藤島正之の発言 (憲法調査会)
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○藤島委員 自由党の藤島正之でございます。
私は、昨年九月に始まりました二十一世紀の日本のあるべき姿についての論議からこの憲法調査会に参加させていただきました。そこでは、各界で先頭に立って御活躍されている参考人の大変貴重な意見を伺うことができたと思います。中には議論のかみ合わない方もいらっしゃったわけですが、総体的に見ますと、今後の日本の進むべき道を模索する上で大きな役割を果たすことが十分期待される内容であったと思っております。
さて、私ども自由党の基本的な態度といたしましては、昨年八月三日のこの調査会における我が党の塩田委員の発言にありますように、現行憲法を改正するという立場でございます。改正するというか、むしろ二十一世紀を担う新しい憲法をつくるというのが我々の基本的な立場でございます。
そもそも、この調査会が設置された趣旨は、日本国憲法について広範かつ総合的に調査を行うためということでありました。その背景は、戦後五十年いろいろな意味で変化が起こっておるわけですが、特に冷戦の終えん、あるいは日本の東アジア地域における立場の変化、あるいは我が国が世界第二の経済大国にまで成長しましたが、その後、右肩上がりの経済が終息、終えんし、従来の経済社会システムでは対応し切れなくなってきていること、また、そういったことに応じまして国民の意識が大きく変化してきていることがあるものと思います。そうした国内外の環境の変化を見たときに、国家の基本法たる憲法自体も現実の変化への対応を迫られているのではないか、そのように私は考えておるわけでございます。
このような視点に立ちますと、今後の憲法調査会の運営につきましては、昨年の自由討議のときに塩田委員からも提案がありましたけれども、憲法の条文と現実との乖離の問題を明らかにしていくべきだろうと思っております。
これまで、二十一世紀の日本のあるべき姿について議論を積み重ねてきましたが、今後は、私は、各分野別にもう少し掘り下げて議論を進めていくべきではないか、こういうふうに考えております。今日、制定から五十余年を経た日本国憲法が想定していなかった重要な課題が山積しておるわけでございます。
まず、基本的人権についてでありますが、近代的立憲主義思想に基づく自由権の発想は、常に国家権力対国民という構図がベースにありましたが、現代では、国家のみならず私人や私的団体からの人権侵害が深刻な問題となってきております。
また、基本的人権は、国民に保障されるべきものであると同時に、国民が社会共同体の構成員として国家社会を維持し発展させるための公共財的性格を持つものであると思います。そういう位置づけをすることが必要になってきている、こういうふうに考えるわけであります。そのためには、人権制約の根拠とされてきた公共の福祉について深く議論し、その概念を明確にする必要があるというふうに考えております。
さらに、情報公開制度や、あるいはマスメディアが発達した現在では、国民の知る権利やプライバシー権を精査し、憲法に明示することも必要ではないかというふうに考えております。
また、外国人の人権保障とその限界についても、今後少子化が進む中で、我が国は外国人政策をどのように見据えてグローバル化時代に対応するかという、長期的な視野に立って検討しなければなりません。
また、経済的自由権についても、官主導ではない自由で公正な市場の確保をうたうことも必要ではないかと思います。また、そのような自由で公正な社会のもとで国民が創造性を発揮するためには、だれもが安心できる税制や基礎的社会保障の制度を整備していくことが重要である、こういうふうに考えております。
また、国民が良好な環境で生活することを保障する環境権を明確にするとともに、すべての国民が人類存続の基盤である地球環境の保全に全力を尽くす義務を負うことを定めた規定を設けるべきであるというふうにも考えております。
次に、安全保障の問題でありますが、冷戦の時代には、日米安全保障条約のもと、米国がソ連という明確な敵対国から同盟国である日本の独立と安全を守ってくれておりまして、日本は米軍の駐留に依存しているところが大きく、またそれなりに機能してきたという面がありました。しかし、冷戦終結後は、核の拡散、テロの多発、地域紛争の激化など、より突発的で不確実な要素が大きい危機の状況が東アジアにおいても危惧されるようになりました。
そのような中で、我が国が自国民の生命及び財産を守るには、自衛隊が明確に憲法上位置づけられ、内閣総理大臣の指揮権のもと迅速に活動ができるようにすることが必要であると思います。加えて、非常事態の制度を憲法に明記することも視野に入れるべきだと考えます。もちろん、自衛権の名のもとに、武力による威嚇またはその行使は一切認められないとする現行憲法九条の理念は継承すべきであると考えております。
そして、日本が平和を維持し存続させていくためには、国際社会との真の協調を図らなければなりません。そのための外交努力に全力を尽くし、また、国連平和維持活動を初めとする国連の平和活動への参加、協力体制を整備することも必要であると考えます。
次に、統治機構の問題です。我が国では、長らく行政国家現象と呼ばれる、行政が事実上国政を支配するという状況が続いてきました。しかし、我が国は議院内閣制を採用し、行政権たる内閣は、国会に対して責任を負っております。国会が実質的に国権の最高機関として機能するように、諸機関の抜本的な整備を行うべきであります。二院制をより意義のある形にしていくことも必要でありますし、情報技術の発展により容易となった国民投票等の直接民主制による補完によって議会制民主主義をより健全で強力なものとし、真の国民主権を確立することができると考えております。
この点に関しまして、首相公選制の問題が小泉総理から提案されていますが、私ども自由党は、天皇制との関係とかいろいろな問題がありますし、あるいは議院内閣制でも同様な政治は実現しようと思えばできる、現に小泉内閣はかなりそういった面が実現されているようでありますが、そういう考えから、私どもは首相公選制はその必要がないというふうに考えておる次第であります。
一方、行政権については、中央政府の役割は国家の維持と発展に必要かつ最小限のものとし、大胆な地方分権を進めることが必要であると考えます。
司法権は、現行憲法の枠内にとらわれず、国民への司法サービスの飛躍的な充実を目指す抜本的改革が必要です。我々は、憲法裁判所を設置し、立法だけでなく、司法も憲法問題を正面から扱い、我が国のあるべき姿について活発な議論を提起することが変化に対応する力を高めるものと思います。
この憲法との関係でいきますと、我々は改正手続をまず改正し、発議要件を各議院の過半数の要件に改める、これをまずやるべきではないかというふうに考えております。
それから、さきの仙台市における地方公聴会で、このままでは憲法調査会は五年間の憲法放談会に終わってしまうのではないかという危惧を述べる方がおられましたけれども、まさにそういうことのないように私どもはやっていかなければならない、こういうふうに考えておる次第でございます。頭から憲法改正に反対だという意見もあるようでございますけれども、我々は、そういう意見には賛同できないというふうに考えております。
以上、憲法調査会のあり方について意見を述べさせていただきましたが、国民をこの憲法議論の中に取り込んでいくということがこれから非常に重要なことではないかと思っておりまして、この国民のエネルギーこそが我が国にとっていろいろな意味で必要なものだというふうに考えております。
以上で私の意見を終わります。