宮澤喜一の発言 (財政金融委員会)
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○国務大臣(宮澤喜一君) 今後の財政政策等の基本的な考え方につきましては、先般の財政演説において所信を申し述べたところでございますが、本委員会において重ねて所信の一端として、今後取り組むべき課題等について申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願い申し上げます。
政府として取り組むべき第一の課題は、二十一世紀の新たな発展基盤を構築しつつ、景気を自律的回復軌道に乗せることであります。
我が国経済の現状を見ますと、個人消費がおおむね横ばいの状態が続いているなど、厳しい状態をなお脱しておりませんで、全体としては緩やかな改善が続いておることではございますが、厳しい状況をなお脱してはおりません。しかしながら、景気の改善は、そのテンポが極めて緩やかでございまして、なお公需から民需への円滑なバトンタッチに万全を尽くす必要がございます。
こうした認識のもと、まずは、さきの国会において成立しました平成十二年度補正予算の円滑かつ着実な執行に努めております。
また、平成十三年度予算におきましては、総額七千億円の日本新生特別枠を活用し、IT革命の推進、環境問題への対応、高齢化対応、都市基盤整備の四分野を中心に、我が国の新たな発展基盤の構築に資する施策に重点的な予算配分を行いつつ、公共事業につきまして、平成十一年度以降三年連続となる高水準の公共事業関係費を確保するとともに、公共事業等予備費三千億円を計上するなど、自律的な景気回復の実現に向けて十分な対応を行うことといたしました。
税制につきましては、我が国企業の経営環境の変化を踏まえ、企業組織再編成に係る税制を整備するほか、景気回復に配慮して、新たな住宅ローン減税制度を創設するとともに、中小企業投資促進税制を継続するなどの措置を講じております。また、株式等譲渡益についての申告分離課税への一本化を二年延期するほか、電子計算機の耐用年数の見直しや特定非営利活動法人を支援するための措置等を講ずることとしております。
なお、一昨年から継続して実施しております個人所得課税及び法人課税の減税は、景気の改善に寄与していると考えております。
第二の課題は、財政の効率化と質的改善を進めることであります。
平成十三年度予算におきましては、厳しさを増している財政状況にかんがみ、財政の効率化と質的改善を図るため、次のような措置を講じたところであります。
まず、公共事業につきまして、個々の事業の徹底した見直しにより、投資効率の乏しい事業を中止いたしました。また、地方財政対策において、新たに特例地方債を発行し、あわせて交付税及び譲与税配付金特別会計への繰入額を増額する等の制度改正を行うことにより、国、地方を通ずる財政のさらなる透明化を推進することといたしました。さらに、中央省庁等改革を機に、施策の融合化と連携を図る等の取り組みを行っているところであります。
また、公債発行額については、一方で金融破綻への備えのための国債償還費の手当てを行う必要がなくなったという減要因があり、他方でただいま申し述べました地方財政対策に伴う増要因がありますが、このような状況のもと、可能な限りの縮減を図ることといたしました。これらの結果、平成十三年度の公債発行額は前年度当初予算より四兆二千九百二十億円減額し、また、公債依存度は四・一ポイント減少して三四・三%となる見込みであります。
しかしながら、平成十三年度末の国、地方の長期債務残高が六百六十六兆円に達する見込みであるなど、我が国財政は依然として極めて厳しい状況にあり、今後、我が国が安定的に発展するためには、財政構造改革は必ずなし遂げなければならない課題であります。
財政構造改革に当たっては、あるべき経済社会の姿を展望しつつ、望ましい税制の構築や社会保障制度改革、中央と地方との関係まで幅広く視野に入れて議論していく必要があると考えております。経済財政諮問会議などの場において、ただいま申し述べました問題意識も念頭に置いて、経済、財政の構造改革に向けた諸課題について検討を行ってまいります。
第三の課題は、世界経済の安定的発展に貢献することであります。
経済のグローバル化が進む中で、自由かつ公正な国際経済社会の実現やその安定的発展に向けて、世界経済の中で大きな地位を占める我が国が主体的な役割を果たすことが求められていることは論をまちません。アジア通貨危機の経験から、我が国がアジア地域との連携を強化し、その経済安定に積極的に寄与していく必要性も一層高まっております。
このような認識のもと、国際通貨システムの安定に取り組むとともに、昨年五月にASEAN諸国及び日本、中国、韓国の財務大臣間で合意されたチェンマイ・イニシアチブの推進等、アジアにおける地域協力の一層の強化に努力してまいります。
また、多角的自由貿易体制の維持強化の観点から、我が国はWTOにおける新ラウンドの早期立ち上げのため引き続き努力してまいる所存であります。あわせて、これを補完する観点から、二国間の自由貿易協定にも取り組むこととし、現在、シンガポールとの間で、本年末までの終了を目指して協定交渉を進めております。さらに、平成十三年度関税改正において、開発途上国からの輸入品に対して低い関税率を適用する特恵関税制度の改善等を行うこととしております。
次に、今国会に提出しております平成十三年度予算の大要について御説明申し上げます。
まず、歳出面につきましては、一般歳出の規模は四十八兆六千五百八十九億円となり、前年度当初予算に対して一・二%の増加となっております。これに地方交付税交付金等及び国債費を加えた一般会計全体の予算規模は八十二兆六千五百二十四億円、前年度当初予算に対して二・七%の減少となっております。
次に、歳入面のうち租税等については、さきに申し述べました税制改正を織り込み、五十兆七千二百七十億円を見込んでおります。
公債発行額は、前年度当初予算より四兆二千九百二十億円減額し、二十八兆三千百八十億円となっております。特例公債の発行については、別途所要の法律案を提出し、御審議をお願いすることとしております。
財政投融資計画につきましては、財政投融資改革の趣旨にのっとり、資金の重点的、効率的な配分を図ることとしたところであり、その規模は三十二兆五千四百七十二億円となり、前年度当初計画に対して一五%の減少となっております。
以上、財政政策等に関する私の所信の一端を申し上げました。
なお、本国会において今後御審議をお願いすることを予定しております財務省関係の法律案は、平成十三年度予算に関連するもの四件、その他一件、合計五件でございます。また、そのほかに議決案件が一件ございます。今後、提出法律案等の内容につきましては逐次御説明申し上げることとなりますが、よろしく御審議のほどお願い申し上げます。