松本善明の発言 (本会議)
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○松本善明君 私は、日本共産党を代表して、森内閣不信任決議案に賛成の討論を行います。(拍手)
自民党、公明党、保守党の連立政権である森内閣の退陣を求める声は、日本じゅうに広がっております。そのことが世論調査にあらわれているのであります。森内閣支持率は下がる一方で、どの世論調査を見ても、支持率は一〇%台であります。これは、国民の八〇%以上が支持していないということを示しております。野党の追及と国民の世論の広がりの中で、自民党内からも同調する動きが起こり、森内閣は土台から揺らぎ、断末魔の様相を呈しているのであります。
事ここに至っても、森首相を初め連立与党首脳部は、失政はないなどと言って開き直っております。国民の怒りに対する無感覚ぶりは、連立与党に共通をしております。先ほどの松浪君の暴挙も、これに対応する綿貫議長の議事運営も、ここに原因があるのであります。(拍手)
この決議案は、この国民と国会との間の大きな落差を埋めるものでもあり、この不信任決議案反対の議員は国民から厳しい批判と審判を受けなければならないことを最初に警告して、以下、決議案賛成の理由を述べるものであります。
まず第一に、首相の資質、資格の問題であります。
森首相の資質と資格の問題は、就任当初から問題になっておりましたが、今や日を追って燎原の火のように広がっております。
森内閣の発足は、まず小渕前首相の死去に先立つ密室談合から始まりましたが、なるべきでない人が首相になったという間違いが、半年余りではっきりしてきたのであります。首相就任以来、これほど失言の多い首相も珍しいくらい、失言の連続であります。
神の国発言は、日本の戦後政治の出発点を否定するものであります。戦後政治では許されない政治信条を公言したことによって、戦前と戦後の区別がつかない首相であることが明らかになりました。総選挙に当たっては、まだ決めていない人が関心がないと寝てしまってくれればよいという驚くべき暴言を吐くなど、その一つ一つの発言が森首相自身の民主主義的感覚を疑わせるものでありました。
首相としての資質、資格が問われたもう一つの問題は、醜聞にまみれながら辞任した中川前官房長官の任命責任の問題であります。
中川氏の最大の問題は、覚せい剤にかかわる警察の捜査情報漏えい疑惑であります。中川氏自身がみずからの声と認めた録音テープに、捜査情報が警察からもたらされたと述べており、これは動かせない証拠であります。この事実が暴力団系右翼団体幹部に握られていたのであります。
政治家として致命的な弱点をやみの勢力に握られていた中川氏を内閣のかなめである官房長官に起用した首相の任命責任は、到底免れることはできません。しかも、森首相は、中川氏の疑惑が発覚して以降も、中川氏の事実無根だという主張をうのみにして最後までかばい続け、現在に至るまで何の調査もしようとしておりません。
こうした中川問題の一連の経過が示していることは、森首相に全く危機対処能力がないということであり、国政を預かる資格もないということであります。
これは、単に森首相個人の責任ではなく、こうした人物を首相にし、擁護しようとしている連立与党も、その責任が厳しく問われているのであります。しかも、こういうことが世界じゅうに報道されるのでありますから、日本の国際的信用の失墜は甚だしく、森首相がこのまま居座ることは日本の名誉にかかわることであります。
第二は、森内閣が日本経済再建の最大の障害物になっているという問題であります。
まず、国民生活、とりわけ介護保険の問題であります。
森内閣は、所得の低い高齢者への減免措置などの改善要求を無視して、十月から介護保険料の徴収を開始し、一年後にはこれを倍に引き上げようとしております。利用料が高く、介護サービスを低下させざるを得ないという矛盾も是正しようとはしておりません。しかも、その上、高齢者医療を改悪して、来年一月から新たに年間約三千億円もの国民負担をふやそうとしているのであります。この社会保障改悪による国民への負担増は景気回復にも重大な影響を与えます。
今、景気の回復に決定的なのは、GDP、国内総生産の六割に当たる個人消費の回復であることは、だれの目にも明らかになってきています。個人消費をふやすには、高齢化社会に向けての国民の不安を解消することが重要であります。国民の八割近くが持っている老後の不安が、消費性向を引き下げ、景気を冷やす原因になっているからであります。
また、失業率が最悪を記録する中で、我が党が一貫して要求してきた大企業のリストラなどの解雇を規制すること、世界に例のないサービス残業を根絶することなどに取り組もうともしません。そればかりか、逆にリストラ支援法までつくって雇用不安を加速させたのであります。大学卒業者の約半分が就職できないという若者の就職難、雇用不安の広がりも深刻でありますが、森内閣は何ら有効な対策を打てない状態であります。
その一方で、森内閣、自公保与党三党が景気回復最優先といいながら進めてきたのは、世論の批判が高まっている従来型の公共事業のばらまきであり、大銀行に対する手厚い支援策でありました。現在審議中の二〇〇〇年度補正予算案も、はやりのITを看板にして目先を変えましたが、その内実は、これまで同様の浪費型の公共事業が中心であります。
こうした逆立ちした景気対策、財政運営を続けてきた結果、個人消費は冷え込んだままで、景気の自律的回復のめどが立たず、景気の低迷が続いているのであります。もはや、森内閣、自公保政権の経済政策の破綻は明白であり、その責任は極めて重大であります。
さらに重大なのは、財政破綻であります。
長期債務残高が、今年度末、六百四十兆円を超え、国内総生産、GDPの一・三倍という世界に類を見ない最悪の水準であります。
ところが、森内閣は、この財政破綻を解決する意思が全くないばかりか、逆に補正予算で新たに二兆円の建設国債を発行して、借金をふやし、本来半分以上借金返済に充てなければならない前年度剰余金まで全額注ぎ込んで、従来型の公共事業政策を続けようとしております。これはやがて国債価格の暴落、国債金利、長期金利の上昇などを引き起こし、金融市場と国民経済に深刻な混乱をもたらすことになります。
自民党政治のもとでこれを避けようとすれば、悪性インフレ、消費税増税、国民生活向け予算の大幅削減という三重苦を国民に押しつけることになるのであります。まさに、森内閣は国民的大破局に進もうとしているのであります。
どこから見ても森内閣は日本経済再建の最大の障害物であり、国民生活と日本経済のために即刻退陣すべきことは明白であります。(拍手)
第三に、森首相は、外交能力が皆無だということであります。
森首相が、十月二十日ソウルでの日英首脳会談でイギリスのブレア首相に話した、いわゆる第三国発見案発言の問題であります。この発言は、周知のように、外交のイロハもわきまえない首相の非常識な発言として、一瞬にして世界じゅうに知れ渡りました。神の国発言も、外国のマスコミが一斉に報道し、第二次世界大戦の亡霊がよみがえったなどと、日本に対する警戒の論調が広がりました。森首相は、みずからの失言によって日本のアジア外交に大きな障害をつくり出しただけではありませんか。
今、アジアでは、朝鮮半島における南北の歴史的和解、米朝交渉などまさに平和の激動が起きております。ところが、森内閣は、この平和の流れに逆行してきたのであります。戦争法と言うべき周辺事態法の強化を進め、思いやり予算を継続し、アメリカ言いなり、日米軍事同盟の強化という路線を進めているのであります。
こんな森内閣に日本の二十一世紀の外交を任せることができないことは、言うまでもありません。
第四は、民主主義と強権政治の問題であります。
その最大の問題は、参議院選挙制度の改悪の強行であります。民主主義の土台を決める選挙制度の問題を、最初から最後まで前代未聞の暴挙に次ぐ暴挙によって、政権与党の数の力で、非拘束名簿式法案を強行成立させたのであります。
参議院では、与野党合意を一方的にほごにしただけでなく、野党の抗議に一切背を向け、与党単独審議の上、参議院議長を辞任させた上で法案の本会議通過を強行いたしました。衆議院でも、委員会審議はわずか三日間、約十時間の審議で押し切ったのであり、およそ国会審議とは言えないものでありました。
この問題は、票の横流しという内容においても、党費立てかえ疑惑をすりかえて選挙制度の問題にした点でも、党名選挙では来年の参議院選挙に勝てないという自民党の党略的動機から出発した点からいっても、さらにまた、その一方的な審議のやり方からいっても、どの面から見ても、一片の道理もないものであります。
このような民主主義破壊を進め、国会の歴史に重大な汚点を残した森内閣と自公保政権与党の責任は、断じて許されません。
しかも、政権与党の横暴はこれにとどまらず、健康保険の改悪や少年法の改悪など、国民生活や民主主義にかかわる重大法案についても、国民世論など全くお構いなし、問答無用とばかりに数の横暴を重ねてきました。
そのもとで、やみ献金による自民党費立てかえ疑惑の久世前金融再生委員長事件、村上自民党参議院議員会長にかかわるKSD疑惑、さらには、中尾元建設大臣の収賄事件にもかかわって取りざたされるやみ勢力と亀井自民党政調会長との関係などなど、当然なすべき調査も解明もしておりません。森内閣は、まさに民主主義破壊、腐敗温存内閣と言わなければなりません。
これらのことは、自民党が強権でしか事を進めることができなくなったということであり、自民党政治の行き詰まりと危機の深刻化をはっきりと示しております。自民党の中で不信任案に同調する動きが出たり、それに対して執行部が強権的手法をとろうとしたことも、そのあらわれ以外の何物でもありません。このような自民党に未来がないことは明白であります。
この内閣不信任決議案は、言うまでもなく、日本の民主主義と将来にかかわる重大案件であります。本決議案の可決によって、国民の意思が政治を動かしていくということをすべての国民が確信できるように、議員各位の御賛同をお願いして、日本共産党を代表しての賛成討論を終わるものであります。(拍手)