糸氏英吉の発言 (国民福祉委員会)

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○参考人(糸氏英吉君) 高齢者医療の問題は、先ほどから盛んに抜本改革が果たされなかったということをおっしゃいますけれども、抜本改革というのはそう一年や二年でぽんぽんと二十一世紀を決めてしまうというようなことはとてもじゃないができない。それは、二十一世紀に生きるこれからの人々のために本当に役に立つ抜本改革は、これは慎重にも慎重を期してやらなくちゃいけない、早くできればいいというようなものでは私はないと思います。
 そういう意味で、本当にこれからの二十一世紀の国民の幸せというものはどうあるか、また老人はどうであるか、また二十一世紀には一体どういう社会になっているかということを考えながら抜本改革を進めていくべきだと。もちろん、いいかげんにしていつまでもだらだらやれということでは毛頭ございません。
 そういう意味で、私は少なくとも現在、薬剤についてはいわゆる薬価差というものを廃止し、そして新しく今度厚生省に、中医協の中で薬剤専門委員というのをつくってエキスパート、また支払い側、全部加入して一緒に参加して、一つの新しい薬価についての制度がスタートしたということは、これは一つの抜本改革の第一歩だろうというふうに思っております。
 また、診療報酬改定につきましても、十分ではございませんが、少なくともホスピタルフィーとドクターフィーの骨格だけは一応今度のことしの診療報酬改定である程度その地ならしができた。また細かいことはこれからやらなくちゃいけませんけれども、これとても一遍にもう何もかもやってしまうということはなかなか言うはやすく行いがたしというところで、そこのところはもう少しいろいろ十分な念入りな調査を行ってやらなくちゃいけないという問題がございます。
 最後に残っている問題は、やはり高齢者医療制度、いわゆる医療保険制度をどうするか。これはまさにこれからの高齢者医療制度をどうするかということなんです。
 これはもう高齢者がどんどんふえてくるというこの事実、これは絶とうと思っても絶つことはできないわけでございまして、これはやむを得ない。高齢者の絶対数がふえてくる、どんどんふえてくるということは、これから二〇三〇年、四〇年くらいまでは続くわけです。二〇四〇年を過ぎればこれはもうふえなくなる、なだらかになって、後しばらく減っていくという現象です。全体の日本人の人口は二〇〇七年からは確実に減ってまいります。もうこれは人口学者がはっきり指摘している。人口が減っていくのに後期高齢者だけがどんどんふえてくるという時代になるわけです。この国難とも言うべきあらしというものは、だからこれから二〇〇〇年から四十年か四十五年の間をいかにくぐり抜けるかということが当面のやはり対策なんですね。ですから、これをどういうような抜本改革で迎え撃つかということになろうかと思います。
 そういう意味で、私たちも二〇〇二年には絶対高齢者医療制度についての抜本改革の第一歩はやるべきだということで思っておりますし、そういう意味では、これは連合の方あるいは健保連の方とも少々のことは妥協しながら、何としてでも国民の負託にこたえたいという気持ちでいっぱいでおります。
 高齢者の問題は、非常に先ほどから話題になっておりますけれども、高齢者は若い人と一緒にすべきだ、同じじゃないか、エージレスの時代じゃないかという御意見もそれは確かにあります。しかし、果たしてそれじゃ高齢者と若い人と一緒くたにできるかということになりますと、実際はこれはできないわけですね。高齢者は一つの病気があっても同時に幾つもの病気を持っている、病気になったら治りにくい、また簡単に寝たきりになる、あるいは簡単に死の転帰をとる。高齢者は一方ではもうどんどんふえて若い人はどんどん減っていく。こういう時代になってまいりますから、高齢者の問題というのはまさしくこれからの医療保険、介護保険についても重要なポイントになるわけでございます。
 その中にあって、特に高齢者が医療費をようけ食うということを言われておりますけれども、これは一方でやむを得ないところがある。一つは高齢者の絶対数がふえてくるということと、高齢者の生理的ないわゆる老化現象というものがやむを得ず介護とか病気を起こしてくるわけで、みんな若い人みたいにぴんぴんしておったら何も高齢者の問題なんか起こりっこないわけです。しかし、残念ながら確実に死への転帰を一歩一歩皆さん近づいておるわけでございますので、それに対する十分なケア、治療というのは、これは絶対必要なわけです。それに対してどう対応をしていくかということです。
 特に、高齢者の場合は終末期医療というもの、この終末期医療で医療費のかなりの部分が使われるということも事実でございます。そしてまた、終末期医療と逆に、高齢者をいかに病気にしないかとする、先ほどの武見議員のおっしゃった予防ということに対して、我々は高齢者が受診のときから、この人はひょっとしたらがんが発生しているんじゃないか、あるいはこの人は早晩心筋梗塞を起こすんじゃないかという疑いを持ったときはやむを得ず検査をします。検査をしますと、これは一遍に医療費がぼんと上がるわけです。やはり高齢者の特別な、若い人ではそういう確率というのは非常に少ないわけなんですが、高齢者はしょっちゅうそういう危険にさらされておるわけでございますので、どうしてもそこに医療費というものが上がってくる。
 人数がふえてくる、あるいは終末期医療が起こってくる、あるいはまた高齢者に対して病気を防ぐためのいろいろな診断的な技術を駆使するということは、これはしかし我々は好きでやっているわけではございませんで、高齢者のQOLとかこれからの社会活性を考える場合にはやむを得ず起こってくるわけでございますので、そこのところはやっぱり理解してあげないと、高齢者はどうでもいいやという議論になってしまうんじゃないかというふうに心配しておるわけでございます。
 そういうことで、高齢者に対しては私は特別な理解と特別な考え方と特別な高齢者の医療のあり方というものを考えるべきだろうというふうに考えております。確かに高齢者は老人保健ができたときよりも五歳も年齢が延びました。だから、七十歳というものを七十五歳以上を高齢者にして真に支援する、七十四歳までは若い人と同じように、これはまさに連合のおっしゃるように突き抜け型で、若い人と同じような負担で頑張ってほしい、七十五歳以上については、これは高齢者医療制度として特別の支援をする必要があるんじゃないかというふうに今考えているわけでございます。
 以上です。

発言情報

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発言者: 糸氏英吉

speaker_id: 30352

日付: 2000-11-21

院: 参議院

会議名: 国民福祉委員会