阪田雅裕の発言 (憲法調査会)
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○参考人(阪田雅裕君) 今、たしか五点お尋ねがあったかと思いますが、まず私の方から説明をさせていただきます。
第一点は、国会決議の法的な意義ということでございます。
一般論として申し上げますと、いわゆる国会決議はそういう形で行われる議院の意思表示でございます。国政の諸般の事項に関して、政府に対して国会としての要望等を行うために行われてきているものというふうに承知しております。
国会決議がなされた場合に、政府としては議院の意思として示された決議の趣旨、これを十分に尊重して行政を遂行する責務を有するということは当然であろうかと思いますが、ただ、国会決議には法的な意味での拘束力まであるかと言われると、そこは否定的たらざるを得ません。
仮に国会が内閣を法的に拘束しようとされるのでございますれば、法律の形式でその意思を確定する必要があるわけですし、事柄によろうかと思いますが、中には例えば憲法解釈のような問題であっても、立法を通じて国会のお考えを明らかにされるということが可能なものもあるのではないかというふうに考えております。
それから、二番目の総理のリーダーシップの点でありますけれども、これも先ほども申し上げましたように、我が国の総理は議院内閣制のもとでは合議体たる内閣の代表者という立場を超えることはできないわけでございますから、独任制の大統領などとは違ってその権限におのずから限界があるというのはやむを得ないものだと思っております。
ただ、御指摘がありましたように、今般の中央省庁改革とあわせて行われました内閣法の改正によりまして、これは多分に確認的だというふうに考えておりますけれども、閣議の主宰者としての首相の発議権というのを内閣法上明記いたしました。それからまた、特定された事項につきましては、あらかじめ閣議にかけて内閣としての基本方針を定めておくという方法によりまして、そういう事態が発生した場合の個々具体的な措置につきましては総理が臨機に指揮監督するということも可能であろうかと思います。現に、例えば重大テロ事件等の発生時の初動措置に関しましては既に基本方針が閣議決定をされております。これに基づきまして、そういう事態が発生した場合は内閣総理大臣が指揮監督できるという体制を整えているところであります。
なお、総理は、指揮監督権の行使というそういう法的な枠組みでなくても、行政各部に対して指導とか助言といったような形で指示をなさるということはできるわけでございます。高度に政治的な決断を要するとか、あるいは非常に緊急を要するといったような場合には、必要に応じてそのような指示により対処するということも可能であろうかというふうに思っております。もちろん、これは事実上のものであります。
それから、閣内不統一のお話。これは、憲法六十六条三項が先ほど言いましたように内閣の国会に対する連帯責任を規定しているということとの関係で問題になるものであろうかと思います。したがいまして、国務大臣でありましても、一政治家あるいは政党の一員としての立場から個人的見解をお述べになるということがあっても、それは国務大臣の立場では内閣の方針に従うということであります以上、直ちにいわゆる閣内不統一の問題が生ずるということはない。これに対しまして、仮に国務大臣の立場で明らかにその内閣の一体性を損なうような言動をとるというような場合は、いわゆる閣内不統一の問題を生ずるものと考えられます。
どういう場合がそうかというのは、もう本当にケース・バイ・ケースとしか言いようがないわけですけれども、政府は従来から、国務大臣が一政治家あるいは政党の一員としての立場で見解を述べる場合には、国務大臣としての発言ではないかというふうに誤解されることがないよう十分に慎重に対処する必要があるということは述べてきているところであります。
それから、首相公選制でありますけれども、これも先ほど申し上げましたように、首相を国民の投票によって選ぶという仕組みとするためには憲法改正が必要なことは言うまでもないわけでありますが、その際、少なくとも、総理を国会が議決して指名するんだということを決めております憲法六十七条、それからこの指名を前提として天皇が任命することになっております六条一項、これの改正が必要なことは当然でありますけれども、それ以外はちょっと、具体的な仕組みがどうなるかということをまたないと何とも言えない。
ただ、法律上の論点といたしましては、例えば行政権の主体を、今、内閣でありますが、これを引き続き内閣制度ということでやるのか、そうではなくて独任制の首相ということにするのかとか、それから国会との関係、特に不信任議決ができることにするのか、あるいは国会を解散することができるのかとか、それからリコールの制度を設けるか、あるいは首相が欠けるという事態になったときにどのように対処するかといったような問題があるのではないかというふうに考えております。