寺崎昭久の発言 (本会議)

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○寺崎昭久君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま提案のありました土地収用法の一部を改正する法律案に対し、扇国土交通大臣に質問をいたします。
 扇国土交通大臣、今回の土地収用法改正案によって公益と私益との調整のとれた社会資本整備が促進し、世論が納得する万全のシステムが完成したとお考えでしょうか。
 土地収用をめぐっては、これまで、成田空港建設事業や日の出町の廃棄物処分場建設事業を初めとする多くの事業においてさまざまな混乱が生じてまいりました。今回の改正案をもって、今後こういった不幸な事態が起きることはないと宣言していただけますか。この点について、まず大臣にお伺いいたします。
 そもそも土地収用をめぐる混乱の多くは、住民に甚大な影響を及ぼす公共事業計画が、住民のあずかり知らぬところでごく少数の人によって決定され、住民は後で理解を求められるという手法が常套手段化し、住民側がこれ以上の民意の無視、地域住民等との合意形成がないがしろにされるのは許さないといった行政への不信感の高まりの中で起こってきたわけであります。
 言うまでもなく、現行土地収用制度においても、必要に応じて公聴会を開催し、情報公開や住民と対話をすることは可能です。しかし、例えば日の出町の廃棄物処分場事業について、これまで公聴会が開かれたことは、信じがたいことですが、一回もありません。
 扇大臣は、先般、本院の国土交通委員会において、東京外郭環状道路の整備事業をめぐる住民との対話不足について遺憾の意を表明されましたが、この際、立場や利害の相違を超え、地域住民等との民主的な合意形成を図る手段とはどういうものなのか、お伺いをしたいと思います。
 次に、欧米と我が国との合意形成手続の違いについてお伺いいたします。
 これは、社会資本の整備に対する住民の多様なニーズや意識に対して、我が国の行政サイドがどれだけしなやかな対応をしているかという問題でもあります。
 国土交通省は、日ごろ、我が国の社会資本整備が欧米に比べて立ちおくれているということばかり強調しがちでありますが、欧米では、社会資本整備のために、関係者の合意形成手続に大変な努力が払われている事実にも注目すべきであります。政府が今思料すべきことは、むしろ、社会資本整備の過程での合意形成、民意の反映システムを欧米並みに近づけることでございます。
 本改正案は、果たしてそうしたニーズにこたえられるのか、仮にその場合はどのような措置を講じるべきなのか、扇大臣に伺います。
 次に、事業の計画段階における住民参加、情報公開のあり方についてお伺いいたします。
 前述のごとく、土地収用をめぐる混乱の多くが、地域住民等との合意形成を図るシステムの不備に起因し、そして、そのことを痛感しているのは、だれよりも土地収用に実際に携わっておられる方々に違いありません。土地収用法を円滑に運用するには、何よりも事業の認定段階以前の、事業の計画段階での住民参加、情報公開等が不可欠であることを指摘しておきます。
 情報隠しがなく、生の情報が十分に開示され、それを介して住民、行政、起業者等の間で双方向の対話が行われない限り、真の住民参加とは言えません。
 幸い、衆議院での修正によって、附則に事業計画段階における住民参加、情報公開を行うスキームの作成を早急に検討することが盛り込まれましたが、政府としてどのように取り組むつもりか、少なくともフランスのビアンコ通達にあるような合意形成プロセスの明確化を念頭に置かれていると思いますが、いつまでにスキームをまとめるのか、また内容についても明確な答弁を求めます。
 次に、事業認定及び第三者機関のあり方についてお伺いいたします。
 周知のとおり、現行の公共事業認定は、例えば日本道路公団が事業認定申請をしますと、道路整備を推進する立場である国土交通大臣が認定をするという仕組みになっております。だから、事業認定庁としての公正・中立性が疑われるわけであります。
 確かに、欧州でも、認定を関係大臣が行っている例があります。しかし、その場合忘れてならないことは、認定手続等において住民参加、情報公開による合意形成が前提になっているということであり、合意形成システムが未熟、不備な我が国と同列に論じることは適当でないと思います。
 このような中、多くの都道府県では、現在、用地買収、事業認定、収用委員会の事務局業務が同じ部署で当然のように行われております。例えば、平成十一年度の各都道府県の事業認定担当部局及び収用委員会事務局担当部局を調べてみますと、全都道府県のうち、部が同じというケースが四分の三、課まで同じというのが六割以上になっております。
 大臣、これでは土地収用制度は政府のお手盛りだと考える人が大勢いて、また不信感を高めても、決して不思議ではないと思います。
 国民の不信感を解消するためには、事業認定を外部の第三者機関にゆだね、独立の事務局と常勤の委員、それをサポートする審査官体制を整備するとともに、そこでの審議状況を情報公開することが今後の課題です。
 少なくとも当面、事業認定に当たり、第三者機関からの意見聴取が有効に機能するような措置を講ずべきであります。衆議院では、このような観点から、民主党の提案により、事業認定に際して第三者機関の意見を尊重する旨の修正がなされました。政府としてこれをどのように具体化していくのか、お尋ねいたします。
 また、修正案で、国土交通大臣が委員を任命する社会資本整備審議会等をもしも第三者機関とするお考えがあるとすれば、留意していただきたいことがあります。それは、国土交通省の意に沿わぬ委員は任命されないのではないか、あるいは排除されるのではないかという懸念を払拭することが大事だということであります。国民に納得のいく公正・中立性を確保するためにどのような措置が講じられるのか、この点についても伺います。
 次に、事前説明会、公聴会の開催の義務づけについてお伺いいたします。
 この規定が形式的に運用され、趣旨が生かされないという心配はないのでしょうか。双方向の事前説明会、公聴会が開催されると断言できるのでしょうか。もしそうであるならば、その手だてが改正案に盛られていなければなりません。
 旧建設省の通達によれば、事業認定手続は用地買収率が八割程度となった時点までに行うこととされております。これでは起業者による事前説明会の開催が用地買収がおおむね終了した時点で行われることになりかねません。事前説明会は、その趣旨から見て、用地買収が進捗する前の早い段階で行われるべきだと考えますが、大臣の答弁を求めます。
 また、公聴会についても同じことが言えます。
 欧米では一事業について複数回開かれることは今や常識化しております。例えば英国では、公聴会はインスペクターと言われる第三者的立場の審問官が主宰し、計画に対する賛否意見を要約し、計画の変更を含めて担当大臣に提言する仕組みがとられております。また、政府の道路計画は、政府から直接給料を与えられているフルタイムの公務員によって審査しないという約束を国民にしているとも伝えられております。
 我が国の場合、先般の土地収用制度調査研究会報告によりますと、公聴会の主宰者は、職能分離の立場から独立性のある審査官的な者であることが望ましいとされておりますけれども、この程度のことはぜひ守っていただきたいと思いますし、それが守れないようでは土地収用の先行きも暗いと言わなければなりません。
 いずれにしろ、事業認定手続の透明性、公正性を図ろうとするなら、事前説明会及び公聴会の運営方針を省令等において具体的に明確にしておく必要があると思います。その開催時期、周知方法、開催回数、主宰者の中立性の確保、そこで出された意見に対する回答の義務づけ、意見の反映方法等の課題に関して、国としてどのようにこたえるのか、お伺いいたします。
 次に、事業認定の要件のあり方についてお伺いいたします。
 改正案では、第三者機関の意見聴取、事業認定理由の公表などを措置することとされておりますけれども、しかし、これだけでは公益性の判断基準として十分とは言えません。事業認定要件について判断基準の細則を定める措置が必要と思いますが、扇大臣の見解をお伺いいたします。
 次に、補償金仲裁制度に関して伺います。
 仲裁という法的な性質から見て、仲裁委員には法律や不動産鑑定に関する専門的な知識が必須であります。改正案では、仲裁委員には収用委員会の委員を充てることにしておりますけれども、これは全く意外と言わざるを得ません。公正・中立性というならば、収用委員以外の外部の専門家を任命しなければならないのではないでしょうか。現行の収用委員として弁護士が就任している例も少なからずありますが、そうした専門的知識を有する者を任命しているから問題はないのだと考えるのであれば、それを制度的に担保する必要があると思います。しかし、その措置はこの改正案に盛られておりません。この点についてどうするのか、大臣の見解をお伺いいたします。
 最後に、補償金払い渡し方法の合理化についてお伺いいたします。
 現行の土地収用法では、受け取り拒否や受取人が確知できない場合は補償金の供託を行うこととされておりますが、今回の法改正で、現行の持参払い制度に加え、書留郵便の発送等の措置を認めるので、これにより供託制度そのものが形骸化するおそれがあると思います。
 法律改正の趣旨を逸脱して、起業者が本来なすべき努力を行わず、手続の簡略化が悪用されてはなりません。この点について、扇大臣より明言していただくことを期待して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣扇千景君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 115115254X03320010620_005

発言者: 寺崎昭久

speaker_id: 28284

日付: 2001-06-20

院: 参議院

会議名: 本会議