佐藤幸治の発言 (法務委員会司法制度改革審議会に関する小委員会)

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○佐藤参考人 司法制度改革審議会の会長を務めさせていただいております佐藤でございます。日ごろ先生方には、私どもの活動につきまして何かと御高配を賜りまして、厚く御礼を申し上げます。
 それでは、先ほどの委員長のお言葉に従いまして、三十分ほど少し説明をさせていただきたいと思います。
 司法制度改革審議会の審議状況等につきまして、お手元に配付した資料に従いまして簡単に御報告させていただきたいと存じます。なお、お手元の資料は、その詳細な内容や事細かな文章につきましては、当審議会の各委員の了解を得て作成したものではございません。当審議会を代表しまして、私と竹下会長代理の責任において、当審議会の審議状況等について整理したものでございます。あらかじめお含みおきいただければ幸いでございます。
    〔小委員長退席、横内小委員長代理着席〕
 それでは最初に、これまでの審議状況、三十六回会議まででございますが、配付資料一ページ以下にございますけれども、かいつまんでお話しさせていただきたいと思います。
 当審議会においては、平成十一年七月の発足以来、これまでに三十六回の会議を開催したほか、本年八月七日から九日にかけての夏の集中審議を行ったところであります。各回ともおおむね三時間半から四時間程度の時間をとって審議を行いまして、また、夏の集中審議では終日集中的な審議を行い、さらに、本年四月以降は毎月三回、月によっては四回もの会議を開催するなど、各委員には相当な御負担をお願いしておるところでありますが、毎回真摯に熱のこもった御議論をいただいているところでございます。なお、もう御承知かと思いますが、議事録も公表しておりますし、審議会の模様などは、報道関係者にモニターを通じてごらんになっていただいているところであります。
 委員の構成でございますけれども、別紙一として配付してございますが、御承知のとおり、当審議会の設置法の国会における御審議の趣旨を踏まえまして、委員数十三名の半数を超える七名の方々がいわゆる非法律家の委員として選任されております。
 当審議会の設置法の概要等につきましては、別紙二としてございますけれども、御承知のとおり、同法の国会における御審議の結果、所掌事務に関しましては、「審議会は、二十一世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかにし、国民がより利用しやすい司法制度の実現、国民の司法制度への関与、法曹の在り方とその機能の充実強化その他の司法制度の改革と基盤の整備に関し必要な基本的施策について調査審議する。」というようにされておりまして、当審議会では、その趣旨を重く受けとめて、司法制度の利用者である国民の視点を常に念頭に置きながら審議を進めてまいりました。
 審議の経過等でございますけれども、昨年七月から十二月にかけては、二十一世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割についての議論、各界の有識者等からのヒアリングと意見交換、これを踏まえた論点項目の整理に向けた議論などを中心に審議を行いました。そして、昨年十二月には、「司法制度改革に向けて 論点整理」、これは別紙三として配付してございますけれども、論点整理として決定、公表したところであります。
 本年一月から四月にかけては、各論点を大くくりにまとめましたテーマ、これについては資料の一ページの中段に米印を付して掲げております、テーマごとに選ばれたレポーター役の委員によるレポートをもとに行う審議を行ってまいりました。
 本年四月末から五月初旬にかけての連休期間には、今後の審議の参考に資するということを目的としまして、委員が三班に分かれて米、英、独、仏を訪問いたしまして、これらの国々における裁判官任用制度、陪審・参審制度、法曹養成制度等の実情や司法制度改革の動向などを中心に各国の司法制度に関する調査を行ったところであります。その日程等につきましては、配付資料の六ページの下段に掲げております。
 それから、海外実情調査の後、本年五月以降は、これまでにレポーターとなったいわゆる法律専門家である委員のほかに、経済界、消費者、労働界など、主としていわばユーザーの立場の委員によるレポートをもとに審議を行ってまいりました。
 こうした審議のほかに、各地において、国民の意見をお聞きするなどにより司法制度を利用する国民の視点をより深く理解するための取り組みとして、本年三月から七月にかけて全国四都市において地方公聴会を開催いたしました。また、地方の司法関係機関の実情視察を行ったところであります。その日程等を配付資料の六ページの中段に掲げてございます。
 今後、十一月二十日に決定、公表を予定している中間報告の取りまとめに向けた審議を行うこととしております。
 概要、以上のようなことでございまして、そういう段取りで審議を進めてまいりましたが、次に、各テーマごとに、審議の結果を踏まえて取りまとめられた事項等を中心に簡単に御説明申し上げたいと存じます。
 まず第一は、「国民がより利用しやすい司法の実現」及び「国民の期待に応える民事司法の在り方」についてでございます。配付資料の一ページに記載してございます。
 第十一回会議、一月二十八日でございましたが、この会議において、竹下会長代理がレポーターとなって報告を行い、これに基づく意見交換を行った結果、司法の機能充実のためには、まずもって人的基盤の拡充が必要であるということなどについて意見が一致したところであります。
 その後、ユーザーの立場の委員によるレポートとこれに基づく意見交換、それから塩野宏東亜大学通信制大学院教授からの司法の行政に対するチェック機能のあり方についてのヒアリング、それから法務省、最高裁、日弁連による説明とこれに基づく意見交換などを行った次第であります。
 こうした審議を経て、第二十五回会議、七月十一日でございましたけれども、その会議において、これまでの審議結果を取りまとめたところでございます。司法へのアクセスを容易にする観点から、民事法律扶助制度の充実、人事訴訟事件の家庭裁判所への移管、民事訴訟の充実、迅速化のための計画審理の定着及び証拠収集手続の拡充、専門的知見を要する事件への対応強化、ADRの拡充、活性化などについて意見の一致を見たところであります。配付資料の一ページの下段に掲げております。
 それからさらに、第二十四回会議、七月七日において、日本司法書士会連合会、弁理士会、日本税理士会連合会、日本行政書士会連合会及び全国社会保険労務士会連合会の関係者から、既に当審議会からの調査嘱託を受けて各会から提出していただいた結果報告を踏まえまして、隣接法律専門職種に関する説明が行われたところであります。
 第二に、「弁護士の在り方」についてでございます。配付資料の二ページでございます。
 第十二回と十三回の二回の会議、二月の八日それから二十二日でございましたが、そこにおいて中坊委員がレポーターとなって報告を行い、これをもとに意見交換を行った結果、法曹、特に弁護士人口の大幅増員が必要である、それからまた、法曹、弁護士の質、量をともに充実させる見地から、法曹養成制度の抜本的な検討が必要であることなどについて意見の一致を見たところであります。
 その後、夏の集中審議でのユーザーの立場の委員によるレポートや隣接法律専門職種についてのレポート、それから日本弁護士連合会による説明、これまでの各委員の提言内容等に基づく意見の交換を行いました。
 こうした審議を経て、第三十三回会議、十月の六日において、これまでの審議結果を取りまとめた次第であります。弁護士について、質、量ともに抜本的な拡充を図る、公益性に基づく社会的責務の実践等の充実強化を図る、活動領域の拡大をするということなどについて意見の一致を見たところであります。配付資料の二ページの中段でございます。
 第三番目は、「法曹養成制度の在り方」についてでございます。
 第十四回と十六回の二回の会議、三月の二日と四月十一日でございますが、ここにおいて井上委員がレポーターとなって行った報告、それから第十五回会議、これは三月十四日でございますけれども、ここにおいて行った法曹養成関係者からのヒアリングなどをもとに意見交換を行いまして、その結果、現在の法曹養成制度は、二十一世紀の司法を支えるにふさわしい法曹を養成するという点で抜本的な改革が必要であるということ、法科大学院、仮称でありますけれども、以下仮称でありますが、法科大学院構想は、なお検討すべき点が多々あるものの、新しい法曹養成制度として有力な方策の一つであるということについて意見の一致を見ました。
 さらに、同構想の具体的な内容につきましては、その設置形態や法学部での教育との関係、入学者選抜の方法、教育内容・方法、教育体制、司法試験・司法修習との関係などに関しまして専門的、技術的検討を行う必要がある、けれども、それらの専門的、技術的細目のすべてを当審議会で審議することは、限られた期間内に司法制度全般にわたる多くの事項を審議する責務を負う当審議会としては極めて困難であるということから、例えば文部省、大学関係者、法曹三者から成る検討機関に対して協力を依頼し、その検討結果を受けて当審議会においてさらに審議を行うということにいたしました。
 その後、法科大学院構想に関する検討を依頼するに当たって、その基本的な考え方等について審議を行った結果、検討依頼先等については、文部省に対して、法科大学院構想に関し、入学者選抜の方法、教育内容・方法、教育体制等についての基本となるべき事項等について専門的、技術的検討を依頼することといたしまして、その検討に際しては、当審議会から複数の委員が参画することにいたしました。そういうことで、当審議会の意向が反映される体制で検討が進められるということとしたわけでございます。
 こうして、当審議会からの依頼を受けて文部省に設置された法科大学院構想に関する検討会議からの検討結果の報告及び質疑応答、これらに基づく意見交換などの審議を経て、第三十五回会議、十月二十四日でございますが、ここにおいて、法科大学院を中核とし、法学教育、司法試験、司法修習を有機的に連携させたプロセスとしての法曹養成制度を新たに整備すべきことについて意見の一致を見たところでございます。
 さらに、第三十六回会議、十月三十一日でございますが、その会議において、これまでの審議結果を取りまとめた次第でございます。法科大学院の制度設計に当たっては、公平性、開放性、多様性を旨とすること、資力が十分でない者が経済的理由から入学することが困難となることのないように、奨学金、教育ローン、授業料免除制度等を整備すること、司法試験を法科大学院の修了を要件とする新たなものに切りかえるとともに、やむを得ない事由により法科大学院への入学が困難な者にも法曹資格取得を可能とする適切な例外措置を講ずること等につきまして意見の一致を見たところでございます。
 第四に、「国民の司法参加」についてでございます。三ページになります。
 海外実情調査の前にあらかじめ問題点を含め実情を把握しておくことを目的としたレポーター役の委員による説明が行われた後、第三十回会議、九月十二日では法曹三者からのヒアリング、第三十一回会議、九月十八日ではユーザーの立場の委員によるレポートなどに基づく意見の交換を行いました。
 その後、引き続き意見交換を行った結果、第三十二回会議、九月二十六日において、「国民の司法参加」のうちの訴訟手続への参加について取りまとめを行ったところであります。
 こうした審議を経て、第三十六回会議、十月三十一日において、これまでの審議結果を取りまとめたところでございまして、訴訟手続への参加につきましては、国民が裁判官とともに責任を分担しつつ協働し、訴訟手続において裁判内容の決定に主体的、実質的に関与していくことが必要であり、主として刑事訴訟事件の一定の事件を念頭に置き、我が国にふさわしいあるべき参加形態を検討するということなどについて意見の一致を見たところであります。
 第五番目は、「国民の期待に応える刑事司法の在り方」についてでございます。配付資料の四ページでございます。
 海外実情調査の前にあらかじめ問題点を含め実情を把握しておくことを目的としたレポーター役の委員による説明が行われた後、第二十五回会議、七月十一日において、非法律家である委員によるレポート、法曹三者からのヒアリング、これらに基づく意見交換を行いました。
 こうした審議を経て、第三十二回会議、九月二十六日において、これまでの審議結果の取りまとめを行いました。刑事裁判の充実、迅速化の観点から弁護体制等の整備、争点整理手続の整備、証拠開示の拡充等を行うべきこと、一定の条件整備を前提として公的費用による被疑者弁護制度を導入すべきことなどについて意見の一致を見たところでございます。
 第六は、「法曹一元」についてでございます。
 海外実情調査の前にあらかじめ問題点を含め実情を把握することを目的としたレポーター役の委員によるレポートの配付と各委員による検討が行われた後、夏の集中審議において、法曹一元その他関連する問題について意見交換を行いました。その結果、これまでの法曹一元かキャリアシステムかという概念にとらわれることなく、いわば法曹一元をめぐる議論の根底にあるものを目指そう、つまり国民が求める裁判官像を描き、そのような裁判官をいかにして確保していくべきかという広い視点に立って、さまざまな方策について検討すべきこと、裁判官の給源の多様化、多元化を図ること、裁判官の任命に関する何らかの工夫を行うこと、裁判官の人事制度に透明性や客観性を付与する何らかの工夫を行うことにつき意見の一致を見たところであります。
 さらに、この夏の集中審議の結果を踏まえ、第三十六回会議、十月三十一日において、給源の多様化、多元化、裁判官の任命手続の見直し及び裁判官の人事制度の見直しの三つの課題について、改革のための具体的な方策の検討の方向性などを中心として意見交換を行いました。この結果、これらの課題について、それぞれ、これまでの議論の経過の整理などを行いまして、給源の多様化、多元化については、裁判所法の運用の実際においては判事補が判事の主要な給源となり、裁判所法の想定外の事態になっていることを改め、判事となる者一人一人について経験の多様化を制度的に担保する仕組みをどのようにしてつくっていくかを今後検討すべきことなどといたしまして、これまでの議論の整理等を行って了承されたところでございます。
 それから七番目に、「法曹人口」についてでございます。
 夏の集中審議の第一日目及び第二日目の会議、八月の七日、八日でございますが、ここにおいて意見交換を行った結果、現在検討中の法科大学院構想を含む新たな法曹養成制度の整備の状況等を見定めながら、計画的に、できるだけ早期に、年間三千人程度の新規法曹の確保を目指していくという方向で意見の一致を見たところでございます。
 第八番目は、「裁判所・法務省の人的体制」についてでございます。配付資料の五ページでございます。
 第十三回会議、二月二十二日において、司法の人的基盤の充実の観点から審議を行った結果、裁判官、検察官等の人員の増加の必要性について意見が一致しました。
 そして、第十七回会議、四月十七日において、法務省及び最高裁判所のおのおのから、裁判所、法務省の人的体制についての説明が行われまして、これをもとに意見の交換を行った結果、司法制度の直接の担い手である弁護士、裁判官、検察官の大幅な増員が必要であるという認識に加えまして、裁判所及び検察庁については、裁判官、検察官だけではなく、裁判所の書記官等裁判所職員及び検察事務官も増加させ、その体制を質、量ともに充実強化しなければならないことなどについて意見の一致を見たところでございます。
 最後に、九番目に「中間報告」についてでございます。
 第三十三回会議、十月六日において、中間報告に盛り込むべき内容に係る中間報告項目整理案について意見の交換を行いました。そして、三十四回会議、十月十六日においてもさらなる意見の交換を行いまして、この項目の決定をしたところであります。なお、同日の会議後、中間報告の項目の決定を受けた会長談話を発表いたしました。
 談話の中では、こういうことを申し上げたわけであります。
 国民により利用しやすい司法制度を実現するには、司法制度を運用する質、量ともに充実した人的基盤が必要であるとの認識から、中間報告の項目としても、まず「法曹の質と量の拡充」さらに「弁護士制度の改革」「裁判官制度の改革」を掲げたこと、その次に、司法を支える制度的基盤の拡充として、「利用しやすい司法制度」「国民の期待に応える民事司法の在り方」「国民の期待に応える刑事司法の在り方」を掲げたことなどに触れました。それからまた、「分かりやすい司法の実現」という項目を掲げたことに関しまして、司法制度が国民に利用しやすいものであるためには、司法制度自体の改革のみならず、片仮名文語体や現代社会に適応しない用語を現代化するなど、基本法の内容自体を国民にわかりやすいものにする必要があることにも触れました。この項目の中には、用語等の現代化にとどまらず、基本法の内容を社会経済の変化やそれに伴う新たな国民のニーズにも的確に対応したものとしていくことも含まれているというように考えている次第でございます。
 さらに、談話の中では、中間報告において示す事項のうち、例えば司法の人的基盤の拡充や基本法制の所要の整備など、早期に着手すべき事項については、当審議会として、内閣を中心とする関係諸機関において積極的かつ早期の対応をしていただくことを希望する旨、触れたところでございます。例えば、人的基盤の拡充については、最高裁、法務省さらには弁護士会において御尽力をいただく必要があると考えております。そしてまた、基本法制の整備についても、法務省を中心とする関係省庁に御尽力をお願いしたいというように考えている次第でありまして、その趣旨を申し上げたわけでございます。
 今後の審議日程でございますが、配付資料の六ページに触れておりますけれども、冒頭にも申し上げましたけれども、今後、第三十七回、十一月十四日、それと第三十八回、十一月二十日の二回の会議にこの中間報告案をかけまして、十一月二十日に決定、公表を予定している中間報告の取りまとめに向けた審議を行いたいというように考えている次第であります。
 るる申し上げましたけれども、この司法改革の要点を最後にごく簡単に申し上げれば、こういうことではないかと私なりに理解しているところであります。
 御承知のように、政治改革、行政改革、地方分権推進等さまざまな諸改革が行われてまいりました。そういう諸改革は、要するに、憲法で言う個人の尊重と国民主権をベースに、活力のある自由で公正な社会を築こうということではないかというように理解しております。国、行政に依存しがちな体質から脱却して、豊かな公共性の空間を築こう、そういう考え方が一連の諸改革の根底に流れているのではないか。
 比喩的に申せば、行政改革等の諸改革というのは、余分の付着物を取り去って、身体に例えれば心臓と動脈の機能を強化する、そういうことにこの行政改革等の諸改革のねらいがある。その比喩を使うならば、司法改革は人体にとって不可欠の静脈の強化。静脈を太くし、その機能を強化する。静脈をしっかりしたものにする。そして、その心臓、動脈、静脈を強めることによって、日本の国の力を高めるということにあるのではないかというように考えている次第であります。
 改革の眼目として、先ほど幾つか申し上げましたけれども、司法改革の改革の眼目は三つの柱から成り立っている。
 一つは、人的基盤の拡充であります。二番目に、制度的基盤の整備でございます。そして三番目に、司法の国民的基盤の確立、その三つに要約されるのではないか。先ほど申し上げた幾つかにわたる点もこの三つに集約されてくるのではないかというように思っている次第でございます。
 早口で申し上げて、あるいはわかりにくいところがあったかもしれませんけれども、一応冒頭の審議経過等についての説明とさせていただきます。(拍手)

発言情報

speech_id: 115005227X00120001108_002

発言者: 佐藤幸治

speaker_id: 10944

日付: 2000-11-08

院: 衆議院

会議名: 法務委員会司法制度改革審議会に関する小委員会