釘宮磐の発言 (本会議)

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○釘宮磐君 民主党の釘宮磐でございます。
 私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました健康保険法等の一部改正案及び医療法等の一部改正案について、反対の立場から討論を行います。(拍手)
 その前に、さきの公選法改正の採決に続き、またもや与党による強行採決という暴挙が繰り返されました。今や国会は審議の場ではなく、与党の横暴だけがまかり通る場と化しています。このことは、国会審議をますます形骸化するばかりでなく、民主主義そのものを否定する行為と断ぜざるを得ません。改めて、与党に対し猛省を求めるものであります。
 さて、政府・与党は、今回提出の両法律案を医療保険制度の抜本改革の第一歩であるとし、また、みずから重要法案と位置づけてさきの通常国会に提出しておきながら、解散・総選挙が目前に迫ると、負担増に対する国民の批判を恐れて、両法律案の国会審議を先送りにするばかりか、老人の薬剤一部負担の免除措置を行い、その財源措置に窮するや慌てて議員立法によって、事もあろうか予備費を充てることとしました。
 さらに、今度は総選挙が終わるや一転、みずからが招いた非拘束名簿方式のごり押しによる国会審議混乱の責任を棚上げにして、与党だけで法案審議を強行し、法案の早期成立を目指しました。
 このような場当たり主義の与党では、医療保険制度改革など到底できるはずもなく、また、やる気もないと言わざるを得ません。(拍手)
 以下、両法案に反対する理由を申し述べます。
 まず、健康保険法等改正案は、政府・与党の主張する抜本改革の第一歩とはとても言えないものであります。本案は、抜本改革を先送りにしたまま、日本医師会の意向を受けて自民党が打ち出した、老人に係る薬剤一部負担金の廃止や、政治的に決着した本年四月の診療報酬の引き上げによって必要になった財源を、老人の患者負担の見直し、高額療養費の見直しや保険料率の上限設定の見直しなど、患者負担、国民負担増によって賄うという、改革の理念なきつじつま合わせにすぎないと言えます。このことは、医療保険福祉審議会の答申においても、急速な高齢化の進展に伴う医療費の高騰に対する有効な対応がなされておらず、当面の財政対策に終わっていると指摘されていることからも明らかであります。
 そもそも、一九九七年の健康保険法等の一部改正は、医療保険制度の抜本改革の二〇〇〇年実施を前提として行われたはずであります。
 当時、政府・与党は、保険財政の目前に迫った危機を緊急避難的に回避するための当面の措置としての健康保険法等の一部改正を提案し、国民は抜本改革を不退転の決意で実施するという政府の言い分を信じて、当面の負担増を受け入れたのではありませんか。
 にもかかわらず、二〇〇〇年になればなったで抜本改革を先送りし、当面の財政対策として国民に負担を押しつけ、それを抜本改革への第一歩であると強弁をしております。同じことの繰り返しであり、反省の色が全くありません。このままでは、さらに二年後も抜本改革を先送りして、政管健保財政が破綻するからという理由でまたまた国民に負担増だけを押しつけてくるのではないでしょうか。
 また、仮に、政府答弁のように二年後をめどに実現させるというのであれば、抜本改革の最大の課題である高齢者医療など、その基本的な考え方が今の段階で明らかになっていなければ間に合わないのではないですか。まず、本案の審議に入る前に、その実現に向けての道筋を明確な形で具体的に示し、国民の合意を得るための議論をすべきであります。
 本案においては、抜本改革をいつまでに実施するということすら明らかにされていません。二〇〇二年度までに実施するという確約がないまま、負担だけを国民に押しつけることを繰り返そうとしているのが本案であり、これが反対する第一の理由であります。
 反対する第二の理由は、本案の改正内容が、場当たり的な朝令暮改の繰り返しであり、国民に混乱をもたらすものであるからであります。
 薬剤一部負担は、薬剤使用に対する患者のコスト意識を喚起するという観点から一九九七年に導入されましたが、その効果、問題点を見きわめることもしないまま、医師会の働きかけを契機として老人を先行させ、今回は廃止することとしております。そして、その財源対策のために、上限つきの定率負担制を導入することとしており、まさに朝令暮改のそしりは免れません。
 また、老人の上限つきの定率負担制の導入は、同じ医療サービスを受けながら受ける医療機関によって患者負担が変わるというものであり、その組み合わせは実に十四通りにもなります。これが患者の選択によるものであればまだしも、医療提供側の都合によって生じるものであります。このような複雑な仕組みを強行することは、いたずらに国民の不信感を増幅し、かえって抜本改革の妨げとなるものであります。
 保険料率の上限設定も同様であります。
 政府は当初、介護保険導入により社会的入院などが介護保険に移行するので、医療、介護両保険の料率を合わせても上限内におさまり、介護保険料率の上昇を抑えるためにも上限枠が必要であると説明してきました。しかし、医療保険財政が悪化するなど見通しが狂い、このままでは上限枠内で介護保険料率を上乗せすることができなくなると、今度は慌てて一般保険料率のみを対象とするよう改めようとしています。
 このような場当たり的な改正の繰り返しは、医療保険者の財政運営や被保険者の保険料負担の見通しに無用の混乱を招くばかりでなく、医療保険制度に対する信頼を損なうものであります。
 反対する第三の理由は、高額療養費制度の見直しであります。
 この改正は、診療報酬の引き上げ等により新たに必要となった費用を、患者負担増で賄おうとするために導入しようとするものであります。しかし、この改正に伴う問題は大きく、負担は所得に応じて、給付は公平にという社会保険の基本的理念を十分な議論をも行わないまま切り捨てようとするものであり、到底容認することができません。また、受けた医療サービスに応じて費用が反映され、患者負担の上限額もなくなります。このことは、高額の医療に係る負担を保険で保障するという高額療養費制度そのものを否定するものであります。
 だれがわざわざ高額な医療を受けたいと思うでしょうか。必要な医療だから受けざるを得ないのであって、これからは負担額を計算しながら受ける医療を選択することになります。このことは、セーフティーネットである保険制度そのものの否定にもつながりかねないと危惧するものであります。
 次に、医療法等の一部改正案について申し上げます。
 今回の改正では、入院医療の提供体制の見直し、医療についての情報提供の推進、医師、歯科医師の臨床研修の必修化等が提案されておりますが、医療提供側に配慮して、医療サービスの受け手、すなわち患者の立場に立った制度改正が当初考えられていたところからかなり後退をしております。
 看護職員の配置基準は、改正の検討当初は、患者二・五人に看護職員一人という基準で議論されていましたが、医療提供側の反対に遭い、患者三人に看護職員一人となり、さらに五年間の経過措置がつけられています。
 また、従来から、諸外国に比べて立ちおくれていると強く指摘されてきた精神医療については、いわゆる精神科特例を見直し、患者の立場に立った療養環境の改善を図るべきところでありますが、今回の改正では何も触れられておりません。
 さらに、カルテの開示に関してですが、政府部内の検討では、その法制化も含めて検討すべきとしていましたが、医療提供側からの、医療情報の提供は医師の職業倫理にゆだねるべきであるとの強い反対意見に遭い、結論は先送りとなりました。
 医療提供体制の抜本改革に当たっては、患者の声が反映されるべきであり、情報公開を進めることが良質かつ適切な医療を効果的に提供する上で不可欠であり、最近問題となっている医療事故の減少にも寄与するものと考えます。しかしながら、本案は、医師会等医療提供側の意見の方が反映され、患者本位の改革にはほど遠くなっており、これが本案に反対する理由であります。
 今回の審議の中でも、津島厚生大臣みずからが……

発言情報

speech_id: 115005254X00920001102_009

発言者: 釘宮磐

speaker_id: 28779

日付: 2000-11-02

院: 衆議院

会議名: 本会議