堺屋太一の発言 (交通・情報通信委員会)

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○国務大臣(堺屋太一君) 委員の非常に高邁な御質問でございますので、ちょっと二段階で答えさせていただきたいと思います。
 まず、官僚的な答弁をしてみますと、本法案が目指す高度情報通信ネットワーク社会において、インターネットを通じたグローバルな情報の交換、共有により、個人の好みのえにしでつながる新たな人間関係が形成されていることが予想されます。これは血縁、地縁、そして現在の職業、職場のえにしにつながる職縁の社会に次ぐ第四の社会構造と言えるものでございまして、そういう社会が生まれてくる。これが一つの前提条件でございます。
 一方、産業、経済の面では、ITによる生産流通における生産性の向上、あるいは新規事業の創出、企業経営の効率化等を通じ、産業、経済の活性化がもたらされると思われます。また、文化の面でも独創的な文化創造や研究活動が行われるなど、さまざまな分野でITの果実が享受され発展されていく多様な知恵の時代が生まれてくるだろうと思います。
 第五条は、このような高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する基本理念について国民生活の視点から規定したものでございまして、具体的には国民生活の全般にわたる質の高い情報の流通、低廉な料金による多様なサービスの提供により、例えば商品購入や行政手続の手間が省かれる、あるいは在宅勤務やSOHO、スモールオフィス・ホームオフィスの進展による余暇の創出、豊富で楽しいコンテンツによる知的活動、創造活動の活性化など、ライフスタイルが多様化する。消費者がニーズに応じた商品、情報を自由に入手し、最も望ましい商品の選択購入が可能になるなど国民生活の質の飛躍的な向上が期待できる。これはゆうべ私が書いた文章でございまして、このとおりだと私自身、自分で書いたのでございますが。
 委員御指摘のところは、もう少し立体的に、いいところもあれば悪いところもあるだろう、また進歩に対する不安というのはいつの時代、どんなときにも存在するだろう、そういう面まで含めてどういうように、いいところだけじゃなしに悪い方もどう考えているか、これまた大変難しい問題で、さらに、この法案をつくっていただきまして、インターネットが普及する段階でさまざまに考えていかなきゃいけない問題があろうかと思います。
 特に、人間性について申しますと、ITを利用することの便利さ、あるいはそういうことによるバーチャルな世界の気楽さみたいなものがございまして、本当の生身の人間とつき合うとさまざまな気を使うところもあれば傷つくところもあるけれども、バーチャルなつき合いでいる間は非常に楽なんですね。そういうようなことになれてしまうと、本当にリアルな人間とのつき合いの人間性が損なわれるんじゃないか、こういう問題がございます。さらに、インターネットの中で生きていますと、人間的な膨らみとかあるいは人間は常に完全であり得ないものだという本当の理解、人間の理解がなくなるとか、そういうような問題がたくさん出てくると思います。そういったこともやはり社会としてこれをできるだけなくしていく。
 その意味では、一方でリアルなコミュニティーを大切にしていく、地域コミュニティーであれ趣味の会であれ、単にインターネットの中で関係するだけじゃなしに、本当にそういう現実の人間の集まりもつくっていく、こういったことが必要だろうと思います。
 これに国がどこまで関与すべきか。これはまだ次の大きな問題だと思いますが、例えば今私たちが進めておりますインターネット博覧会でございますと、一方では各道府県、東京都を除きます道府県とか企業とかNPOとか、そういったところが出展していただいて、インターネットの中でバーチャルな行事を行うと同時に、できるだけリアルな行事も行っていく。バーチャルな行事を見ておもしろかった、参加したいという人は、そこへ行くと、同じ、いつもネットでつき合っている生身の人間が会うことができる。
 そういうような相互の繰り返し、バーチャルとリアルの世界の相互の繰り返しで、バーチャルな世界のあることによる便利さとそしてリアルな世界にある温かみと、この両方がうまくマッチするとここに書いてある豊かさとゆとりというものが生まれてくるんじゃないかと考えております。

発言情報

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発言者: 堺屋太一

speaker_id: 30364

日付: 2000-11-28

院: 参議院

会議名: 交通・情報通信委員会