中越武義の発言 (農林水産委員会)
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○参考人(中越武義君) 私は、四万十川の源流地、高知県檮原町長の中越と申します。きょうは、山村地域の実情を訴えさせていただく機会を与えていただきまして、まことにありがとうございました。
それでは私は、重要な今までの反省も含めて三点を申し上げ、それに対する対応をどうしたらよいかという意見で述べさせていただきたいと思います。
現在の山村の状況というのは大変厳しいものがございます。特に林業に対しては、皆さんがこれからどうしたらよいかという大きな期待と不安とを抱いております。
そもそもこの林業の発端となりましたのは、戦後の厳しい時代から今日に至るまで、皆さん方が将来的にきっとよい方向が見出せるんだという希望のもとに、国土緑化と水源涵養を主体とし、さらに財産として木材の生産をするということを大きな目標に掲げて今日を迎えました。けれども、木材の価格は非常に低迷をし、林業に対する考え方といったものも大変薄くなりつつあります。そういった中で、都市部に人口が集中をし、山村が人口減になってきたということから非常に厳しい状況に置かれております。
そういったことを踏まえました今日、これからの林業の役割といったものはどんなことがあるかと考えたときに、私は、これからはきっといやしや安らぎや安全や安心を求める人々が増加をしてくる、そしてさらに、都市部に人口が集中をいたしますと、水不足あるいは食料不足といったようなことが起きてくるんではないかというふうに思ったときに、これからの林業というのは非常に重要な役割を担うことになるんだと。
それは、京都議定書でも話にありましたように、地球温暖化の防止、CO2の削減あるいは酸素供給量の増大といったようなこと、さらには、日本の森林が二酸化炭素吸収量三・七%もするんだという話を世界に大きく公言をしていること等を考えたときに、山村の持つ多面的な機能を有した森林を生かす、あるいは持続可能な森林経営を行うといったことが最も重要になってくると思いますし、さらには国内で生産をされる木材を国内消費するといったようなこと、それがひいては林業の、今言ったように財産あるいは収入源とするといったことになってくるんではないかというふうに思われます。
二点目として、山村の活性化の点ですけれども、山村の活性化ということにつきましては、健全な森林の維持あるいは公益的機能の高度発揮を図る上で、山村に最低限の人が住まないと山は守れないと私は思っております。山村が無人化すれば、きめ細かい森林の管理は不可能となり、荒廃をする。山村はだれが守るのかといったことを考えたときに、やはり山村に人々が住んで、その山村を守るということにまさしく通ずるんではないかと思います。
山村に住民を定住させるためには、農林業を通じた第一次産業の振興による就業機会の増大、集落排水等の生活環境の整備及び住宅の確保が重要な課題となってきます。また、健康的でゆとりのある生活に資するための森林の保健休養施設としての利用など、都市にはない山村の魅力を最大限に発揮し、山村と都市との交流が最も重要であると考えております。
最近、よく皆さんがボランティアで山を守ると言われますけれども、私はボランティアでは山は守れないと思っています。ボランティアで対応していただくには、私は、ゾーニングをすることによって、それを利用区分・形態に分けて対応するということが必要だろうと思っておりますけれども、厳しい山村を守るあるいは林業を守るといったことはボランティアでは守れないというふうに思っておりまして、そういった面では、やはりこれからの対策として山村地域に人が住むということが必要ではないかというふうに思います。
もう一点は、この活性化を図る上で、私は教育の場にやはりこれを取り入れるべきだというふうに考えておりまして、幼少のころから山あるいは農業に対する考え方をしっかりと教育をしていくということが最も必要ではないかということから、やはり教育の場から山村の持つ効用といったことに対応していくということが必要になろうかと思います。
三点目の交流関係ですけれども、これからの交流というのは、都市部に人口が集中をいたします。先ほども申し上げましたけれども、そうなりますと、皆さん方の日々の生活飲料水が不足をする、あるいは大気汚染が大変多くなる、さらには食料の供給が厳しくなるといったことから、人々は心身ともに私はむしばまれていくのではないか、そういったときに山村の貴重な役割が果たせるのではないかというふうに思いますし、最近の事件等を見ましても、コンクリートの中で生活をされていた方々に非常にこういった殺傷事件等が多いということを考えると、やはり山の持つ効用というものは大変重要なものがあるのではないかというふうに思います。
さらに、その交流を促進するためには、教育の面から考える。自然や森林浴を求め、先ほども言いましたけれども、いやしやゆとりや安らぎや安全や安心を求める方々が多くなるといったようなことを考えて、こういった面からの交流を図る。
それから三点目として、循環型社会といいますか、ストレスや心のいやしを求め、自然環境の中で生活する人が増加をするということになるのではないか。
また、この交流を図るためにも、あるいは定住をしていただくためにも、生活するにはある程度の収入が必要になってまいります。けれども、その中では心にゆとりのある中で、その収入を得られるということについては、やはり山間地域できれいな空気と水と、そして人情豊かな人々が生活をする中で対応することで十分その効用があるのではないかと思います。
けれども、これからの時代は多分二極分化していくと思います。それは、都市部と山村地域というように分かれるのではないか。けれども、都市部の方々がきっとこの山村地域のよさを求めて訪れる機会が多くなるというふうに確信をいたしております。
昔から、杜の都と言われます。もりは、きへんに土と書いた杜もありますし、木を三つ並べた森もございますけれども、今言ったように、都市部と山間部が対峙をすることなしに、お互いが協力をし合って供給されるものを有効に、あるいは共存しながら、共生をしながらその対応を図っていくということが必要になってくるのではないかと思います。そういった中で、これから対応すべき項目はどうあるのかということであります。
第一点目は、森林所有者等の責務と市町村の責務ということであります。
先ほども速水さんの意見の中にもありましたけれども、森林の有する多様な機能が持続的に発揮されることは国民が生活していく上で欠かすことができないことから、これらの機能を発揮させるために必要な森林の管理、整備については森林所有者に責任があることを明確にする、まさしく権利と義務ということだろうかと思います。このため、森林の手入れをしない所有者、特に、不在村地主が所有する森林への対策をどのようにするかが重要になってくると思います。
こういったことを考えたとき、今後、森林所有者が手入れをしない森林に対しては、施業をする権限を市町村長に委任できることとし、市町村長はその森林の施業方針を立て、維持管理できるようにするなど、市町村の権限を拡大することが必要ではないかと考えております。
また、本町では、森林の有する多様な機能を発揮させるための支援策として、本年度から林業版のデカップリングともいうべき水源地域森林整備交付金事業を実施いたしております。これは、所有する森林の間伐を実施した森林所有者に対し、ヘクタール当たり十万円の交付金を交付する事業でございまして、この事業が森林に手を入れようとする森林所有者の意欲を引き出す起爆剤になるのではないかというふうに期待をいたしております。これが第一点目であります。
第二点目は、国が実施する事業に対して総合補助制度の充実であります。
山間地域の重要な役割の一つでもある森林の有する多様な機能を持続的に発揮させるためには、効率的な林業経営と適切な森林管理が必要不可欠であります。そのためには、私も路網の整備はやはり必要ではないかというふうに考えておりまして、林業の生産の向上及び適切な森林整備を推進するためには、何といっても基盤の整備が必要不可欠であります。特に、森林を健全な状態に育成し、森林資源の循環利用を行い、意欲的に質的充実を図ろうとする地域に対して重点的に投資をすべきではないかと思います。
また、森林の多面的機能を高度に発揮させるため、大規模幹線林道や広域基幹林道は別枠としても、林道や作業道の開設、間伐等の造林事業、治山事業等関連した事業を一つの事業として、計画に基づき総合事業として実施することが重要であるというふうに考えております。
そこで、今申し上げましたように、私はそういった重要な役割を担っておるということから考えると、国土保全や環境保全といったことは国策でやるべきではないかというふうに思っておりまして、そういった面ではぜひ考えてもいただきたいと思っております。
次に三点目は、林産物の利用促進であります。
森林資源が有効に活用されるとともに、林業が循環可能な産業として持続し、森林の有する多様な機能を高度に発揮させるためには、地域で生産された木材が地域で消費されるという、今よく言われておりますけれども、地産地消のシステムが構築されることが重要であると考えます。
このため、本町では、体育館、温水プール、幼稚園等の公共施設、あるいは公営住宅等につきましてはできる限り町産材を使用するとともに、一定の使用をした方々に対して町単独でも補助制度を設けております。また、国や県においても、こういった公共事業に使う木材は有効に活用していくべきではないかというふうに思います。
また、昨年は、自然に優しく持続可能な林業経営と町産材のブランド化を目指して、FSCの森林認証を本町の森林組合が団体としては全国で初めて取得いたしました。このFSCのラベリングを通じて環境保全に協力したいという消費者の意識にこたえることができれば、町産材あるいは国産材の消費拡大につながるのではないかというふうに考えております。ぜひこういったことも考えてほしいと思います。
さらに、こういった事業を行うためには、何といっても財源対策が必要であります。このことは今の法改正の中でも少し述べられておりますけれども、政府が講じなければならない項目の中にも入れられております。ぜひ、先ほど言いましたように、地球温暖化防止や、自然の持っておる共生あるいは循環の思想、そういったものを踏まえたときに、ぜひこの財源についてどうすべきかを考えてほしい。
私も森林交付税促進連盟の会員となっておりまして、全国では九百一団体が現在加入しておられます。最近、交付税に対する考え方をいろいろな形から述べられております。交付税の名前がよいか悪いかは別にいたしまして、山村地域を守っていくためには何といっても財源が必要でありまして、財源の確保についてどうするかといったこと、それをさらに有効に活用するためにはしっかりとした計画を立てた中で物事を推進していかなければならないのではないかというふうに思っております。今回、この林野三法の改正がなされるということは大変期待をいたしておりまして、そういった面で、一日も早い成立をしていただくようにお願いを申し上げ、私の発表とさせていただきます。
ありがとうございました。