加瀬和俊の発言 (農林水産委員会)

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○参考人(加瀬和俊君) 第一点目ですが、魚価との関係でセーフガードについてどう考えるかということです。
 それで、今回の水産基本法案の中で第十九条のところで、「水産物の生産に重大な支障を与え、又は与えるおそれがある場合」などに輸入の制限を講ずるものとするといった書き方は、私は、現在のWTOの体制の中では非常に踏み込んだ書き方であって、ここの「水産物の生産」というものが資源面だけではなくて、水産物の生産をする経営を支えられるようにというふうに読むことが許されるとすれば、非常に今後の漁業のためにありがたい規定であるというふうに考えます。
 それで、ただ同時に、魚価の安定策というものは、これは従来の魚価安定基金の経過等を見ましても、単純に買い上げ措置をして流通からカットした場合に価格が上がるというようなものではないですから、そういう意味では、こういった輸入制限措置とつなげなければ魚価の安定措置というようなものは全く機能しないという意味でこの条項は必要だと思います。
 それから、セーフガードの問題についてですけれども、この水産基本法案を読みますと、一つは資源的な理由で、そしてもう一つは、明示的ではありませんが、恐らく多面的な機能との関連においてセーフガードの発動といったことも可能になるような理屈立てになっているというふうに思います。
 それで、セーフガードについては、もちろん現在の農産物のセーフガードに関して言われておりますようにいっときの、二百日、それから、長期になるとしても、それは長期の構造改善とつながるものでなければいけないのではないかといったような議論があることは承知をしておりますけれども、このセーフガード自体はWTOの協定にもある、ガットの時代からある国際的な権利ですし、日本は初めてですけれども、国際的には非常に多発をされているものというふうに聞いております。そして、それは構造改善の保障があるなしにかかわらず固有の国の権利として発動されているというふうに考えております。そういう意味では、資源の保護という、従来法的にあったものだけではなくて多面的な機能を支える、そういったものとしてセーフガードは当然政策の一つとして活用されるものであるというふうに思います。答えになっていたかどうかわかりませんが。
 それから二つ目の効率性、あるいは意欲と能力のある漁業者という点に関してですけれども、法案の中では、残っている言葉は「効率的」という言葉であって、それも「効率的かつ安定的な漁業経営」というふうにありますので、単純に自分一人でたくさん魚をとればいいという形態が推奨されているというようなことでは全くないというふうに考えます。そういう意味では、この法案ができてまいります中途で水産庁内部の検討会でつくられたさまざまな文書が、意欲と能力ということを強調し、漁業経営の効率性を強調し、なるべく少ないコストでたくさんの漁獲を上げるというふうに読めたものとは大きく変わってきているというふうに考えます。そういう方向に変わったのは、やはり現実の漁業経営に即したものであったというふうに思います。
 私自身はそういう点では、資源に対して強い圧力を加えないように、操業する日数を約束で減らしたり、漁獲高を無理のない量に抑えたりといったようなさまざまな努力を漁業者が行っていく、従来は、ともすればそのときにみんなの協定に違反して長い時間働き、荒天でも出ていく、何といいますか、非常に積極的な漁業者が効率的だとして推奨される面があったわけですが、それは非常に漁村の現場から見てまずかろうということを思っております。そういう意味で、個人としての積極性ではなく、協調性を持って地域の将来像というものを描いていく、そういう漁業者が中心になるべきであるというふうに考えております。

発言情報

speech_id: 115115007X01820010615_014

発言者: 加瀬和俊

speaker_id: 11524

日付: 2001-06-15

院: 参議院

会議名: 農林水産委員会