竹下守夫の発言 (法務委員会司法制度改革審議会に関する小委員会)
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○竹下参考人 ただいま笹川議員から御指摘のように、国民が訴訟に期待するものというのがスピードであるということは、私どもも全く同感でございます。
民事訴訟と刑事訴訟と若干事情が違うかと思います。民事訴訟につきましては、御案内のように、平成八年に新しい民事訴訟法ができました。平成十年一月一日から施行されたところでございます。この新しい民事訴訟法をつくる過程でも、訴訟を充実させて、かつ迅速にということを最も中心的なねらいの一つにしたわけでございます。
その結果、現在のところ平均的に申しますと、通常の事件の審理期間は九カ月をやや上回るというぐらいになってまいりました。かつては一年を超えるというような時代もあったわけでございますけれども、九カ月ぐらいになってきた。もちろん、それでもなお十分迅速ではないという御評価もおありになるかと思いますけれども、他方、訴訟は国民の権利の存否を左右するものでございますから、その適正さ、また審理の充実というものを無視するわけにはまいりませんので、なお一層の努力は必要かと思いますけれども、平均的に言えばかなりいい線に来ている。ただ問題は、これはトータルで、すべての事件の平均でございますから、では、実際に争いがあって、証人を二人、三人調べなければならないというような事件ではどうかと申しますと、残念ながら、現在のところ二十カ月ぐらいの時間がかかるというふうに言われております。一年半をちょっと超えるぐらいということでしょうか。
そこで、私どもといたしましては、今回、審理を計画的にする、つまりいつまでにこういう手順で審理を終えるという計画をあらかじめ立てて、それに沿って、もちろん個々の場合に一たん立てた計画を修正する必要は出てくることはあり得ると思いますけれども、原則はその計画どおりにする。そうなりますと、非常に難しい事件に時間がかかることはやむを得ませんけれども、見通しがついておりますから、これは当事者としては十分それに対応できるのではないかというふうに考えております。現在は、大規模訴訟と言われるような、当事者も証人もたくさんいるというような事件についてだけ最高裁判所の規則でそういう審理計画というものを立てなさいということになっておりますが、これは何もそういう事件だけに限らないわけでございますので、今後は一般の事件についてもそういう審理をする。
もう一つは、そういう計画審理というものを実現するためには、やはり計画が狂わないように立てなければなりませんから、そのためには両方の当事者があらかじめ証拠なり事件に関連する重要な情報というものを得られるようにしなければいけないだろう。それも、なるべく早期に得られるようにしなければいけないというところから、証拠収集手段というものを一層充実させていこうということを考えているわけでございます。証拠収集手続の充実ということも、新しい民事訴訟法の一つの眼目でございましたけれども、なお一層、とりわけ事件の早い時点で証拠の収集ができるように考えようということを議論しているところでございます。
それから、とりわけ問題になりますのは、医療訴訟とかあるいは知的財産権訴訟というような専門的知識を要する事件でございまして、これが争いのある事件全体の平均審理期間を長いものにしている非常に大きな要因であるということが既に裁判所等からも言われているところでございまして、現に実験的にはいろいろ工夫をしておられるようでございます。
私どもとしましては、やはりこういう専門性のある事件については専門家に手続に入っていただく。従来は鑑定という方法だけしかなかったわけでございますけれども、場合によっては専門参審という形で裁判官席の方に入っていただく、あるいは裁判官そのものになるわけではないにしても、専門委員というような形で、裁判官の補助者として専門家に入っていただくということを考えようとしているわけでございます。
ただ一方では、専門家が裁判官の側につくということについての懸念というものもないわけではございません。裁判官が、ついた専門家の言いなりになってしまうということでは困りますので、その辺は専門性の内容、種類と、それから選択する制度というもののミスマッチが起こらないように、十分なお今後検討を進めていこうというふうに考えているところでございます。
それから、刑事司法につきましては、私どもの審議会では、やはり刑事裁判の充実、迅速化というものを検討の一つの柱にいたしまして、具体的には弁護体制の整備、やはり弁護人が引き続き具体的な刑事事件に専従できるような体制ができませんと、どうしても期日と期日の間隔が長くなるということになりますので、そういう体制を公的弁護制度の充実ということともセットにして考えていこうというふうに考えております。
なお、刑事についても、争点整理手続というものを見直す、あるいは証拠開示についても明確なルールをつくって証拠の収集を弁護人側も十分できるようにして審理の促進を図ろうということを考えているところでございます。
少し長くなりまして、恐縮でございます。