坂口力の発言 (厚生労働委員会)
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○国務大臣(坂口力君) 厚生労働大臣の坂口でございます。
厚生労働委員会の御審議に先立ちまして、厚生労働行政についての所信を申し述べ、委員各位を初め、国民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げたいと存じます。
中央省庁の再編という歴史的な改革の一環として厚生労働省が新たに発足をし、人の誕生から雇用、老後の保障まで、国民生活に安心と活力をもたらす政策を総合的かつ一体的に展開する体制が整いました。初代の厚生労働大臣として、国民の皆様に厚生労働省が発足してよかったと実感していただけるよう、私自身が先頭に立って厚生労働行政の推進に全力を尽くしてまいります。
まず初めに、KSD問題につきましては、旧労働省がこれまで数次にわたり指導を行ってきたところでありますが、今般このような事態に至ったことは極めて遺憾であり、結果として指導が十分に徹底していなかったことを深く反省しております。今後は、公益法人KSDについて、過去の責任を明確にした上で、公益法人として適切な運営が図られるよう厳正に指導してまいります。さらに、今回の事態を踏まえ、所管の公益法人がこのような不祥事を起こすことのないよう指導監督体制を強化したところであり、公益法人に対する厳正な指導監督を徹底していく決意であります。
さて、我が国の経済社会システムが急速な少子高齢化などにより大きく変貌を遂げようとしている中、国民生活の礎である社会保障制度を将来にわたって安定的かつ効率的なものとして再構築することが急務となっております。
昨年十月末、社会保障構造の在り方について考える有識者会議から御提言をいただき、これを受けて、政府、与党連携のもと、政府・与党社会保障改革協議会が発足いたしました。今後、三月末を目途に改革の理念や基本的考え方を明らかにする大綱を取りまとめるとともに、これに基づき具体的推進方策を協議していくこととしております。
特に、国民の老後を支える基本となる年金制度が将来にわたり安定的に運営できるようにすることが必要であり、基礎年金の国庫負担割合の二分の一への引き上げを早期に実施すべく、安定した財源の確保の方策とあわせて検討を進めてまいります。
また、公的年金を土台としつつ、国民の自助努力を支援する仕組みを整備するため、確定給付型の企業年金について受給権保護を図りつつ、統一的制度を創設するための確定給付企業年金法案を今国会に提出したところであり、継続審議中の確定拠出年金法案とあわせて一日も早い成立をお願いいたします。
あわせて、現下の社会経済情勢を考慮し、平成十三年度の年金額を引き下げないための物価スライド特例法案を提出したほか、被用者年金制度の再編成の一環として、農林漁業団体職員共済年金を厚生年金保険に統合するための法案を提出することとしております。
医療保険財政については、急速な高齢化の進展や近年の経済の低迷などにより、待ったなしの極めて厳しい状況となっております。平成十四年度には高齢者医療制度などの改革を実現するため、来年の通常国会に所要の法案を提出できるよう全力を尽くしてまいります。
介護保険につきましては、関係者の皆様方の御努力により大きな混乱なく実施されているところでありますが、今後とも、制度の円滑な実施に努めるとともに、現場の皆様方の声を大切にして、よりよい制度へと育ててまいります。
一方、我が国経済社会の活力を維持するためには、社会保障制度の再構築とあわせて、高齢者が長年培ってきた知識と経験を生かしてできる限り働き続けることのできる環境を築いていく必要があります。このため、六十五歳までの雇用を確保できるよう定年の引き上げ等を促進するとともに、年齢にかかわりなく働ける社会の実現に向けて検討を進めてまいります。
少子化への対応につきましては、働きながら子供を産み育てやすい雇用環境を整備するための育児・介護休業法の改正法案を今国会に提出したところであります。さらに、一昨年末に策定しました少子化対策推進基本方針及び新エンゼルプランに基づき、保育サービスや児童手当の充実など総合的な少子化対策の一層の推進に努めるとともに、児童虐待の防止対策に取り組んでまいります。
現下の雇用失業情勢につきましては、完全失業率が高水準で推移するなど依然として厳しい状況にありますが、新規求人は、増加幅は若干縮小してきたものの、主要な産業で増加を続けております。この求人の増加傾向を雇用の確実な回復に結びつけるため、IT分野など今後成長が見込まれる新たな産業に必要な人材を育成するとともに、官民連携した雇用情報提供機能の充実を図るなど引き続きミスマッチの解消対策に取り組んでまいります。
また、経済・産業構造が大きく転換する中で、労働者の円滑な再就職を促進し、職業生活の全期間を通じてその職業の安定を図っていくことが必要であります。このため、在職中からの計画的な再就職援助、労働者の自発的な職業能力開発の推進等を図ることを内容とする雇用対策法等の改正法案を今国会に提出したところであります。
さらに、個々の労働者と事業主との間の紛争の増加に対応し、これら個別的労働関係紛争の簡易迅速な解決を図るため、都道府県労働局長による助言、指導や紛争調整委員会によるあっせん等を内容とする所要の法案を提出したところであります。
国民の健康と安全を守ることは、厚生労働省の基本的な使命の一つであります。このため、メディカル・フロンティア戦略を推進するとともに、生活習慣病、結核、C型肝炎などの問題にも積極的に取り組むほか、医療提供体制の確立、医療安全対策の総合的推進、HIV感染事件等を踏まえた医薬品・医療用具・食品の安全性の確保などにも的確に取り組んでまいります。
また、職場における安全と働く人たちの健康確保に努めるとともに、今国会に提出している時短促進法の一部改正法に基づく労働時間短縮の推進、長期休暇制度の普及等に取り組んでまいります。
さらに、高齢者に対するインフルエンザの予防接種を推進するための予防接種法の改正法案を今国会に提出したところであり、安全な水道水の安定供給を図るための水道法の改正法案についても提出したいと考えております。
このほか、障害者施策につきましては、ノーマライゼーションの理念に基づき、障害者プランや障害者雇用対策の着実な推進を図るとともに、障害のあることを理由として一律に免許を与えないことなどを定める欠格条項を見直す法律案を今国会に提出することとしております。
援護行政につきましては、遺族年金の額の引き上げや戦傷病者等の妻に対する特別給付金制度の改善を行う改正法案を提出しており、中国残留邦人に対する援護施策や遺骨収集の充実などにも取り組んでまいります。
これらの施策に加え、職場における男女均等取り扱いの徹底、利用者本位の社会福祉制度の確立、国立病院・療養所の再編成などを着実に実施するとともに、WHO、ILO等の枠組みを利用した国際的合意の形成や感染症対策等を初めとする国際協力にも積極的に取り組んでまいります。
また、国民生活の保障・向上と雇用の安定を図るためには、政労使の一致協力した取り組みが必要であり、良好な労使関係の維持・発展、政労使の意思疎通の促進に努めてまいります。
以上、当面する厚生労働行政の重点事項について私の所信の一端を申し述べました。私は、これらの重要な課題に対し、統合のメリットを十分に生かし、施策の融合化や事業間の連携を図りつつ、全力で取り組んでまいりたいと考えておりますので、委員長を初め皆様の一層の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。
ありがとうございました。