伊藤忠治の発言 (本会議)

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○伊藤忠治君 私は、民主党の伊藤忠治でございます。
 ただいま議題となりました高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案について、民主党・無所属クラブを代表して質問いたします。
 沖縄サミットでIT憲章が採択され、政府はIT革命の推進を重要課題としていますが、我が国の置かれている状況は、インターネットの人口普及率一つを見ても、米国、英国、シンガポールなどの後塵を拝しています。このように、IT革命で守勢に立たされている事実を厳しく認識するとともに、なぜそのようにおくれをとったのか、その問題点はどこにあるのか、政府の責任を明らかにすべきであります。官房長官の見解を伺いたいと思います。
 ITは、あくまでも手段であり目的ではありません。我々は二十一世紀に向けてどのような国家、社会をつくっていくのか、どのように国際社会に貢献するのか。この点について基本法案は、IT革命を推進する哲学、理念、国家戦略が不明確であります。
 我が民主党は、ことし三月の段階でIT革命の四つの基本理念を明確にしております。
 第一は、経済構造を改革し、チャンスのある社会、チャレンジできる日本をつくること。第二は、高齢者や身障者を疎外せず、多様な生き方や価値観を許容し合う社会をつくること。第三は、だれもが政治や行政へのアクセスと監視のできる情報民主主義を実現すること。第四は、国境や民族の垣根を越えた協調と信頼を築き、紛争予防と平和の創造に役立てることであります。
 さらに我が民主党は、インターネットを初めとするITが、官主導から民主導へ、中央政府中心からコミュニティー中心へ、男性主導から男女共同参画型へと社会を転換し、経済のボーダーレス化を促進し、国際社会や国の仕組み、人間の生き方を根本から変えることに寄与すると位置づけています。
 政府の基本法案には、こうした地方分権や社会改革に通ずる国家観や世界観が欠如していると思います。私たちの主張も取り入れて、法案を見直す余地はありませんか。官房長官の答弁を求めます。
 また、政府の姿勢には、産業優先、強者の論理が前面に出ていると思います。IT戦略会議のメンバーに、財界や学者ばかりが入っていることも不満であります。一般のサラリーマン、主婦、障害者や高齢者の立場を代表する人たちも加えるべきだと思います。
 政府は、IT革命の光の面だけでなく、影の部分にも対策をもっと講ずるべきだと考えます。基本法案でも、デジタルデバイド対策には一応触れられていますが、対応策の基本について踏み込みが不十分と言わざるを得ません。
 また、IT革命は、国民生活に大きな危害を与える可能性もはらんでいます。個人のプライバシーの侵害、青少年に悪影響を及ぼす低俗な文化の横行、経済格差の一層の拡大、雇用形態や流通慣行の変化による雇用不安の加速化、さまざまな犯罪の温床の拡大、ネット取引の障害による金融、経済システムの混乱など、多くの事柄が懸念されています。基本法案には、こうした問題を正面から取り上げ、問題意識をしっかり織り込むべきではないでしょうか。官房長官の見解を求めます。
 教育問題一つをとってみても、ITは使い方によっては社会に大きな禍根を残す可能性があります。知識の詰め込みばかりを強要する傾向の強い我が国の教育環境の中では、パソコンで情報ばかりを集め、自分の頭で考えることがおろそかになれば、ますます学力低下に拍車をかけることにもなりかねません。こうした懸念にどう答えるのでしょうか。官房長官の答弁を求めたいと思います。
 基本法案では、民間主導の原則がうたわれていますが、十月二十日に決定をされた政府の経済対策を見ると、ITという看板をつけて、各省庁が予算の分捕り合戦を行っているのが実態であります。内閣官房が所管しているにもかかわらず、省益優先施策の寄せ集めに終わっており、整合性のとれた一元的な施策になっていません。
 情報通信の国家的な基盤整備についても、市場万能主義を前提にするのか、それとも、利用者に対してあまねく公平に安い料金でサービスを提供するのか、我が国のユニバーサルサービスは二十一世紀においても国の指導責任において確保すること、また、通信主権を含めて、守るべきものは何かを明確にし、市場原理にゆだねるべきものは積極的に規制緩和を促進すべきであると考えます。
 以上の見解に対し、官房長官の答弁を求めるものであります。
 続いて、二、三の問題について質問いたします。
 まず、KSDの問題についてであります。
 名簿順位第二位の村上正邦参議院議員の場合は、財団法人KSD、すなわち中小企業経営者福祉事業団から、九万人の党員名簿と党費の肩がわりを受けていたと指摘されています。このKSDなる公益法人は、災害補償の名目で、百七万人の会員から毎月二千円、総額実に二百四十五億円の会費を集めながら、本業の災害補償にはわずか三割しか使わず、残りの七割は理事長ファミリーの私的流用や天下り官僚の給与、政治家や官僚などへのお中元、お歳暮代、さらにはKSD豊明会という任意団体をトンネルにして、村上氏など自民党政治家への献金に充てていたと言われます。
 また、つい最近まで、毎週火曜日発行の自民党機関紙「自由民主」にKSDの一面広告が毎週のように掲載されていたことから、自民党自体もKSDと深い利害関係にあったことがうかがえるのであります。
 このように、政官業の腐敗した癒着体質に自民党みずからがメスを入れなければ、自民党の体質はよくならないし、政治の信頼を回復することはできないのであります。
 にもかかわらず、党内改革を怠り、あろうことか、与党三党が一体となって選挙制度に問題をすりかえてきたのであります。来年の参議院選挙では、このままいけば敗北するかもしれないという非常な危機感、だから、政権の座にとどまれることなら、どのような批判を浴びようが多数支配のもとに徹底的に押し切るという議会運営に出たのであります。参議院における二・二五合意事項、六・二再確認をほごにする、その後の与野党協議も拒否する、議長あっせんも拒否したのであります。
 つまり、危機感に取りつかれたような与党三党は、公職選挙法改正案を今国会で一日も早く成立させることだけが自己目的化しているのであります。まさにファッショ化したというべきであり、議会制民主主義は死滅しつつあります。(拍手)
 ところで、良識ある党の総裁でもある森総理にお聞きしたい。
 村上正邦参議院議員が集めたと言われる党員のKSDによる党費肩がわりの事実関係、KSDから自民党または自民党議員に流れた資金が他にもあるのではないか、このことについて、迅速に調査し、事実を公表すべきだと考えます。総理の明快な見解を示していただきたい。
 次いで、いわゆる中川問題について質問いたします。(拍手)
 大変残念なことでありますが、今、中川秀直官房長官に対して、重大な疑惑が連日のように報道されています。このようにレベルの低い話題を本会議で取り上げたくはないのですが、森内閣の中枢にある中川官房長官の名誉にかかわることでありますから、私は黙過できず、あえて質問をいたします。
 最初に、まず、あなたの愛人が妊娠した際、人工妊娠中絶に対する同意書に、中川一郎の署名をし、押印した事実はおありになるのか否か。あるいは、それに対し、告訴等の事実はあるのかないのか。報道が事実であれば、長官の行為には、明らかに私文書偽造、同行使罪が成立いたします。もし虚偽の事実が報道されているとすれば、しかるべき法的手段をとっていただきたいと思うのであります。
 次に、中川長官の議会答弁及びこれに関連する参議院議員小川敏夫君の質問主意書に対する内閣総理大臣の答弁書について質問いたします。
 日本青年社の副会長滑川裕二氏との交友、認知の有無についてであります。
 九月二十八日の予算委員会における我が党の石井一君の質問に対して、官房長官は、滑川裕二という人物を直接には存じませんと答え、「私は、今の委員お取り上げの問題について、天地神明に誓ってそんなことはありませんから、その旨申し上げておきます」と力強く答弁されました。また、森総理は、我が党の小川敏夫参議院議員が提出した中川官房長官と右翼団体との関係をただす質問主意書に対し、官房長官と右翼団体には何らかかわりがないなどと答弁をされております。
 ところが、驚くことに、先週発売の写真週刊誌には、官房長官がくだんの右翼団体役員とされる人物と会食している写真が掲載されております。これは、予算委員会における官房長官の答弁や質問主意書に対する答弁が虚偽であったことを証明するものではありませんか。だとすれば、官房長官はもちろん、虚偽の答弁書を出した総理の責任も極めて重大であります。
 中川長官、あなたは滑川氏との会食もしくは面談をした事実は一度もないのか、それともあるのか、この機会に再度明確な答弁を求めます。
 総理に対しては、官房長官の答弁の信憑性と質問主意書への回答の信憑性をどう考えておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
 政治家は、信なくば立たずとの言葉があります。中川秀直氏の内閣官房長官としての適格性について総理はどのように判断をしておられるかについて、総理の見解を求め、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣森喜朗君登壇〕

発言情報

speech_id: 115005254X00620001024_016

発言者: 伊藤忠治

speaker_id: 34240

日付: 2000-10-24

院: 衆議院

会議名: 本会議