国土交通委員会
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会
会議録情報#0
平成十三年六月五日(火曜日)
午前九時三十分開議
出席委員
委員長 赤松 正雄君
理事 赤城 徳彦君 理事 桜田 義孝君
理事 実川 幸夫君 理事 橘 康太郎君
理事 玉置 一弥君 理事 樽床 伸二君
理事 河上 覃雄君 理事 山田 正彦君
今村 雅弘君 木村 太郎君
木村 隆秀君 倉田 雅年君
佐田玄一郎君 坂本 剛二君
七条 明君 菅 義偉君
田中 和徳君 高橋 一郎君
中馬 弘毅君 中本 太衛君
林 幹雄君 福井 照君
松岡 利勝君 松野 博一君
松本 和那君 森岡 正宏君
谷津 義男君 吉田 幸弘君
阿久津幸彦君 井上 和雄君
大谷 信盛君 奥田 建君
今田 保典君 永井 英慈君
伴野 豊君 細川 律夫君
前原 誠司君 牧 義夫君
吉田 公一君 井上 義久君
山岡 賢次君 大幡 基夫君
塩川 鉄也君 瀬古由起子君
大島 令子君 日森 文尋君
井上 喜一君 森田 健作君
…………………………………
国土交通大臣 扇 千景君
国土交通副大臣 佐藤 静雄君
国土交通副大臣 泉 信也君
国土交通大臣政務官 木村 隆秀君
国土交通大臣政務官 田中 和徳君
政府参考人
(国土交通省総合政策局長
) 風岡 典之君
政府参考人
(国土交通省河川局長) 竹村公太郎君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 大石 久和君
政府参考人
(国土交通省海事局長) 谷野龍一郎君
政府参考人
(国土交通省港湾局長) 川島 毅君
政府参考人
(国土交通省国土地理院長
) 矢野 善章君
政府参考人
(海上保安庁長官) 縄野 克彦君
参考人
(自動車損害賠償責任保険
審議会会長)
(武蔵工業大学教授) 倉沢康一郎君
参考人
(社団法人日本損害保険協
会専務理事) 荒木 襄君
参考人
(全日本自動車産業労働組
合総連合会事務局長) 加藤 裕治君
参考人
(全国交通事故遺族の会会
長) 井手 渉君
国土交通委員会専門員 福田 秀文君
—————————————
委員の異動
六月五日
辞任 補欠選任
菅 義偉君 森岡 正宏君
林 幹雄君 七条 明君
川内 博史君 井上 和雄君
佐藤 敬夫君 奥田 建君
伴野 豊君 牧 義夫君
大幡 基夫君 塩川 鉄也君
保坂 展人君 大島 令子君
二階 俊博君 井上 喜一君
同日
辞任 補欠選任
七条 明君 林 幹雄君
森岡 正宏君 菅 義偉君
井上 和雄君 川内 博史君
奥田 建君 佐藤 敬夫君
牧 義夫君 伴野 豊君
塩川 鉄也君 大幡 基夫君
大島 令子君 保坂 展人君
井上 喜一君 二階 俊博君
—————————————
六月五日
測量法及び水路業務法の一部を改正する法律案(内閣提出第五九号)(参議院送付)
は本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
自動車損害賠償保障法及び自動車損害賠償責任再保険特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)
小型船舶の登録等に関する法律案(内閣提出第九一号)
————◇—————
この発言だけを見る →午前九時三十分開議
出席委員
委員長 赤松 正雄君
理事 赤城 徳彦君 理事 桜田 義孝君
理事 実川 幸夫君 理事 橘 康太郎君
理事 玉置 一弥君 理事 樽床 伸二君
理事 河上 覃雄君 理事 山田 正彦君
今村 雅弘君 木村 太郎君
木村 隆秀君 倉田 雅年君
佐田玄一郎君 坂本 剛二君
七条 明君 菅 義偉君
田中 和徳君 高橋 一郎君
中馬 弘毅君 中本 太衛君
林 幹雄君 福井 照君
松岡 利勝君 松野 博一君
松本 和那君 森岡 正宏君
谷津 義男君 吉田 幸弘君
阿久津幸彦君 井上 和雄君
大谷 信盛君 奥田 建君
今田 保典君 永井 英慈君
伴野 豊君 細川 律夫君
前原 誠司君 牧 義夫君
吉田 公一君 井上 義久君
山岡 賢次君 大幡 基夫君
塩川 鉄也君 瀬古由起子君
大島 令子君 日森 文尋君
井上 喜一君 森田 健作君
…………………………………
国土交通大臣 扇 千景君
国土交通副大臣 佐藤 静雄君
国土交通副大臣 泉 信也君
国土交通大臣政務官 木村 隆秀君
国土交通大臣政務官 田中 和徳君
政府参考人
(国土交通省総合政策局長
) 風岡 典之君
政府参考人
(国土交通省河川局長) 竹村公太郎君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 大石 久和君
政府参考人
(国土交通省海事局長) 谷野龍一郎君
政府参考人
(国土交通省港湾局長) 川島 毅君
政府参考人
(国土交通省国土地理院長
) 矢野 善章君
政府参考人
(海上保安庁長官) 縄野 克彦君
参考人
(自動車損害賠償責任保険
審議会会長)
(武蔵工業大学教授) 倉沢康一郎君
参考人
(社団法人日本損害保険協
会専務理事) 荒木 襄君
参考人
(全日本自動車産業労働組
合総連合会事務局長) 加藤 裕治君
参考人
(全国交通事故遺族の会会
長) 井手 渉君
国土交通委員会専門員 福田 秀文君
—————————————
委員の異動
六月五日
辞任 補欠選任
菅 義偉君 森岡 正宏君
林 幹雄君 七条 明君
川内 博史君 井上 和雄君
佐藤 敬夫君 奥田 建君
伴野 豊君 牧 義夫君
大幡 基夫君 塩川 鉄也君
保坂 展人君 大島 令子君
二階 俊博君 井上 喜一君
同日
辞任 補欠選任
七条 明君 林 幹雄君
森岡 正宏君 菅 義偉君
井上 和雄君 川内 博史君
奥田 建君 佐藤 敬夫君
牧 義夫君 伴野 豊君
塩川 鉄也君 大幡 基夫君
大島 令子君 保坂 展人君
井上 喜一君 二階 俊博君
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六月五日
測量法及び水路業務法の一部を改正する法律案(内閣提出第五九号)(参議院送付)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
自動車損害賠償保障法及び自動車損害賠償責任再保険特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)
小型船舶の登録等に関する法律案(内閣提出第九一号)
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赤
赤松正雄#1
○赤松委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、自動車損害賠償保障法及び自動車損害賠償責任再保険特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案審査のため、参考人として、自動車損害賠償責任保険審議会会長・武蔵工業大学教授倉沢康一郎君、社団法人日本損害保険協会専務理事荒木襄君、全日本自動車産業労働組合総連合会事務局長加藤裕治君及び全国交通事故遺族の会会長井手渉君、以上四名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人の皆様に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。本案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。よろしくお願いを申し上げます。
議事の順序でございますが、倉沢参考人、荒木参考人、加藤参考人、井手参考人の順で、御意見をそれぞれ十分程度お述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
なお、念のために参考人の皆様に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、御了承願います。
それでは、倉沢参考人にお願いいたします。
この発言だけを見る →内閣提出、自動車損害賠償保障法及び自動車損害賠償責任再保険特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案審査のため、参考人として、自動車損害賠償責任保険審議会会長・武蔵工業大学教授倉沢康一郎君、社団法人日本損害保険協会専務理事荒木襄君、全日本自動車産業労働組合総連合会事務局長加藤裕治君及び全国交通事故遺族の会会長井手渉君、以上四名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人の皆様に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。本案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。よろしくお願いを申し上げます。
議事の順序でございますが、倉沢参考人、荒木参考人、加藤参考人、井手参考人の順で、御意見をそれぞれ十分程度お述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
なお、念のために参考人の皆様に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、御了承願います。
それでは、倉沢参考人にお願いいたします。
倉
倉沢康一郎#2
○倉沢参考人 武蔵工業大学の倉沢と申します。
本委員会で意見を申し述べる機会を得ましたことをまことに光栄に存じます。
私が会長を務めております自動車損害賠償責任保険審議会では、昨年六月、自賠責保険制度に関しまして、今回の法案にも盛り込まれている政府再保険の廃止や保険金支払いの適正化のための措置の必要性などを盛り込んだ答申を行っております。本日は、この答申の内容も踏まえつつ、今回の自賠責制度の改革について意見を申し述べさせていただきます。
まず、自賠責制度に関する基本認識についてでございますけれども、我が国における交通事故の状況を見ますと、急速なモータリゼーションの進展などを背景に、交通事故件数、死傷者ともに昭和四十年代半ばまで急激に増加いたしました。政府による交通安全対策の実施等により、昭和五十年代前半に事故件数などは一時減少しましたが、それ以降再び増加に転じ、近年一貫して増加傾向にあります。こうした状況を踏まえますと、交通事故被害者の救済の必要性というものはますます高まっていると考えております。
自動車損害賠償責任保険は、昭和三十年の自動車損害賠償保障法の施行からスタートいたしまして、交通事故の被害者に対する損害賠償の保障と健全な自動車運送の発展ということを保障する制度といたしまして、殊に被害者の救済に大きな役割を果たしてきております。
この制度は、制度成立のときから他国に比しても非常にすぐれた制度であると言われておりまして、この基本的な立法の趣旨、精神というものは今も妥当性を持っておりますが、この半世紀の間に自動車交通をめぐる社会経済情勢の変化ということがございますので、これを時代に合わせて、その目的を一層実現すべき時期に来ておると思っております。
具体的な制度の内容についてですけれども、まず、我が国の独自の制度として、強制加入の自動車損害賠償責任保険と任意の自動車保険という二本立て制度になっております。自賠責保険は加入が義務づけられて、そして、契約内容が自賠法という法律で画一的に法定されており、すべての車種、契約者に同一の担保内容となっておりまして、その支払いは、迅速な被害者救済が図られるよう定型、定額的な支払い基準により行われております。また、保険料水準も、保険会社に利潤を認めないノーロス・ノープロフィット原則が法律に定められておりまして、低い水準に抑えられてきております。
この強制加入保険というものは、法律上の定型化された内容によって、自動車の人身事故の被害者、つまり保険契約関係でいえば第三者に当たりますけれども、その被害者の方の基本補償を確保するという役割を果たし得るものと思います。
一方、任意保険では、契約者が担保内容や各種サービスを任意に選択することが可能となっており、このように、それぞれ異なった性格を有する自賠責保険と任意保険が今後も相互に補完し合って機能していくことが適当だと考えております。
この任意保険の部分で、自動車を運行する者が、自分が負うかもしれない法的な賠償責任負担というリスクに対する自助的なライフプランというものを保険会社の競争の中から選べるということになろうかと思います。
次に、保険給付水準についてでございますけれども、自賠責保険の保険金限度額は、従来、任意保険の普及状況等を踏まえつつ、加害者が任意保険に未加入の場合でも基本補償を確保するという観点から改定されてきております。
現行、死亡三千万、傷害百二十万という水準ですけれども、この保険金限度額については、これによって相当程度の賠償金額がカバーされており、基本補償としての自賠責保険の性格を踏まえれば、基本的に適当な水準であると思っております。つまり、先ほど申しました二本立て制度におけるメリットを加入者が利用する接点としては妥当な額であると思っております。
それから、政府再保険制度の廃止についてでございますけれども、政府再保険制度は、昭和三十年という敗戦後間もない立法当時、保険金の支払いに関する危険の一部を国が負担するということが適切であるという点が第一点で、それからさらに、被害者保護の観点から保険金の支払いを国が審査することが適切、殊に、強制加入の自賠責保険の果たす機能という、全く新しい制度でございますので、そのチェックのシステムとして国が審査することが適切という理由から、この制度の創設当時から実施されてまいりました。
しかしながら、近年、保険会社の担保力が向上してきていること、それから保険金支払いの適正化については、本来それは別の問題であって、政府再保険以外の形によっても実施が可能であればこれに代替し得ると考えられることなどから、政府再保険自体は、私は現状において廃止しても問題ないというふうに考えておりますし、昨年六月の答申にもその旨を盛り込んでおります。
次に、保険金支払いの適正化についてですけれども、年間百万件を超える自賠責保険の支払いは総じて適切に行われているというふうに認識しておりますけれども、もちろん、一部に保険金支払いに関するトラブルが生じているのも事実であります。
このため、政府再保険の廃止について自賠責審議会において議論を行った際にも、保険金支払いの適正化をいかに図るかが議論になりました。被害者の方々も、保険金支払いの適正化を図るためには、信頼の置ける公正な第三者が保険金の支払いに関する紛争処理に当たる仕組みを整備する必要があるというお考えを述べておられます。また、死亡事案や重度後遺障害事案など、一定のものについては引き続き国がチェックを行うべきであると考えております。
それから、自賠責保険の運用益についてでございますけれども、現在国において再保険の運用益を活用して被害者救済対策や交通事故防止対策が実施されており、交通事故の状況が深刻化する中、これら被害者救済対策などの事業の重要性は一層高まってきておると考えられます。
他方、自賠責保険は、保険制度でございますので、国と保険会社に残る運用益を財源として、本来取るべき保険料水準よりも低い赤字保険料率が設定されて、自動車ユーザーの保険料負担の軽減が図られております。
この再保険の廃止に当たっては、その時点で国に残っている運用益について、これまでも充ててきた自動車ユーザーによる保険料負担の軽減と被害者救済などの対策の実施の双方にバランスよく配分することが必要と考えられます。
今回の政府法案では、運用益の二十分の九を被害者救済等の対策に、残る二十分の十一をユーザーによる保険料負担の軽減に充てることとしており、これはバランスのとれた配分であろうと考えます。二つの目的に割り振って、しかもこの運用益が保険契約者の払い込んだ保険料の果実であるという点を加味すると、これはバランスのとれた配分であろうと考えます。
最後に二つだけ申し上げます。
今回の法案は、自賠責審議会の場でも、多くの関係者が長年真剣な議論を重ねて、必要な調整を行ってきた結果を反映させていただいておりまして、高く評価しております。
この法案の成立の暁には、以上申し上げた観点から、適切な運用が行われることを期待いたします。
どうもありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →本委員会で意見を申し述べる機会を得ましたことをまことに光栄に存じます。
私が会長を務めております自動車損害賠償責任保険審議会では、昨年六月、自賠責保険制度に関しまして、今回の法案にも盛り込まれている政府再保険の廃止や保険金支払いの適正化のための措置の必要性などを盛り込んだ答申を行っております。本日は、この答申の内容も踏まえつつ、今回の自賠責制度の改革について意見を申し述べさせていただきます。
まず、自賠責制度に関する基本認識についてでございますけれども、我が国における交通事故の状況を見ますと、急速なモータリゼーションの進展などを背景に、交通事故件数、死傷者ともに昭和四十年代半ばまで急激に増加いたしました。政府による交通安全対策の実施等により、昭和五十年代前半に事故件数などは一時減少しましたが、それ以降再び増加に転じ、近年一貫して増加傾向にあります。こうした状況を踏まえますと、交通事故被害者の救済の必要性というものはますます高まっていると考えております。
自動車損害賠償責任保険は、昭和三十年の自動車損害賠償保障法の施行からスタートいたしまして、交通事故の被害者に対する損害賠償の保障と健全な自動車運送の発展ということを保障する制度といたしまして、殊に被害者の救済に大きな役割を果たしてきております。
この制度は、制度成立のときから他国に比しても非常にすぐれた制度であると言われておりまして、この基本的な立法の趣旨、精神というものは今も妥当性を持っておりますが、この半世紀の間に自動車交通をめぐる社会経済情勢の変化ということがございますので、これを時代に合わせて、その目的を一層実現すべき時期に来ておると思っております。
具体的な制度の内容についてですけれども、まず、我が国の独自の制度として、強制加入の自動車損害賠償責任保険と任意の自動車保険という二本立て制度になっております。自賠責保険は加入が義務づけられて、そして、契約内容が自賠法という法律で画一的に法定されており、すべての車種、契約者に同一の担保内容となっておりまして、その支払いは、迅速な被害者救済が図られるよう定型、定額的な支払い基準により行われております。また、保険料水準も、保険会社に利潤を認めないノーロス・ノープロフィット原則が法律に定められておりまして、低い水準に抑えられてきております。
この強制加入保険というものは、法律上の定型化された内容によって、自動車の人身事故の被害者、つまり保険契約関係でいえば第三者に当たりますけれども、その被害者の方の基本補償を確保するという役割を果たし得るものと思います。
一方、任意保険では、契約者が担保内容や各種サービスを任意に選択することが可能となっており、このように、それぞれ異なった性格を有する自賠責保険と任意保険が今後も相互に補完し合って機能していくことが適当だと考えております。
この任意保険の部分で、自動車を運行する者が、自分が負うかもしれない法的な賠償責任負担というリスクに対する自助的なライフプランというものを保険会社の競争の中から選べるということになろうかと思います。
次に、保険給付水準についてでございますけれども、自賠責保険の保険金限度額は、従来、任意保険の普及状況等を踏まえつつ、加害者が任意保険に未加入の場合でも基本補償を確保するという観点から改定されてきております。
現行、死亡三千万、傷害百二十万という水準ですけれども、この保険金限度額については、これによって相当程度の賠償金額がカバーされており、基本補償としての自賠責保険の性格を踏まえれば、基本的に適当な水準であると思っております。つまり、先ほど申しました二本立て制度におけるメリットを加入者が利用する接点としては妥当な額であると思っております。
それから、政府再保険制度の廃止についてでございますけれども、政府再保険制度は、昭和三十年という敗戦後間もない立法当時、保険金の支払いに関する危険の一部を国が負担するということが適切であるという点が第一点で、それからさらに、被害者保護の観点から保険金の支払いを国が審査することが適切、殊に、強制加入の自賠責保険の果たす機能という、全く新しい制度でございますので、そのチェックのシステムとして国が審査することが適切という理由から、この制度の創設当時から実施されてまいりました。
しかしながら、近年、保険会社の担保力が向上してきていること、それから保険金支払いの適正化については、本来それは別の問題であって、政府再保険以外の形によっても実施が可能であればこれに代替し得ると考えられることなどから、政府再保険自体は、私は現状において廃止しても問題ないというふうに考えておりますし、昨年六月の答申にもその旨を盛り込んでおります。
次に、保険金支払いの適正化についてですけれども、年間百万件を超える自賠責保険の支払いは総じて適切に行われているというふうに認識しておりますけれども、もちろん、一部に保険金支払いに関するトラブルが生じているのも事実であります。
このため、政府再保険の廃止について自賠責審議会において議論を行った際にも、保険金支払いの適正化をいかに図るかが議論になりました。被害者の方々も、保険金支払いの適正化を図るためには、信頼の置ける公正な第三者が保険金の支払いに関する紛争処理に当たる仕組みを整備する必要があるというお考えを述べておられます。また、死亡事案や重度後遺障害事案など、一定のものについては引き続き国がチェックを行うべきであると考えております。
それから、自賠責保険の運用益についてでございますけれども、現在国において再保険の運用益を活用して被害者救済対策や交通事故防止対策が実施されており、交通事故の状況が深刻化する中、これら被害者救済対策などの事業の重要性は一層高まってきておると考えられます。
他方、自賠責保険は、保険制度でございますので、国と保険会社に残る運用益を財源として、本来取るべき保険料水準よりも低い赤字保険料率が設定されて、自動車ユーザーの保険料負担の軽減が図られております。
この再保険の廃止に当たっては、その時点で国に残っている運用益について、これまでも充ててきた自動車ユーザーによる保険料負担の軽減と被害者救済などの対策の実施の双方にバランスよく配分することが必要と考えられます。
今回の政府法案では、運用益の二十分の九を被害者救済等の対策に、残る二十分の十一をユーザーによる保険料負担の軽減に充てることとしており、これはバランスのとれた配分であろうと考えます。二つの目的に割り振って、しかもこの運用益が保険契約者の払い込んだ保険料の果実であるという点を加味すると、これはバランスのとれた配分であろうと考えます。
最後に二つだけ申し上げます。
今回の法案は、自賠責審議会の場でも、多くの関係者が長年真剣な議論を重ねて、必要な調整を行ってきた結果を反映させていただいておりまして、高く評価しております。
この法案の成立の暁には、以上申し上げた観点から、適切な運用が行われることを期待いたします。
どうもありがとうございました。拍手
赤
荒
荒木襄#4
○荒木参考人 本日は、自動車損害賠償保障法、いわゆる自賠法の改正に関しまして、私ども日本損害保険協会に意見を述べる機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。
私ども日本損害保険協会の会員であります各損害保険会社は、自動車損害賠償保障法に基づく自賠責保険の契約あるいは保険金のお支払いを取り扱っている事業者でございます。本日は、この事業者の立場から、自賠法の改正について考え方を述べさせていただきます。
なお、私は、社団法人日本損害保険協会の専務理事を務めております荒木と申します。よろしくお願いいたします。
自賠責保険は、先ほど倉沢参考人もおっしゃいましたが、昭和三十年に制度が創設されましてから、保険料の六〇%を政府に再保険する仕組みとなっております。
このような仕組みが導入された理由は二つございまして、まず、当時の保険会社の担保力、資金力にかんがみまして、新しいこのような強制的な保険の導入に当たって、過半を占める六〇%を政府が再保険として引き受けるということによりまして、制度の安定を期したということがその第一点であります。すなわち、リスクヘッジという観点であります。
第二点は、自賠責保険の公的な性格にかんがみまして、被害者保護の観点から、再保険という手法を通じまして、政府が事業の運営、とりわけ適正な保険金の支払いを確保するということに関与をする仕組みをつくる必要があったということであると思います。
しかしながら、現在におきましては、昭和三十年当時と比較いたしますと、保険会社の担保力は格段に向上いたしておりまして、総資産で比較いたしますと約三百倍以上になっております。
また、自賠法に基づきまして共同プールという組織がございまして、各保険会社がこのプールに参加しておりますので、このプールの中でそれぞれの保険会社の損益は平準化されている。もし支払い困難に陥った保険会社がある場合には、その他の保険会社においてその負担を行うということになっております。
それからさらに、保険業法に基づく損害保険契約者保護機構というものが創設されておりまして、ここにおいても、自賠責保険の保険会社が破綻をした場合の補償を一〇〇%行うという仕組みが既にでき上がっております。
こういう三つの観点から申しますと、リスクヘッジとしての再保険の役割は、極めて少なくなったといいますか、必要性が乏しくなったと言えるかと思います。したがいまして、民間でできることは民間でやるという規制緩和の基本的な考え方に即しまして、政府再保険を廃止していただきたいということをかねがね要望してきたわけであります。
私ども業界としては、平成十一年の二月に政府再保険廃止の要望を提出いたしました。その後、この政府再保険問題を中心といたしまして、自賠責保険制度全般にわたって、我々業界を含めまして、政府の規制改革委員会あるいは関係省庁、被害者の団体、有識者や専門家の方々におきまして、幅広い論議が行われました。
この論議を踏まえまして、平成十二年三月に、政府の規制改革三カ年計画の最終年度に向けた再改定の中で、自賠責保険の再保険については、次の五条件の実現の方向を確認した上で行うことが閣議決定を見たわけであります。
その五つの条件といいますのは、被害者保護の対策が充実されること。政府保障事業を維持すること。現在、政府再保険の運用益を活用して、政府が被害者保護対策事業や事故防止対策事業を行っておりますけれども、政府再保険廃止後も、これらの政府の事業のうちで必要不可欠なものは継続をするということ。四点として、自動車ユーザー等へのメリットがあること。五番目に、合理的な範囲内のコストによる制度改定であること。以上五点を確認する必要があるということであります。
この示されました方向性を踏まえまして、政府再保険廃止後の被害者保護対策を中心に、関係当事者間で鋭意検討が進められたわけであります。
私ども業界といたしましても、もちろん、自賠法の目的であります被害者保護の機能というものは引き続き重要であると考えております。政府再保険制度を廃止した後におきましても、再保険制度にかわる、適正な保険金支払いの確保ということを実現するための仕組みが整備される必要があるというふうに考えている次第であります。
昨年末に、次を骨子とする被害者保護対策を講じることによりまして、政府再保険を廃止することで、関係当事者間の協議がまとまったわけであります。
骨子といいますのは、一つは、死亡あるいは重度後遺障害のような一定の事案については、行政府がその届け出を受けて、保険金の支払いについて個別の点検を行う。二番目は、専門の有識者によって保険金支払いに関する紛争を解決する仕組みを自賠法の中に位置づけまして、行政府がその公正な運用を確保するために必要な監督を行うということ。三番目に、保険会社は、保険金の支払いに関して、被害者あるいは被保険者に対して積極的に情報開示を行うということであります。
現在御審議いただいております自賠法の改正法案は、私ども業界の長年の要望でございます政府再保険の廃止という規制緩和を実現していただくと同時に、関係者間で論議を重ねた結果であります被害者保護のための必要な措置を明確にしていただいた内容となっております。
損保業界としては、これまでも、保険金支払いの審査体制の強化を初め、例えば、近年その問題が明らかになってまいりました高次脳機能障害問題の認定システムを確立するということを始めております。また、事故の発生状況の分析体制を強化するということで、専門家による委員会を発足させております。また、被害者に対する保険金請求手続を支援する業務も実施をしております。等々、自賠責保険による被害者保護の充実にこれまでも取り組んでまいりましたが、改正法が施行されました後は、改正法案に示されました新たな紛争処理の仕組み、あるいは被害者に対する保険金の支払い基準に関する情報提供の充実等、制度改正の実施に積極的に御協力申し上げて、強制保険としての自賠責保険が果たしている被害者保護の役割が、前進することはあっても決して後退することはないということで、努力をしてまいりたいと考えておるところであります。
今回の制度改正に合わせまして、保険業界としても、業務全般の簡素化と効率化に取り組みまして、自賠責保険の運営に必要な経費の縮減に努めてまいりたいと考えております。また、お預かりした保険料の運用に関しましても、保険会社の運用分がこれまでの四割から十割に拡大されることでありますので、運用のさらなる効率化に取り組んでいく所存でございます。
つきましては、改正法が早期に成立し、平成十四年度から政府再保険が廃止されることを強く要望するものであります。
以上、私の意見を申し上げまして、御参考に供したいと思います。
御清聴いただきまして、まことにありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →私ども日本損害保険協会の会員であります各損害保険会社は、自動車損害賠償保障法に基づく自賠責保険の契約あるいは保険金のお支払いを取り扱っている事業者でございます。本日は、この事業者の立場から、自賠法の改正について考え方を述べさせていただきます。
なお、私は、社団法人日本損害保険協会の専務理事を務めております荒木と申します。よろしくお願いいたします。
自賠責保険は、先ほど倉沢参考人もおっしゃいましたが、昭和三十年に制度が創設されましてから、保険料の六〇%を政府に再保険する仕組みとなっております。
このような仕組みが導入された理由は二つございまして、まず、当時の保険会社の担保力、資金力にかんがみまして、新しいこのような強制的な保険の導入に当たって、過半を占める六〇%を政府が再保険として引き受けるということによりまして、制度の安定を期したということがその第一点であります。すなわち、リスクヘッジという観点であります。
第二点は、自賠責保険の公的な性格にかんがみまして、被害者保護の観点から、再保険という手法を通じまして、政府が事業の運営、とりわけ適正な保険金の支払いを確保するということに関与をする仕組みをつくる必要があったということであると思います。
しかしながら、現在におきましては、昭和三十年当時と比較いたしますと、保険会社の担保力は格段に向上いたしておりまして、総資産で比較いたしますと約三百倍以上になっております。
また、自賠法に基づきまして共同プールという組織がございまして、各保険会社がこのプールに参加しておりますので、このプールの中でそれぞれの保険会社の損益は平準化されている。もし支払い困難に陥った保険会社がある場合には、その他の保険会社においてその負担を行うということになっております。
それからさらに、保険業法に基づく損害保険契約者保護機構というものが創設されておりまして、ここにおいても、自賠責保険の保険会社が破綻をした場合の補償を一〇〇%行うという仕組みが既にでき上がっております。
こういう三つの観点から申しますと、リスクヘッジとしての再保険の役割は、極めて少なくなったといいますか、必要性が乏しくなったと言えるかと思います。したがいまして、民間でできることは民間でやるという規制緩和の基本的な考え方に即しまして、政府再保険を廃止していただきたいということをかねがね要望してきたわけであります。
私ども業界としては、平成十一年の二月に政府再保険廃止の要望を提出いたしました。その後、この政府再保険問題を中心といたしまして、自賠責保険制度全般にわたって、我々業界を含めまして、政府の規制改革委員会あるいは関係省庁、被害者の団体、有識者や専門家の方々におきまして、幅広い論議が行われました。
この論議を踏まえまして、平成十二年三月に、政府の規制改革三カ年計画の最終年度に向けた再改定の中で、自賠責保険の再保険については、次の五条件の実現の方向を確認した上で行うことが閣議決定を見たわけであります。
その五つの条件といいますのは、被害者保護の対策が充実されること。政府保障事業を維持すること。現在、政府再保険の運用益を活用して、政府が被害者保護対策事業や事故防止対策事業を行っておりますけれども、政府再保険廃止後も、これらの政府の事業のうちで必要不可欠なものは継続をするということ。四点として、自動車ユーザー等へのメリットがあること。五番目に、合理的な範囲内のコストによる制度改定であること。以上五点を確認する必要があるということであります。
この示されました方向性を踏まえまして、政府再保険廃止後の被害者保護対策を中心に、関係当事者間で鋭意検討が進められたわけであります。
私ども業界といたしましても、もちろん、自賠法の目的であります被害者保護の機能というものは引き続き重要であると考えております。政府再保険制度を廃止した後におきましても、再保険制度にかわる、適正な保険金支払いの確保ということを実現するための仕組みが整備される必要があるというふうに考えている次第であります。
昨年末に、次を骨子とする被害者保護対策を講じることによりまして、政府再保険を廃止することで、関係当事者間の協議がまとまったわけであります。
骨子といいますのは、一つは、死亡あるいは重度後遺障害のような一定の事案については、行政府がその届け出を受けて、保険金の支払いについて個別の点検を行う。二番目は、専門の有識者によって保険金支払いに関する紛争を解決する仕組みを自賠法の中に位置づけまして、行政府がその公正な運用を確保するために必要な監督を行うということ。三番目に、保険会社は、保険金の支払いに関して、被害者あるいは被保険者に対して積極的に情報開示を行うということであります。
現在御審議いただいております自賠法の改正法案は、私ども業界の長年の要望でございます政府再保険の廃止という規制緩和を実現していただくと同時に、関係者間で論議を重ねた結果であります被害者保護のための必要な措置を明確にしていただいた内容となっております。
損保業界としては、これまでも、保険金支払いの審査体制の強化を初め、例えば、近年その問題が明らかになってまいりました高次脳機能障害問題の認定システムを確立するということを始めております。また、事故の発生状況の分析体制を強化するということで、専門家による委員会を発足させております。また、被害者に対する保険金請求手続を支援する業務も実施をしております。等々、自賠責保険による被害者保護の充実にこれまでも取り組んでまいりましたが、改正法が施行されました後は、改正法案に示されました新たな紛争処理の仕組み、あるいは被害者に対する保険金の支払い基準に関する情報提供の充実等、制度改正の実施に積極的に御協力申し上げて、強制保険としての自賠責保険が果たしている被害者保護の役割が、前進することはあっても決して後退することはないということで、努力をしてまいりたいと考えておるところであります。
今回の制度改正に合わせまして、保険業界としても、業務全般の簡素化と効率化に取り組みまして、自賠責保険の運営に必要な経費の縮減に努めてまいりたいと考えております。また、お預かりした保険料の運用に関しましても、保険会社の運用分がこれまでの四割から十割に拡大されることでありますので、運用のさらなる効率化に取り組んでいく所存でございます。
つきましては、改正法が早期に成立し、平成十四年度から政府再保険が廃止されることを強く要望するものであります。
以上、私の意見を申し上げまして、御参考に供したいと思います。
御清聴いただきまして、まことにありがとうございました。拍手
赤
加
加藤裕治#6
○加藤参考人 自動車総連の事務局長をしております加藤でございます。よろしくお願いいたします。
自動車総連は、自動車産業に働く労働者を組織している産業別の組織でございまして、自分たちの雇用と労働条件の維持向上という観点、そして、日本経済、日本国民の生活の向上に資するという見地で、産業の健全な発展を目指して運動を進めているところでございます。
そんな中で、公平、公正でわかりやすく、また信頼される保険制度の確立というのが自動車社会の健全な発展に不可欠であるという見地から、七千万人に上る自動車ユーザーの声を代弁するという立場から、自賠責審議会にも参加させていただきまして、意見を申し上げてまいりました。
私は、この法案に賛成をする立場で、五点のポイントに分けまして課題を申し上げ、考え方を述べさせていただきます。
まず第一点は、政府再保険の廃止を支持したいということでございます。
我が国の課題であります行政改革、民でできることは民でという観点に立てば、これは妥当な方向であると考えております。任意保険との二階建て制度であるということは先ほど協会の荒木専務がおっしゃったわけですが、保険諸手続は保険会社が一括で行っているわけでありまして、経営基盤が安定した現在、廃止が効率的なやり方ではないかというふうに考えておるところでございます。ただし、被害者救済が後退しないこと、そしてユーザーにもメリットがあるということを実現していかなければならないだろうと考えております。
二点目に、累積運用益の使途と今後の見直しについて意見を申し上げたいと思います。
約二兆円に上る累積運用益は、この制度がノーロス・ノープロフィットの原則で運営されているということから考えれば、そもそも保険料を負担したユーザーに基本的には帰属するのではないかと私どもは思っておりますが、その中で、被害者救済あるいは事故防止の諸制度に充てられてきたということは、この制度をより効率的かつ被害者救済の目的に沿ったものにするという目的で政策的に認められ、段階的に拡大をされてきたというふうに考えております。
被害者救済や事故防止事業について、どの範囲までこの制度でカバーしていけばいいのか、基本的な補償として、セーフティーネットとしてどこまでカバーしていけばいいのかという大局的視点で考えられたという点では、いまだ審議会等でもはっきりしたお答えがいただけていないのではないかと私は考えております。継続的に行われている事業の中には、必ずしもその存在理由や効果というのがはっきりしないようなものも含まれているというふうに考えております。
また、被害者救済事業でございますが、限られた予算内、つまり運用益で行うわけですからおのずと限られた予算であるわけですが、被害者サイドから見れば、やや不十分、不公平な点があるのではないかと考えております。
こうした視点から考えますと、今後、長い将来、先を考えた場合に、今回の二十分の九、すなわち約九千億円という原資で事業を継続していくということができるのかどうかというのは、検討を要する課題ではないかというふうに考えております。審議会の答申では、賦課金といった新たな安定的な財源も検討すべきではないかというようなことに言及しているわけでございます。
そんな見地から考えますと、今回の措置は当面の措置というふうに考え、ユーザー還元は五年間ということで、残りの二十分の十一が充てられるようでありますが、そうした措置がとられている間に、中長期の観点に立って被害者救済をどうしていくのかということは考えていくべきではないかというふうに考えております。
三点目でございますが、被害者救済事業については国の社会保障制度全体の中で考えていくべきではないかということであります。
我が国では、省庁の縦割り行政の中で、例えば労働災害は労災保険、自動車事故は自賠責、障害やその後のケアについてそれぞれの枠内で考えられてまいりました。国民の立場から見ると、制度間で見ればやや不公平な面があるというような状況になっております。
例えば介護の問題で言えば、今回介護料の支給について対象の拡大あるいは額が引き上げられましたが、これまでで言えば、介護保険とのバランスはとれていなかった、あるいは労災とのバランスはとれていなかったわけでございます。諸外国には、介護保険の対象として、加齢によるもの以外、例えば交通事故によるものも対象に含めているような例もあると存じておりまして、そういうことも参考にすべきではないか。介護保険は約二年ちょっとの後見直されるわけでございますが、その際ぜひ検討していただくべき課題ではないかと考えております。
四点目に、事故防止対策事業などの抜本見直しをお願いしたいということであります。
今日まで、運用益から、政策支出として自動車事故対策センターを通じて被害者救済事業、自動車事故防止対策、さまざまな機関への補助金も支出されてきたところでございます。しかしながら、これらの事業は、警察や各地方自治体あるいは総務省などが行っている事業と重複をしていたり、あるいは時代とともに補助金の根拠があいまいになってきているものもあると考えております。この際、自賠責審議会において抜本的に見直すべきではないかというふうに考えております。
最後に、紛争処理機関についてでございます。
自賠責の不服審査システムとしましては、自動車保険料率算定会の審査会、再審査会、また任意保険部分も含めた紛争処理機関として紛争処理センター、さらには日弁連の交通事故相談センター等がございます。これらはそれぞれ機能を果たしていると考えております。
今回、紛争の処理について、被害者保護の観点から国の関与が不可欠ということで、国土交通省が関与していく指定法人を設置することとなっております。この結論というのは、審議会の中でも一つの検討課題として上がっていたところでありまして、今後の運用について要望申し上げておきたいのですが、事故の過失割合等の問題は、自賠責の範囲だけではなく、任意保険と合わせた総合的な分野で生じるわけでございまして、自賠責部分のみの紛争処理機関が、現在の被害者のフラストレーションといいますか問題意識を解消できるかどうかはやや疑問を私は感じております。
そういう意味で、現在の制度との整合性、また現在、司法制度の改革が、より国民に親しみやすいといいますか、入りやすい司法制度ということで検討が進んでいるわけでございますが、これらの制度の改革の方向性ともあわせ、本当の被害者救済というものの視点に立った運用をしていくべきではないかというふうに考えているところでございます。
以上、五点にわたりまして述べました。法案に賛成の立場でございますが、中長期の観点で課題として認識し、検討を加えていかなければならないとの見地で意見を申し上げました。よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →自動車総連は、自動車産業に働く労働者を組織している産業別の組織でございまして、自分たちの雇用と労働条件の維持向上という観点、そして、日本経済、日本国民の生活の向上に資するという見地で、産業の健全な発展を目指して運動を進めているところでございます。
そんな中で、公平、公正でわかりやすく、また信頼される保険制度の確立というのが自動車社会の健全な発展に不可欠であるという見地から、七千万人に上る自動車ユーザーの声を代弁するという立場から、自賠責審議会にも参加させていただきまして、意見を申し上げてまいりました。
私は、この法案に賛成をする立場で、五点のポイントに分けまして課題を申し上げ、考え方を述べさせていただきます。
まず第一点は、政府再保険の廃止を支持したいということでございます。
我が国の課題であります行政改革、民でできることは民でという観点に立てば、これは妥当な方向であると考えております。任意保険との二階建て制度であるということは先ほど協会の荒木専務がおっしゃったわけですが、保険諸手続は保険会社が一括で行っているわけでありまして、経営基盤が安定した現在、廃止が効率的なやり方ではないかというふうに考えておるところでございます。ただし、被害者救済が後退しないこと、そしてユーザーにもメリットがあるということを実現していかなければならないだろうと考えております。
二点目に、累積運用益の使途と今後の見直しについて意見を申し上げたいと思います。
約二兆円に上る累積運用益は、この制度がノーロス・ノープロフィットの原則で運営されているということから考えれば、そもそも保険料を負担したユーザーに基本的には帰属するのではないかと私どもは思っておりますが、その中で、被害者救済あるいは事故防止の諸制度に充てられてきたということは、この制度をより効率的かつ被害者救済の目的に沿ったものにするという目的で政策的に認められ、段階的に拡大をされてきたというふうに考えております。
被害者救済や事故防止事業について、どの範囲までこの制度でカバーしていけばいいのか、基本的な補償として、セーフティーネットとしてどこまでカバーしていけばいいのかという大局的視点で考えられたという点では、いまだ審議会等でもはっきりしたお答えがいただけていないのではないかと私は考えております。継続的に行われている事業の中には、必ずしもその存在理由や効果というのがはっきりしないようなものも含まれているというふうに考えております。
また、被害者救済事業でございますが、限られた予算内、つまり運用益で行うわけですからおのずと限られた予算であるわけですが、被害者サイドから見れば、やや不十分、不公平な点があるのではないかと考えております。
こうした視点から考えますと、今後、長い将来、先を考えた場合に、今回の二十分の九、すなわち約九千億円という原資で事業を継続していくということができるのかどうかというのは、検討を要する課題ではないかというふうに考えております。審議会の答申では、賦課金といった新たな安定的な財源も検討すべきではないかというようなことに言及しているわけでございます。
そんな見地から考えますと、今回の措置は当面の措置というふうに考え、ユーザー還元は五年間ということで、残りの二十分の十一が充てられるようでありますが、そうした措置がとられている間に、中長期の観点に立って被害者救済をどうしていくのかということは考えていくべきではないかというふうに考えております。
三点目でございますが、被害者救済事業については国の社会保障制度全体の中で考えていくべきではないかということであります。
我が国では、省庁の縦割り行政の中で、例えば労働災害は労災保険、自動車事故は自賠責、障害やその後のケアについてそれぞれの枠内で考えられてまいりました。国民の立場から見ると、制度間で見ればやや不公平な面があるというような状況になっております。
例えば介護の問題で言えば、今回介護料の支給について対象の拡大あるいは額が引き上げられましたが、これまでで言えば、介護保険とのバランスはとれていなかった、あるいは労災とのバランスはとれていなかったわけでございます。諸外国には、介護保険の対象として、加齢によるもの以外、例えば交通事故によるものも対象に含めているような例もあると存じておりまして、そういうことも参考にすべきではないか。介護保険は約二年ちょっとの後見直されるわけでございますが、その際ぜひ検討していただくべき課題ではないかと考えております。
四点目に、事故防止対策事業などの抜本見直しをお願いしたいということであります。
今日まで、運用益から、政策支出として自動車事故対策センターを通じて被害者救済事業、自動車事故防止対策、さまざまな機関への補助金も支出されてきたところでございます。しかしながら、これらの事業は、警察や各地方自治体あるいは総務省などが行っている事業と重複をしていたり、あるいは時代とともに補助金の根拠があいまいになってきているものもあると考えております。この際、自賠責審議会において抜本的に見直すべきではないかというふうに考えております。
最後に、紛争処理機関についてでございます。
自賠責の不服審査システムとしましては、自動車保険料率算定会の審査会、再審査会、また任意保険部分も含めた紛争処理機関として紛争処理センター、さらには日弁連の交通事故相談センター等がございます。これらはそれぞれ機能を果たしていると考えております。
今回、紛争の処理について、被害者保護の観点から国の関与が不可欠ということで、国土交通省が関与していく指定法人を設置することとなっております。この結論というのは、審議会の中でも一つの検討課題として上がっていたところでありまして、今後の運用について要望申し上げておきたいのですが、事故の過失割合等の問題は、自賠責の範囲だけではなく、任意保険と合わせた総合的な分野で生じるわけでございまして、自賠責部分のみの紛争処理機関が、現在の被害者のフラストレーションといいますか問題意識を解消できるかどうかはやや疑問を私は感じております。
そういう意味で、現在の制度との整合性、また現在、司法制度の改革が、より国民に親しみやすいといいますか、入りやすい司法制度ということで検討が進んでいるわけでございますが、これらの制度の改革の方向性ともあわせ、本当の被害者救済というものの視点に立った運用をしていくべきではないかというふうに考えているところでございます。
以上、五点にわたりまして述べました。法案に賛成の立場でございますが、中長期の観点で課題として認識し、検討を加えていかなければならないとの見地で意見を申し上げました。よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。拍手
赤
井
井手渉#8
○井手参考人 本日は、国土交通委員会に参考人としてお招きいただき、発言の機会を与えていただいたことに心からお礼を申し上げます。私は、千葉県に在住しておりまして、耳鼻咽喉科医として働いている井手と申します。
平成二年十一月に、当時高校三年生の娘が、登校中、交通死したことを契機に、平成三年四月に全国交通事故遺族の会という自助組織を設立しまして、昨年二月、東京日本橋に事務局を移転し、被害者の救済と交通事故の撲滅を目的に活動しております。
本日は、交通事故被害者の立場から、被害者の現状や今回の自賠責制度改正に望むことなどを述べさせていただきます。
まず、交通事故被害者の現状ですが、先ほども申されましたように、交通事故は毎年増加しておりまして、昨年は百十五万人を超しておりまして、増加の一途をたどっております。死者は約九千人、重度の後遺障害者は十年間で二倍と増加し、史上最悪の憂慮すべき状態にあります。
現実に加害者になる人は本当のところは少ないのですが、被害者になる確率は非常に多いのです。このことに対する認識が余りないような感じがいたします。周りを見回しますと、一家に一人や二人の被害者がいることは珍しくありません。
後遺障害者には、介護に多額の費用が必要ですが、必ずしも十分な救済がなされているとは思われません。被害者は本当に困っているのです。深刻で異常な状態であるにもかかわらず、加害者が起訴に持ち込まれる率は低く、仮に起訴されても、罰金刑がほとんどです。実刑になるケースは非常にまれなのです。処罰が緩やかであれば、一般の人はもちろん、加害者でさえ、交通事故による生命の毀損を軽犯罪程度にしか考えなくなっています。
車で人の生命を奪った加害者に適切な処罰がなされず、賠償交渉が金銭で決めることがすべてであれば、それは純粋な商行為となります。人間の生命を物と同じに扱うことになってしまいます。交通事故はお金で解決すればよいというようなことになり、このことが肉親を奪われた者にとっていかに過酷であり、心を傷つけるものであるかということを理解していただきたいと思います。
損害賠償というのは、他人に与えた損害をてん補して、損害のない状態と同じ状態にすることであります。したがいまして、人身事故の場合には損害賠償そのものが不可能なのです。結局、人身事故においても賠償が金銭で行われるのは、それ以外に方法がないからだと思っております。
自賠責保険が制定される以前は、被害者の保護が不十分で、往々にして泣き寝入りの状態でした。それは、一般的な人命軽視の風潮や、権利を十分に主張しない消極性による点もありましたが、第一に、交通事故の賠償責任の決め方についての法的知識が十分でなかったこと、第二に、加害者側に一時に多額の賠償金を支払う備えが不十分であったためであります。これを解決するために、不可避的な自動車事故による被害者の救済に万全を期すことを目的に制定されたのが自賠責保険であったと思っております。
ところで、賠償交渉は、本来、加害者と被害者との間で直接に行われるものであると思っております。しかし、この間に損保会社が介在するシステム、いわゆる示談代行になったことによって、交渉相手のすりかえと加害者の責任回避を不可避的なものとした純粋な商取引になってしまいました。
損保会社は私企業であります。したがって、その目的は利潤であり、利潤の追求は、人間の命を低く評価することで被害者に犠牲を強いるだけでなく、人間の死傷を、命を物の毀損に置きかえてしまっているのです。今の車社会において、車で死傷させられた人は人間としての尊厳さえも奪われています。先般、ハンセン病の元患者が、やっと人間になれたと言っておられましたが、人間として扱われないほど残酷なものはありません。
現在、自賠責特別会計の運用益により、被害者救済対策として、重度後遺障害者のための療護や介護料の支給などが行われておりますが、現状から見て全く不十分です。今回の政府再保険廃止に当たって、必須の条件である被害者保護の内容は、最低限の条件は盛り込まれていますが、将来に向けてさらに充実していただくことを希望いたします。
この中で強調しておきたい二点を申し述べさせていただきます。
一点目は、交通事故被害者救済のために財源を十分に確保していただくこと、救済内容を充実することです。そのためには、自賠責特別会計の運用益を確保し、救済対策の内容を充実することです。
車社会では、ドライバー、つまりユーザーが事故の被害者になることは多いわけですから、ユーザーと被害者を対立的に考えるのはおかしいと思います。ユーザーメリットという言葉を使って自賠責のわずかの保険料を下げるよりも、被害者救済対策を充実して、事故に遭ったときにしっかりした補償が受けられるようにすることの方が、ユーザーにとってメリットは大変大きいと考えます。
他の社会保障制度では救われない交通事故の被害者に唯一の手を差し伸べているのが自賠責特別会計の運用益です。重度後遺障害者で介護を必要とする人は激増しています。ユーザー還元で少額の保険料を下げるのと被害者に十分な救済をするのとは、どちらが国民のためになるのかをぜひ考えていただきたいと思います。交通事故の被害者救済対策を行う上で必要な運用益を十分に確保して、必要なところに救済の手を差し伸べていただくことを切望いたします。
第二点は、自賠責保険の支払いをめぐる公正中立な紛争処理の仕組みを整備していただくことです。
今回の懇談会や自賠責審議会で、損保会社による保険金の支払い渋りがクローズアップされました。元運輸省が行ってきた支払い審査だけでも、この十年間に約六十億の払い渋りが是正されております。保険金払い渋りの例は交通事故被害者のほとんどが経験していることです。このような状態を解消し、保険金の適正な支払いが確保されるよう、紛争の当事者の一方である損保会社主導でなく、公正中立な紛争処理の仕組みが必要と考えます。
懇談会や自賠責審議会で、損保会社は損害賠償の支払いを自分たちでチェックするなどと提案されました。これでは、私たちの経験上、被害者救済が後退し、悲惨な弱者放置社会が出現するのではないかという恐怖感、不信感は払拭できません。保険金支払いをめぐる紛争については、自算会のような損保会社主導の組織の中で審査をしても公平に解決できるとは思えず、公正中立な主体が国の監督をしっかりと受けながら紛争処理をしてくれるのでなければ、被害者としては安心できません。
今回、規制緩和によって政府再保険制度を廃止することになっていますが、その主体者である損保会社にとって最適な結果になるとすれば、保険金受取人が保険契約そのものにおいては第三者、いわゆる部外者である被害者との利害が対立するわけですから、自賠責保険の本来の目的である被害者の保護は達成されなくなるのではないかということを心配しております。それを防ぐためにも、今回の紛争処理機関の仕組みをきちんと運用していただく必要があると思います。
政府再保険廃止後の制度は、現在の多くの被害者のみならず、今後、交通事故に遭うかもしれないすべての国民に重大な影響を及ぼすものです。国会議員の皆様には、このことを御理解いただき、被害者の救済に温かい手を伸べてくださることをお願い申し上げて、私の意見といたします。
どうもありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →平成二年十一月に、当時高校三年生の娘が、登校中、交通死したことを契機に、平成三年四月に全国交通事故遺族の会という自助組織を設立しまして、昨年二月、東京日本橋に事務局を移転し、被害者の救済と交通事故の撲滅を目的に活動しております。
本日は、交通事故被害者の立場から、被害者の現状や今回の自賠責制度改正に望むことなどを述べさせていただきます。
まず、交通事故被害者の現状ですが、先ほども申されましたように、交通事故は毎年増加しておりまして、昨年は百十五万人を超しておりまして、増加の一途をたどっております。死者は約九千人、重度の後遺障害者は十年間で二倍と増加し、史上最悪の憂慮すべき状態にあります。
現実に加害者になる人は本当のところは少ないのですが、被害者になる確率は非常に多いのです。このことに対する認識が余りないような感じがいたします。周りを見回しますと、一家に一人や二人の被害者がいることは珍しくありません。
後遺障害者には、介護に多額の費用が必要ですが、必ずしも十分な救済がなされているとは思われません。被害者は本当に困っているのです。深刻で異常な状態であるにもかかわらず、加害者が起訴に持ち込まれる率は低く、仮に起訴されても、罰金刑がほとんどです。実刑になるケースは非常にまれなのです。処罰が緩やかであれば、一般の人はもちろん、加害者でさえ、交通事故による生命の毀損を軽犯罪程度にしか考えなくなっています。
車で人の生命を奪った加害者に適切な処罰がなされず、賠償交渉が金銭で決めることがすべてであれば、それは純粋な商行為となります。人間の生命を物と同じに扱うことになってしまいます。交通事故はお金で解決すればよいというようなことになり、このことが肉親を奪われた者にとっていかに過酷であり、心を傷つけるものであるかということを理解していただきたいと思います。
損害賠償というのは、他人に与えた損害をてん補して、損害のない状態と同じ状態にすることであります。したがいまして、人身事故の場合には損害賠償そのものが不可能なのです。結局、人身事故においても賠償が金銭で行われるのは、それ以外に方法がないからだと思っております。
自賠責保険が制定される以前は、被害者の保護が不十分で、往々にして泣き寝入りの状態でした。それは、一般的な人命軽視の風潮や、権利を十分に主張しない消極性による点もありましたが、第一に、交通事故の賠償責任の決め方についての法的知識が十分でなかったこと、第二に、加害者側に一時に多額の賠償金を支払う備えが不十分であったためであります。これを解決するために、不可避的な自動車事故による被害者の救済に万全を期すことを目的に制定されたのが自賠責保険であったと思っております。
ところで、賠償交渉は、本来、加害者と被害者との間で直接に行われるものであると思っております。しかし、この間に損保会社が介在するシステム、いわゆる示談代行になったことによって、交渉相手のすりかえと加害者の責任回避を不可避的なものとした純粋な商取引になってしまいました。
損保会社は私企業であります。したがって、その目的は利潤であり、利潤の追求は、人間の命を低く評価することで被害者に犠牲を強いるだけでなく、人間の死傷を、命を物の毀損に置きかえてしまっているのです。今の車社会において、車で死傷させられた人は人間としての尊厳さえも奪われています。先般、ハンセン病の元患者が、やっと人間になれたと言っておられましたが、人間として扱われないほど残酷なものはありません。
現在、自賠責特別会計の運用益により、被害者救済対策として、重度後遺障害者のための療護や介護料の支給などが行われておりますが、現状から見て全く不十分です。今回の政府再保険廃止に当たって、必須の条件である被害者保護の内容は、最低限の条件は盛り込まれていますが、将来に向けてさらに充実していただくことを希望いたします。
この中で強調しておきたい二点を申し述べさせていただきます。
一点目は、交通事故被害者救済のために財源を十分に確保していただくこと、救済内容を充実することです。そのためには、自賠責特別会計の運用益を確保し、救済対策の内容を充実することです。
車社会では、ドライバー、つまりユーザーが事故の被害者になることは多いわけですから、ユーザーと被害者を対立的に考えるのはおかしいと思います。ユーザーメリットという言葉を使って自賠責のわずかの保険料を下げるよりも、被害者救済対策を充実して、事故に遭ったときにしっかりした補償が受けられるようにすることの方が、ユーザーにとってメリットは大変大きいと考えます。
他の社会保障制度では救われない交通事故の被害者に唯一の手を差し伸べているのが自賠責特別会計の運用益です。重度後遺障害者で介護を必要とする人は激増しています。ユーザー還元で少額の保険料を下げるのと被害者に十分な救済をするのとは、どちらが国民のためになるのかをぜひ考えていただきたいと思います。交通事故の被害者救済対策を行う上で必要な運用益を十分に確保して、必要なところに救済の手を差し伸べていただくことを切望いたします。
第二点は、自賠責保険の支払いをめぐる公正中立な紛争処理の仕組みを整備していただくことです。
今回の懇談会や自賠責審議会で、損保会社による保険金の支払い渋りがクローズアップされました。元運輸省が行ってきた支払い審査だけでも、この十年間に約六十億の払い渋りが是正されております。保険金払い渋りの例は交通事故被害者のほとんどが経験していることです。このような状態を解消し、保険金の適正な支払いが確保されるよう、紛争の当事者の一方である損保会社主導でなく、公正中立な紛争処理の仕組みが必要と考えます。
懇談会や自賠責審議会で、損保会社は損害賠償の支払いを自分たちでチェックするなどと提案されました。これでは、私たちの経験上、被害者救済が後退し、悲惨な弱者放置社会が出現するのではないかという恐怖感、不信感は払拭できません。保険金支払いをめぐる紛争については、自算会のような損保会社主導の組織の中で審査をしても公平に解決できるとは思えず、公正中立な主体が国の監督をしっかりと受けながら紛争処理をしてくれるのでなければ、被害者としては安心できません。
今回、規制緩和によって政府再保険制度を廃止することになっていますが、その主体者である損保会社にとって最適な結果になるとすれば、保険金受取人が保険契約そのものにおいては第三者、いわゆる部外者である被害者との利害が対立するわけですから、自賠責保険の本来の目的である被害者の保護は達成されなくなるのではないかということを心配しております。それを防ぐためにも、今回の紛争処理機関の仕組みをきちんと運用していただく必要があると思います。
政府再保険廃止後の制度は、現在の多くの被害者のみならず、今後、交通事故に遭うかもしれないすべての国民に重大な影響を及ぼすものです。国会議員の皆様には、このことを御理解いただき、被害者の救済に温かい手を伸べてくださることをお願い申し上げて、私の意見といたします。
どうもありがとうございました。拍手
赤
赤
桜
桜田義孝#11
○桜田委員 自由民主党の桜田義孝でございます。本日は、参考人の皆様におかれましては、御多用の中、当委員会においでいただきまして、本当にありがとうございます。まず、冒頭に御礼申し上げたいと思います。
さて、構造改革を進める我が国経済社会を活性化するためには、規制緩和を実施し、民間でできることは民間にお任せする必要があると思います。公的セクターにおいては、どうしてもコスト意識が薄く、非効率性が生じやすく、社会的損失につながりかねないと考えておる次第であります。
私は、公約におきまして、自立と共生という思想を重んじる小さな政府の構築ということを掲げておりますことを、まず初めに強調させていただきたいなと思っております。
そこで、質問に入らせていただきますが、今回の自動車損害賠償保障法の改正におきましては、参考人の方々に幾つかお話を伺わせていただきたいのですが、損保協会におきましては、事務の煩雑さ等を理由に、平成十一年から政府再保険制度の廃止を要望しておると伺っております。また、政府再保険を廃止して保険会社の自主性にお任せするということでありますが、非効率性を排し、自立的経営を支援していくという観点から見ると、高く評価できるのではないかと思っております。
一方で、資産の運用面におきましては、大変厳しい状況の中、再保険制度というリスクヘッジを廃止してしまって保険会社の経営主体というものが本当に大丈夫なのだろうかということにつきましては、多くの国民の中からも不安が寄せられているところであります。
この点、まず初めに損害保険協会の荒木専務理事にお伺いしたいと思いますが、損害保険協会としては、自賠責の政府再保険制度を廃止してしまって本当に大丈夫なのかという点を再度お伺いしておきたいなと思っております。大丈夫であるとすれば、具体的に現在の再保険制度にかわるリスクヘッジの制度なるものをどのように考えているか、以上二点、まずお伺いしたいなと思っております。
この発言だけを見る →さて、構造改革を進める我が国経済社会を活性化するためには、規制緩和を実施し、民間でできることは民間にお任せする必要があると思います。公的セクターにおいては、どうしてもコスト意識が薄く、非効率性が生じやすく、社会的損失につながりかねないと考えておる次第であります。
私は、公約におきまして、自立と共生という思想を重んじる小さな政府の構築ということを掲げておりますことを、まず初めに強調させていただきたいなと思っております。
そこで、質問に入らせていただきますが、今回の自動車損害賠償保障法の改正におきましては、参考人の方々に幾つかお話を伺わせていただきたいのですが、損保協会におきましては、事務の煩雑さ等を理由に、平成十一年から政府再保険制度の廃止を要望しておると伺っております。また、政府再保険を廃止して保険会社の自主性にお任せするということでありますが、非効率性を排し、自立的経営を支援していくという観点から見ると、高く評価できるのではないかと思っております。
一方で、資産の運用面におきましては、大変厳しい状況の中、再保険制度というリスクヘッジを廃止してしまって保険会社の経営主体というものが本当に大丈夫なのだろうかということにつきましては、多くの国民の中からも不安が寄せられているところであります。
この点、まず初めに損害保険協会の荒木専務理事にお伺いしたいと思いますが、損害保険協会としては、自賠責の政府再保険制度を廃止してしまって本当に大丈夫なのかという点を再度お伺いしておきたいなと思っております。大丈夫であるとすれば、具体的に現在の再保険制度にかわるリスクヘッジの制度なるものをどのように考えているか、以上二点、まずお伺いしたいなと思っております。
荒
荒木襄#12
○荒木参考人 ただいまの御質問にお答えをいたします。
先ほどもちょっと触れましたが、昭和三十年にこの保険あるいはこの法律ができましたときに、再保険制度が発足したのは当時の損害保険会社の担保能力、資金力がまだ不十分と見られたからだと思っておりますが、先ほど申し上げましたように、約四十六年間のうちに、総資産量におきまして約三百倍という大きさになっておりますことが一つ挙げられます。したがいまして、資産という面から見て、担保能力には全く問題がない。
それから、先ほども申し上げましたが、自賠責保険はプール制度というのがございまして、各保険会社がそのプールに参加することによって損益を平準化するということが一つと、その中の一つの保険会社が支払い困難な状態に陥った場合には、その他の保険会社がこれをカバーするという制度が既にでき上がっております。
それからさらに、損害保険契約者保護機構というのが発足をいたしまして、ここで破綻した損害保険会社の契約者に対する保険金の補てんを行うということになっておりますが、自賠責保険については一〇〇%これを補償するということになっておりますので、セーフティーネットとしてはいわば二重の措置がとられておるということであります。
保険会社の資産力の面あるいはセーフティーネットという面、いずれの面から見ても、再保険制度を廃止しても大丈夫だというふうに考えております。
なお、最近におきまして平成十二年度の決算が二十六社の保険会社から発表されておりますが、その二十六社の保険会社が発表いたしました直近の決算で、いわゆるソルベンシーマージンと申しまして保険会社の支払い余力というものが開示されることになっておりますが、二十六社の結果を拝見いたしますと、いずれの保険会社も、一番低いところでも五〇〇%を超えております。高いところは一二〇〇%を超えるという状況であります。
このソルベンシーマージン基準を定めました保険業法の規定によりますと、二〇〇%を超えておればまず大丈夫といいますか、早期是正措置等は発動されないということになっておりますが、その二〇〇%という早期是正措置の基準値をはるかに上回る水準に損害保険会社の支払い能力はあるということでありますので、その点でもこの自賠責保険を引き受けております日本の損害保険会社の支払い能力には全く問題がないということをお答え申し上げておきます。ありがとうございました。
この発言だけを見る →先ほどもちょっと触れましたが、昭和三十年にこの保険あるいはこの法律ができましたときに、再保険制度が発足したのは当時の損害保険会社の担保能力、資金力がまだ不十分と見られたからだと思っておりますが、先ほど申し上げましたように、約四十六年間のうちに、総資産量におきまして約三百倍という大きさになっておりますことが一つ挙げられます。したがいまして、資産という面から見て、担保能力には全く問題がない。
それから、先ほども申し上げましたが、自賠責保険はプール制度というのがございまして、各保険会社がそのプールに参加することによって損益を平準化するということが一つと、その中の一つの保険会社が支払い困難な状態に陥った場合には、その他の保険会社がこれをカバーするという制度が既にでき上がっております。
それからさらに、損害保険契約者保護機構というのが発足をいたしまして、ここで破綻した損害保険会社の契約者に対する保険金の補てんを行うということになっておりますが、自賠責保険については一〇〇%これを補償するということになっておりますので、セーフティーネットとしてはいわば二重の措置がとられておるということであります。
保険会社の資産力の面あるいはセーフティーネットという面、いずれの面から見ても、再保険制度を廃止しても大丈夫だというふうに考えております。
なお、最近におきまして平成十二年度の決算が二十六社の保険会社から発表されておりますが、その二十六社の保険会社が発表いたしました直近の決算で、いわゆるソルベンシーマージンと申しまして保険会社の支払い余力というものが開示されることになっておりますが、二十六社の結果を拝見いたしますと、いずれの保険会社も、一番低いところでも五〇〇%を超えております。高いところは一二〇〇%を超えるという状況であります。
このソルベンシーマージン基準を定めました保険業法の規定によりますと、二〇〇%を超えておればまず大丈夫といいますか、早期是正措置等は発動されないということになっておりますが、その二〇〇%という早期是正措置の基準値をはるかに上回る水準に損害保険会社の支払い能力はあるということでありますので、その点でもこの自賠責保険を引き受けております日本の損害保険会社の支払い能力には全く問題がないということをお答え申し上げておきます。ありがとうございました。
桜
桜田義孝#13
○桜田委員 大変ありがとうございます。先ほど申しましたように、私自身は、日本の経済活力を高めるためには、さまざまな分野で官から民への事業移管というものを積極的に進めるべきだというふうに考えておるところですが、今回の自賠責の再保険制度の廃止が、損保各社の経営という観点からプラスの経済効果というものについて大きく期待するところがあるわけでありますが、運用面や事務の効率化等、今後、法改正で経営の自主性を生かせるようになった場合、各社にとってどのようなプラス効果というものが期待できるか、再度荒木専務にお願いしたいと思います。
この発言だけを見る →荒
荒木襄#14
○荒木参考人 お答え申し上げます。
これまで十の保険料をいただいたときに六は政府に再保険をする、そういう形であったものが、もう一〇〇%私どもの責任においてこの保険をお引き受けし運営をしていくということになったわけであります。したがいまして、もちろん事務的な面で再保険という事務手続がございますから、契約の場合あるいは保険金支払いの場合いずれも再保険に関連した事務というものが伴っておりまして、この事務がなくなるという面の効率化効果が一応経済的な効果としては考えられるわけであります。
なかなかこの計算は難しいのでありますが、保険会社全体で二億円ぐらいかなということが一応計算になっておりますが、経営という観点から申しますと、一〇〇%といいますか、保険会社が自立してこの自賠責保険制度を担っていくということを法律が成立しますと今回認められることになるわけでありますが、これは保険会社にとっては大変大きなことでありまして、昭和三十年以来、政府に六〇%依存しながら運用してきたものを一〇〇%我々が責任を持ってやるということでありますから、損害保険会社の経営者としては、従来にも増して文字どおり襟を正しながら、責任を持ってこの保険の運営に当たっていく。もちろん、資金運用に当たっても安定的な運用あるいは流動性に配慮した運用、安定的な収益の確保といった運用をいたしますけれども、同時に資金運用のコストもなるべく切り下げて運用の余剰を残していきたいということに当然なります。
保険会社の経営が主体性を持って今まで以上に積極的にこの保険について取り組んでいくということが、広く契約者なり被害者に対するサービスの改善ということにもつながっていこうかと思っております。そういう広い意味での経済的な効果といいますか、経営上の効果があるというふうに私は考えております。
以上でございます。
この発言だけを見る →これまで十の保険料をいただいたときに六は政府に再保険をする、そういう形であったものが、もう一〇〇%私どもの責任においてこの保険をお引き受けし運営をしていくということになったわけであります。したがいまして、もちろん事務的な面で再保険という事務手続がございますから、契約の場合あるいは保険金支払いの場合いずれも再保険に関連した事務というものが伴っておりまして、この事務がなくなるという面の効率化効果が一応経済的な効果としては考えられるわけであります。
なかなかこの計算は難しいのでありますが、保険会社全体で二億円ぐらいかなということが一応計算になっておりますが、経営という観点から申しますと、一〇〇%といいますか、保険会社が自立してこの自賠責保険制度を担っていくということを法律が成立しますと今回認められることになるわけでありますが、これは保険会社にとっては大変大きなことでありまして、昭和三十年以来、政府に六〇%依存しながら運用してきたものを一〇〇%我々が責任を持ってやるということでありますから、損害保険会社の経営者としては、従来にも増して文字どおり襟を正しながら、責任を持ってこの保険の運営に当たっていく。もちろん、資金運用に当たっても安定的な運用あるいは流動性に配慮した運用、安定的な収益の確保といった運用をいたしますけれども、同時に資金運用のコストもなるべく切り下げて運用の余剰を残していきたいということに当然なります。
保険会社の経営が主体性を持って今まで以上に積極的にこの保険について取り組んでいくということが、広く契約者なり被害者に対するサービスの改善ということにもつながっていこうかと思っております。そういう広い意味での経済的な効果といいますか、経営上の効果があるというふうに私は考えております。
以上でございます。
桜
桜田義孝#15
○桜田委員 今後とも積極的な経営によって、ぜひ契約者に対して幅広いサービスをお願いするところであります。
さて次に、再保険制度の廃止に伴ってセーフティーネットとして紛争処理の仕組みや機関を設けるということでありますけれども、その必要性においては、まだよく実感のつかめない部分がございます。そもそも、紛争処理解決方法として、当然司法にゆだねる部分もあるわけでありまして、まして自賠責制度の中で、専門機関としてこのような紛争処理の仕組みや機関を設けるということについては、どの程度の制度的必然性があるのか、お伺いしたいなと思っております。
言いかえれば、現在、この件に関してどのようなトラブル、紛争があり、紛争処理機関設置についてどのような社会的ニーズというものがあるのか、また、こうした紛争処理機関ができるとすれば、期待するものはどのようなものがあるか、具体的な例や件数を踏まえながら、倉沢参考人あるいはまた井手参考人に、それぞれお伺いできればありがたいと思っております。
この発言だけを見る →さて次に、再保険制度の廃止に伴ってセーフティーネットとして紛争処理の仕組みや機関を設けるということでありますけれども、その必要性においては、まだよく実感のつかめない部分がございます。そもそも、紛争処理解決方法として、当然司法にゆだねる部分もあるわけでありまして、まして自賠責制度の中で、専門機関としてこのような紛争処理の仕組みや機関を設けるということについては、どの程度の制度的必然性があるのか、お伺いしたいなと思っております。
言いかえれば、現在、この件に関してどのようなトラブル、紛争があり、紛争処理機関設置についてどのような社会的ニーズというものがあるのか、また、こうした紛争処理機関ができるとすれば、期待するものはどのようなものがあるか、具体的な例や件数を踏まえながら、倉沢参考人あるいはまた井手参考人に、それぞれお伺いできればありがたいと思っております。
倉
倉沢康一郎#16
○倉沢参考人 お答えいたします。
先生御指摘のように、本来、国民の間の権利義務の争いというものが究極的に解決されるのは司法機関によってだと思いますけれども、しかし、被害者救済を迅速に行う、もちろん公正を要素としながらも迅速に行うというときに、司法機関だけに頼るというようなことで社会的な要請にこたえ得るかというと、やはり問題がありまして、ラストリゾートとして、権利の存否というものは最終的に司法機関が判断するとしても、迅速な被害者救済のために、公正な裁判外紛争解決制度というものが仕組めますれば、これにこしたことはないと考えております。
殊に、責任保険というものが、ちょっと先生の前で大変釈迦に説法で恐縮でございますけれども、火災保険とか自動車の車両保険ですと、保険金支払いのための条件になる事実というものが、客観的な事実でございまして、それについての損害もまた、焼けた家屋とかあるいは壊れた自動車というものについての客観的な経済的価値の測定ということになりますが、責任保険ですと、自動車の事故において、加害者といいますか、運行者の方に法的責任があったかなかったかということによってその保険事故の発生の有無が決まるし、人身事故の場合に、その損害額というようなことが非常に専門技術的な要素がありまして、したがって、裁判外の紛争解決手続で、法律家とか医者であるとかその他専門的知識を有する人々が、公正中立な立場に立って迅速な被害者救済を図れるとすれば、これは望ましいことだと考えております。
したがって、こういう紛争解決で一番必要になってくるのは、有無責の判断の問題、それから、殊に人身事故の場合に、突発的に起こったその時点で損害が確定するわけではないという意味で、後遺障害の問題といった問題について、裁判外紛争処理制度の有用性というものはあろうかと思っております。
以上でございます。
この発言だけを見る →先生御指摘のように、本来、国民の間の権利義務の争いというものが究極的に解決されるのは司法機関によってだと思いますけれども、しかし、被害者救済を迅速に行う、もちろん公正を要素としながらも迅速に行うというときに、司法機関だけに頼るというようなことで社会的な要請にこたえ得るかというと、やはり問題がありまして、ラストリゾートとして、権利の存否というものは最終的に司法機関が判断するとしても、迅速な被害者救済のために、公正な裁判外紛争解決制度というものが仕組めますれば、これにこしたことはないと考えております。
殊に、責任保険というものが、ちょっと先生の前で大変釈迦に説法で恐縮でございますけれども、火災保険とか自動車の車両保険ですと、保険金支払いのための条件になる事実というものが、客観的な事実でございまして、それについての損害もまた、焼けた家屋とかあるいは壊れた自動車というものについての客観的な経済的価値の測定ということになりますが、責任保険ですと、自動車の事故において、加害者といいますか、運行者の方に法的責任があったかなかったかということによってその保険事故の発生の有無が決まるし、人身事故の場合に、その損害額というようなことが非常に専門技術的な要素がありまして、したがって、裁判外の紛争解決手続で、法律家とか医者であるとかその他専門的知識を有する人々が、公正中立な立場に立って迅速な被害者救済を図れるとすれば、これは望ましいことだと考えております。
したがって、こういう紛争解決で一番必要になってくるのは、有無責の判断の問題、それから、殊に人身事故の場合に、突発的に起こったその時点で損害が確定するわけではないという意味で、後遺障害の問題といった問題について、裁判外紛争処理制度の有用性というものはあろうかと思っております。
以上でございます。
井
井手渉#17
○井手参考人 紛争処理機関の必然性の問題につきましては、今倉沢先生からお話がありましたようなことと同じでございますが、迅速かつ適正に紛争を解決するということになりますと、司法の判断だけにゆだねるのにはやはり限界があるのではないか。やはり国の適切な監督のもとで、弁護士とか医師とか学識経験者あるいは被害者による公正中立な紛争処理機関を設けることが必要だと思っております。
次に、保険金支払いのトラブルの紛争の例についてでございますが、今までありました実例を申し上げますと、被害者が死亡した場合、加害者の言い分などで査定される場合が非常に多く見られます。
例えば、町田市で起こったことですが、飲酒運転の車にひき逃げされ即死された若い女性がありました。自算会は加害者の言い分をもとに無責と査定しまして、遺族には自賠責保険が一切支払われていないわけです。飲酒運転やひき逃げは道路交通法違反だが過失はないという自算会の答えでありました。その後、事故鑑定士などの方々によって科学的に調査されましたところ、どうも加害者の言い分に非常に疑問があるわけであります。また、そのほかにも、トラック同士の衝突事故で三十一歳の夫を亡くした女性がありましたが、この場合も、加害者無責という判断が下されまして、全く賠償が受けられませんでした。幼い子供を抱えて途方に暮れている家庭が実際にあるわけです。
国民のために、自賠責の使命というものは、こういうものを救うのが本当の使命ではないかと私は思います。こういうことができないようでは、自賠責の本来の目的が達成されないというふうに思っております。
それから、期待するものとして、やはりこういうものを防ぐためには、科学的な手法によって、情報を早く開示して、こういうふうな無責の実態というのがないようにしてほしいというように思うわけです。その例としまして、例えば、死亡した場合は障害を負った者よりも十倍ほど無責が多いということも、やはりその例として言えるのではないかというふうに思っております。
この発言だけを見る →次に、保険金支払いのトラブルの紛争の例についてでございますが、今までありました実例を申し上げますと、被害者が死亡した場合、加害者の言い分などで査定される場合が非常に多く見られます。
例えば、町田市で起こったことですが、飲酒運転の車にひき逃げされ即死された若い女性がありました。自算会は加害者の言い分をもとに無責と査定しまして、遺族には自賠責保険が一切支払われていないわけです。飲酒運転やひき逃げは道路交通法違反だが過失はないという自算会の答えでありました。その後、事故鑑定士などの方々によって科学的に調査されましたところ、どうも加害者の言い分に非常に疑問があるわけであります。また、そのほかにも、トラック同士の衝突事故で三十一歳の夫を亡くした女性がありましたが、この場合も、加害者無責という判断が下されまして、全く賠償が受けられませんでした。幼い子供を抱えて途方に暮れている家庭が実際にあるわけです。
国民のために、自賠責の使命というものは、こういうものを救うのが本当の使命ではないかと私は思います。こういうことができないようでは、自賠責の本来の目的が達成されないというふうに思っております。
それから、期待するものとして、やはりこういうものを防ぐためには、科学的な手法によって、情報を早く開示して、こういうふうな無責の実態というのがないようにしてほしいというように思うわけです。その例としまして、例えば、死亡した場合は障害を負った者よりも十倍ほど無責が多いということも、やはりその例として言えるのではないかというふうに思っております。
桜
赤
玉
玉置一弥#20
○玉置委員 民主党の玉置一弥でございます。
きょうは、参考人の皆さん方、大変お忙しい中、国土交通委員会の審議に御参加いただきまして、ありがとうございます。
私ども長年の念願でありました自賠責保険の再保険廃止、これが政府の方でようやく踏み切られまして、今回の改正案が出てきたわけでございますが、一方では、いつの間にか運用益がごく当たり前になりまして、本来、保険事業や、あるいは国がやらなければいけない被害者救済、あるいは交通事故対策、こういう面で固定的経費が発生する、こういうふうな事態になりました。自賠責の特会の方の会計も、ここ数年は赤字状態ということでございまして、従来自賠責の再保険廃止を叫んでおりました十年以前から比べますと、かえって状況がちょっと悪くなったような感じがするわけでございます。しかしまあ、片方では再保険廃止のメリットというのはもっと大きいだろうという期待感もございまして、私どももこの法案には賛成をしようという態度で臨んでいるわけでございますが、各参考人にそれぞれまずお伺いを申し上げたいと思います。
再保険廃止のメリットをどういうふうにとらえておられるかということと、信用補てん、今までは国が再保険という形で最終的ないろいろな責任をとろうということでございましたが、先ほどからのお話のように、このリスクヘッジについては、十一年ですか、プール制ができまして、これでかなり大幅な前向きなことができるようになったというふうに私どもは理解しておりますが、それ以外にも、例えば、損保業界の方でのメリットとか、あるいは保険制度そのものについてのメリットとか、こういうのもあれば、お伺いをしたいと思います。
それでは、倉沢参考人、荒木参考人、加藤参考人、三名にお伺いいたします。
この発言だけを見る →きょうは、参考人の皆さん方、大変お忙しい中、国土交通委員会の審議に御参加いただきまして、ありがとうございます。
私ども長年の念願でありました自賠責保険の再保険廃止、これが政府の方でようやく踏み切られまして、今回の改正案が出てきたわけでございますが、一方では、いつの間にか運用益がごく当たり前になりまして、本来、保険事業や、あるいは国がやらなければいけない被害者救済、あるいは交通事故対策、こういう面で固定的経費が発生する、こういうふうな事態になりました。自賠責の特会の方の会計も、ここ数年は赤字状態ということでございまして、従来自賠責の再保険廃止を叫んでおりました十年以前から比べますと、かえって状況がちょっと悪くなったような感じがするわけでございます。しかしまあ、片方では再保険廃止のメリットというのはもっと大きいだろうという期待感もございまして、私どももこの法案には賛成をしようという態度で臨んでいるわけでございますが、各参考人にそれぞれまずお伺いを申し上げたいと思います。
再保険廃止のメリットをどういうふうにとらえておられるかということと、信用補てん、今までは国が再保険という形で最終的ないろいろな責任をとろうということでございましたが、先ほどからのお話のように、このリスクヘッジについては、十一年ですか、プール制ができまして、これでかなり大幅な前向きなことができるようになったというふうに私どもは理解しておりますが、それ以外にも、例えば、損保業界の方でのメリットとか、あるいは保険制度そのものについてのメリットとか、こういうのもあれば、お伺いをしたいと思います。
それでは、倉沢参考人、荒木参考人、加藤参考人、三名にお伺いいたします。
倉
倉沢康一郎#21
○倉沢参考人 再保険によって担保せざるを得ないという状況が昭和三十年ごろの損保業界のあり方だったわけですけれども、再保険契約は、私のように法律をやっている者から見ますと、二つの契約が重複して行われて、本来、元受け保険において、その元受け保険でカバーされるべきリスクを、元受け保険の保険者が再びまたリスクヘッジの保険契約を結ぶという構造になっておりますものですから、もしもこれが、保険会社が国の被害者保護の法律に基づく保険についても十全な担保力があるということになるとすれば、私は法律をやっているものですからどのように幾らメリットが出るかということはわかりませんが、少なくとも、契約を重複して行うということは、これは過渡的な制度だったのではないかと考えております。
これでよろしゅうございましょうか。
この発言だけを見る →これでよろしゅうございましょうか。
荒
荒木襄#22
○荒木参考人 自賠責保険におきます再保険制度の意味といいますか、先ほども少しお話しいたしましたが、もともと損害保険におきますこの再保険制度というのは広く行われている制度でございますが、これは、損害保険をお引き受けした保険会社が、自分の資産その他の担保能力から見て、それを上回るような大きな御契約をお引き受けしたときに再保険をするというのが本来的な役割であります。これはもう古くから行われている損害保険の大変重要な慣行でございます。
自賠責保険における再保険制度の役割というのはそれと少し違いまして、先ほど来申し上げましたように、昭和三十年に強制的な賠償責任保険を我が国に導入するときに、一つには、交通事故に伴う損害賠償金がどのくらいの水準であるか、あるいは交通事故に伴って支出される医療費といいますか、それが大体どのくらいになっているかということの統計的なものは恐らく非常に不十分だったんではないかと思われます。そういう中で、国民といいますか、自動車を運行する人には法律によって義務づけられる保険でございますから、この保険がうまく運営できなくなるということは大変ゆゆしき問題であります。したがいまして、政府が再保険という形でこの制度に関与することによって安定的な運営を図ったというのは、非常に正しい判断であったろうと私は思っております。
それからもう一つは、被害者救済のための適正な保険金支払いの確保という意味で、一つのチェックの手段として再保険制度を利用なさったということも十分意味のあったことではないかと思っております。
これがこの自賠法改正案では廃止をするということになっておりまして、私は、先ほども申し上げましたが、このことが持っている経営上の意味というのは大変大きいと思っております。直接的には、再保険に伴う事務の省力化といいますか、節約ということがもちろんあるわけでありますけれども、これまで六〇%を国に依存しておった自賠責保険の経営が一〇〇%損害保険の自主的な経営にゆだねられるということは、反面において非常に大きな責任を伴うわけであります。
そういう観点で、私どもは、自賠責保険に限らず、損害保険全般の経費のあり方、事業費のあり方等についてさらに見直しをいたしまして、経費の縮減に努める必要があると考えておりますし、それから、競争によって、市場の中で私ども営業しているわけでありますから、保険契約者に対する満足を与えるといいますか、保険契約者から信用していただくということのほかに、自賠責保険のように、被害者と言われる方々からも損害保険会社が信頼をされるということが私ども競争下における損害保険会社としては極めて重要な問題であります。被害者の評判を落とす保険会社というのは、恐らく競争の中で消えていかざるを得ない運命になるだろうと思っております。
そういう意味から、今回の再保険制度の廃止を機に、保険会社の経営としてもこの保険についてさらに積極的な構えで取り組んでいきたい、そのことが全般的な経費の縮減にもつながるであろうし、サービスの充実ということにもつながっていくであろうということを確信しているところであります。
以上でございます。
この発言だけを見る →自賠責保険における再保険制度の役割というのはそれと少し違いまして、先ほど来申し上げましたように、昭和三十年に強制的な賠償責任保険を我が国に導入するときに、一つには、交通事故に伴う損害賠償金がどのくらいの水準であるか、あるいは交通事故に伴って支出される医療費といいますか、それが大体どのくらいになっているかということの統計的なものは恐らく非常に不十分だったんではないかと思われます。そういう中で、国民といいますか、自動車を運行する人には法律によって義務づけられる保険でございますから、この保険がうまく運営できなくなるということは大変ゆゆしき問題であります。したがいまして、政府が再保険という形でこの制度に関与することによって安定的な運営を図ったというのは、非常に正しい判断であったろうと私は思っております。
それからもう一つは、被害者救済のための適正な保険金支払いの確保という意味で、一つのチェックの手段として再保険制度を利用なさったということも十分意味のあったことではないかと思っております。
これがこの自賠法改正案では廃止をするということになっておりまして、私は、先ほども申し上げましたが、このことが持っている経営上の意味というのは大変大きいと思っております。直接的には、再保険に伴う事務の省力化といいますか、節約ということがもちろんあるわけでありますけれども、これまで六〇%を国に依存しておった自賠責保険の経営が一〇〇%損害保険の自主的な経営にゆだねられるということは、反面において非常に大きな責任を伴うわけであります。
そういう観点で、私どもは、自賠責保険に限らず、損害保険全般の経費のあり方、事業費のあり方等についてさらに見直しをいたしまして、経費の縮減に努める必要があると考えておりますし、それから、競争によって、市場の中で私ども営業しているわけでありますから、保険契約者に対する満足を与えるといいますか、保険契約者から信用していただくということのほかに、自賠責保険のように、被害者と言われる方々からも損害保険会社が信頼をされるということが私ども競争下における損害保険会社としては極めて重要な問題であります。被害者の評判を落とす保険会社というのは、恐らく競争の中で消えていかざるを得ない運命になるだろうと思っております。
そういう意味から、今回の再保険制度の廃止を機に、保険会社の経営としてもこの保険についてさらに積極的な構えで取り組んでいきたい、そのことが全般的な経費の縮減にもつながるであろうし、サービスの充実ということにもつながっていくであろうということを確信しているところであります。
以上でございます。
加
加藤裕治#23
○加藤参考人 加藤でございます。
二点にわたって考え方を申し上げたいと思います。
一点につきましては、先ほど冒頭申し上げましたように、行政改革という一つの課題の観点から申すならば、百万件を超す処理件数があるわけでございますが、これらが少なくとも全数チェックということではなくなるわけでありますので、国土交通省における事務処理というのは大幅に低減をされるのではないかということがあると思います。
二点目でございますけれども、今、荒木参考人、倉沢参考人もお述べになりましたので繰り返しは避けますけれども、制度を一元的に管理していくことによっての効率化ということが期待できるわけでございますし、これは、金額はわずかということもあるかもしれませんが、私ども国民の立場から見たときに、この自賠責の制度というのは、存在そのものは、ユーザー、国民は大変広く知るところでございますけれども、この会計といいますか決算といいますか、財政の中身がどのようになっているかということはなかなかわかりにくいわけでございます。
そもそもこの保険制度というのは、車検制度と一体になって、諸経費として一万七千円ぐらいの年間の保険料を払うことになっておりますが、ユーザーの側から見るとそのときに認識するぐらいということで、私ども自賠責審議会の委員にしてみてもそうなんですが、いわば再保険のせいばかりではございませんが、全体の会計の中身というのが非常にわかりにくいものになっております。
これらが民間で一元的に行われるようになってまいりますと、私どもとしては、これが民間の会計処理原則にのっとってよりわかりやすいものになっていくということを期待しておりますし、損保各社におかれても、業界におかれても、そういった面で国民の認知度を高める、あるいは効率的、わかりやすい運用ということで、ぜひその辺にも大いに努力をしていただきたいと考えるところでございます。
以上でございます。
この発言だけを見る →二点にわたって考え方を申し上げたいと思います。
一点につきましては、先ほど冒頭申し上げましたように、行政改革という一つの課題の観点から申すならば、百万件を超す処理件数があるわけでございますが、これらが少なくとも全数チェックということではなくなるわけでありますので、国土交通省における事務処理というのは大幅に低減をされるのではないかということがあると思います。
二点目でございますけれども、今、荒木参考人、倉沢参考人もお述べになりましたので繰り返しは避けますけれども、制度を一元的に管理していくことによっての効率化ということが期待できるわけでございますし、これは、金額はわずかということもあるかもしれませんが、私ども国民の立場から見たときに、この自賠責の制度というのは、存在そのものは、ユーザー、国民は大変広く知るところでございますけれども、この会計といいますか決算といいますか、財政の中身がどのようになっているかということはなかなかわかりにくいわけでございます。
そもそもこの保険制度というのは、車検制度と一体になって、諸経費として一万七千円ぐらいの年間の保険料を払うことになっておりますが、ユーザーの側から見るとそのときに認識するぐらいということで、私ども自賠責審議会の委員にしてみてもそうなんですが、いわば再保険のせいばかりではございませんが、全体の会計の中身というのが非常にわかりにくいものになっております。
これらが民間で一元的に行われるようになってまいりますと、私どもとしては、これが民間の会計処理原則にのっとってよりわかりやすいものになっていくということを期待しておりますし、損保各社におかれても、業界におかれても、そういった面で国民の認知度を高める、あるいは効率的、わかりやすい運用ということで、ぜひその辺にも大いに努力をしていただきたいと考えるところでございます。
以上でございます。
玉
玉置一弥#24
○玉置委員 今、加藤さんおっしゃったように、自賠責保険というのは、自動車販売会社とか整備会社が強制加入、いわゆる車検の手続をするときに契約するということで、どちらかというと、ユーザーが選択するよりも、間に立った登録をする人たちが選択をする場合が非常に多い。任意保険の場合は、ユーザー志向というのはかなりあらわれているということが言えると思うので、再保険を廃止されても状況は変わらないと思いますが、できるだけユーザーニーズに合ったようなものに保険会社はいろいろ企画されてやられるという方向が出てくるといいなというふうに思います。
紛争処理機関の中立性の問題とか、それから、被害者救済の財源についていろいろと危惧をされております井手参考人にお伺いをいたしたいと思います。
被害者救済の財源は、五年間はこれで確保できるという見通しが今一応つけられておりますけれども、まず、今で十分かどうかということと、それから、将来にわたってこういう財源が要るじゃないかという、今までなかなか表に出ていないところについてぜひお伺いしたい。
それから、重度後遺障害の認定について、これは、私どももこの件についての陳情をよくお受けするんですけれども、どうも障害者の方が思っているのと実際に認定されているのと大分違うというのと、それから、実際にかかっている費用が十分に補てんされていない、こういう話を私たちよく聞くんですが、この辺についてちょっとお話をお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →紛争処理機関の中立性の問題とか、それから、被害者救済の財源についていろいろと危惧をされております井手参考人にお伺いをいたしたいと思います。
被害者救済の財源は、五年間はこれで確保できるという見通しが今一応つけられておりますけれども、まず、今で十分かどうかということと、それから、将来にわたってこういう財源が要るじゃないかという、今までなかなか表に出ていないところについてぜひお伺いしたい。
それから、重度後遺障害の認定について、これは、私どももこの件についての陳情をよくお受けするんですけれども、どうも障害者の方が思っているのと実際に認定されているのと大分違うというのと、それから、実際にかかっている費用が十分に補てんされていない、こういう話を私たちよく聞くんですが、この辺についてちょっとお話をお伺いしたいと思います。
井
井手渉#25
○井手参考人 ただいまユーザーのことについて一つお話がありましたが、よくユーザー、ユーザーとおっしゃるんですけれども、加藤先生は、ユーザー還元、ユーザー還元と盛んに言っておられましたけれども、ユーザーが被害者になることもあるわけでありまして、自分はユーザーだけであって被害者にならないというのはおかしいと思うんですね。ユーザーはだれなのかというと、やはり加害者もなり得ることですから、被害者の救済を図るということがユーザー還元であるというふうに思っております。
先ほど問題になりました後遺障害者の現状というものについて、よく知られていないようですので、ちょっと時間がかかりますが、申し上げさせていただきます。
現在、後遺障害者は、家庭で介護している場合は一日二千二百五十円です。ヘルパーを頼みますと、介護料は四千五百円になります。しかし、医療処置がある場合には、ヘルパーさんではできませんので、どうしても家族がその場を離れることはできない、ほとんど家族は介護しているという状況であります。
こういうふうに、十分でない介護費用も、一級の障害の人だけなんです。純粋に、つまり植物状態の人しかできていない。意識が戻った場合にはこれが打ち切られる。しかし、意識が戻ったとすれば、今度は介護に対する労働力が重なってくる。今度の改正案で二級ということまで広がっておりますけれども、実際のところ、二級の人よりは金額が余り変わっていないということであります。
それから、事故センターの実態なんですけれども、実際に今センターに入所したいと思っている方が、知っているだけで千人ぐらいいらっしゃるそうですが、実際にこの事故センターを知らない人も多い。全国では、今四カ所しかありません。百八十床なんです。千人も待機者がいるのに、百八十床しかない。これでは、被害者の対策は十分だとは私には思われません。
また、入院基準も非常に問題がありまして、植物状態から脱却した人が二〇%と言っておられますけれども、これもどうも、作為的というか、事故歴が低くて、二十歳前後で、回復見込みのある人を選んでいると思われるような節がございます。
それから、ショートステイの問題としましては、預かってくれる病院はないので、結局、検査入院ということになります。差額ベッド代を支払って入院することになりますが、それでも、病院によっては家族の付き添いが必要となりまして、何のためのショートステイなのかわからないのが現状であります。事故対から一万円ぐらい出ておりますけれども、実際、最低一万五千円から二万円ぐらいかかっているというのが現状であります。
協力病院ということが考えられておりますが、事故対から病院一年間につき一千万円という助成金が支払われていますが、いまだに新しい協力病院の申し出はありません。
このような実情を厚生省に訴えますと、交通事故の被害者は国土交通省だと言われる。また、国土交通省からは、これは被害者の支援をもっと大きく、これを社会保障的に対応したらいいんじゃないかということになって、障害者、特に若年の植物状態にある被害者を抱えた家族は、本当に、今後、将来何の目的も持てないわけであります。ただきょう一日、また、それが過ぎたらもう一日生命を長らえる、そういう悲惨な状態でありまして、二十四時間介護をしているというのが現状でありまして、親は、風邪も引けない、病気になることもできない、歯の治療にも行けないという状況にあります。
私たちが一番問題にしているのは、親亡き後の子供の状態なのでありますけれども、実際に親が亡くなった後の子供たちのことを考えてみますと、今の例から見ますと、早く言いますと、殺しはしないけれども生かしておくというふうな感じであります。何カ所かの施設を十日から十四日ぐらいでたらい回しにされて、そして、そういう状態でありますから、自分たちが亡くなった後、子供たちはどういうふうになるのかと思うと死んでも死に切れないという後遺障害者が多いわけです。
交通事故というのは交通犯罪によって起こったものでありますから、社会保障でやればいいんだという考えは非常におかしいと思う。これはやはり自賠責の問題として真剣に取り組んでほしい。こういう困っている人を救済できないで、政府再保険廃止ありきではどうかなというふうに思うわけです。これは一概に、簡単にはいかないかもしれませんけれども、きょうは、後遺障害者の置かれている非常に苦しい実態ということをわかっていただきたいと思って申し上げました。
以上です。
この発言だけを見る →先ほど問題になりました後遺障害者の現状というものについて、よく知られていないようですので、ちょっと時間がかかりますが、申し上げさせていただきます。
現在、後遺障害者は、家庭で介護している場合は一日二千二百五十円です。ヘルパーを頼みますと、介護料は四千五百円になります。しかし、医療処置がある場合には、ヘルパーさんではできませんので、どうしても家族がその場を離れることはできない、ほとんど家族は介護しているという状況であります。
こういうふうに、十分でない介護費用も、一級の障害の人だけなんです。純粋に、つまり植物状態の人しかできていない。意識が戻った場合にはこれが打ち切られる。しかし、意識が戻ったとすれば、今度は介護に対する労働力が重なってくる。今度の改正案で二級ということまで広がっておりますけれども、実際のところ、二級の人よりは金額が余り変わっていないということであります。
それから、事故センターの実態なんですけれども、実際に今センターに入所したいと思っている方が、知っているだけで千人ぐらいいらっしゃるそうですが、実際にこの事故センターを知らない人も多い。全国では、今四カ所しかありません。百八十床なんです。千人も待機者がいるのに、百八十床しかない。これでは、被害者の対策は十分だとは私には思われません。
また、入院基準も非常に問題がありまして、植物状態から脱却した人が二〇%と言っておられますけれども、これもどうも、作為的というか、事故歴が低くて、二十歳前後で、回復見込みのある人を選んでいると思われるような節がございます。
それから、ショートステイの問題としましては、預かってくれる病院はないので、結局、検査入院ということになります。差額ベッド代を支払って入院することになりますが、それでも、病院によっては家族の付き添いが必要となりまして、何のためのショートステイなのかわからないのが現状であります。事故対から一万円ぐらい出ておりますけれども、実際、最低一万五千円から二万円ぐらいかかっているというのが現状であります。
協力病院ということが考えられておりますが、事故対から病院一年間につき一千万円という助成金が支払われていますが、いまだに新しい協力病院の申し出はありません。
このような実情を厚生省に訴えますと、交通事故の被害者は国土交通省だと言われる。また、国土交通省からは、これは被害者の支援をもっと大きく、これを社会保障的に対応したらいいんじゃないかということになって、障害者、特に若年の植物状態にある被害者を抱えた家族は、本当に、今後、将来何の目的も持てないわけであります。ただきょう一日、また、それが過ぎたらもう一日生命を長らえる、そういう悲惨な状態でありまして、二十四時間介護をしているというのが現状でありまして、親は、風邪も引けない、病気になることもできない、歯の治療にも行けないという状況にあります。
私たちが一番問題にしているのは、親亡き後の子供の状態なのでありますけれども、実際に親が亡くなった後の子供たちのことを考えてみますと、今の例から見ますと、早く言いますと、殺しはしないけれども生かしておくというふうな感じであります。何カ所かの施設を十日から十四日ぐらいでたらい回しにされて、そして、そういう状態でありますから、自分たちが亡くなった後、子供たちはどういうふうになるのかと思うと死んでも死に切れないという後遺障害者が多いわけです。
交通事故というのは交通犯罪によって起こったものでありますから、社会保障でやればいいんだという考えは非常におかしいと思う。これはやはり自賠責の問題として真剣に取り組んでほしい。こういう困っている人を救済できないで、政府再保険廃止ありきではどうかなというふうに思うわけです。これは一概に、簡単にはいかないかもしれませんけれども、きょうは、後遺障害者の置かれている非常に苦しい実態ということをわかっていただきたいと思って申し上げました。
以上です。
玉
玉置一弥#26
○玉置委員 時間が参りましたので終わりますが、今おっしゃったように、やはり被害者の御両親、同居をされて介護されている方々、こういうことを思うと、まだまだやらなければいけないことがたくさんあると思います。また審議の中でお話を申し上げたいと思います。
ありがとうございました。
この発言だけを見る →ありがとうございました。
赤
井
井上義久#28
○井上(義)委員 公明党の井上義久でございます。
本日は、参考人の皆様には、御多忙の中、本委員会に出席を賜りまして、貴重な御意見を賜りまして、心から御礼、感謝申し上げる次第でございます。
まず初めに、井手参考人にお伺いしたいと思います。
お子様を交通事故で亡くされた由を承りました。心から哀悼の意を表し、また御冥福をお祈り申し上げる次第でございます。また、その悲しみを乗り越えて被害者救済の任に当たられておりますことに対しても、心から敬意を表する次第でございます。
具体的な提案、二つあったわけでございまして、一つは、交通事故被害者救済のために財源を十分に確保し、救済内容を充実することだというお話がございました。また、ただいまは、後遺障害者の現状について、本当に大変な中、皆さん介護等に当たられていることをお伺いいたしまして、こうした問題に真剣に取り組まなければいけないなと改めて決意したところでございます。
今後拡充しなければならない被害者救済事業について、具体的な御提案があれば、この機会にぜひお聞かせいただきたい。現状の療護センター及び介護料、また短期入院制度などの一層の拡充のほか、後遺障害者のための、先ほどもお話がございましたけれども、親亡き後の支援施設の設置など、課題が多いと思いますけれども、具体的な御提案がありましたら、ぜひお伺いしたいというのが一点でございます。
もう一点は、保険金の支払いの適正化のために国の関与が必要だという御指摘でございますけれども、私もそのとおりだと思います。それも含めて、事故被害者の立場から、保険実務を行う損保業界に対しても御要望がありましたら、あわせてお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →本日は、参考人の皆様には、御多忙の中、本委員会に出席を賜りまして、貴重な御意見を賜りまして、心から御礼、感謝申し上げる次第でございます。
まず初めに、井手参考人にお伺いしたいと思います。
お子様を交通事故で亡くされた由を承りました。心から哀悼の意を表し、また御冥福をお祈り申し上げる次第でございます。また、その悲しみを乗り越えて被害者救済の任に当たられておりますことに対しても、心から敬意を表する次第でございます。
具体的な提案、二つあったわけでございまして、一つは、交通事故被害者救済のために財源を十分に確保し、救済内容を充実することだというお話がございました。また、ただいまは、後遺障害者の現状について、本当に大変な中、皆さん介護等に当たられていることをお伺いいたしまして、こうした問題に真剣に取り組まなければいけないなと改めて決意したところでございます。
今後拡充しなければならない被害者救済事業について、具体的な御提案があれば、この機会にぜひお聞かせいただきたい。現状の療護センター及び介護料、また短期入院制度などの一層の拡充のほか、後遺障害者のための、先ほどもお話がございましたけれども、親亡き後の支援施設の設置など、課題が多いと思いますけれども、具体的な御提案がありましたら、ぜひお伺いしたいというのが一点でございます。
もう一点は、保険金の支払いの適正化のために国の関与が必要だという御指摘でございますけれども、私もそのとおりだと思います。それも含めて、事故被害者の立場から、保険実務を行う損保業界に対しても御要望がありましたら、あわせてお伺いしたいと思います。
井
井手渉#29
○井手参考人 親亡き後のことにつきましては、先ほど具体的な事例を申し上げましたが、このことは本当に切実な問題だと思っております。自分たちが亡くなった後、傷ついた子供たちがどのようになるかと案じると気が気でないということが推察されます。先ほども申し上げましたが、これは交通犯罪によって起こっているんです。ですから、社会福祉制度でやればいいんだというふうなことでは、自賠責の問題として積極的に取り組むという姿勢はうかがえません。これでは責任を放棄しているとしか思われないと私は思っております。
損害賠償というのは、先ほども申しましたが、他人に与えた損害をてん補して、損害のない状態と同じ状態にすることであります。したがって、現在のところ、加害者はもとの生活に戻っておりますけれども、被害者はもとの状態には戻れないんです。このことが死ぬまで続くわけです。この問題が解決できないようでは、後遺障害者の問題というのは、問題を提起しただけであって、お茶を濁して終わってしまうという懸念があります。本気で解決する決意があるのであれば、やはり運用益を使って少しでも後遺障害者の苦しみを、人間として、物でなくて人間として受けとめて、真剣にやってほしいと思っております。そうでなければ、被害者に苦痛を強いるだけのスタンスに変わらないというふうに思っております。
それから、賦課金の問題で、社会保障制度ですればいいじゃないかという御意見がありましたが、これはやはりさっき申しましたように、そう簡単に賦課金なんというものはできるものではありませんから、今ある運用益を使って、困っている被害者のために使ってほしいというふうに切望しております。
以上です。
この発言だけを見る →損害賠償というのは、先ほども申しましたが、他人に与えた損害をてん補して、損害のない状態と同じ状態にすることであります。したがって、現在のところ、加害者はもとの生活に戻っておりますけれども、被害者はもとの状態には戻れないんです。このことが死ぬまで続くわけです。この問題が解決できないようでは、後遺障害者の問題というのは、問題を提起しただけであって、お茶を濁して終わってしまうという懸念があります。本気で解決する決意があるのであれば、やはり運用益を使って少しでも後遺障害者の苦しみを、人間として、物でなくて人間として受けとめて、真剣にやってほしいと思っております。そうでなければ、被害者に苦痛を強いるだけのスタンスに変わらないというふうに思っております。
それから、賦課金の問題で、社会保障制度ですればいいじゃないかという御意見がありましたが、これはやはりさっき申しましたように、そう簡単に賦課金なんというものはできるものではありませんから、今ある運用益を使って、困っている被害者のために使ってほしいというふうに切望しております。
以上です。