塩田晋の発言 (本会議)
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○塩田晋君 私は、自由党を代表して、ただいま提案されています公職選挙法の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。(拍手)
冒頭申し上げたいことは、今回の非拘束名簿式比例代表制の導入法案は、国民的世論を踏まえたものではありません。それどころか、国民から厳しい批判を受けた自民党の前金融再生委員長の党費立てかえ問題、すなわち自民党の金権体質を隠し、また、本年六月、衆議院総選挙における与党の苦戦の結果を見て、与党側に有利に選挙制度、すなわち選挙ルールを一方的に改変するという、まさに自民党の党利党略以外の何物でもない、全く国民を無視した行為であるということであります。
歴史を顧みますと、ファシズムのあらしが吹き始めたイタリアにおいて、ファシスト党が政治支配をたくらみ、一九二三年七月、選挙法の大改悪を行ったことがありました。その要点は、全投票数の二五%を超える最高得票の政党に全議席の三分の二を与えるという、民主政治では考えられない暴挙を行ったのであります。この選挙法の成立により、イタリアはファシズム支配を完成させたのであります。今回の与党の暴挙はこれに匹敵するものであり、慄然とせざるを得ません。
そもそも参議院制度改革については、昨年六月に参議院において、参議院各派代表懇談会のもとに設置された参議院選挙制度改革に関する協議会で協議を重ね、その結果、本年二月、比例代表選挙区については現行の拘束名簿比例代表制を維持することを前提とする等の趣旨が報告書に明記され、その結論をもとに協議を続けていたものであります。
協議会の結論は最も尊重すべき議会ルールに沿った話し合いの結論であり、参議院制度改革に関する協議会がそれほど重要な議論を行っていたにもかかわらず、問答無用と全く別の内容の法案を提出してこれまでの協議会の議論を踏みにじった与党の姿勢は、議会制民主主義のルールを逸脱する行為として断固糾明されなければなりません。
与党は、唐突にも、与党内でのさしたる検討もないまま、また各党間の協議も約束も全く無視し、参議院の比例代表区における非拘束名簿式の導入を主張し、今臨時国会の参議院における特別委員会の強引な設置を皮切りに、参議院における与党単独での強行採決、衆議院倫理選挙特別委員会での強行採決を行ったのであります。
およそ公職選挙法は、与野党会派を初め有権者等関係者のともに守るべきルールを定めるものであり、その改変については、大方の合意がなければ公正な選挙となり得ません。ところが、問答無用の今回の与党の行為は、強引とも言える一方的なルール変更の憲政史上まれに見る暴挙であり、民主主義の自殺行為であると断定せざるを得ません。(拍手)
我が党は、何も審議しないと言っていたのではありません。選挙制度に絶対というものはありませんが、この非拘束名簿式比例代表制では、莫大な選挙費用がかかるのではないか、当選のために著名人を党利党略で出馬させることになるのではないか、個人名の投票が政党の比例得票数に合算されることは問題ではないかなど、議論すべき点が多々あります。それでも、与党がどうしても、参議院選挙制度改革に関する協議会で一たん合意したことを破棄してでもこの制度を導入したいというのであれば、改めて議長のもとで協議会を再開し、報告書合意の時点に立ち戻って、精力的に議論を行うように自由党は主張したのであります。
これに対して与党は、全く耳をかさず、数を頼みに強引に約束を破って強行採決を行ったのであります。
与党がそうまでして強引に採決を急いだ非拘束名簿式比例代表制という案は、一体何なのでありましょうか。
第一に、その本質は、さきに触れたように、与党が参議院選挙を戦っていく上で有利に働くという党利党略に基づくものであり、自民党が、KSDの党費立てかえ問題等に見られますように、自民党自身の腐敗体質を選挙制度の問題にすりかえて国民の目をごまかそうという、卑劣きわまりない動機に基づくものであります。
第二に、その結果、有名人を名簿に載せれば、その得票が、いわゆる票の横流し、移譲によって政党の得票にカウントされ、その政党の政策、主張とは無関係に政党の得票として認められるという、前代未聞、世界に例のない制度となっているのであります。一人のとった得票が何人分にもカウントされてしまうという、およそ民主主義とは相入れない制度であります。
第三に、かつて銭酷区と酷評された参議院全国区制度で問題にされた、選挙運動に金がかかる、候補者の肉体的負担が余りにも大き過ぎるという重要な問題を抱えた制度が、また復活しようとしているのであります。
公党であれ一般社会の契約であれ、お互いの約束を勝手に破るのでは、社会は成り立ちません。まして、議会政治で与党が平然と信義を破ったということは、日本の議会制民主主義の権威を失墜させ、国民の良識ある信託を踏みにじる行為であります。もし与党が、このまま、道理を踏みにじって民主主義のルールを無視したままこの法案を成立させるのであれば、与党は完全に国民の信頼を失い、より一層の政治不信を生み、凋落するであろうことは言うまでもありません。政治の基本である民主主義のルールを定める法律がこのような形で変更されてしまうことは、国民にとってまことに悲しむべき不幸なことであると言わなければなりません。
自由党は、議会政治の権威を守ろうと精いっぱい力を尽くしましたが、残念な結果になりました。しかし、自由党は、この与党の暴挙を国民に強く訴え、危機的状況にある我が国の民主政治を守り、議会政治の正道を取り戻すためにも、日本一新、断固として闘い続ける決意であることを表明し、私の反対討論を終わります。(拍手)