速水優の発言 (財政金融委員会)

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○参考人(速水優君) 峰崎委員には、十五日の日ですか、ここでお答え申し上げたと思いますが、その直後、こうやって新しい政策を御説明することになったわけでございます。
 日本経済の状況から見ますと、昨年末以降に海外経済の急激な減速が起こっていると思っております。こういうことで景気回復テンポが鈍化しておりますし、このところ景気は足踏み状態と言った方がいいかと思います。それに加えて物価が弱含みの動きを続けておりまして、今後、需要の弱さを反映した物価低下圧力が強まってくる懸念も感じられます。
 顧みますと、我が国は過去十年、金融、財政の両面から大規模な政策対応をとってきたと思います。財政面ではたび重なる景気支援策が講じられましたし、日本銀行は内外の中央銀行の歴史に例のないような低金利政策を継続して潤沢な資金を供給してまいりました。それにもかかわらず、日本経済は持続的な成長軌道に復するには至っておりません。実体経済の方は成長率が極めて低いわけです。日本経済は持続的な成長軌道に至らずに、ここに来て再び経済情勢の悪化に見舞われるという困難な局面に立ち至ったと判断いたしております。
 こうした状況にかんがみまして、日本銀行は、通常では行われないような思い切った金融緩和に踏み切ることが必要であるというふうに判断をいたしまして今回の措置を講じた次第でございます。今回の措置は、日本銀行として、物価が継続的に下落することを防止し、持続的な経済成長のための基盤を整備する観点から断固たる決意をもって実施に踏み切るものでございます。
 資金は、これはよく言われる量的緩和等の一つだと思いますけれども、金利でなくて資金の量を目当てに調整していく。今は〇・一五まで翌日物金利が、コールレートが下がっていたわけですけれども、これをゼロまで持っていくことだけでは大きな変化は起こらないと思います。そこで、日本銀行の当座預金に預かっております取引先の預金残高を、最初にどんどん金を出して、今まで四兆円ぐらいと言っていたのを、これを五兆になるように金融を緩めていくというふうに切りかえたわけでございます。そのことによって仮に金利が下がっていっても、まだ必要であればいつでも資金が出せますし、もう一つ、金利についてはこれも市場に任せる、市場が金利を決定するのであって、私どもの方は必要な量を出していくというふうに切りかえたわけです。したがいまして、仮にゼロになっても、まだ必要であれば資金は出します。
 それから、資金は出しますが、市場の中で信用のあるものとないものとはおのずから金利の差が出てくるのは自然だと思います。そういうふうな市場機能を生かしながら、必要な資金量を出していくという方法に切りかえたわけでございます。
 おっしゃるように、これは日本銀行百二十年始まって以来の初めての構想でございます。ただ、アメリカでは一九七九年に逆に高い方で、一〇%以上の金利、二けた金利になって、金利だけでは動かせないというのでFFレートをやめて、リザーブターゲティングという言葉を使っておりましたが、あの場合はFRBの当座預金の残高を極端に抑えて金融を引き締めた。これは三年ぐらい続いたわけですけれども、その間にレーガニズムで、それこそ構造改革、規制の緩和・撤廃、セルフヘルプといったようなことが浸透していってこれまでのアメリカの成長をもたらしたという経緯がございます。
 それを逆の面でとった次第でございますが、このことによって、金利の方は市場はどういうふうに決めていくか。きのうのところは〇・〇五ぐらいまで下がっているようでございますけれども、資金は、きのうは国債で非常に金の要るときでございましたので、国債の借りかえあるいは金利払い、五兆五千億まで出しました。きょうはそれよりもうちょっと下がっておりますし、金利の方ももう少し下がっていくかと思いますけれども、そういうことでしばらくこの様子を見ていきたい。しかしこの制度は、今問題になっているデフレ、価格現象、これがCPI前年比ゼロを上回るようになったら、安定的にゼロを上回るようになったらもうやめようと思っております。
 それともう一つは、これに何を使うかというのは、主として長期国債の買いオペを使うことになろうかと思いますけれども、その他いろいろ手段を尽くして私どもの金融市場局が操作をしていくと思いますが、新しく加えましたのは、この前の短期国債の買い増しに加えて、これまでも毎月四千億買ってまいりました長期国債の買い切りオペ。長期国債はこれまでも、銀行券がふえる分は長期国債の買いオペで供給していくという原則をずっと守ってきたわけです。それで毎月四千億買っていたんですけれども、今残高は、銀行券の方は五十六兆ぐらい出ておりますが、長期国債の買い持ち残高というのはそれより十兆ぐらい下でございます。したがいまして、必要に応じて長期国債をこうやって買い切りオペに使っていくということにして調節してまいりたいというふうに思っております。
 このことで一番私が心を痛めておりますのは、せっかく家計が千三百八十兆円といったような金融資産を持っているわけで、そのうち銀行預金というのが五十数%ある、郵便貯金も加えてですが、預金金利がさらに下がるということは本当にこういう方々には気の毒なことだと思うんですけれども、やはりデフレを克服して、企業が立ち上がって日本の経済が成長していかないと、国民の懐も寂しくなるし、先行きに対する見通しも暗くなるわけですから、そこのところはここしばらく我慢をしていただいて、金利の方は市場に任せますけれども、少し下がっていくかもしれません、そういうことを決めた次第でございます。
 今回の措置が持ちます金融緩和効果というのが十分に発揮されることを通じまして、日本経済の持続的な成長軌道への復帰というのが実現されていくだろうと。その過程でやはり、不良債権の問題の解決を初めとして、金融システム面や経済・産業面での構造改革の進展が不可欠の条件になると思います。もとより構造改革というのは痛みの伴うプロセスでございますが、そうした痛みを乗り越えて改革を進めていかない限り、日本経済の生産性の向上、これが持続的に経済成長の確保につながっていくんだと思いますけれども、そういうことは期待しにくいわけでございます。
 日本銀行としましては、構造改革に向けた国民の明確な意思と政府の強力なリーダーシップのもとで、各方面での抜本的な取り組みが速やかに進展することを強く期待しておる次第でございます。

発言情報

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発言者: 速水優

speaker_id: 13832

日付: 2001-03-22

院: 参議院

会議名: 財政金融委員会