阿南一成の発言 (文教・科学委員会)

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○阿南一成君 ありがとうございました。
 現行のいわゆる仲介業務法のもとで許可を受けている著作権管理事業者はすべて非営利法人として業務を行っていると承知をいたしております。しかしながら、この法案によりますと、著作権等管理事業者の中に営利法人の参入が認められることになっております。規制緩和という観点からは好ましいことであると思うのでありますが、そもそも利潤追求を本来の存在理由とする営利法人に我が国の文化の発展に寄与するということが果たして期待できるのか、いささか不安を感じるのは私一人ではないと思うのであります。
 特に、日本音楽著作権協会、いわゆるJASRACは、公益法人としてこれまで六十年有余にわたりまして著作権管理事業を行ってきたと承知をいたしております。著作権管理事業は、著作者の権利を守り、利用者の利便を図ることを通じて文化の発展に寄与するという公益性の高い事業であろうかと思うのであります。
 著作権協会国際連合、いわゆるCISACというのがありますが、このCISAC憲章の第十三条において、管理団体は商業的または利潤の獲得を目的とする組織であってはならないと規定をいたしておりますことは、この著作権管理事業は営利目的になじむものではないということの国際的なコンセンサスができておるのではないかと私は理解をいたしております。我が国においても、昭和四十二年の著作権制度審議会の答申におきましては公益法人によって営まれることが望ましいとの報告があり、文化庁もこれまでそのように指導を行ってきたものと私は理解をしておるところであります。
 ところが、今回の法案では株式会社などの営利法人が著作権管理事業に参入することを可能としているのであります。株式会社などは株主に対しまして多くの配当を行うことが最大の目的であろうかと思います。文化の振興や著作権者の保護よりも株主の利益を優先した運営を行うことにもし仮に走るとするならば、これは大変だなというふうに心配をしておるところであります。
 例えば、一部の売れ筋の作品のみの管理を引き受けるとすれば、余り売れない作品というのは市場原理によって自然淘汰をされる運命にあると思います。また、無断利用があってもそのチェックに費用がかかり過ぎ、採算がとれないということであれば、営利法人としては放置をするということにもなりかねない。それは、ひいては著作権を尊重するという土壌の崩壊にもつながりかねないのではなかろうかというふうに愚考するところであります。
 著作物というものは、経済的価値と芸術的価値が必ずしも一致するものではないと思います。一般の人には理解されにくい作品の中にも次の世代に残していくべき価値のあるすぐれた作品が存在することもあり得ようかと思います。営利法人が著作権等管理事業に参入することは、結果的に著作者の不利益につながり、我が国の文化に損失を招くことにならないか、その歯どめ策をどのように考えているかについて文化庁の見解を確認しておきたいと思います。

発言情報

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発言者: 阿南一成

speaker_id: 27524

日付: 2000-11-07

院: 参議院

会議名: 文教・科学委員会