糸氏英吉の発言 (国民福祉委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○参考人(糸氏英吉君) まず、武見先生の御質問にお答えいたしますが、予防給付の問題でございます。
御指摘のとおり、二十一世紀は、一言で言えば治療から予防の時代と、こう言ってもいいくらいに、病気になってからでは遅いんだと、その前に、病気にならないような手だてを、あらゆる現代の診断技術を駆使して病気にならない手だてを考える、これがこれからの二十一世紀の医療のあり方だろうというふうに考えてもいいんじゃないか。
老人の問題でいろいろディスカッションされておりますが、私どもは、やっぱり老人においても、これから養われる人がどんどんふえて養う人がどんどん減っていくというこの二十一世紀の時代において何が一番大事かというと、やはり老人がリタイアしないで、できるだけ一日でも一人でも多く長生きして、しかも健康で長生きする。健康で長生きするためには、ここにまさに、今、武見議員おっしゃったように、予防給付的な意味が非常に大きい意味を持ってくるわけです。
これはどうしても、年寄りだから風邪引きくらいほっておけというわけにはまいりません。年寄りだからこそ、かえってそれが寝たきりあるいは死亡という転帰をとるわけでございますので、長生きだけは成功させたけれども、長生きが人生の残酷な時の始まりということではやっぱり申しわけないわけでございまして、その意味でも、老人に早く病気を見つけ、寝たきりにさせないというような手だてを考えなくちゃいけない。
そういう意味で、我々は特に若い人以上に老人のアクセスを大切にしたい。少なくとも、いろいろな負担によって老人の受診抑制を図らないようにしてあげたい。それは、とりもなおさず、老人の重症化を防ぎ、寝たきりを防ぐ。それの社会的なメリットというのははかり知れないものがあるわけでございますので、そういうことを私たちは主張しておるわけです。
そして、若い人も、生涯掛けた医療保険の中で一銭も使わないでリタイアして退職する人があるわけです。そういう人もあるかと思えば、もう自分が掛けた金の何十倍も使う人もあります。そこに保険制度というものはあるわけでございますが、やはりこれからは、一年間一回も医療機関にかかったことがないという人には、一年間に一回だけは例えば人間ドックのようなものを保険で給付するといったようなことをしてあげたら、もっともっと私はこれから予防給付にも役に立つし、将来的にはそういうことも検討していただいて、病気の発生を予防する、あるいは寝たきりを予防する、それこそ健康な長生きを保障するという意味で、今後そういうことは真剣に考慮されるべき問題だろうというふうに思っております。
そういう意味で、大体、老人保健制度ができたのは、一生涯結局病気にかからず保険金は全部組合とかそういうところに寄附したままやめていくといった人のために、それじゃということで老人拠出金はそもそもできたはずでございます。それが今ウエートになり過ぎて困っている。かといって、私は連合の方々も一切連帯はしないとおっしゃっているんではないと思うんですね。ただ過重になっていると。その過重を少しでも軽くしたいということは私たちも同感でございますし、それにはいろいろな努力をすべきだろうというふうに思っております。
それから一部負担の問題でございますが、これは確かに、先ほどからもお話がありましたように、今余りにも患者さんにとっては耐えがたい負担になっているということは事実でございます。外国の例から見ても、もう少しやはり企業の方にも負担していただける制度にならないか。あるいは、国民全体で老人を助けるという視点からすれば、やはり公的負担を少しでもふやすような方向に持っていって、これ以上老人に負担をかけると、先ほどお話ございましたけれども、介護保険が一割負担、定率負担になっただけでもう給付は要らないという人がどんどん出てきているわけですね。たったそれくらいのことでそんなにと普通の人は考えるんですが、実際、老人の実態というのはそれほど深刻なものでありますので、できるだけ負担を軽くするようにやはり考えなくてはいけない。
そういった意味では、やはり国民全体の連帯ということから考えれば、公的な負担をふやすなり、あるいはまた事業主にもう少し今以上に出していただくなり、そういうような方向へ向かわざるを得ないんじゃないか。老人の現在の一部負担をもう少し軽くするようにやはり我々としてはお願いしたいなというのが率直な気持ちであります。
以上です。