栗山嘉明の発言 (国土・環境委員会)

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○参考人(栗山嘉明君) 私は、メモを用意しておりませんので、問題点をゆっくり申し上げますので、ひとつよろしくお願いいたします。
 最初に、私が所属している建設政策研究所の自己紹介をさせていただきます。
 この研究所は、一九八九年に設立して、建設関係の労働組合、中小建設業者が、学者、研究者の協力を得て運営しています。活動は、災害、環境破壊を起こさせない国土づくり、快適な国民生活に必要な社会資本の建設、建設産業の民主化、建設従事者の労働条件の改善と社会的地位の向上の立場から調査研究を行って、シンポジウム、研究集会、政策誌、ブックレットなどによってその提言を行っている、このような団体です。
 最初に、建設産業の現状に対する認識の問題ですが、建設産業は未曾有の危機に陥っています。大手ゼネコンがバブル時期にみずからの不始末、すなわち破綻への過程がそのまま建設産業の危機につながっています。
 いま一つは、建設産業の中でも、九八%とも九九%とも言える中小企業、業者の危機であります。とりわけ、そこで働く従業者の倒産、失踪、失業、自殺、家庭破壊は深刻であります。今後、建設投資が縮小することが予想されていながら、建設業の許可業者が増大し続けています。そのため、過当競争に陥ってダンピングが多発しています。汚職、談合事件も後を絶ちません。このようなときに法案が提出されました。私どもは、法案が建設業界全体の苦境を救済する一助となるという期待感を持っていました。しかし、この法案は、その期待を充足させるものではありませんでした。
 次に、公共工事、この適正化法案の評価についてですが、順次その内容について私の考えを述べます。
 本法案が入札、契約の透明性を高めて国民の信頼を回復するという目的を達成するためには、公共工事における情報開示、適正な施工の確保、不正行為の排除が行われれば一歩前進であると考えます。ただし、法案が、入札、契約の基本である会計法、予決令、地方自治法、あるいは独占禁止法の上に帽子をかぶせる形をとっていて、その基本部分には手が入れられておらず、その不備を改善できないということは弱点であると言えます。その上で、幾つかの点を指摘したいと思います。
 まず第一に、情報の公表が確実に進めば、透明性の確保という点では一歩前進です。しかし、不完全な情報開示になると、情報が大量に集中できる大手ゼネコンが有利になると言えます。今でもAランク業者がDランクにまで参入する例がふえています。それが一層助長される危険はないか、歯どめが必要であると考えます。
 次に、適正な施工の確保では、一括下請負の禁止がうたわれています。これは評価できます。いわゆる丸投げの背景に大手ゼネコンの受注競争があります。公共工事におけるランク制を厳格に守らせて、大手の中小市場への食い荒らしを規制することが必要であると考えます。
 また、工事の完成に当たって良質な建造物が保障できるかどうかということも重要な問題点です。実際に工事をするのは三次、四次の下請です。末端に行けば元請受注額の五割という金額になるのも珍しくありません。衆議院の質疑で建設省の風岡建設経済局長が、施工体制台帳へ二次以下の業者名と契約金額を記入させるなどの建設業法の施行規則改正の検討を進めているとの答弁がありましたが、ぜひ丸投げや工事代金、労働者賃金の際限のない切り下げをやめさせるよう実効あるものにしていただきたいと思います。
 請負業者の責任施工になってからコンクリート劣化問題がひどくなってきたと指摘されるようになっています。施工中、完成段階での発注者側による検査体制の確立や充実が急務であると考えます。
 次に、不正行為の排除では、衆議院で法案の修正が行われたように、談合問題は古くて新しい、治療困難なほどの根が深い病気です。今回、談合に正面から取り組むことは評価できます。不退転の決意で談合排除を進めていただきたいと思います。
 しかし、談合をなくすには、発注官庁や政治家による予定価格の漏えいなどの不正行為を排除できないと実効が上がらないことも周知のことです。また、政治家にとって地元に公共事業を誘致するために、その配分に当たっていわゆる選挙区ごとの箇所づけが行われていることも公然の事実であり、これも談合の一手段になっていると思います。
 この、いわゆる官製談合の排除がないと不正行為を根絶することにはなりません。この点では、自民党さんが独禁法改正の議員立法を準備されているという新聞報道がありましたが、それによって不正行為を排除できるよう期待するものです。不正行為とまでは断言できませんけれども、JVの弊害が目立っていると考えます。
 JVは、危険分散、技術の強化、経験の拡大、中小の育成という目的のために取り入れられて、一定の役割を果たしてきたと考えます。しかし、現在ではいわゆるスーパーゼネコンが村社会のおさとして取り仕切り、中堅ゼネコンでさえも村のおさの意向を無視しては経営方針が成り立たない、このような状態になっている部分があります。これが談合の一手段ともなっておりまして、この弊害を取り除く工夫や検討が必要であると考えます。
 もう一点、法案では、地方自治体の自主性への配慮がうたわれていますが、一方で、報告を求め、要請をすることができるとしています。今、地方自治体では、住民の意見を取り入れた町づくりなどの試みが行われ、住民参加の公共事業への取り組みが始まっています。国の基準を地方に適用するということから、地方の自由な発想を妨げないようにしてほしい、このように思います。
 最後に、公共事業の改善に向けてということについて述べます。
 今回、法案を提出するきっかけは中尾元建設大臣の受託収賄事件の発生があったからだと聞いています。そうであれば、政官財の癒着をなくすことが第一義であると考えます。また、森首相が所信表明で、真に国民に役立つ公共事業にすると言われ、扇建設大臣が、ヨーロッパには公共事業のための法律があるが日本にもつくると言われたそうですけれども、そうであれば、建設省が監修されましたこのような建設産業政策大綱という出版物がありますが、ここでも紹介されているように、雇用対策や地域経済振興などを重視するヨーロッパの制度をもっと参考にして、もう一歩踏み込んだ政策を示していただきたいと思います。
 さらに、利益を追求するために行う下請業者などへの大手ゼネコンの横暴を規制することも一つの問題です。名立たるゼネコンが施工していながら、次々にコンクリートの劣化問題を起こしています。責任施工という美名のもとに不良建造物をつくることは許されません。そのためには、何よりも建造物をつくる末端の業者や労働者が快適に作業できる環境をつくることがどうしても必要であると考えます。
 税金を使って行う公共事業だからといって、発注者側が、建設省、運輸省、農水省三省による三省協定単価の引き下げに見られるように逆スライド条項を発動して、これが労働者の労働条件を悪化させる役割を一つ果たしています。
 また、大手ゼネコンは、建設省が進めているコスト縮減政策を悪用して下請単価をたたき、手抜き工事が横行するような作業環境にして、結果として不良建造物をつくる。このようなことは社会的に許されるとは考えられません。
 特に、二十一世紀に向けて、社会に信頼され、良質な建造物を提供し、暮らしに役立つ公共事業にするように努力していただくことを強く要望して、私の意見といたします。

発言情報

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発言者: 栗山嘉明

speaker_id: 11487

日付: 2000-11-16

院: 参議院

会議名: 国土・環境委員会