清水澄子の発言 (本会議)
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○清水澄子君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、健康保険法等の一部改正案及び医療法等の一部改正案につき質問いたします。
現在、我が国では少子化、高齢化が世界に例を見ないスピードで進んでおり、既存のシステムでは対応できなくなった制度を今こそ抜本的に改革しなければなりません。福祉は経済成長の足を引っ張るといった弱者切り捨ての社会保障論から、福祉を社会経済の正面に据え、持続的成長を目指す真に豊かな社会づくりの戦略に転換すべきです。
ところが、政府は、利用者の負担増など、その場しのぎの対応を繰り返し、小出し、先送り、約束違反に終始してきたのです。
特に、医療については九七年の自社さ与党合意に基づく抜本改革を二年以上先送りにし、欧米に比べても高い医療費にはメスを入れず、高齢者の薬剤費の定額負担を導入したり、また国庫で肩がわりしてみたりと、その場限りを続けてきました。
つまり、健康保険制度の赤字を生み出す構造的欠陥をそのままにして、膨張する医療費を被保険者と患者の負担増で埋め合わせるという悪循環を繰り返しており、私どもは到底賛成することはできません。
そこで、まず総理に伺います。
社会保障の総合的見直しは、社会全体に目を向け、少子高齢社会にふさわしい社会資源全体の配分をにらんだグランドデザインを描かねばなりません。
政府・与党は、最近、悪名高い公共事業の偏重を改めるそぶりを見せましたが、結局は竜頭蛇尾に終わり、補正予算や来年度概算要求では旧態依然とした事業規模のみを競う公共事業の垂れ流しを相変わらず続けようとしています。また、次期防衛力整備計画では、国民経済の不況低迷をよそに、アジアの緊張緩和にも背を向け、またも五カ年にわたる軍事費の拡大、確保の計画をつくろうとしています。
こうした中で、総理の諮問機関としてまとめられた有識者会議の報告も、結局は現在の社会経済の転換期を正しく踏まえたものではなく、高齢者はお金持ちという平成十二年度版厚生白書のコピーとも言える内容で、各種社会保障の枠内だけで財政を均衡させるという主張を前面に押し出しています。
総理もまた、所信表明演説において、自己責任の原則、世代間の公平などと述べられ、弱者切り捨て、世代間の分断を正当化しようとしています。しかし、社会保障という経済分野は、雇用等を生み出し国民生活に安心を与えるということはあっても、元来、大量の富を生産する分野ではありません。
本当に社会保障を重視するなら、少子高齢社会の今こそ、国家財政や社会経済の他の分野から社会保障分野への資源の一層の転換、再配分が必要と考えますが、総理、いかがでしょうか。
さて、ここで九七年八月に自社さ政権で合意された二〇〇〇年に向けた医療制度抜本改革の公約について思い起こさねばなりません。
社会民主党は、だれもが安心して受けられる医療制度の確立の観点から、薬漬け・検査漬け医療の解消、医療における情報公開、患者の権利法の制定や保険者機能の強化、低所得者や生活困難な高齢者、難病患者への公費負担の増大、薬価差益の完全解消等といった問題に正面から取り組んでまいりました。
この自社さ政権の合意では、医療制度改革は二〇〇〇年を目途に可能なものからできる限り速やかに実施されることになっていました。そして、同年秋の介護保険法制定の際も、政府は二〇〇〇年度抜本改革を明言いたしました。さらに九八年の通常国会でも、国民健康保険法の附則修正という形で二〇〇〇年抜本改革を定めたのであります。
なぜ二〇〇〇年に抜本改革ができなかったのか、またしても今回、負担のみを国民に押しつける提案になったのか、社会保障全体に最終的政治責任を持つ総理の見解を求めます。
また、厚生大臣に伺います。
当時の小泉厚生大臣は、厚生省としても抜本改革について九八年までに法案を作成すると表明しました。厚生省がおよそ二年、またそれ以上のおくれを公言するに至った理由は何か、お伺いいたします。
また、自社さ合意の中では、抜本改革なくして負担増なしとの共通認識がありました。森総理は当時、自民党総務会長として与党合意を了承した立場であり、また津島厚生大臣は当時、与党医療協のメンバーでありました。よもやお忘れではないと思います。
総理、九七年の合意に責任を持つ自民党の代表として、また九八年の教訓を踏まえて、今回の小出しと先送り、約束違反の値上げ提案は撤回すべきではありませんか。総理の見解を伺います。
次に、厚生大臣に伺います。
抜本改革がおくれた原因は、日本医師会による強引な反対工作であることが明らかです。これを打開するため、社会保障制度審議会は、利害関係者を除いた公正な第三者機関としての医療臨調の設置を提言しております。厚生大臣はこの第三者機関という提言についてどうお考えか、また医療事業者の圧力に屈することなく、何よりも患者、利用者の立場に立った改革を早期に進めるべきだと思いますが、御決意を伺います。
最後に、この法案の基本的な問題である高額医療費についてです。
今回、上位所得者という区分を新設し、従来の上限を撤廃して、かかった医療費の一%は無制限に自己負担とするとしている点です。そもそも社会保険制度とは、所得に応じて保険料を負担し、しかし困ったときの危険負担は病状などに応じてかかった分の全額を保険財政から給付するというのが原則ではありませんか。今回の法案は、こうした社会保険制度の根幹を切り崩すものであり、断じて容認できません。答弁を求めます。
私たち社民党は、患者、利用者の立場に立った医療の抜本改革を一日も早く実現する立場に立ち、今回の再び負担増だけを先行させる法案には反対であります。これからの徹底審議を国民の皆さんにお約束して、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕