加藤裕治の発言 (国土交通委員会)

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○加藤参考人 自動車総連の事務局長をしております加藤でございます。よろしくお願いいたします。
 自動車総連は、自動車産業に働く労働者を組織している産業別の組織でございまして、自分たちの雇用と労働条件の維持向上という観点、そして、日本経済、日本国民の生活の向上に資するという見地で、産業の健全な発展を目指して運動を進めているところでございます。
 そんな中で、公平、公正でわかりやすく、また信頼される保険制度の確立というのが自動車社会の健全な発展に不可欠であるという見地から、七千万人に上る自動車ユーザーの声を代弁するという立場から、自賠責審議会にも参加させていただきまして、意見を申し上げてまいりました。
 私は、この法案に賛成をする立場で、五点のポイントに分けまして課題を申し上げ、考え方を述べさせていただきます。
 まず第一点は、政府再保険の廃止を支持したいということでございます。
 我が国の課題であります行政改革、民でできることは民でという観点に立てば、これは妥当な方向であると考えております。任意保険との二階建て制度であるということは先ほど協会の荒木専務がおっしゃったわけですが、保険諸手続は保険会社が一括で行っているわけでありまして、経営基盤が安定した現在、廃止が効率的なやり方ではないかというふうに考えておるところでございます。ただし、被害者救済が後退しないこと、そしてユーザーにもメリットがあるということを実現していかなければならないだろうと考えております。
 二点目に、累積運用益の使途と今後の見直しについて意見を申し上げたいと思います。
 約二兆円に上る累積運用益は、この制度がノーロス・ノープロフィットの原則で運営されているということから考えれば、そもそも保険料を負担したユーザーに基本的には帰属するのではないかと私どもは思っておりますが、その中で、被害者救済あるいは事故防止の諸制度に充てられてきたということは、この制度をより効率的かつ被害者救済の目的に沿ったものにするという目的で政策的に認められ、段階的に拡大をされてきたというふうに考えております。
 被害者救済や事故防止事業について、どの範囲までこの制度でカバーしていけばいいのか、基本的な補償として、セーフティーネットとしてどこまでカバーしていけばいいのかという大局的視点で考えられたという点では、いまだ審議会等でもはっきりしたお答えがいただけていないのではないかと私は考えております。継続的に行われている事業の中には、必ずしもその存在理由や効果というのがはっきりしないようなものも含まれているというふうに考えております。
 また、被害者救済事業でございますが、限られた予算内、つまり運用益で行うわけですからおのずと限られた予算であるわけですが、被害者サイドから見れば、やや不十分、不公平な点があるのではないかと考えております。
 こうした視点から考えますと、今後、長い将来、先を考えた場合に、今回の二十分の九、すなわち約九千億円という原資で事業を継続していくということができるのかどうかというのは、検討を要する課題ではないかというふうに考えております。審議会の答申では、賦課金といった新たな安定的な財源も検討すべきではないかというようなことに言及しているわけでございます。
 そんな見地から考えますと、今回の措置は当面の措置というふうに考え、ユーザー還元は五年間ということで、残りの二十分の十一が充てられるようでありますが、そうした措置がとられている間に、中長期の観点に立って被害者救済をどうしていくのかということは考えていくべきではないかというふうに考えております。
 三点目でございますが、被害者救済事業については国の社会保障制度全体の中で考えていくべきではないかということであります。
 我が国では、省庁の縦割り行政の中で、例えば労働災害は労災保険、自動車事故は自賠責、障害やその後のケアについてそれぞれの枠内で考えられてまいりました。国民の立場から見ると、制度間で見ればやや不公平な面があるというような状況になっております。
 例えば介護の問題で言えば、今回介護料の支給について対象の拡大あるいは額が引き上げられましたが、これまでで言えば、介護保険とのバランスはとれていなかった、あるいは労災とのバランスはとれていなかったわけでございます。諸外国には、介護保険の対象として、加齢によるもの以外、例えば交通事故によるものも対象に含めているような例もあると存じておりまして、そういうことも参考にすべきではないか。介護保険は約二年ちょっとの後見直されるわけでございますが、その際ぜひ検討していただくべき課題ではないかと考えております。
 四点目に、事故防止対策事業などの抜本見直しをお願いしたいということであります。
 今日まで、運用益から、政策支出として自動車事故対策センターを通じて被害者救済事業、自動車事故防止対策、さまざまな機関への補助金も支出されてきたところでございます。しかしながら、これらの事業は、警察や各地方自治体あるいは総務省などが行っている事業と重複をしていたり、あるいは時代とともに補助金の根拠があいまいになってきているものもあると考えております。この際、自賠責審議会において抜本的に見直すべきではないかというふうに考えております。
 最後に、紛争処理機関についてでございます。
 自賠責の不服審査システムとしましては、自動車保険料率算定会の審査会、再審査会、また任意保険部分も含めた紛争処理機関として紛争処理センター、さらには日弁連の交通事故相談センター等がございます。これらはそれぞれ機能を果たしていると考えております。
 今回、紛争の処理について、被害者保護の観点から国の関与が不可欠ということで、国土交通省が関与していく指定法人を設置することとなっております。この結論というのは、審議会の中でも一つの検討課題として上がっていたところでありまして、今後の運用について要望申し上げておきたいのですが、事故の過失割合等の問題は、自賠責の範囲だけではなく、任意保険と合わせた総合的な分野で生じるわけでございまして、自賠責部分のみの紛争処理機関が、現在の被害者のフラストレーションといいますか問題意識を解消できるかどうかはやや疑問を私は感じております。
 そういう意味で、現在の制度との整合性、また現在、司法制度の改革が、より国民に親しみやすいといいますか、入りやすい司法制度ということで検討が進んでいるわけでございますが、これらの制度の改革の方向性ともあわせ、本当の被害者救済というものの視点に立った運用をしていくべきではないかというふうに考えているところでございます。
 以上、五点にわたりまして述べました。法案に賛成の立場でございますが、中長期の観点で課題として認識し、検討を加えていかなければならないとの見地で意見を申し上げました。よろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 加藤裕治

speaker_id: 34896

日付: 2001-06-05

院: 衆議院

会議名: 国土交通委員会