西垣浩司の発言 (交通・情報通信委員会)
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○参考人(西垣浩司君) ただいま御紹介賜りました西垣でございます。私は、御紹介のようにNECの代表取締役社長を務めておりますので、本日は企業経営者という立場からIT基本法案に関する意見を申し述べます。
お手元に九ページにわたる資料を用意いたしましたので、これをぜひ御参照いただけたらというふうに思います。
まず、二枚目の表でございますが、この表は国際経営研究所が各国の競争力を比較して順位をつけたものであります。総合力では米国が一位であり、シンガポール、フィンランド、オランダと続いておりますが、日本は十七位ということ、これは全四十七カ国中でございますが、決してトップクラスではないということを御認識いただけると思います。
この国際競争力の低下が、短期的には景気の本格的な回復のおくれ、そして中長期的には我が国のプレゼンスの低下につながるものであります。現在、我が国は絶対値においては米国に次ぐ経済大国ですが、今の競争力比較を見るとき、決して安閑としていられないということがおわかりいただけるかと思います。
三枚目をおあけいただきたいと思います。
その背景ということでございますが、私どもの考え方では、これは日本社会全体の高コスト体質、特に日本の高賃金であるというふうに思っております。例えば、私どもでもタイ、フィリピン、中国等に現場を持っておりますが、これらの現場では、大体賃金百ドルから二百ドル、月給一万円から二万円という目安で大変優秀な中学卒の労働者、ワーカーが働いております。さらに、従来、単純労働はこういうところでという観点があったんですが、私ども現に回ってみますと、こういうクラスの人たちが、実は小集団活動といいますか、日本でやっている生産革新あるいは品質管理運動等々を大変熱心にやっておりまして、私どもが行きますと一生懸命グラフを示しながら説明をする。その姿を見ると大変感動的ですらあるわけでございます。
したがいまして、これだけ賃金格差があるこの日本、これを競争力を維持向上させていくためには、何といってもITの力をフルに活用して社会全体の生産性を上げるということとともに、産業全体をソフト、サービスを中心とする高付加価値型に転換していくしかない。もちろん製造業がだめということじゃございませんが、日本でしかできないような高度な製造業並びにソフト、サービスを中心とする高付加価値型の社会に転換をしていく必要があり、そのためにもIT社会への早期変換は必須であると、このように考えておるわけでございます。
次のページでございますが、三ページ、高速ネットワークの加入者数というページでございます。
しかしながら、IT戦略会議で問題意識が出されましたように、我が国のITの活用はおくれておるわけでございます。原因の所在は、情報ネットワークの構築側と利用側、双方にあるわけでございますが、特に問題点は、ラストワンマイルといいます最終の需要者につながる線が大変遅いということでございます。この加入者線の高速化ということが実際にインターネットを使うときに大変な不便をもたらすということでございます。
一方では、iモードを中心としたいわゆる移動体通信に関しては、これは世界に冠たる技術力並びにアプリケーションの広がりを見せておりまして、これからのビジネス転用ということは大変有望であろうと、このように私は認識をいたしております。
次のページでございますが、一方、情報ネットワークの利用者側にもこれは問題があるわけでございまして、もちろんネットワークの利用料金が高いという問題もあるわけでございますが、まだまだ企業のネットワークの利用の中心はこの図にあるように電子メールという段階にとどまっておりまして、本格的な電子商取引を行うには至っていないということでございます。
これは甚だ私見ではございますが、どうも日本の社会というのは、大変大きな変革に対して内からの変換といいますか、これがおくれがちになるというそういう特性があろうかというふうに感じておりますが、これが少し悪くこの変革に対して作用をしておると、このように認識をいたしております。
次のページでございます。
このBツーCということでございますが、いわゆる企業とそれから最終需要者、この間をつなぐBツーCの電子取引ということ、これの規模を比較いたしましても、日米間で大変大きな差があるわけでございます。経済規模が倍だというふうに考えましてもこの差は非常に大きいし、先行きもその差が縮まらない、こんな予測になっております。
こういう状況を打破するために、IT戦略会議では、超高速ネットワークの整備のほかに、電子商取引を推進するために電子商取引の特質に応じたルール整備、例えば書面交付義務を緩和するための一括法案、これは現在審議中であるとお伺いしておりますが、このようなこととか、あるいは電子商取引を支える制度基盤の整備、知的財産の保護、個人情報の保護等が推進されることになっております。その早期実行が必要であるというふうに考えております。
こうした基盤整備とともに重要なのが、やはり日本全体がITをもっと活用するというドライブをかけることでございまして、私は戦略会議でもそのための有力な手段の一つとして電子政府の推進ということを常に発言をいたしております。
次のページでございますが、IT活用でおくれをとった我が国がこれをキャッチアップを図っていく、そのためには政府が率先してIT活用を進めることが非常に有効であろうと私は考えております。特に電子政府、これは中央はもとよりのこと、地方公共団体に至る電子政府の展開、それからそれに伴う電子調達、これはIT革命を推進する上で特に重要であるというふうに考えております。
その理由としては、申請作業とか受付作業等の負担減によりまして企業や行政の効率が上がるということ、それからGツーB、いわゆる政府あるいは地方公共団体と企業との取引を通じて中小企業にもインターネットの利用を広げることができるということでございまして、それはBツーB、さらにはBツーCと展開してまいると思います。電子調達ということになりますと、インターネットを使わないと商売に参加できないということになりますので、これは大変速い広がりを見せるというふうに思っております。さらに、ワンストップ化とか処理の迅速化等によりまして行政サービスが向上する、このように考えております。
このように、電子政府あるいは電子調達は、民間への波及を含めますと、ITの活用、推進にとって即効性があり、日本政府、経済全体に大きな波及効果をもたらすというふうに考えておりまして、政府においても現在鋭意実行に移される計画がございますが、私ども拝見しておりますと、甚だ僣越ではございますが、そのスピードがもうちょっと上がらないかなと。現在の計画では平成十五年度に九五%という目標が設定されておりますが、平成十四年度までには九%ということでございます。ラストヘビーということで計画がなされておりますが、このシステム化という仕事の性格からいって、おくれる理由はたくさんございますが早まる理由はないと私ども経験で思っておりますので、ぜひこれの前倒し、積極化が必要かというふうに考えております。
次のページでございますが、建設省では既に二〇〇一年の四月、電子納品の一部開始、十月、電子入札の一部開始、それから二〇〇四年の四月に電子入札、電子調達の完全実施、こういうことで電子調達を始めることになっております。
これに伴いまして、次のページにございますように、まずは大手建設会社では既にこれに対応するさまざまな手段が打たれておるわけでございます。この関係が地方公共団体にまで及びますと、当然中堅中小企業もこのような構えを進めていく、こういうことになると思います。
米国におくれている、おくれていると言っておりますが、民間では米国とも組みまして、マーケットプレースの展開、あるいはサプライ・チェーン・マネジメントという流通の効率化、こういうことが既に始まっておるわけでございまして、ここで加速をつけて、このIT基本法を成立させて、戦略会議で議論された諸施策の実行、これが極めて重要と考えております。ぜひよろしくお願いをいたします。
以上で私の意見陳述を終わります。
ありがとうございました。