非常に大事でございまして、その意味では今回の改正は導火線になる、しかし、導火線だけでは世の中が変わるものではない、私はこういうふうに考えております。
 以上でございます。
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西
西川公也#13
○西川(公)委員 次に、坂本進一郎参考人に御意見を伺いたいと思いますが、この本を私も読んでおればよかったのですけれども、まだ読んでおりませんで、後で読ませていただきたいと思います。
 それで、世界に例のない企業参入だ、さらにはソホーズの失敗や人民公社の失敗の話も出ましたが、農業のやり方というのはなかなか難しい、確かにソ連も中国も個人の意欲というのを出しにくかった、だから、なかなかうまくいかなかったのかな、こういう面も私も実感として持っています。それに、ちらっと触れてくれましたけれども、アメリカのアグリビジネスの話で、何万年もかかってたまってきた宙水をくみ上げてしまう。確かに新しく水源をつくるよりも、今までたまっていた宙水を引き揚げてそれを農業に使った方が便利で安くていい、こういうことのお話にも触れました。しかし、今、八郎潟にお住まいかと思いますけれども、農業に大変な資本をかけながら、できる限り今までの環境を変えないで日本もやってきたと私は思っています。
 そういう中で、株式になったら利潤の追求だけで、環境も何も配慮しなくなってしまうのじゃないか、こういう心配をされておりました。さらに、私は個人経営で生業としてやっているんだから、環境とかそういうものにも配慮するし、村の美風もつぶれないように積極的参加をしているんだ、こんな話をされたかと思います。
 今度のねらいは、資金の調達等もできるし、そういう面では私は画期的な考え方だと思いますけれども、坂本さん、おやりになっておって、すばらしい経営だから資金等の問題とかそういう問題がないのかもしれませんけれども、しかし、現実の姿で農業経営が法人の形に進んでいることも事実です。そういう中で、主導権をどっちがとるか、農業者がとるのか、資金で応援する人たちがとるのか、こういう分かれ目はあると思いますけれども、私は、農業者がしっかり主導権をとっていくのであれば、この形態は非常に評価ができる、こういう考え方を持っています。
 そこで、坂本さんにお伺いしたいのですけれども、皆さんの仲間の人たちも、法人経営の形でやっている人もいると思うのですけれども、そういうことを仲間がやりたい、こういう話のときにもやはり今のような考えは変わりませんか。その辺、お聞かせをいただきたいと思います。
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坂本進一郎#14
○坂本(進)参考人 他人がやっていることについては、だめだとは言えません。それで、今大潟村で法人は、雨後のタケノコのように出ていますけれども、何ぼあるのか。これは税法上優遇されているとか、実際は家族農業で、それをオブラートとして法人がかぶっているというだけです。
 あと、家族農業は、さっきはしょってしゃべりましたけれども、土地も生き物、作物も生き物、それから人間も生き物、生き物同士が相互作用で農産物をつくっていく、しかも、おてんとうさま相手だということで、非常にこの間に有機的関連があります。
 アメリカの農業というのは非常に工業的で、農業と工業の境目がわからなくなってしまって、だからこそ、いろいろ、人間の命がやりとりされるというか、そういう意味では、農業と工業というのはもう全く異質、水と油のようなもので、そこをちょっと考え直す必要があるのではないかというふうに思っています。
 ヨーロッパに私も調査に行きましたけれども、そこは資金の問題としては、最低支持価格、アメリカでもやっていますけれども、それからデカップリング、そういうものをやっています。農林省の悪口を言うのは私は控えたいのですけれども、でも言わざるを得ないのですが、九三年にガット、よもやWTOなんてできると思いませんでしたけれども、その後二年たって、やっとデカップリングをやっているということがわかって、私自身、自費で調査に行きました。最近、四年ぐらい前にわかったのは、今度はヨーロッパのバスケット方式というかセクター方式というか、肉類は一括して交渉しています。それも農林省は情報公開していないので、マスコミに調べてくれと言ったのですけれども、なかなか調べてもらえなくて、この前ある国会議員の方に頼んで資料を見せてもらいましたけれども、そういうふうにして家族農業というのが非常に守られる。日本の場合は、アメリカ農政の、コーナーでいえば二コーナーぐらいおくれてきているので、結局つぶれていく、アメリカを見れば大体わかるのですけれども。
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西
西川公也#15
○西川(公)委員 個人的な考え方の違いがあったかと思いますが、私ども、WTOの問題も党で今一生懸命勉強して、とにかく新しい基本法の考え方であります所得をいかに守るか、こういうことで交渉を今後とも続けていきたいと思いますので、御理解をいただければと思います。
 次に、坂本多旦参考人にお伺いをしたいと思います。
 坂本参考人は賛成、農村活動に大きな役割を果たす、こういうことで御意見を述べられておりましたし、農業外との提携の中で、やはり農業の活性化につながってくるはずだという御意見であったかと思います。私どもも当初は、大企業が入ってくるぞ、あるいは農外資本に結局、支配されてしまうぞ、こういう心配をしておりまして、大激論を闘わせて今日の法律をつくり上げてきたのですけれども、そんな御意見が大体一致しておったかと思います。
 今坂本さんとか仲間の皆さんが、地域の発展のためにどのような面で貢献をされているか。やはり法人になっても地域の活性化に積極的に参加してもらいませんと、いい農村社会はできないわけでありますけれども、その辺の活動についてお聞かせをいただければと思います。
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坂本多旦#16
○坂本(多)参考人 今西川先生の方から地域とうまくやっていけるのかという御質問ではなかったかと思います。
 農業経営の手法でございますとか、考え方と意見の違いというのは当然あるだろうと思うのです。私はこういう農業をやりたいという意見があるだろうと思いますが、この制度のもとでございましたら、十分地域と調和していけるというふうに私は考えるわけです。
 なぜかと申しますと、新基本法にございますように、多様な担い手というのはこれから日本の農村、農業には必要だよということは国民が認めていることであります。特に、今、坂本参考人の方からもお話がありましたけれども、私たちは法人で三十年もやりましても、稲にしても家畜にしましても、農作物は私たちが法人か家族かとか、結局関係ないわけでございまして、わからないわけです。大切に愛情を込めて育てるかどうかということがもう一番基本なんです、先生もおっしゃったように、生き物ですから、自然の問題ですから。そこをどう果たすか。だから、家族経営だったら必ずしも農作物を大事にするか、環境を大事にするかとも言えないし、法人だからだめだとかは言えない。
 僕は、日本人というものはそういう力を持っている、組織的にもきちっとやっていける。集落というのは昔からこれは法人体だと思います。それがあって個人がうまくいった。その集落営農が今非常に生産機能を落としているところに、個人までが大変になってきているという考え方があると思います。したがって、一番私たちが今苦労しておりますのは、これから地域農業の中で少数派で認知していけるように、ひとつ御支援措置をお願いしたいなと思っているわけでございます。
 私の農場には、子供たち、お母さんが年間十万人ぐらい毎年遊びに来て、ありがとう、ありがとうと、地域の子供たち、近くの都市の方が帰っておりますから、私は地域と非常にうまくいけるのではないかというふうに思っております。
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西
西川公也#17
○西川(公)委員 次に、農業団体の中村参考人にお伺いしたいと思います。
 私ども部会で、農地法の改正が話題に上がってきて、農業団体の皆さんも熱心に参加をしてくれました。去年あたりの議論、ことしの初めぐらいまでは農業団体も非常に慎重な対応でありまして、私は、あれ、農業団体は反対なのかなと思って意見を聞いてきました。この取りまとめに当たりましては賛成という表現になってきましたので、これで農業団体が農業者の意見を集約できた、私は当初から変わったのだなと受けとめているのですけれども、その辺の変化はどういう状況から出てきたのですか。
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中村裕#18
○中村参考人 お答え申し上げます。
 定かでございませんが、平成八年の秋ぐらいから確かに新聞報道等いろいろな議論が出てまいりまして、その中では、いわゆる規制緩和に基づきまして、耕作者主義も規制ではないか、撤廃してはどうか、これは我々にとりますと、農地法の根幹の問題でありまして、今、優良農地を守っていけるのは、また利用していけるのは、やはり農地私有制度のもとでということを考えております。したがいまして、そこが規制ということからとられてしまって、一般の株式会社も参入したらどうか、こういう議論については我々は反対であるという議論をしてまいりました。
 先ほど申しましたように、我々、三十二年から農業法人問題をやってきておりますが、それはそういう枠の中でいわゆる家族農業経営の延長線上としての農業生産法人は認めるべきである、積極的に認める、こういう立場をとってまいりまして、今度の議論は、株式会社が株式の譲渡制限あるいは農業委員会のチェック等を含めまして、農業生産法人の一形態として中にはまり込むということでございますので、それならば地域でも共存できるという理解の上に賛成ということでございまして、今でも一般の株式会社そのものについては心配でございます。以上でございます。
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西
西川公也#19
○西川(公)委員 今中村参考人の心配の意見は、私も全くそのとおりでありまして、果たして今のこの法律で、制限しておりますから、農業者が他産業の人たちに誘導されて困るような事態が起きないようにしなければならないと思っていますし、そこはよくしっかり目を光らせていきたいし、十年間の報告制度もありますから、これでしっかり守り切れるのかな、こう思っています。
 そこで、時間が少々余りましたので、中村さんに続けてお伺いしたいと思います。
 今度の農地の保有の上限の縛りはないわけですね。そして、形態によっては、非常に大きな面積で農業生産法人に入る、こういう話にもなってくる形態が出るかと思います。そういう場合、これは企業も資本金の参加が多くなりますから、余計利潤追求に走る可能性があると私も思っています。
 問題は、これは三条許可になるわけですね。三条許可ということになりますと、実質、許可権者というか審査は農業委員会がやるわけでありますけれども、これは、しっかり許可をする側の皆さんの資質の向上に努めてもらわないといけません。大体、地方の農業委員会は行政区単位に農業委員が選出されておりますので、その人たちは、自分の行政区に出てくる者は、大体全部農転賛成なんですよ、転用の場合でも。そして、あとは県知事の判断を仰ぐんだ、こういうやり方をしてきています。
 今回は、農地転用そのものだって、二ヘクタール以上は大臣許可であったもの、今度は四ヘクタールまでということになって、二から四は報告だ、こういうことになりますから、ますます地方の皆さんの役割というのは大きくなってきています。
 そこで、農業委員会をしっかりさせなければいけませんが、どんなことをやるつもりか。時間ぎりぎりでありますけれども、考え方をお話ししてください。
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中村裕#20
○中村参考人 今先生御指摘の点は、我々もそういうふうに考えておりまして、最後に、農業委員会あるいは農業会議の指導体制についても強化をお願いしたいということを申し上げたわけであります。特に転用問題につきましても、法が変わってまいりますけれども、手続上は今までを踏襲するということで、県段階、農業会議におきます諮問等も残されるということでございますから、一応懸念はとれるのかなというふうに考えておりますが、新しい基本計画のもとで四百七十万ヘクタールの確保をどうするか、それから一〇五%の利用等をどうするか、これだけにつきましても、我々の組織はかなり重い責任を持っていると思っております。
 特に今度の要件緩和によります生産法人の問題につきましても、入り口から出口まできちっとした対応をしなければいけないということでございまして、組織的にもそういう指導の強化を図ってまいりたいというふうに考えておりますし、政策面あるいは財政面での御支援もまたお願いをしたい、こういうことでございます。
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西
西川公也#21
○西川(公)委員 質問を終わります。
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宮路和明#22
○宮路委員長 次に、楢崎欣弥君。
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楢崎欣弥#23
○楢崎委員 民主党の楢崎欣弥です。参考人の方々には、きょうは御苦労さまでした。それぞれの立場からの御意見を聞かせていただきました。
 そこで、まず生源寺参考人に三点ほどお伺いしたいのです。
 私は、先生が書かれました「農政大改革」という本、ほんのさわりだけですけれども、読ませていただきました。その著書の中で先生はこう述べておられます。市場原理至上主義あるいは規制緩和一本やりで世の中がよくなることなどあり得ない、農業政策の中でも同じである、むしろ、厳格な規制の網を改めて張り直した方がよい問題が少なくない、けれども、その一方で、行動の自由を思い切って広げることが望ましい領域もまた少なくないのである、このように述べております。
 私たち民主党は、農業への新規参入については規制緩和、農地転用は規制強化という基本的なスタンスを持っておるわけですけれども、そこでまずお聞かせいただきたいのは、株式会社形態参入の一連の論争の焦点ですけれども、これは先生も言っておられますように、農地を確保する命題それから農業の活性化を図る命題、これをいかに両立させるかということであろうと思うのです。しかし、これは農地法の目的を初めとする現法体系の中で、この両立というのは可能だと思われますか。
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生源寺眞一#24
○生源寺参考人 非常に難しい問題でございます。程度の問題で一〇〇%可能かと言われれば、もちろんノーだと思いますし、まあ一〇%であればというようなことがあるわけでございますが、今の農地制度、いろいろ改正が積み重なってきてはおりますけれども、根幹のところで、やはり五十年前の農地法をベースにしているということもあって、その意味では現代の社会にやや合わなくなっているところがあるだろう、私はこういうふうに思っております。そこをいろいろ、言葉は悪いわけでございますけれども、継ぎはぎするなりバイパスをつくるという形で来ているわけでございますけれども、しかし、それではもうもたなくなってきているのだろうというふうに私は思うわけでございます。
 今お尋ねの点のポイントのところで申し上げますと、農地そのものをきちんと確保するという意味での理念が、実は今の農地法の中には希薄である、私はこういうふうに思っております。これは食料増産の時代でございますから、むしろ、農地はふやすのが望ましいという時代にできていたわけでございますので、その点でいいますと、ゾーニングですとか農地を守るということに関して、今の農地法にその責めを負わせるのはやや酷であるという言い方ができるのではないか、こういうふうに思っております。
 しかし、新しい農地をきちんと守るゾーニングなりの制度がないものですから、逆に言いますと、ある意味では農業の参入についていろいろな資格規制なりを講じることによって、いわばこれは必要悪だというふうに私は思うわけでございますけれども、そういうことによって参入についてもやや障壁を高くしてきたという事情があるのではないか、こう思うわけでございます。
 したがいまして、よりいい形にするとすれば、私自身は、時間をかけて農地法あるいは農地制度の体系全体を見直すべきだ、こういうふうに思っております。
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楢崎欣弥#25
○楢崎委員 それでは、厳格な転用規制とゾーニングが実施されれば、農地利用者が一般の株式会社であっても問題はないはずだという意見も一部に聞くのですが、これについてはどう思われますか。
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生源寺眞一#26
○生源寺参考人 私は、厳格なゾーニングというところをどう考えるかということをきちんとしなければいけないと思っておりまして、言葉だけではだめなわけであります。例えばドイツのように計画制度をつくれば、その建物の、極端に言えば屋根の傾きまで厳格に指定する、こういった形の非常にきちんとしたものができるのが理想だというふうに思っております。仮にそういう理想的なものができる、あるいはそういう方向に行くとすれば、私はかなりの程度自由度を広げていい、こういうふうに思っております。
 ただその一方で、農地は農地として利用する、ここが一〇〇%きちんと守られるという形になったとしても、しかし、自然人、法人、だれでもいいという形には実はいかない、私はこういうふうに思っております。むしろ、これは法人であるか自然人であるかというよりも、特に周辺の環境、自然環境の保全といったことについて、きちんといわばルールなりをつくりまして、それを守るということが、ある意味ではもう一つの規制としていい規制だというふうに私は思っておりますけれども、かけるべきでございまして、そのいわばハードルもきちんとクリアできるような形であれば、資格のレベルにおいて規制をすることは必要がなくなるだろう、また、そういう社会が来ることを望んでいるわけでございます。
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楢崎欣弥#27
○楢崎委員 先生は、我が国がゾーニングの後進国であるということを本に書いてありましたけれども、ちょっとその辺のところを説明していただけますか。
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生源寺眞一#28
○生源寺参考人 やや印象論風的に後進国だという表現をしたわけでございますけれども、まずゾーニングのシステムができた時代背景ということがあろうかと思います。都市計画法が昭和四十三年、農振法、農業振興地域の整備に関する法律が四十四年ということでございまして、まさに列島改造のブームが沸き起こる、こういう時代にできたわけでございまして、農業、非農業全体を見渡して合理的な土地利用計画をつくるという雰囲気にはやはり乏しかった。農業側から見れば、むしろいかにして農業の領土を守るか、こういう発想でできたという、このゾーニングの産みのプロセスといいますか、その時代背景が一つあろうかと思います。
 私が後進国であるという言い方をしていることにつきましては、時代背景のほかに、ゾーニングの理念、それから制度あるいは技術、こういった点について、やはりしっかりしたものがないというところがあって、ここを指して後進国である、こういう言い方を私はしているわけでございます。
 理念の問題につきましては、今の農地法なり農振法につきましては、例えば食料の安全保障というような配慮は一切ないわけでございますし、農村空間のアメニティーを向上するという観点もないわけでございます。これは、ここ十年あるいは最近になってできてきた問題意識でございまして、これをきちんと埋め込んだ理念が必要だろう、あるいは制度、技術。
 現在一応計画がございますけれども、計画は、極端に言えば、毎年ころころ変えることができる、いわば転用の案件に沿って計画の線を引きかえるということも起こっているわけでございます。ちょっと長くなって恐縮でございますけれども、十年、二十年たてば当然分家という形で転用が予想されるようなところまでも農地にしてしまう、結果的に、例外として転用する、例外が例外を呼ぶというような形で非常にスプロール的な壊廃が進んでしまう、これなども、実はゾーニングの制度あるいは技術で私ども、まだ誇るに足るものを持っていないからではないか、こういったこと全体を根拠にいたしまして、ゾーニングの後進国だ、こういうふうに表現したわけでございます。
 以上でございます。
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楢崎欣弥#29
○楢崎委員 中村裕参考人にお伺いいたします。
 農地法の改正によって、農業委員会の役割はどうなっていくと思いますか。
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