森山裕の発言 (外交・防衛委員会)

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○森山裕君 それでは、質問に入らせていただきたいと思いますが、まず質問の前提として、最近我が国を取り巻く北東アジアを中心とするアジアの外交及び安全保障上の環境について、僣越ながら私見を少し述べさせていただきたいと思います。
 この地域が、我が国の平和と安全確保のため細心かつ不断に重大な関心を払わざるを得ない地域であることは申すまでもありません。本年六月、電撃的に行われました金大中韓国大統領と金正日北朝鮮総書記による南北の首脳会談は、確かに歴史の転換を予感させるものでありました。しかも、十月にはオルブライト長官がピョンヤンを公式訪問され、金正日総書記と会談をされました。この一連の動きは大方の予想を上回る展開であり、朝鮮半島の緊張緩和のため歓迎をすべきことであると思います。
 この事実を前に、一部マスメディアやあるいは報道や論評、専門家の間に北東アジア情勢をめぐって楽観論が聞かれるところでありますが、日朝交渉をめぐり、一部にバスに乗りおくれるなという軽薄な意見があることを私は憂慮しております。外交及び安全保障の問題は国家と国民の存亡にかかわる問題であって、錯誤や誤認による状況判断の失敗は絶対に許されないことだというふうに思いますし、わざわざ外務大臣に申し上げることではありませんが、我が国の外交及び安全保障の基軸は日米同盟と日米安全保障条約であるということをいま一度しっかりと認識しなきゃいけないと思っております。
 しかしながら、米ソ冷戦構造の崩壊もあって、最近殊さらに、日米関係をないがしろにしないまでも、あたかもその役割が減少したかに論ずる風潮が強まっております。私は、政権を預かる与党の一員としてこの考え方にくみしません。日本を取り巻く極東の情勢は、安定どころか不安定と不確実、そして不透明を増しているのではないかというふうに思います。
 中国の海洋調査船が我が国の排他的経済水域にしばしば入って調査活動をし、さらには複数の中国海軍艦艇が日本列島を遊よくする不可解な動きが話題になりましたのはほんの数カ月前のことであります。我が国の再三の警告と申し入れにもかかわらず、中国の艦艇はこれを無視しました。一衣帯水の距離にあり、歴史的にもかかわりの強い中国と友好な関係を保持しなければならないことは申すまでもありませんが、この中国調査船の日本近海における調査行動や海軍艦艇の動きについて不必要な誤解を招くことがないよう、事前協議ないし通報するための枠組みについて日中関係当局で協議をすることになったと承知をしておりますが、この交渉はその後どのような取り組みになっているのか、御説明をいただきたいと思います。
 次に、日朝の正常化交渉と北朝鮮をめぐる動向でありますが、先般、自民党外交部会における高野大使の報告においても、複雑で困難な交渉は始まったばかりであり、これから本格的な交渉になるものと思っております。将来において禍根を残さない、じっくり腰を据えた交渉であることを強く望みます。
 国民感情からすれば、北朝鮮の動向について拉致問題を初め幾つもの疑念と不安があります。北朝鮮のミサイル問題も、米朝交渉の間凍結をすることになっていますが、依然未解決のままであります。核疑惑も完全に払拭をされたわけではありません。しかも昨年三月、我が国の領海を侵犯して本土に接近をした不審船が海上自衛隊の追跡を振り切って北へ向けて逃走した事件もまだ記憶に新しいところであります。米国防総省が去る九月に発表した朝鮮半島の軍事情勢報告書は、北朝鮮の軍事的脅威に依然変化はないとしています。大きな論議になりました。五十万トンに及ぶ食糧米の緊急支援問題についても、日本の国民の好意と善意が果たして北朝鮮の一般の人々に伝わるのかという疑問の声というのは消える気配がありません。
 そこで、外務大臣にお伺いをいたしますが、北東アジアを中心とする我が国を取り巻くアジアの平和と安全の状況を現在どう見ておられるのか。特に、北朝鮮の緊張緩和への政策転換というのは本物であるというふうに思っておられるのか。また、であるとすれば、その理由は何かをお答えいただきたいと思います。

発言情報

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発言者: 森山裕

speaker_id: 18970

日付: 2000-11-16

院: 参議院

会議名: 外交・防衛委員会