国民福祉委員会

2000-11-21 参議院 全128発言

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会議録情報#0
平成十二年十一月二十一日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         中島 眞人君
    理 事
                亀谷 博昭君
                田浦  直君
                柳田  稔君
                沢 たまき君
                小池  晃君
    委 員
                入澤  肇君
                尾辻 秀久君
                大島 慶久君
                狩野  安君
                武見 敬三君
                南野知惠子君
                今井  澄君
                小宮山洋子君
                堀  利和君
                松崎 俊久君
                山本  保君
                井上 美代君
                清水 澄子君
                西川きよし君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大貫 延朗君
   参考人
       日本医師会副会
       長        糸氏 英吉君
       健康保険組合連
       合会常務理事   対馬 忠明君
       日本労働組合総
       連合会総合政策
       局生活福祉局次
       長        花井 圭子君
       立命館大学産業
       社会学部客員教
       授        篠崎 次男君
       社団法人全日本
       病院協会(四病
       院団体協議会所
       属)副会長
       医療法人恵和会
       理事長      西澤 寛俊君
       医事評論家    水野  肇君
       九州大学大学院
       医療システム学
       分野教授     信友 浩一君
       有料老人ホーム
       「グリーン東京
       」社長      滝上宗次郎君
       特定医療法人健
       康会理事長
       地域医療研究会
       代表世話人    三上 勝利君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○医療法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)

    ─────────────
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中島眞人#1
○委員長(中島眞人君) ただいまから国民福祉委員会を開会いたします。
 健康保険法等の一部を改正する法律案及び医療法等の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 本日は、両案について参考人の方々から意見を聴取することといたしております。
 午前は、主に健康保険法等の一部を改正する法律案について四名の参考人の方々に御出席いただいております。
 参考人の方々を御紹介いたします。
 日本医師会副会長糸氏英吉君、健康保険組合連合会常務理事対馬忠明君、日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局次長花井圭子さん、立命館大学産業社会学部客員教授篠崎次男君、以上の方々でございます。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ、当委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。
 参考人の皆様には忌憚のない御意見をお述べいただきまして、両案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の進め方でございますが、まず参考人の皆様からお一人十五分で順次御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、意見の陳述、委員の質疑及び参考人の答弁とも発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず糸氏参考人から御意見をお述べいただきます。糸氏参考人。
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糸氏英吉#2
○参考人(糸氏英吉君) 糸氏でございます。
 今度の改正につきまして、健康保険法に関連して御意見を申し上げたいと思います。
 医療は、日本国憲法が保障する国民の生存権、健康権を守る上で必要不可欠なものであり、また社会保障の基本となっているものであります。財政など目先の対応に追われることなく、国家の理念を反映させ、国の将来像を描くという姿勢で臨むべき課題であると、かように考えております。
 さて、戦後半世紀以上を経た今日、世界のどの国も経験したことのない少子高齢社会に突入し、我が国の医療システムが大きな転換期を迎えているということも事実であります。昨今、医療制度の抜本改革に向けてさまざまな議論が行われていますが、二十一世紀の我が国の医療にとって必要かつ不可欠な原則を述べてみたいと思います。
 その一つは、医療へのアクセスのよさを今後とも確保しなければならないということであります。我が国を世界一の長寿国に達成させた原動力の一つが一枚の保険証であります。いつでも、どこでも、だれもが良質な医療を受けられるこのシステムが大切であります。このシステムを守っていくには、まず健康保険法において、国民皆保険体制と現物給付制度が堅持されねばなりません。また、医療法においては、十分な提供体制を確保し、国民が安心して医療を享受できる環境をより整備していくことが必要であります。
 いま一つは、超高齢社会においても持続可能な保険制度と提供体制を早急に構築しなければならないということであります。したがって、老人保健制度においては、従来の拠出金を主体とした老人医療の運営から脱却し、高齢者医療の特性を考慮した独立した高齢者医療制度を構築していかなければならないということであります。そのためには、財源負担のあり方、診療報酬のあり方など、一般医療とは別のものを考えていく必要があると考えます。医療法においては、高齢化に伴う対応として長期療養者に適した病床の確保と在宅医療の整備、これらに伴うマンパワーの充足などを早急に図らねばなりません。
 さて、医療保険制度改革に対する私どもの考え方を申し上げたいと思います。
 本年八月、日本医師会は、二〇一五年医療のグランドデザインを発表し、抜本改革に対する考え方を具体的に提案しております。その中で核となるのが高齢者医療制度の創設であります。これを中心に診療報酬改革などの抜本改革を進めるべきと考えております。
 高齢者医療制度のポイントは、すべての七十五歳以上の後期高齢者を対象とすることにより、慢性疾患とみとりが主体となるこの世代への医療提供のあり方を治療中心から介護中心へと移行させます。そして、医療度や痴呆度を加味した合理的な診療報酬包括払い方式を開発します。あわせて、高齢者の尊厳と家族の合意形成を図りながら、終末期医療のあり方の改善を図ることによって、高齢者に対する医療費の出血を医療担当者みずからの手でとめるというものであります。
 後期高齢者は健康に対するリスクが極めて高いことから、制度の基本理念を保険から保障へと移行させ、一般医療保険からの老人保健拠出金制度を徐々に廃止し、公費を重点的に投入することを提案しております。あわせて、後期高齢者みずからが保険料を支払うことによって、高齢者の独立と制度への参加意識を促すという考え方であります。
 一般医療保険制度は、原則として、保険料と自己負担によってのみ保険原理で運営し、予防医療の充実や高度医療の普及などを図ることによって疾病の発症や重症化を回避しようという考えであります。
 制度の創設とあわせて、現場の対応として切り離すことのできない医療と介護を、高齢者、一般、それぞれの保険制度の中で吸収していくという考え方も提案しております。
 次に、一部負担金の見直しについて述べます。
 過去の健康保険法の改正というのは、改革の名をかりた患者負担増の歴史であったと言っても過言ではありません。日本医師会は、医療費の財源負担構成において、負担の主体を明確にするために、公費、事業主、家計という区分で介護保険を含めた費用負担構成を検証し、見直しを進めています。その結果を見ますと、二〇〇〇年で公費が三二%、事業主が二二%、家計が何と四六%という結果になっております。すなわち、家計負担が事業主負担の倍以上となっていることがわかります。
 経済不況が続く中、企業経営が苦しいということもよく理解できますが、だからといって国民の財布にこれ以上の負担をかけるべきではないと思います。将来的な負担構成のあり方については時間をかけて議論すべき課題であると思いますが、少なくとも現行制度下でこれ以上の患者負担増は回避すべきと考えています。
 今回の改正の中で、平成九年に導入されたいわゆる薬剤二重負担が老人については正式に廃止されることは、我々のかねてからの要望であり、評価できると考えております。この薬剤二重負担の導入自体が根拠が極めて希薄なまま実施されたことを考えても、廃止は当然であります。
 薬剤二重負担とあわせて、患者負担が一割から二割に引き上げられた被用者保険本人は、制度改正後二年を経過した今でも、いまだに受診抑制が続くという極めて憂慮すべき事態となっております。とりわけ、現役世代の入院にまで及ぶ受診抑制は、この世代の将来の健康に大きな影響を及ぼすことが危惧されます。このことは、予防し得た疾病の発症あるいは重症化となってあらわれ、将来、医療費としても多大な影響としてはね返ってくるおそれがあります。
 御承知のとおり、一般医療保険については薬剤二重負担制度が今も存続しております。ただいま述べました理由から、これも速やかに廃止すべきものと考えております。
 次に、老人定率負担の導入についてであります。
 高齢者の負担のあり方については慎重な議論が必要と考えております。同じ高齢者といっても、年齢階級、世帯構成等によって支払い能力に大きな格差があると考えるのが妥当であると思います。政府審議会等では、高齢者世帯の所得や預貯金の平均額を引用して支払い能力があると判断する傾向があります。しかし、その根拠となるデータは、ほとんどが六十五歳以上あるいは七十歳以上という区分で論じられており、より高い年齢階級の経済実態が明らかにされておりません。
 今回の改正案においては、一般世代とは別の独自の上限額設定により実質的な著しい負担増に一定の歯どめがかかっていること、また、一部ではありますが定額と定率の選択制が残されたことがぎりぎりの線だと考えております。
 いずれにしても、抜本改革案を模索する中で、高齢者にとって適切な相応の負担というものについて、もっと突っ込んだ議論が行われる必要があると痛切に感じております。
 次に、高額療養費の見直しについてでありますが、さきに述べましたとおり、働く世代の受診抑制は過去の患者負担増の場合とは異なる傾向を見せております。すなわち、平成九年の施行から二年以上経過した平成十一年度末現在でも、受診がもとに戻ってこないということです。この傾向が長く続けば続くほど、将来への影響はさまざまな形で大きくリバウンドしてくることになります。今回の高額療養費の見直しによる自己負担限度額の引き上げは、所得が一定以上の者に対する適用であるとしても、現役世代にさらなる心理的プレッシャーを与えることになるのではないかと、かように心配しております。
 最後に、介護保険についてでありますが、紆余曲折を経て、ようやく本年四月、スタートいたしました。要介護認定のあり方、利用者負担徴収を含めた市町村によるサービス格差、関係者間の連携、当初の財源負担構成が実現できていないこと等、制度発足時の混乱だけでは済まない根源的な課題も指摘されております。
 保険者である市町村は、規模が小さいだけにきめ細かな配慮ができる反面、政策的な影響を強く受けやすいという一面を持っております。利用者が不公平感を抱かずに安心してサービスを受けられるよう、全体的な環境整備がまだまだ必要だというのが実感であります。
 特に、サービス提供側の課題として挙げられるのが、営利法人の事業参入を認めたことの影響であります。一部の営利法人は、莫大な広告費をかけて大々的な宣伝を行ったにもかかわらず、利用者の確保がままならず、制度発足からわずか半年で既に事業撤退、あるいは大幅な人員削減を初めとする事業縮小を決定しています。
 このような企業行動は、新たな社会保障として位置づけられる介護保険のサービス提供に著しい影響を与えることになります。その影響は、結果的に介護を受ける利用者の不利益につながるものであります。介護も、医療と同様、国民の健康、生活に直結した極めて公共的な使命が強い事業であります。これに取り組む者には営利追求とは別の倫理観が求められることは言うまでもありません。
 規制緩和の流れの中で、医療の分野でも営利法人の参入が議論されておりますけれども、介護保険の動向を一つの試金石ととらえ、さらに今後慎重に考える必要があると、かように私どもは思っております。
 以上で終わります。
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中島眞人#3
○委員長(中島眞人君) ありがとうございました。
 次に、対馬参考人にお願いいたします。対馬参考人。
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対馬忠明#4
○参考人(対馬忠明君) 新日鉄健康保険組合理事長代理の対馬でございます。
 本日は、現場運営に携わる者としての意見を含めまして、健保連の意見を申し上げる機会を与えていただきましたことに対し、まず最初に厚く御礼を申し上げたいと思います。
 健保法の改正案についてでございますけれども、現状を打開して一歩前に踏み出して、さらなる抜本改革にぜひつなげていただきたいという強い思いから、賛成の立場で意見を述べさせていただきます。
 改正案の内容について意見を申し上げる前に、私どもの置かれた状況を、御案内とは思いますけれども、より御理解いただくために、まず健保財政がいかに待ったなしの状況に置かれているか、触れさせていただきたいと思います。
 私は三年前、九年の健康保険法一部改正、自己負担を一割から二割に改正するなどの内容が含まれていたわけですけれども、この場で意見陳述をする機会がございました。その当時と現在を対比してみますと、財政危機が一段と深刻化し、まさに待ったなしにあることが一目瞭然だろうというふうに思います。
 恐縮でございますけれども、資料ナンバー1、決算見込みの概要をごらんいただきたいというふうに思います。
 この資料の六ページ目、一番最後のページでございますけれども、経常収支の推移が掲載されております。平成六年七年八年、八年は千九百七十六億円という高額の赤字でございました。九年十年、これは法改正の影響で一時小康状態となったわけですけれども、十一年度は二千三十三億円という巨額の赤字になったわけでございます。さらに足元の平成十二年度、これは予算でございますけれども、マイナス三千三百億円ということでございます。これではとても健康保険組合とは言えません。不健康組合でございます。
 この財政悪化の原因は、経済の低迷などによります保険料収入の伸び悩みなどもありますけれども、その主因とも言うべきものは、ふえ続ける老人医療費などを賄うための老健拠出金など、拠出金の大幅な増加であります。
 一ページ目でございますけれども、ここの2に老健拠出金について記載がございますけれども、ちょっと小さい字になりますが、そのすぐ下に二千七十八億円という数字がございます。前年度から二千七十八億円増加したと。これがすなわちその上の決算見込み額二千三十三億円の赤字にそっくりそのままなったと言うことができるわけであります。
 保険料収入と拠出金の関係で見てみたいと思いますけれども、これは五ページ目になりますが、二段目と三段目に拠出金と、そのうちの老人保健拠出金についての欄がございますけれども、この欄をたどっていって一番右側に平成十一年の見込みがございます。拠出金全体としては四〇・三〇、つまり初めて四割を超えたわけでございます。老人保健拠出金でございますけれども、三二・九二%、初めて三割を超えたわけでございます。
 保険料収入の四割を超える金額が私ども組合の手の届かないところで決まり、召し上げられるのでは、責任ある自主的な運営はなし得ません。しかも、これは平均値でございますから、組合によっては五割にも六割にもなるものであります。かつて、江戸時代の農民の過酷さをあらわすものとして、四公六民、五公五民という年貢割合がありましたが、それ以上の五割も六割も拠出させられる、召し上げられるというのでは、苛斂誅求と言うほかはございません。
 ここ数年、毎年二けたに上る組合が解散などにより減少している中で、十三年度も引き続き悪化することが見込まれておりまして、予算が組めないという悲鳴を上げている組合も数多くございます。
 なお、組合には積立金が多くあり、あたかも黒字であるかのような意見がありますが、それは誤解であります。積立金のうち三カ月分は解散の場合のいわゆる未払いの引当金として積み立てることが義務づけられておりまして、十一年度の決算では約二百の組合がその準備金しかない状況でございまして、とても余裕があるものとは言えません。
 こうした後のない状況の中で今回の改正案を迎えたわけですが、賛成の理由を三点に絞って申し述べたいと思います。
 一点目は、老人医療費の一割定率負担が、十全な形ではありませんが、織り込まれていることであります。先ほど拠出金などの過大な負担が財政悪化を招いていると申し上げましたが、定率一割負担は、老人医療費、ひいては拠出金の抑制に寄与するものであります。
 定率化ということは、どういう診療行為にどのぐらいかかったか、トータルで幾らなのか、自分の窓口負担は一割だからこうだというように、患者にとって診療内容とその費用が明確となり、透明化される、またそのことによってコスト意識の一層の喚起、向上も期待できることになります。若人を定率として、老人のみ定額とする根拠はないはずでございます。国民ひとしく定率負担とすることによって、自助、共助、公助の望ましいあり方、老人と若人との負担の公平性、健康な老人と病弱な老人との公平性などを議論する共通の基盤もできましょう。また、介護保険との関係でも、定率一割負担によって初めて整合がとれることにもなります。健保連として長年にわたって定率負担を強く主張してきたことも、こうしたゆえんからにほかなりません。
 複雑でもあり、また一部定額が残っていることなど、問題点を含んでいることは認識しておりますけれども、医療保険制度、とりわけ老人保健制度についての大きな前進であり、抜本改革につながる第一歩として高く評価したいと思います。
 二点目は、保険料率上限の見直しが含まれていることであります。
 新日鉄健保のケースで、現状がいかに変則的な状況に置かれているか、財政にも重荷になっているか、御説明したいと思います。
 私どもの組合は、医療保険の料率が八・九%、千分の八十九でございます。介護保険に必要な料率は〇・九%、千分の九、双方を足し合わせますと九・八%となりまして、九・五%の法定上限を〇・三%上回ることになります。したがいまして、現在、〇・九から〇・三を引いた〇・六%しか徴収できず、不足する〇・三%相当分はやむを得ず納付猶予申請をしてしのいでいる状況であります。
 この納付猶予申請分、つまり徴収不足分ですけれども、一月当たり四千五百万円、一月の法改正を前提にしましても、今年度で二億七千万円にも上ります。私どもは、組合の機関決定で〇・九%徴収して納付することを決めているのであります。にもかかわらず、法定上限があるがゆえに、毎月四千五百万円もの不足分がかさんでいきます。組合運営を預かる立場として実に耐えがたいものがございます。
 私どものように、本来必要な介護保険料を徴収できず、納付猶予申請をしたり積立金などを取り崩して対応している組合は実に四割にも上ります。この問題は、本来、介護保険導入時の四月に解決が図られるべきものでしたが、七月に対応するとされ、さらに来年の一月からと先延ばしされているものであります。制度の中に組み込まれる上限、下限は本来例外チェックとして機能させるはずのものです。
 介護保険創設時に料率上限について議論がなされた経緯は承知していますが、現実に四割もの組合が抵触している上限などというものは、上限の名に値しないのではないでしょうか。まして、その上限は、医療保険財政が厳しいほど、つまり料率が高いほど当該組合を苦しめ、運営に携わる者を呻吟させているのであれば、なおさらのことではないでしょうか。変則的な運営を強いられ、財政にも悪影響を及ぼす保険料率上限をぜひ見直していただきたいと思います。
 三点目は、抜本改革をできるだけ速やかに推進したいとの視点でございます。
 本来、十二年度は抜本改革を実現し、粛々と実施しているはずの年でありました。遺憾ながら実施は二年先送りとなりました。この改正法案には、老人の一割定率負担など、抜本改革の足がかりとなる内容を一部含んでおりますが、もとより抜本改革とはほど遠いものであります。
 少子高齢化、経済成長の低迷など、社会経済環境の構造的かつ急激な変化は、これまでの延長線上ではとても対応できるものではありません。新たな高齢者医療保険制度の創設、定額払いを基本とする合理的な診療報酬体系の構築、合理的な薬価設定と薬剤使用の適正化、患者中心の医療提供体制の確立など、抜本改革の各項目は、そのいずれをとってもすぐに答えが見つかり実行に移せるほど簡単なものではありません。とりわけ、最も重要な高齢者医療保険制度の創設は、関係者間の意見が対立し、方向性すら見えてこないのが現状であります。
 このような状況のもとでは、目の前の法改正を初め、抜本改革議論のための基盤づくりとなるもの、環境を整えるもの、これは速やかにすべて行う、そのことによって、後顧の憂いなく、一日も早く全力を挙げて抜本改革の具体的検討に取りかかる必要があるのではないでしょうか。ラストチャンスである十四年度改革まで、残された時間は一年数カ月しかありません。これを逃すことは、健保組合を初めとする医療保険制度の崩壊につながります。健保連としても、関係団体との意見の対立点を強調するのではなく、共通点、接点を見出す努力を重ねていくつもりでございます。
 国民生活に最もかかわりの深い社会保障、医療保障については、政治の場においても、例えば超党派的対応ということも含めて、ぜひ早急な改革議論をお願い申し上げる次第でございます。
 千八百の全組合がかたずをのんでこの法案の審議を見守り、また成立を切望しております。この法改正にあわせて、十三年度の政府の予算措置等も講じていただきまして、今以上の財政悪化に何としても歯どめをかけ、十四年度の抜本改革の実現につなげてまいりたいということでございます。
 日夜にわたる御努力に重ねてのお願いで恐縮ですが、十分審議を尽くされた上での法案の速やかなる可決、成立を心からお願いして、陳述を終わります。
 どうもありがとうございました。
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中島眞人#5
○委員長(中島眞人君) ありがとうございました。
 次に、花井参考人にお願いいたします。花井参考人。
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花井圭子#6
○参考人(花井圭子君) おはようございます。日本労働組合総連合会生活福祉局の花井でございます。
 健康保険法等の一部を改正する法律案に対する意見を述べたいと思います。
 まず、医療・医療保険制度の抜本改革についてです。
 健康保険制度は、かつて三K赤字の一つに数えられたように、赤字を生み出す構造的欠陥が指摘されながら、政府は抜本的な制度改革を先送りしてきました。そのため、膨張する医療費を被保険者、患者の負担で埋め合わせるという悪循環を繰り返してきました。この悪循環を断ち切ることは、高齢化の進展と老人医療費の膨張からいよいよ重大な課題となっており、五年前から関係審議会で議論が重ねられてきました。
 九七年九月の健康保険法等改正で、被保険者、患者の負担が大幅に引き上げられました。このときの国会でも、医療・医療保険制度の抜本改革を求める意見が全政党から出されました。当時の与党三党、自民、社民、新党さきがけは、法施行に先立つ八月二十九日に、「二十一世紀の国民医療—良質な医療と皆保険制度確保への指針」という改革プログラムを公表し、抜本改革の実施は平成十二年度を目途とするが、可能なものからできる限り速やかに実施することを明らかにしました。当時の与党三党は、二〇〇〇年度抜本改革を国民に公約したのです。また、同年秋の介護保険法制定時に、政府は介護保険法施行の二〇〇〇年度に抜本改革を行うことを明言いたしました。さらに、翌九八年の通常国会では、国保法等の一部改正審議で、抜本改革を二〇〇〇年度に行う旨の附則修正が行われました。
 以上のように、抜本改革二〇〇〇年度実施は政府の公約であり、国会の意思でもあったはずです。しかし、それ以降、これらの公約すべてがほごにされてきました。そして今回、またもや改革なき負担増を行おうとしています。私たちはこれまで政府に三回も約束を破られたと思っています。抜本改革を先送りして負担増を中心とした今回の改正は、到底容認できるものではありません。大幅な法案修正を求めます。
 以上を前提としまして、以下四点について意見を述べさせていただきます。
 まず第一は、七十歳以上のお年寄りに薬剤一部負担を廃止し定率一割負担を求める、老人に係る外来の一部負担金の見直しについてです。
 現在の老人保健制度は根本的に行き詰まっており、それにかわる新たな制度が必要なことは各方面から指摘されています。しかし、今回の改正案にはそうした積極的な改革内容は全く見当たりません。薬剤一部負担は一九九七年に導入され、薬剤数の減少など、一定の効果があらわれていたにもかかわらず、みずから決めた制度を二年もたたないうちに老人のみ実質的に廃止することは、廃止に至る不透明な経過も含めて全く納得することができません。
 そして、今回の改正は、定率一割の導入に加えて、医療機関が二百床未満か二百床以上かで異なる上限額、診療所の定率・定額の選択、院内処方か院外処方かによって同じ医療費でも自己負担額が変わるという大変複雑なものとなっています。お年寄りは何を見て判断すればいいのでしょう。医療機関にとっても煩雑で大変な事務負担となるのではないでしょうか。
 今国会の中で政府は、診療所に定額を残すことは複雑な面も否めない、複雑でわかりにくい面もあると答弁しています。さらに、患者単位で上限額を設定、管理できるかどうか、今関係団体と話し合いを進めているという答弁がありました。患者単位で上限額を設定するとはどういうことなのでしょうか。加えて、関係団体とはどこなのか。これらについては、本来、国会の場で審議すべき内容です。政府みずからが複雑でわかりにくいことを認めながらも、患者に混乱を招くような複雑な仕組みを、またもや国民、患者不在の中で導入しようとしています。これは、薬剤一部負担廃止によって不足する医療費を埋め合わせるための単なる財政対策でしかないからです。
 こうした小手先の制度いじりではなく、老人保健制度にかわる新たな高齢者医療制度の創設へ全力を挙げることが先決であり、この項の撤回を求めます。
 第二は、高額療養費に係る自己負担限度額の見直しについてでございます。
 見直しは、標準報酬月額五十六万円以上の上位所得者について限度額を十二万一千八百円に大幅に引き上げるとともに、一般、上位所得者とも、それぞれの限度額を超えた医療費の一%を上乗せするという内容になっています。これは自己負担額を軽減するために導入された高額療養費制度の根幹にかかわる重大な変更です。この制度は、重い病気にかかったときにこそ安心して医療が受けられる安心の給付の制度だったはずです。
 ところが、今回政府は、これまでの患者負担が家計に与える影響に加えて、患者が受けた医療サービスの費用も考慮して定めることとしたと説明し、医療を受ける人と受けない人との均衡を図る、コスト意識を喚起するためと答弁しています。まるで医療費は患者自身が決定しているかのようです。心ならずも重病にかかって医療費がかさむ患者にコスト意識を持てということなのでしょうか。
 また、高額となった医療、特に終末期医療等については、医療機関においてコスト意識が見られない事例が散見されるためという答弁もありました。治療中の医師や医療機関にコスト意識を持って治療を中断しろとでも言うのでしょうか。仮に、コスト意識のない医療機関によって医療費がかかったとしても、なぜそれが患者に転嫁されなければならないのでしょうか。理解しがたい答弁は、制度導入に必然性や合理性が全くないからとしか思えません。
 上位所得者とは年収ベースで九百万円以上程度と言われていますが、この層の多くは住宅ローンや教育費が重く、かつ現下の経済情勢で雇用不安、生活不安にさらされている中高年です。この層に、今度は病気になったときの負担を重くし、さらに生活不安を強めることになりかねません。加えて、上乗せの一%が今後引き上げられるのではないかという不安があります。
 改正内容は、保険料は所得に応じて、給付は公平にとする医療保険の基本理念を揺るがすものです。国民皆保険制度を維持するためにも、こうしたことは避けるべきであり、特に一%上乗せは何をおいても撤回するよう強く求めます。
 第三に、保険料率の設定に係る上限の見直しについてでございます。
 介護保険料は、健康保険料と合算して上限率を超えない範囲で徴収することとなっています。今回の改正で、上限率の適用を健康保険料のみとし介護保険料を別建てにすることは、実質的な保険料引き上げと言わざるを得ません。
 介護保険法制定時、政府は、医療費で賄っていた介護に係る費用、主に社会的入院は介護保険に移るので、医療費が減少し健康保険料は下がる、二〇〇〇年度までに抜本改革を行うため、介護保険料と健康保険料を合算しても法定上限率を超えないと説明しました。ところが、社会的入院は当初見込みより減少せず、抜本改革は行われていないため、両保険料を合算すると多くの保険者が法定上限率を超える見通しとなってきました。しかし、この要因は老人医療費の膨張による老健拠出金の増加にあり、見通しの甘さと抜本改革を先送りしてきた政府の責任です。
 介護保険法は本年の四月に施行されたばかりです。別建てにするのであれば、抜本改革時か介護保険の見直し時期に検討すべきであって、今回行うべきではありません。当面、現行三割の老人医療費の公費負担を引き上げて、保険者、被保険者の負担増を避けることこそ政府として責任ある態度だと考えます。上限率の別建てはぜひとも撤回していただきたいと思います。
 第四は、医療保険制度等の抜本改革に関する事項についてでございます。
 改正案には医療保険制度等の抜本改革の時期がどこにも明記されておりません。抜本改革を二〇〇二年度に必ず実行する規定を追加し、かつその実行を明確に約束するよう強く要望します。公約を破り、改革を先送りすることは、国民の医療保険制度への不信をますます高め、そのことが国民皆保険制度の崩壊を招くことになります。今度こそ、ぜひとも政治の決断で抜本改革を二〇〇二年度に実行する強い意思を国民に示すべきだと思います。
 私の意見陳述は健康保険法等の一部改正に対するものですが、最後に医療法等の一部改正に触れさせていただきます。
 医療提供体制は、医療資源を有効かつ効率的に配分し、良質な医療サービスを国民に提供するという目的から、医療制度の基礎となる重要な課題です。改正案は、審議会の中で後退に後退を重ね、改革とは名ばかりのものになったというのが私たちの認識です。国会の場においてぜひとも修正していただきますよう要望いたします。
 第一は、看護基準についてです。今回、四対一から三対一に引き上げられようとしていますが、二対一、最低でも二・五対一とすべきです。
 第二は、カルテ開示の法制化です。国民、患者が自分の体のことを知りたいという意識が高まっています。一方、多発する医療事故が国民の医療に対する不安と不信を高めています。患者の知る権利、医療への信頼確保という観点からも、本人申請によるカルテ開示の法制化を図ることは当然です。
 第三は、広告規制の緩和です。患者が医師や医療機関を選択するとき、口コミ情報に頼っているのが現状です。虚偽広告、誇大広告などを除き、原則自由にすべきと考えます。
 今回提出されている健保法、医療法等の改正法案は労働者の生活に大きな影響を及ぼす内容を含んでおり、これまでの改革論議に責任を持ってかかわってきた連合としましては到底看過することができません。改正法案の大幅修正と、医療・医療保険制度の抜本改革二〇〇二年度実施の決意を示されるよう重ねて要望して、私の意見陳述を終わります。
 ありがとうございました。
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中島眞人#7
○委員長(中島眞人君) ありがとうございました。
 次に、篠崎参考人にお願いいたします。篠崎参考人。
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篠崎次男#8
○参考人(篠崎次男君) 篠崎です。
 私は、健康保険法等の一部を改正する法律案に反対する立場から意見を述べたいと思います。
 今回の改正案は、かなり高額な負担を高齢患者に上積みしようとしております。それとの関連で、もう一度医療とは何かということをまず考えたいわけですけれども、一九八〇年代以降の医療の見直しについて、厚生省は絶えず疾病自己責任ということを強調して改革を積み上げてきていると思います。
 私は、生活課題のうち、衣食住はある意味で個々のやりくりの対象になりますから自己責任ということが言われてもやむを得ないのかなと思いますが、医療というものについては、担当した医師が必要と認めた医療をきちんと保障されなければならない。その場合に、患者、住民の経済状況その他は考慮されることなく保障されないと命が全うできないという側面を持っていると思います。つまり、医療要求というのは自己責任を超えたところで発生するものだというふうに理解をしております。であるからこそ、今よりもはるかに日本が貧しかった以前より医療に対する公的責任が尊重され、社会保障としていろいろな給付が保障されてきたのではないかと思います。
 また、医療を担当する医療機関の側でも、多くの矛盾を抱えた診療報酬に不満を持ちつつも、医療の公的保障ということを守るということを優先させてさまざまな医療を守る努力を医師の側でも積み上げてきているように思います。いま一度、今回の医療保険の見直しについて、これまでの努力とこの原則について思いをいたさなければいけないようにまず思っております。
 では、高齢者の生活実態に照らして、今度の医療保険の改革なるものがどういう影響を与えるのだろうかということを、幾つかの事例を通して考えてみたいと思います。
 十一月十四日のこの委員会で、政府委員の答弁によりますと、今次見直しで自己負担増が一千四百六十億円となり、一人当たり平均月当たり八百三十円程度と説明されております。これは受診しなかった高齢者の数も含めてのことだと思いますので、実際に受診した高齢者の負担というのはこの額をはるかに超えるものになるように思います。
 ところで、一九八三年の老人医療費の無料制度が廃止されて以降、今日まで六回にわたる改革が行われてきております。厚生省が改革と言う場合に、患者、住民にとっては必ず負担増が起こるということであります。したがって、今回の医療保険の見直しが、津島厚生大臣は再三強調しますが、抜本改正の第一弾なんだというふうに強調されております。そうすると、この先どのくらい高額の負担が高齢者に押しつけられてくるのか、極めて大きな不安を抱かざるを得ません。
 もう少し具体的にこの負担に耐えられないということについて申し述べたいと思いますが、総務庁は単身世帯収支調査というものを最近出し始めております。平成十一年版によりますと、六十歳以上の保健医療費のうち、保健医療サービス費、つまり医科診療代、お医者さんにかかったときの一部負担が中心になろうかと思いますが、月三千百四十五円で、前年対比の伸び率が一七・六%という高額になっております。ですから、最近の負担増というのはかなり重い比率で高齢者に上積みされているというふうに言えるのではないかと思います。
 しかも、政府は低所得者には一定の配慮をしていると言われておりますけれども、外来に対する配慮はありません。それから、入院にしても上限が一万五千円になる、これに該当する人は七十歳以上のたかだか〇・七%にしかならない、そういう点では低所得者への配慮とはごく微々たるものと言わざるを得ません。
 そういう大幅な負担増と高齢世帯の家計との関係を見ていきますと、先ほど挙げました総務庁の収支調査によりますと、無職の単身高齢者の世帯収入は月額で十二万七千九百九十四円になっております。そして、支出がそれを二万四千六百五十五円上回っております。ですから、貯金を取り崩すか、こういう生活を多くの単身高齢世帯が強いられているわけです。それから、老夫婦だけの高齢夫婦無職世帯、年金生活者、これの月収が二十五万五千四百三円というふうに平均でなっております。この世帯も月々支出が一万四千四十三円上回っております。
 ところで、平成十二年版の厚生白書によりますと、高齢者の個人の所得が、無収入が一一・八%、それから年収八十万未満で二七・一%、八十万から百六十万の人々で二一・一%、つまり年収にして百六十万以下の人が全体の六割を占めております。月収二十万を超えても生活ができずに赤字になっているという状況の中で、これ以上の負担増というのは高齢者にとっては耐えがたいものになるのではないか、こんなふうに思います。
 特に、介護保険論議の中でも問題になりましたけれども、月額一万五千円以下の年金しか支給されていない高齢者が六十五歳以上の二〇%になります。三万円以下ですと三〇%を超えると言われております。こういう中で、国民健康保険料、介護保険料、医療費の一部負担、そして介護利用時の一部負担と、負担増が積み上げられてきております。高齢者の多数はかなり重い負担に不安を感じているというふうに思います。
 この負担増が高齢者を苦しめているのではないかという実例を、私は介護保険が証明しているように思います。
 例えば、百六の保険者の調査というのが、これは四月から六月までの結果が出ておりますけれども、サービス支給限度額に対する利用割合は、平均で四三・二%、要支援者は五四・二%ですが、介護度一度から五度まで、しかも四度、五度と重くなるにつれて利用率が減ってきております。この利用率が五割に届かないという大きな理由に、一部負担を支払うことができない、こういう苦しい高齢世帯の家計事情があるものと思っております。
 最近、ケアマネジャーからいろいろな報告が各地でなされるようになってきておりますけれども、私は五千円しか一部負担が払えないから五千円で賄えるサービスだけで結構ですと、あるいは一万円の負担で我慢しますと、こういう事例がたくさん出ているということが報告されております。
   〔委員長退席、理事亀谷博昭君着席〕
 再度申し上げますが、今次見直しで医療費負担増というのは高齢者に過酷過ぎるのではないかと思います。特に、冒頭申し上げました、個人の懐に関係なく必要な医療がきちんと提供されるという、こういうこれまでの医療保障の原則から見ても、今次見直し案というのは容認できるものではないと思います。
 医療の薄い高齢者の入所施設で、冬になると風邪の集団流行が話題になります。結果として肺炎で死亡する高齢者が多数出るという不幸が社会問題化しておりますけれども、これからは在宅でもこのようなことが起こりかねない、そういう危惧の念を私は抱かざるを得ません。今次の高齢患者の負担増という制度の見直しは、やはり撤回されなければならないように思います。
 次いで、今次見直しについての気がかりな点について、二点ほど申し上げたいと思います。
 先ほどからも話題になっておりますけれども、七十歳以上の高齢患者の場合に、受診した医療機関によって一部負担が異なるという制度が持ち込まれてきております。なぜこのような複雑な制度にする必要があるのかという点については十分説明がなされていないように思います。
 他方で行われている医療法の見直しを積み上げながら、医療機関の機能別類型化が進められております。それに呼応した形で社会保険の見直しが今後どのように進められるのか。恐らく、機能別に社会保険医療が限定されてくるのではないか、こういう危惧を抱いております。かかる医療機関によって一部負担が違うということが今回初めて持ち出されたということの背景には、このようなことがあるように思います。津島厚生大臣が再三強調するように、抜本改正の第一弾だと言われる理由はこの辺にもあるのではないかと思います。この関連性についてきちんと説明し、国会で国民にその内容がわかりやすい形で解明されるように審議を尽くすべきだと思います。もし関連性がないのなら、患者の受診を複雑にする見直し案は撤回すべきだろう、こういうふうに思います。
 それから、もう一点だけ申し上げますと、高額療養費制度の見直しについてですが、今回は上位所得者と言われる被保険者が五万九千円程度の負担増になる、それから一般の患者では三千四百円程度の負担増だと、これも十一月十四日の政府委員の説明の中にあることですけれども、上位所得者にこれだけ大幅な差をつけた負担増というのをどうして持ち込んでくるのか、この辺についてもよく理由がわかりません。
 一番私として危惧する点は、このように一定の収入のある人に対する負担増を何回か積み上げていくと、これらの被保険者は社会保険の加入を嫌うようになるんではないかと危惧いたします。近い将来、高額所得者の社会保険離れを促進する、そのための措置のように思えてなりません。
 別のところで進められております医療保険者の権限強化の問題や、あるいは年金論議の一部にあるように、基礎年金以外は民間移管という議論も台頭してきております。こういう議論と今回の見直しには共通点があるように思えてなりません。これらについても、社会保険の根幹にかかわる問題でありますから、慎重に審議がなされるように強くお願いしたいと思います。もしそういう意図がないのであれば、このような大幅な格差をつける見直し案についても撤回すべきだろう、このように思っております。
 最後になりますが、国民の政府への要求は、一貫して第一位が保健、医療の充実で、第二位が景気対策です。ここまで不況が大きく取り上げられて大きな問題になっているにもかかわらず、不況だからこそ国民は医療と福祉にやっぱり最重点の要望を政府にお願いしているわけであります。こういう国民の切実な願いに耳を傾けて、今次改正案は撤回すべきだ、このように私は考えております。
 以上で意見の陳述を終わります。
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亀谷博昭#9
○理事(亀谷博昭君) ありがとうございました。
 以上で参考人の方々からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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武見敬三#10
○武見敬三君 それぞれ参考人の皆さん方から大変貴重な御意見をちょうだいしたわけでありますけれども、時間も十分と限られておりますので、糸氏参考人に二問御質問させていただきたいと思います。
 恐らく、ここにいらっしゃるだれもが、我が国における皆保険制度というものは二十一世紀においてもきちんと堅持すべきものというふうに考えておられると思います。保険証一枚あれば、どこでもだれでも、そしていつでも医療機関で治療が受けられるという、この医療機関に対するアクセスの保障という点で、我が国の医療保険制度というのはもう世界でも最もすぐれた制度であって、その機能は確実にこれから持続可能な医療保険制度を創設していく上においても確保しなければならない、プライオリティーとしては最も恐らく高いものであろうと思います。
 また、そうした皆保険制度というものを維持する基本理念というのを私は二つ指摘できると思うんですね。
 一つは、やはり国民の社会的連帯意識です。他人の病気であっても、やはりお互いに助け合おうという意識がありませんと、社会的な連帯意識としてこういう医療保険制度というものを維持する基盤というものはできないからであります。多民族国家で個人主義の米国などで皆保険制度を導入しようとするときに、どうしても大きな障害として常に背景にあるのが、こうした他人の病気については自分とは関係ないと考える個人主義というものがあるというふうに言われているわけで、我が国におけるこうした社会的な連帯意識というのは、私は我が国における極めて重要な国益だろうと思っております。
   〔理事亀谷博昭君退席、委員長着席〕
 また、他方で、もう一つ新たに指摘しておかなければならないポイントというのは、私は、国民一人一人が自分の健康は自分で守ろうとする自律意識だと思っております。特に、これから生活習慣病といったようなものにいかに対処するかということを考えたときに、病気になってからの治療というものも重要でありますけれども、さらに、病気になる前の予防というものをいかにこれから充実していくのかということが指摘されてくるようになりました。
 しかし、その場合に、実際のところ、こうした国民一人一人が健康を自分できちんと守ろうとする自律意識がありませんと、いかに予防医学的サービスを今後地域医療の枠組みの中で提供しようとしても、それが十分に機能しない。したがって、そうしたやはり自律意識というものがありませんと、未来志向の医療保険制度創設という観点から、これが機能しないということが想定されることになります。
 そこで、こうした社会的連帯意識と自律意識というその二つが、ともに持続可能な医療保険制度というものを考えるときに重要だということを指摘させていただいた上で、特に自律意識に基づいて、予防医学的なサービスというのを今後地域医療の枠組みの中で提供していくときに、やはり医療保険制度の中に予防給付というものをより積極的に取り入れてくるということが確実に必要になってきているというふうに考えるわけでありますが、この点についての糸氏参考人の御意見を伺いたいというのが第一点。
 第二点は、一部負担のあり方に関してであります。
 ここで、医療と介護両方の財源構成を見たときに、二〇〇〇年では公費が三二%、事業主が二二%、家計が四六%、こういう枠組みになっていて、大変に家計の負担が高い。そして事業主の負担が低い。これは、欧米における保険構造を見ても我が国の事業主負担というのは低いのであります。
 したがって、このいわばバランスというものを今後どのようなバランスに具体的にシフトさせていくことが適正と考えているのか。既に、二〇一五年の医療のグランドデザインの中でもさまざまなシミュレーションを行って具体例を提示されているというふうに伺っておりますので、その点についての御質問をさせていただきたいと思います。
 以上です。
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糸氏英吉#11
○参考人(糸氏英吉君) まず、武見先生の御質問にお答えいたしますが、予防給付の問題でございます。
 御指摘のとおり、二十一世紀は、一言で言えば治療から予防の時代と、こう言ってもいいくらいに、病気になってからでは遅いんだと、その前に、病気にならないような手だてを、あらゆる現代の診断技術を駆使して病気にならない手だてを考える、これがこれからの二十一世紀の医療のあり方だろうというふうに考えてもいいんじゃないか。
 老人の問題でいろいろディスカッションされておりますが、私どもは、やっぱり老人においても、これから養われる人がどんどんふえて養う人がどんどん減っていくというこの二十一世紀の時代において何が一番大事かというと、やはり老人がリタイアしないで、できるだけ一日でも一人でも多く長生きして、しかも健康で長生きする。健康で長生きするためには、ここにまさに、今、武見議員おっしゃったように、予防給付的な意味が非常に大きい意味を持ってくるわけです。
 これはどうしても、年寄りだから風邪引きくらいほっておけというわけにはまいりません。年寄りだからこそ、かえってそれが寝たきりあるいは死亡という転帰をとるわけでございますので、長生きだけは成功させたけれども、長生きが人生の残酷な時の始まりということではやっぱり申しわけないわけでございまして、その意味でも、老人に早く病気を見つけ、寝たきりにさせないというような手だてを考えなくちゃいけない。
 そういう意味で、我々は特に若い人以上に老人のアクセスを大切にしたい。少なくとも、いろいろな負担によって老人の受診抑制を図らないようにしてあげたい。それは、とりもなおさず、老人の重症化を防ぎ、寝たきりを防ぐ。それの社会的なメリットというのははかり知れないものがあるわけでございますので、そういうことを私たちは主張しておるわけです。
 そして、若い人も、生涯掛けた医療保険の中で一銭も使わないでリタイアして退職する人があるわけです。そういう人もあるかと思えば、もう自分が掛けた金の何十倍も使う人もあります。そこに保険制度というものはあるわけでございますが、やはりこれからは、一年間一回も医療機関にかかったことがないという人には、一年間に一回だけは例えば人間ドックのようなものを保険で給付するといったようなことをしてあげたら、もっともっと私はこれから予防給付にも役に立つし、将来的にはそういうことも検討していただいて、病気の発生を予防する、あるいは寝たきりを予防する、それこそ健康な長生きを保障するという意味で、今後そういうことは真剣に考慮されるべき問題だろうというふうに思っております。
 そういう意味で、大体、老人保健制度ができたのは、一生涯結局病気にかからず保険金は全部組合とかそういうところに寄附したままやめていくといった人のために、それじゃということで老人拠出金はそもそもできたはずでございます。それが今ウエートになり過ぎて困っている。かといって、私は連合の方々も一切連帯はしないとおっしゃっているんではないと思うんですね。ただ過重になっていると。その過重を少しでも軽くしたいということは私たちも同感でございますし、それにはいろいろな努力をすべきだろうというふうに思っております。
 それから一部負担の問題でございますが、これは確かに、先ほどからもお話がありましたように、今余りにも患者さんにとっては耐えがたい負担になっているということは事実でございます。外国の例から見ても、もう少しやはり企業の方にも負担していただける制度にならないか。あるいは、国民全体で老人を助けるという視点からすれば、やはり公的負担を少しでもふやすような方向に持っていって、これ以上老人に負担をかけると、先ほどお話ございましたけれども、介護保険が一割負担、定率負担になっただけでもう給付は要らないという人がどんどん出てきているわけですね。たったそれくらいのことでそんなにと普通の人は考えるんですが、実際、老人の実態というのはそれほど深刻なものでありますので、できるだけ負担を軽くするようにやはり考えなくてはいけない。
 そういった意味では、やはり国民全体の連帯ということから考えれば、公的な負担をふやすなり、あるいはまた事業主にもう少し今以上に出していただくなり、そういうような方向へ向かわざるを得ないんじゃないか。老人の現在の一部負担をもう少し軽くするようにやはり我々としてはお願いしたいなというのが率直な気持ちであります。
 以上です。
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武見敬三#12
○武見敬三君 ありがとうございました。ちょうど時間です。
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小宮山洋子#13
○小宮山洋子君 参考人の皆様、いろいろな御意見、ありがとうございました。
 私も十分という限られた時間でございますので、花井参考人を中心に質問させていただきたいと思います。
 まず、抜本改革についてですけれども、三回裏切られたとありましたが、またまた先送りをされています。そして、今回の審議の中でも、大臣は国民と一緒にぜひ考えていきたいと述べられているわけですが、審議会も国民の代表なわけですが、たび重なる審議会の報告の無視ということもあります。どういう形で国民の声を入れた抜本改革ができるのか、さらに来年度中には抜本改革の案を出すという答弁がありましたが、通常国会でないとなかなか十分な審議が行われないと思いますので、そうしたことへの働きかけも含めてお答えいただきたいと思います。
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花井圭子#14
○参考人(花井圭子君) お答えいたします。
 先ほど述べましたように、私たちは三回約束を破られたというふうに言いましたが、一番大きかったのが九七年九月からの負担増でございました。被保険者の本人負担が一割から二割に上がりまして、中小企業の労働者が大変多く加入しております政管健保が八・二から八・五%に引き上げられたわけです。そして、薬剤一部負担が導入されました。
 これらの負担というのは、あくまでも二〇〇〇年度に抜本改革を行うということを前提として私たちは受け入れてきたというふうに考えておりますので、その意味でも、二〇〇〇年度抜本改革というのは非常に重いことだったというふうに考えております。
 これから先、また延ばされようとしているわけですけれども、これからの抜本改革を考えたときに一番重要な課題は、皆さんが御指摘のように、老人保健制度の改革だろうというふうに考えております。私たちは、政府が二〇〇二年度というふうにおっしゃっておりますが、このことはどこにも明記されていないわけですが、ぜひともその約束は守っていただきたいというふうに強く考えております。
 厚生省の中で検討されております高齢者医療のあり方につきまして、まだ一切提示されていないような状況なものですから、ぜひとも早く国民の前にその案を示していただきまして、十分な議論を重ねた上で、できれば二〇〇一年の通常国会に法案を提出していただきたいというふうに考えております。
 先般、十一月十六日の国民福祉委員会におきまして、津島厚生大臣が二〇〇一年度中に改革案、法案を提出したいということをおっしゃいましたが、できれば通常国会にぜひともお願いしたいというふうに考えております
 以上でございます。
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小宮山洋子#15
○小宮山洋子君 今もありました二〇〇二年度に先送りされた抜本改革の中心になります高齢者医療制度について、連合はどのように考えているのか。先ほど、日本医師会の方から個別方式というお話もございましたが、そのことも含めて連合の考え方を述べていただきたいと思います。
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花井圭子#16
○参考人(花井圭子君) お答えいたします。
 私どもは、三年前から退職者健康保険制度というものを提案しております。いわゆる突き抜け型というものでございますが、医療福祉審議会の制度企画部会の中の四案の一つとして挙げられているものでございます。この案は、退職後、現在退職者医療制度に移るわけでございますが、国民健康保険の枠の中に入らないで被用者保険、いわゆる健康保険の中にとどまるという案を提案しております。
 これは、個別健保組合ということではなくて、被用者全体で管理運営機関のようなものをつくりまして、そこに保険者機能を持たせまして管理運営するということでございます。保険料につきましては、すべての退職者を含む被用者健康保険の平均保険料率、そして現役の事業主負担相当分は現役が支えるというものを考えております。
 ただし、七十歳以上につきましては、罹病しやすく、また幾つかの病気をあわせて持つという方が大変多くなりますので、患者一部負担は定率一割を考えております。さらに、公費のことでございますが、老人医療費、現在三割の公費となっておりますが、これを五割としまして、国保と被用者健保との高齢者の加入の比率に応じて按分すべきではないかというふうに考えております。
 ここで、新たな制度をめぐりまして、一定年齢以上の高齢者のみを対象にその医療費のほとんどを公費で賄うという案に対しまして若干の感想を述べておきたいと思います。
 私たちは、人間を一定の年齢で切ってしまうことはこれからのエージレス社会に反するのではないかというふうに考えております。確かに、高齢者は子供が扶養しなければならなかった時代は経済的弱者だったかもわかりませんが、現在、高齢者の中で所得格差が大変多くなっております。高齢者の平均所得が働いている人、二十代、三十代の年収に匹敵するような、あるいはそれ以上の所得を持つ高齢者もいらっしゃるというふうに思います。そういう人たちも含めて一律弱者とすることに対しましては、そういう弱者とする根拠はないのではないか。高齢者が今後確実にふえるということであれば、老若男女を問わず負担できる方は負担して支え合うというのがこれからの医療保険あるいは社会保障のあり方ではないかというふうに考えております
 先ほど、連合の案は連帯感がないんじゃないかというふうに言われましたが、決して私たち、高齢者を支えていくことには何ら異議はなく、問題は支え方の問題だろうというふうに考えております。
 以上です。
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小宮山洋子#17
○小宮山洋子君 もう一点、もう一つの問題として、保険者機能の強化ということがあるかと思います。
 これは健保連の方に聞いた方がいいかと思うんですけれども、ちょっと時間の関係で花井参考人に伺いたいんですが、民間である健保連としてはいろいろな権限とか調査権が現在はないわけですね。
 そうしますと、今いろいろな医療事故が起きておりますが、本来ならそうした医療事故の代理人の機能を果たすとか、あるいは、いろいろ医師の中にもおかしな犯罪を起こす人がいますけれども、そうしたことへの行政処分とか、あるいは保険外のたくさんの負担などいろいろな苦情をみんな持っていると思うんですが、そうしたものを受けるところがない。こういうことを本当は担うべきではないかと思うんですが、保険者機能の強化については連合としてはどういうふうに考えているでしょうか。
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花井圭子#18
○参考人(花井圭子君) お答えいたします。
 小宮山先生のおっしゃるとおりだというふうに考えております。
 私たち連合は労働組合でございますが、患者の立場も代表しているというふうに考えております。私たちが医療事故に遭った場合、どこにも訴える場所がないのが実態でございます。それから、払い過ぎた医療費を取り戻すにも、今保険者の中にはその代理交渉権すらありません。そういう機能をぜひとも持っていただきたいというふうに考えております。
 それから、何をおいても一番お願いしたいのが、レセプトチェックの強化をお願いしたいというふうに考えております。
 レセプト点検は今支払基金あるいは国保連合会でやっておりますが、これが十分だというふうにはとても思えません。これからふえていく医療費をいろんな形で効率化していくためにも、ぜひともレセプト審査の強化、審査体制の拡充を図っていただきたいというふうに考えております。この世界、書き屋、削り屋という商売が大層繁盛しているというふうに聞きます。このような商売が繁盛するような医療の世界というのはやはり変えていく必要があるのではないかというふうに考えております。
 以上でございます。
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小宮山洋子#19
○小宮山洋子君 もう少しだけ時間がございますので、今の保険者機能の強化について健保連のお考えを対馬参考人に伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
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対馬忠明#20
○参考人(対馬忠明君) 今お話がございましたように、基本的には私どもも保険者機能の強化の一番大きなポイントというのは、被保険者の代表、患者の代表として私どもが一体何ができるかということだろうというふうに思うんです。
 ですから、私どもとしては、それは基本的には情報ではないのか、情報が一番貴重である。できるだけ情報を集めていってそれをいかにして被保険者、患者さんにつないでいくかということが一番重要ではないかな、こういうふうに思っております。
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小宮山洋子#21
○小宮山洋子君 ありがとうございました。
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山本保#22
○山本保君 公明党の山本保です。
 まず、糸氏参考人にお聞きしたいんですが、先ほど高齢者医療の制度について医師会としていろいろ考えているんだというお話がございました。
 保険制度とは直接かかわらないことかもしれませんけれども、その中で、お医者さんが責任を持ってこういう今の問題、高額医療の問題であるとかまた効果的な医療については責任を持って行っていくんだということで四つほどの項目を挙げられたわけでございます。もう少しその辺をお聞きしたいと思っております。
 というのは、私も、確かにこの問題についてはお医者さんがやはり一番専門家でありますし、高い識見と患者そして国全体のことを見通した立場からの御意見を出され、それでリードしていくべきものだと思いますし、またこれまでもそうやってこられたのではないかとは思います。
 ただ一般的には、今いろんな議論も出ましたように、カルテ開示の問題でありますとかチェックの問題でありますとか、またこの委員会でも特に今井先生の方から相当、私も全く同感なのでございますけれども、ベッド数が多ければ医療費が上がるというような問題。私も実は福祉の方をやっておりまして、まさに理屈からいいますとニーズがあるがゆえにサービス提供体制が整うというのが理屈なんですが、実際には福祉などにつきましてもそうではない現実がありまして、サービス提供体制といいますか、そういう仕組みがあるがゆえに費用がかかるという実態もあるわけです。
 そうなりますと、お医者様の方から国民の側に対して、決してそれは例えば仲間意識でお金を取ろうとしているのではない、まさに高度な医療を国民の側に立って出しているんだという、こういう強いメッセージが必要だというふうに思っておりまして、もちろんそういうふうにされているんだと思いますが、私、できましたらそれについて、全体は結構でございますけれども、何かきょうのお話に関連してお聞きしたいと思っておるのでございます。
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糸氏英吉#23
○参考人(糸氏英吉君) 高齢者医療の問題は、先ほどから盛んに抜本改革が果たされなかったということをおっしゃいますけれども、抜本改革というのはそう一年や二年でぽんぽんと二十一世紀を決めてしまうというようなことはとてもじゃないができない。それは、二十一世紀に生きるこれからの人々のために本当に役に立つ抜本改革は、これは慎重にも慎重を期してやらなくちゃいけない、早くできればいいというようなものでは私はないと思います。
 そういう意味で、本当にこれからの二十一世紀の国民の幸せというものはどうあるか、また老人はどうであるか、また二十一世紀には一体どういう社会になっているかということを考えながら抜本改革を進めていくべきだと。もちろん、いいかげんにしていつまでもだらだらやれということでは毛頭ございません。
 そういう意味で、私は少なくとも現在、薬剤についてはいわゆる薬価差というものを廃止し、そして新しく今度厚生省に、中医協の中で薬剤専門委員というのをつくってエキスパート、また支払い側、全部加入して一緒に参加して、一つの新しい薬価についての制度がスタートしたということは、これは一つの抜本改革の第一歩だろうというふうに思っております。
 また、診療報酬改定につきましても、十分ではございませんが、少なくともホスピタルフィーとドクターフィーの骨格だけは一応今度のことしの診療報酬改定である程度その地ならしができた。また細かいことはこれからやらなくちゃいけませんけれども、これとても一遍にもう何もかもやってしまうということはなかなか言うはやすく行いがたしというところで、そこのところはもう少しいろいろ十分な念入りな調査を行ってやらなくちゃいけないという問題がございます。
 最後に残っている問題は、やはり高齢者医療制度、いわゆる医療保険制度をどうするか。これはまさにこれからの高齢者医療制度をどうするかということなんです。
 これはもう高齢者がどんどんふえてくるというこの事実、これは絶とうと思っても絶つことはできないわけでございまして、これはやむを得ない。高齢者の絶対数がふえてくる、どんどんふえてくるということは、これから二〇三〇年、四〇年くらいまでは続くわけです。二〇四〇年を過ぎればこれはもうふえなくなる、なだらかになって、後しばらく減っていくという現象です。全体の日本人の人口は二〇〇七年からは確実に減ってまいります。もうこれは人口学者がはっきり指摘している。人口が減っていくのに後期高齢者だけがどんどんふえてくるという時代になるわけです。この国難とも言うべきあらしというものは、だからこれから二〇〇〇年から四十年か四十五年の間をいかにくぐり抜けるかということが当面のやはり対策なんですね。ですから、これをどういうような抜本改革で迎え撃つかということになろうかと思います。
 そういう意味で、私たちも二〇〇二年には絶対高齢者医療制度についての抜本改革の第一歩はやるべきだということで思っておりますし、そういう意味では、これは連合の方あるいは健保連の方とも少々のことは妥協しながら、何としてでも国民の負託にこたえたいという気持ちでいっぱいでおります。
 高齢者の問題は、非常に先ほどから話題になっておりますけれども、高齢者は若い人と一緒にすべきだ、同じじゃないか、エージレスの時代じゃないかという御意見もそれは確かにあります。しかし、果たしてそれじゃ高齢者と若い人と一緒くたにできるかということになりますと、実際はこれはできないわけですね。高齢者は一つの病気があっても同時に幾つもの病気を持っている、病気になったら治りにくい、また簡単に寝たきりになる、あるいは簡単に死の転帰をとる。高齢者は一方ではもうどんどんふえて若い人はどんどん減っていく。こういう時代になってまいりますから、高齢者の問題というのはまさしくこれからの医療保険、介護保険についても重要なポイントになるわけでございます。
 その中にあって、特に高齢者が医療費をようけ食うということを言われておりますけれども、これは一方でやむを得ないところがある。一つは高齢者の絶対数がふえてくるということと、高齢者の生理的ないわゆる老化現象というものがやむを得ず介護とか病気を起こしてくるわけで、みんな若い人みたいにぴんぴんしておったら何も高齢者の問題なんか起こりっこないわけです。しかし、残念ながら確実に死への転帰を一歩一歩皆さん近づいておるわけでございますので、それに対する十分なケア、治療というのは、これは絶対必要なわけです。それに対してどう対応をしていくかということです。
 特に、高齢者の場合は終末期医療というもの、この終末期医療で医療費のかなりの部分が使われるということも事実でございます。そしてまた、終末期医療と逆に、高齢者をいかに病気にしないかとする、先ほどの武見議員のおっしゃった予防ということに対して、我々は高齢者が受診のときから、この人はひょっとしたらがんが発生しているんじゃないか、あるいはこの人は早晩心筋梗塞を起こすんじゃないかという疑いを持ったときはやむを得ず検査をします。検査をしますと、これは一遍に医療費がぼんと上がるわけです。やはり高齢者の特別な、若い人ではそういう確率というのは非常に少ないわけなんですが、高齢者はしょっちゅうそういう危険にさらされておるわけでございますので、どうしてもそこに医療費というものが上がってくる。
 人数がふえてくる、あるいは終末期医療が起こってくる、あるいはまた高齢者に対して病気を防ぐためのいろいろな診断的な技術を駆使するということは、これはしかし我々は好きでやっているわけではございませんで、高齢者のQOLとかこれからの社会活性を考える場合にはやむを得ず起こってくるわけでございますので、そこのところはやっぱり理解してあげないと、高齢者はどうでもいいやという議論になってしまうんじゃないかというふうに心配しておるわけでございます。
 そういうことで、高齢者に対しては私は特別な理解と特別な考え方と特別な高齢者の医療のあり方というものを考えるべきだろうというふうに考えております。確かに高齢者は老人保健ができたときよりも五歳も年齢が延びました。だから、七十歳というものを七十五歳以上を高齢者にして真に支援する、七十四歳までは若い人と同じように、これはまさに連合のおっしゃるように突き抜け型で、若い人と同じような負担で頑張ってほしい、七十五歳以上については、これは高齢者医療制度として特別の支援をする必要があるんじゃないかというふうに今考えているわけでございます。
 以上です。
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山本保#24
○山本保君 もう時間がありませんので、ありがとうございます。
 一言だけちょっと。
 ぜひ、国民の側から見まして、医師会またお医者様の方から、御自分たちの立場を明確にされて、先ほど申し上げたような立場をよくわかるような議論を今後また私どももしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
 ありがとうございました。
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中島眞人#25
○委員長(中島眞人君) 申し上げます。
 参考人の方、質疑者の方、ひとつ簡潔にやって、多くの意見、質疑ができますようにお願いを申し上げます。
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井上美代#26
○井上美代君 日本共産党の井上美代でございます。
 私は、今参考人の皆さん方からお話を伺いまして、いろいろ深く考えさせていただいております。私も時間の関係で、篠崎参考人に質問をしたいというふうに思います。
 私は、低所得者、女性も含みますけれども、特に女性の場合には長生きをしておりますので男性よりも七年も長く生きるということがあって、また女性の平均給与というのは男性の六割ぐらいだし、そしてまた年金というふうになりますと、それも同じように男性の半分ぐらいになるわけです。そして、生活がばらばらに変わっていって、いろんな仕事も不安定が多いという中で、無年金者も非常に多い、年金権も切れてしまうというようなそういう問題がありまして、まさに低所得者問題は女性の問題である、そして高齢者の問題は女性の問題である、こういうふうに思います。
 そうした立場から二つのことを質問したいと思います。
 一つは、先ほどからも出ておりますように、今度の医療改正が第一歩というふうに言っておりますよね。これはもう厚生大臣も何回も言っておられるんですけれども、今度の改正は抜本改悪に向けた第一歩であると、こういうふうに所信表明からそのことを言われております。今度のが第一歩であるならば、今度の内容というのは、先ほどからずっと出ておりますように、非常に心配な内容が入っているわけです。だから、これが第一歩だったら、次の抜本改悪はどういうふうになっていくんだろうというふうに大変心配になってまいります。
 そして、十六日の国民福祉委員会でも大臣は言われましたけれども、平成十四年に抜本改悪案を通常国会に出す、そして実施していくということを言われております。今の保険証を持っていけばいいというのから、まずどの病院に行けば少しでも安くできるのかとか、それから自分がお金を何千円持っていればいいのか、ちょっとぐあいが悪くなったけれども万が要るのだろうかと、こういうふうになってくるわけですね。こういう不安から病院へ行くのが遠のいていくということもあって、これは受診抑制になっていくわけなんですけれども、そういうことがあります。
 だから、私はこの次の抜本改革というのが今度のように患者負担増で本当に公的負担を削減していくという、こういうものであってはならないというふうに思っているんですけれども、この内容にもぜひ触れて、高齢者の負担がどう変わっていくのだろうかというふうに思いますので、それを一つ質問したいというふうに思います。
 もう一つは、これは首相の諮問機関である社会保障構造の在り方についての有識者会議の報告が出ておりますけれども、この中で繰り返し言われているのは、高齢者はお金があるということで、高齢者も負担を分かち合うことだということを繰り返し言われております。そして、医療保険制度においても、高齢者の医療費の自己負担は若年層に比べて低額に抑えられているということで、高齢者であれば一律に優遇するのではなく、高齢者のそれぞれの経済的な能力に見合った税負担や、そして社会保障制度における保険料の負担、自己負担を求め、これから増加する負担を若い人と分かち合うと、こういうふうに言っております。
 特に私、さらにまた心配になってくるのは、高齢者の中には相当の資産を有しながら負担能力がないとされている者もいる。住宅宅地資産の占める割合というのが高く、その資産を活用して生活費用を賄い、社会的な負担を求めるためには、高齢者が住み続けながらその住宅宅地資産を現金化する方法が求められていると。こういうふうに、資産が多いというのがそういうところまで出ているわけなんですね。
 私は、これを読みながら、貯蓄や住宅、土地資産の活用ばかりが非常に強調されているというふうに思っているわけなんです。それらを持たない人、あるいは少ししか持っていない、こういうふうに経済的に弱い立場の人たちというのは非常にたくさんいるわけです。だから、そこが忘れられてはいないかというふうに思うわけなんです。
 そういうことで、私はこの有識者会議の報告の中身についてもぜひ、低所得者や、そして本当に払えない、患者負担が大きいという、そこのところから見てどうなのかということを篠崎参考人にお聞きしたいと思います。
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篠崎次男#27
○参考人(篠崎次男君) なかなか数字で言いにくいというか、あらわしにくい問題なんですけれども、高齢者の問題というのは細々したまず生活実態に注目すべきではないかなと思います。
 例えば、介護保険料を一号被保険者が徴収されるというときに、自治体に質問や抗議の電話が殺到したと言われておりますが、その七割程度が高齢女性からのものだったというふうに言われております。そういう点から見ても、今、井上先生が言われた高齢女性の多くは低所得者ではないかという指摘はやはり当たっているのではないかなと思います。
 それから、老人クラブなんかでよく話を聞くんですが、昔は年金がなかったけれども、低い年金でもあるだけいいではないかと言われますが、私は、低額の年金をもらっているがゆえに複雑な生活を強いられているということが高齢者の現実ではないかなと思います。
 大体、子供と一緒に住まっている高齢者も、自分の身の回りに起こる現金出費は自分の支給される年金の範囲内というふうに決めている人が物すごく多いように思います。ですから、二万程度の年金から国保の保険料を払い、場合によっては自分の電話代を払い、それで医療費の一部負担を払い、さらにこの上に介護保険料が上乗せされてくる。そこで余ったら初めて老人クラブへつき合いに出かけるというような形で、多くの女性高齢者は経済的な閉じこもりが始まりつつあるんじゃないかなと思います。ですから、負担増をやりますと、この辺からやっぱり問題が起こってくるように思います。
 さて、厚生大臣が言われている抜本改悪でどう負担がふえるのかということですが、具体的な額を挙げて申し上げるということは、厚生省の方も情報を提供してくれておりませんので言えないわけですが、率直に申し上げまして、一九八三年から始まった二十一世紀へ向けての日本の医療の改革の基本路線というのは、すべて医療費の増加をどう抑えるか、医療費対策として積み上げられてきたというふうに思います。したがって、医療費を削減するということは、医療を薄くするか、あるいは医療の利用者の負担を重くするかということにしかならないわけであります。
 差し当たって考えられることは、七十歳以上の老人が一つにまとめられて医療保険に加入させられる、介護保険と同じように一定の保険料が徴収されると。そして、論議の経過を見ていますと、定率で最高では三割ぐらいのことを予測した老人医療保険が過去においては検討されていた。それがやはり復活してくるのではないかなと思います。
 さらに、定額診療報酬制度を大幅に導入するという形で、一般薬を社会保険から除外する案ですとか、あるいは病気に定価をつけて医療機関に請け負わせる案ですとか、こういう標準医療を超えた医療については自己負担などということもかつてはいろいろ議論されておりました。
 そういう点で、冒頭の私の陳述の中でも申し上げたんですが、抜本改正抜本改正と言われて、この先どのくらい負担増になるのかということについては、はかり知れないものが押し寄せてくるのではないか、そういうふうに感じております。
 それから、有識者会議の提言ですけれども、私はいつも腑に落ちないのは、世代間の格差があって若者が不満を持っている、不満を持っているということを強調されますが、具体的な事例でそのことが示されてはいないように思います。本当に若者自体が年寄りをそんなに疎ましく思っているのかどうか、この辺は一つ問題だろうと思います。
 それから、ここで描かれる高齢者像というのは一般的な高齢者像です。具体的に見ていきますと、先ほど申し上げましたように、六〇%もの人々が世帯収入年収百六十万で生活をしているとか、かなり厳しい現実があります。七、八%前後の高額所得者が入ってくると貯金残高が二千四百万円になる、こういう実態です。ですから、やっぱり高齢者を具体的に見て、それで具体的な実生活に即した福祉なり社会保障なりの提供が私は必要ではないかなと思います。
 それから、若者の方が負担が大きいと言いますが、これも負担の額だけを横並びで比較するだけであって、収入対比で負担の比率がどうかということを検討していかないと高齢者の実質がつかめないのではないかな、そんなふうに思っております。
 それから、住宅の資産ですけれども、例えば、厚生省の資料でも毎年一四、五%の高齢世帯の年収が百万を割っております。それでほとんどが生活保護を受けておりません。二人暮らしでしたら必ず生活保護基準よりも低い収入であります。これを妨げているのが、現在自分の家に住んでいる、持ち家が資産として計上されてくるから、実質的にはそこを離れると生活ができないから住んでいる。それを売り尽くさない限り生活保護が受けられない。したがって、生活保護基準以下の日常生活を強要されているという高齢者が現にたくさんいるという、そういうことを前提として考えるならば、今高齢世帯の収入の中で家賃収入というのはほとんどありませんから、自分たちが必要な生活の場としての家屋を持っているにすぎません。これを資産の扱いにするということについてはやはり間違いではないかな、そんなふうにも思っております。
 以上です。
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井上美代#28
○井上美代君 ありがとうございました。
 終わります。
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清水澄子#29
○清水澄子君 社民党の清水澄子でございます。
 参考人の皆さんのそれぞれの問題提起に非常に深く考えさせられることが非常に多くございまして、ありがとうございました。
 まず私は、花井参考人に伺いたいんです。
 さっき日本医師会の糸氏参考人がおっしゃっていたんですけれども、医療費に対する事業主負担が日本の場合は非常に国際的に見ても低いのではないか、やはりそれ相応の負担を考えるべきではないかというお考えを示されましたが、私もこれは前から考えていたことなんですが、これは、花井参考人の方は労働団体の代表ですし、被保険者を代弁する立場ですから、どのようなお考えを持っておられるのかということが一点。
 それからもう一つは、医療の抜本改革というのは、たとえどのような内容であってもやはり患者の立場、つまり医療の利用者の立場に立った改革というものが必要であると思うんですけれども、そういう患者の立場に立った制度的な仕組みの改革というのは、そちらではどのようなお考えをお持ちだろうか。まずその二点をお聞かせください。
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