武山百合子の発言 (本会議)
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○武山百合子君 自由党の武山百合子でございます。
私は、自由党を代表いたしまして、健康保険法等の一部を改正する法律案及び医療法等の一部を改正する法律案につきまして、反対の立場から討論を行います。(拍手)
この法案は、参議院において、正常でない形で、与党単独で参議院選挙制度委員会が進められる中で、衆議院において、十月三日、野党が欠席する中で本会議の趣旨説明、質疑を強行し、厚生委員会に付託したものであります。また、野党を含めた実質審議は、十月二十五日と二十七日、三十一日の参考人質疑、そして昨日の質疑のみであります。すなわち、たった四日間でした。特に、昨日の委員会では、野党の質疑を強行に打ち切り、採決を行ったのであります。
我々は、この医療改革関連法案には、さまざまな点で疑問を持ち、これについては委員会審議を通じてただしていくこととしておりました。野党各党が、きちんと論点を整理しながら、二十一世紀の社会保障の青写真を明確にするため議論を深め、慎重審議を求めたのにもかかわらず、与党は、審議日程の焦りから、議論が熟さないまま無理に委員会を強行突破したことは、まことに残念であり、強く抗議します。(拍手)
以下、反対する理由を申し述べます。
そもそも政府は、平成九年の前回改正のとき、サラリーマン本人の患者負担を一割から二割にふやし、外来患者の薬剤費負担を決め、国民負担の増加を行う見返りに、平成十二年の抜本改革を約束していました。しかし、この法案では、附則に、医療保険制度等については、平成十二年度から行われる措置に引き続き、この法律の施行後における医療費の動き、医療保険の財政状況、社会経済情勢の変化などを比べて考え、抜本的な改革を行うため検討し、その結果に基づいて所要の措置が取り決められるものとすることとしており、今回の法改正が抜本改革ではないことを明確にしております。
当初、平成十二年の医療改革へ向けて、政府はどのような問題意識を持ち、診療報酬、医療供給体制、薬価制度のあり方、高齢者医療のあり方などについてどのような議論を尽くしていったのか、そして、なぜ今回の法案をつくることになったのか、国民にはっきりと説明し、その上で将来の社会保障のあり方を明白にすべきだったのであります。
しかし、政府はその説明も不足であり、なおかつ論点も抜本改革への将来像やそれに向けての計画も不透明なまま、当面の小手先の財政調整だけしか見詰めず、議論を深めているとは到底感じられません。平成十四年度をめどにとする政府の抜本改革の意気込みも、このままではやはりかけ声倒れに終わるのではないでしょうか。
大切なことは、社会保障のビジョンを明確に示し、社会を担う現役世代の人々の保険料負担が累増することの懸念を払拭することであります。お年寄りの給付水準引き下げへの心配を取り除くことでもあります。あわせて、適正な医療供給体制を示して、国民の全体の安心と安定を確保して人生設計を描きやすくすることであり、この法案審議を通じて論点を明確にし、より議論を深めるべきでありました。
しかし、それができなかったことは、腹立たしく、残念でなりません。抜本改革の道筋が明確でない中で、この法案を認めることはできません。
次に、医療保険料率の法定上限見直しについて指摘しなければなりません。
今回の法案で、介護保険料を別建てと位置づけ、介護保険料を徴収することになりますが、なぜ、保険料の徴収が始まっている今になってこのような措置をとらざるを得なかったのでしょうか。
経済状況や雇用環境の大きな変化の中で、保険財政が圧迫されていることは私も認識しています。しかしながら、より指摘しておかなければならないことは、医療と介護の保険料を合わせて上限を設定したのは、介護保険導入とあわせて、社会的入院など今までの介護要素の強い医療が介護保険給付へシフトすることで、また、医療改革を平成十二年に実施することなどを通じて、医療負担は減少するという政府の説明の裏づけでもあると考えます。
しかし、結果として、改革が果たせず、保険財政が圧迫し、逃げの一手をとらざるを得なかったのです。そのような継ぎはぎを繰り返すたびに、国民の医療、介護制度への信頼をどんどん遠ざけてしまうのです。
また、この改正により介護保険料に対する法定上限はなくなりますが、法定上限があるので本来の保険料を徴収できていないことを知っている国民は、それほど多くないと思います。ましてや、今まで制度欠陥で徴収することのできなかった保険料の負担について、これから少しずつもらうというこれからの話も、知っている人は少ないのです。そのような環境の中で、明細を見て保険料が上がっていることを知ったとき、国民のだれもが、初めて理念のない負担増を知ることになり、驚きます。
なぜ上げることになったか、政府はその説明を国民に知らせる責任があり、この国会の場で法案の議論を深め、まさに国民に理解してもらうことが重要だったはずです。
ところが、政府・与党は、議論をさっさと切り上げ、国民の理解を深めることもなく強行突破しようとしています。これは、単に保険料引き上げの混乱ばかりでなく、国民意識にも大きな影響を与えるものであることを強く指摘しておきたいと思います。
今、日本は、経済、社会、行政など、あらゆる側面で構造改革の必要性が訴えられています。また、経済社会の構造改革と同時に、安定し、安心できる社会保障制度をつくり上げることが極めて重要であることは、言うまでもありません。
国民は、明確であるべき社会保障ビジョンが、このような不明確な形で社会保険料負担が増大し、同時に、自分の年金や医療、介護の給付水準が引き下げられるのではないかという不安を常に抱えています。この年金、医療、介護は、将来のライフスタイルを描く基礎的な部分なのです。社会保障制度への不信感が、新しい挑戦や努力といった創造的な生活を描くことを困難にし、日本全体の経済社会のポテンシャルを落としていくことにつながっていくのです。すなわち、国民のやる気をなくさせることなのです。
我々自由党は、消費税を基礎年金、介護、高齢者医療という基礎的社会保障経費以外には使わない、これによって基礎的社会保障の財政基盤を安定させ、簡素で、合理的で、公平な基礎的社会保障の負担のあり方を実現すべきであると考えます。国民が安心して頼ることのできる社会保障制度をつくり上げることは、いざというときに頼りになる社会政策でありながら、もう一面では、個人の自由な生活設計と可能性を切り開く経済政策にもなり得るのです。
我々は、社会保障の給付と負担のあり方、医療提供のあり方など一つ一つの柱を明確に示し、そのために、規制の撤廃や改革へのステップ、そして当面の措置を明らかにしていくことが、本来の構造改革のビジョンであると考えます。その点において、この法案は抜本改革の理念もなく、本末転倒であることを指摘して、私の討論を終わります。(拍手)