波多野敬雄の発言 (国際問題に関する調査会)
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○参考人(波多野敬雄君) 二つ御質問ございましたけれども、第一の御質問につきましては、国連改革というのは二つ目的があると。一つは、日本とドイツのような分担金も多いし、国際的にも政治的にも経済的にも強い、そういう国はやはり常任理事国にすることが国連のためであるというのが第一。第二は、国連ができて以来百三十八の国が新たに加盟して、その大部分が南の国だ、途上国であるということになると、やっぱり途上国の発言権をもっと安保理の中においても強めなければいけないという、その二つ目的があるんだと思うんです。
日本はその第一の目的のことばかり考えているんですけれども、国連の中にいますと第二の目的の方がどっちかというと国が多いだけにプレッシャーも強いという感じがいたします。したがって、日本とドイツだけが常任理事国になればまたさらに先進国の力が強くなっちゃうわけですから、それに見合って途上国に、日本、ドイツの加盟をカバーして、さらに余りあるだけの力を与えようじゃないかということでパッケージという案が出てきて、常任理事国として日独に対してと途上国から三つ、さらにそれでも足りないから非常任理事国として四つとか六つとかアメリカは一つとか、非常任理事国もさらに加えて南のボイスを高めようということがこのパッケージの理由だと思います。
もう一つのアメリカの国連に対する態度ですけれども、去年、アメリカの上院議員の外交委員長のヘルムズというのがアメリカのホルブルック大使に連れられて安保理事会に堂々とあらわれてスピーチをやったんです。そのときに、外交委員長ですから大変に権限があるんですが、アメリカは国連なんかに入っている必要はないんですよ、アメリカは国連を必要としません、国連がアメリカを必要としているんでしょうということを彼は堂々とスピーチをやっているんです。
アメリカというのは残念ながらそういう国なんですね。これはモンロー主義以来、アメリカというのは孤立しても生きていける。今度アラスカにNMD、ミサイルを撃ち落とす設備を全部置いて外国から来るミサイルはそこで撃ち落としちゃって、自分たちは安全を期そうと。それに伴ってロシアとの間のABM条約はもう破棄しようと。やはり孤立主義的な発想というのはアメリカの外交の中で動かせない、アメリカというのは地理的にもまた国力の面からいってもそういう国であるという前提で考えざるを得ないと思います。
ただ、そこで一つ、さっきのユーゴの問題、今御質問にありましたのでユーゴの問題について言及すれば、もしかしたらば新しい国際法ができつつあるのかもしれない。従来の国際法からいえば、NATOのユーゴ・コソボ攻撃は明らかに国際法違反でございますけれども、しかし人権の問題ということになるともう国の中がおさまらないんですね、アメリカはもうほっぽっておけないと。ロシア、中国というような国は人権に対する配慮が足りないんだよと。人権を無視している国なんで、そういう国にビートー権を与えているからといって、そういう国が拒否権を持っているからといって人権じゅうりんをほっぽっておけるのかというのが世論としてわっと盛り上がっちゃって、もう政府として動かざるを得ないような状態になっちゃうんですね。これは悪いことであるかいいことであるか、アメリカというのはそういう国である、世論に動かされちゃう国である。そして、人権というものがそれだけアメリカというのは重要な国であると。一見国際法に違反したようなことも人権のためならばせざるを得ないというのがアメリカの世論であるということなのだと思います。