東順治の発言 (本会議)
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○東順治君 私は、公明党を代表し、森内閣不信任決議案に対しまして、反対の討論を行うものであります。
我が国議会政治において野党に許された最大の権能は、言うまでもなく、与党内閣に対する不信任決議案の提出であります。したがって、理由の当否は別にして、内閣不信任決議案の提出自体は、野党の自由ではあります。しかし、この決議案に多数の賛同を得るには、第一に、今はいかなるときかを厳粛にわきまえていること、第二には、国家的大義と根拠が明確であるか否かという点が重要であります。これまでの憲政史上を振り返ってみても、この二点を見誤った不信任案が可決されたことは一度もありません。
翻って、ただいま提案理由説明のあった野党共同提出の森内閣不信任決議案は、まさにむき出しの党利党略、国家の危機を我が千載一遇の好機ととらえ、一国の混乱を助長せんとする以外の何物でもありません。
本日、時あたかも、日本経済を破綻から立ち直らせ、本格的、自律的回復軌道に乗せるための重要な平成十二年度補正予算案が審議され、まさに採決されんとするそのときに、これを葬り去ろうと画策しているのが本決議案であります。
我が国にとって当面する最優先課題は何か。それは、言うまでもなく、景気の回復に万全を尽くすことであります。現下の我が国の経済状況は、緩やかな回復基調を続けているものとはいえ、雇用は依然として厳しく、個人消費は横ばいの状態であり、民需中心の本格的な回復には至っていないのが現状であります。しかも、最近の原油価格の上昇傾向も見きわめる必要があります。
今国会では、景気を本格的な回復軌道につなげるために、森内閣は小渕前内閣を引き継ぎ、我が国の経済を本格的な回復軌道に乗せるため、その一環として、中小企業対策、IT振興対策、災害復旧対策などを中心とした総額四兆八千億円の補正予算を作成したところであります。
そして、補正予算の審議を終え、まさに予算委員会で採決せんとするその直前に、野党は、内閣不信任案を提出し、予算案の成立を阻止しようとしています。この野党の姿勢は、ひたすら景気の本格的回復を願い、額に汗して懸命に働く国民への背信行為そのものであり、極めて遺憾と言わざるを得ません。
先ほど鳩山民主党代表は、我が党に何か批判めいたことを言っておられましたが、私は、民主党の皆さんに逆に声を大にして訴えたい。皆さんのために補正予算案の成立が困難となり、国民経済への壊滅的打撃を与えることになれば、一体どう責任をとるのか。(拍手)
もしも不成立という異常事態にでもなれば、三宅島を初めとする災害復旧事業にも支障が出てまいります。地方自治体への影響は言うまでもありません。もちろん、低迷する株価にも極めて深刻な影響を及ぼすことは明らかであります。
さらに、今国会には、あっせん利得処罰法案を初め少年法、警察法、特殊法人等改革基本法、医療、健康保険法など、一日も早く成立させるべき数々の重要法案が上程されているのであります。
このように、補正予算案を初め重要法案をすべて白紙撤回させ、必然的に来年度予算の編成が大幅に遅延することになり、結果的に政治の停滞、空白を招きかねない内閣不信任案の提出は、まさにその提出の時を無視した、党利党略そのものと言わざるを得ないのであります。
第二は、内閣不信任案提出の国家的大義についてであります。
四月七日の衆参本会議の所信表明演説で、森内閣は、小渕前総理の施政方針を継承しつつ、二十一世紀へ日本新生を目指すとの方針を表明しましたが、この内閣の今日までの歩みは、まことにその設計図どおりの着実な実践の姿そのものでございます。内閣支持率が内閣のよしあしを判断するすべてであるかのごとき論調は、極めて危険かつ安易な考え方であると指摘せざるを得ません。
政治とは、本来、国民のニーズを敏感にとらえ、それに対してこたえていくことが重要でありますが、特に既成の理念、価値観、原理原則、制度など、あらゆる面での改革が今日まさに重要なこのときに、国民の皆さんに耳ざわりのよい政治だけを言っていたならば、危機克服は困難であり、我が国は崩壊してしまいます。今は、みずから必要と判断した施策を勇気を持って果断に実行していくことが何よりも重要なことであります。
さて、ここで私は、極めて残念ではありますが、今回の内閣不信任決議案に関して、断じて見過ごしにはできない、また許されるべきではない一点を指摘しなければなりません。
信じられないのは、立場を異にする野党が内閣に対して不信任を提出することはあるとしても、あろうことか、与党の一部に野党の不信任案に同調する動きがあったということであります。
現政権は、自民、公明、保守三党による連立政権であり、一党による単独政権ではないのであります。三党の政権合意に基づいて連立政権が樹立され、その根底は強固な信頼関係に基づいております。その信頼関係の基盤を与党の中から崩そうとするこうした行為は、連立与党としての自覚と責任を完全に欠如したものであり、政党人としての最低限の道義をも投げ捨てる行為と言わざるを得ず、極めて残念と言わざるを得ません。
以上、森内閣不信任決議案に対して、公明党は連立与党として党を挙げて断固反対することを表明し、私の反対討論を終わります。(拍手)