三重野栄子の発言 (本会議)
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○三重野栄子君 私は、社会民主党・護憲連合を代表いたしまして、ただいま議題となりました地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正案、学校教育法一部改正案、社会教育法一部改正案の三案につきまして質問いたします。
質問に先立ちまして、今月八日に大阪教育大学附属池田小学校で発生いたしました痛ましい事件において亡くなられた八名の児童の御冥福をお祈りいたしますとともに、御遺族の心中に思いをいたし、お悔やみ申し上げます。また、負傷された児童、教職員の方々の一刻も早い御回復を心から願うものであります。
さて、総理、このような痛ましい事件が発生したり、あるいは児童虐待が激増しているなど、この日本社会は不安と不安定さに覆われつつあります。総理は構造改革を常に言われておりますが、構造改革の名のもとに市場経済が秩序なき暴走を続けるならば人間関係は一層失われ、不安定な社会が拡大していくのではありませんか。そのような社会にならないように、一体何が必要と総理は考えているのですか、御認識を伺います。
総理は、所信表明演説で、有名な米百俵の話を引用されました。その後に続く教育への言及はわずかでございまして、がっかりいたしました。
さて、総理、この米百俵の話は痛みを分かち合うことに主眼があるのではなく、人を育ててこそ社会の未来が開ける、ここに主眼があったのではなかったでしょうか。総理、この日本社会は、果たして人を育てる社会、人を大切にする社会、子供を育てる社会、子供を大切にする社会になっているのでしょうか。そして、今議題となっているいわゆる教育改革三法案は、果たしてそれにこたえる内容を具備しているのでしょうか。御見解をお伺いいたします。
構造改革を唱える総理の目に、当然のごとく見えてこなければならないものがあります。それは、社会の不安定さの中で生じている事件、あるいは孤立した子育ての中で増加している児童虐待だけではありません。日本の若者たちが、円滑に職業社会へ移行できず、二十五歳までの青年の失業率が一〇%を超えていること、中でも自発的失業や転々と職を変えていくフリーターが増加していることなどの問題です。急速に高齢社会に突入している日本で、若者が職業社会に移行できないということは、社会の持続可能性を揺るがす大きな問題です。
総理、この認識がありましょうか。社会奉仕などと言う前に、若者に職業をと言わなければならないのではありませんか。総理のお考えをお聞かせください。あわせて、厚生労働大臣のお考えも伺います。
さて、遠山文部科学大臣、私はこれから、教育改革三法案なるものがいかにちまちましたものであり、改革の名に値しないものであることを例示しながら質問いたします。
第一に、児童生徒に対する出席停止措置の要件の明確化と支援措置についてであります。
荒れる学校の問題は、何も日本で固有に発生しているものではありません。多くのOECD加盟諸国、成熟した社会ではほぼ共通の問題となっており、ことし四月パリで開かれましたOECD教育大臣会合でも討議の柱の一つとなっていると聞いております。
各国では、呻吟しながらもそれぞれ対応措置がとられ、OECD教育研究センターも比較調査をしておるところであります。問題の根本には市場経済の問題があるからこそ、OECD教育大臣会合が一九九六年の共同コミュニケで、支え合い分かち合い、連帯する社会として社会的統合の重要性を指摘したのではありませんか。あるいは、公正の重要性を指摘していたのではないでしょうか。排除ではなく、人間と人間の関係をつくり上げる、人間と社会の関係、人間と世界の関係をつくり上げる教育、公正に機会を提供する教育の重要性を訴えたのではありませんか。
第二に、いわゆる指導が不適切な教員を強制的に人事異動させる問題であります。
確かに、教員の中にも問題はあります。子供や家庭の変容にこれまでの指導方法が一切通用せず、悩みの中に沈んでいく教員もおります。小学校では、学級担任を持ちたがらない傾向が発生していることも事実です。中学校の教員は、授業から逃げていく生徒を連れ戻すために必死になり、くたくたになっている例も各地にございます。
それでも日本の教職員は、小学校と中学校の交換授業を試みたり、あるいは地域の人々に協力を得ながら授業や行事を改善していっています。交換授業もなかなか容認しなかったのは教育委員会ではありませんか。かたくなな教育行政が、今度は指導不足、不適切を理由に強制的に人事異動を行い、現場の創意を妨げるだけではありませんか。教育委員会は果たして学校を支援するのかしないのか、ここではっきりとさせていただきたいと思います。
問題の本質をとらえながら体系的に改革、改善していくべきなのです。日本の学校は、幼児教育や保育機関、小学校、中学校、高等学校など、学校段階区分がきつく、学校段階間の連携が不十分です。幼稚園教育要領と指導要領の関係もそうであります。子供たちの育ちを縦に支えていく仕組みが不十分なんです。また、学校には社会や家庭のさまざまな課題が持ち込まれ、校務分掌を一人で十も十五も受け持たなければならない学校さえたくさんあります。
文部科学大臣、そのような現状に目をつむりながら、排除する法改正だけを提起してくるから教育現場の批判は高まるのです。事柄の本質に迫る体系的な改革をぜひ進めていただきたい。大臣のお考えをお伺いします。
最後に、飛び入学制度の拡大に関して質問いたします。
この問題は、平成九年、一九九七年の中央教育審議会答申により、教育上の例外措置の一つとして提起されたものであります。教育上の例外措置は、何も高度の才能や資質を有する子供、青年の話だけではありません。学習のおくれている子、教育困難にある子への配慮もまた中教審は答申しておりました。
個性を伸ばす、才能を伸ばすことの必要性を否定はしません。しかし、学習がおくれている子、教育困難な状況にある子供への配慮は、教育行政の支援措置は一体どのようになっているのでしょうか、施策をお聞きいたします。
小泉総理、総理は昔、トンボとりに夢中になったとのお話をされておりました。そういう豊かな体験、ほのぼのとした思い出こそ人生を支えていくのです。社会奉仕体験活動などと古めかしい言葉を捨て去り、豊かな体験が人を支えていくような環境をぜひ実現したいものであります。
総理の御所見を伺いまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕