グレゴリー・クラークの発言 (予算委員会公聴会)

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○公述人(グレゴリー・クラーク君) 本日、公述人として呼ばれて本当に光栄と思っています。
 私、日本は長くて、上智大学に二十年間、多摩大学は六年間。しかし、私の日本語はちょっと、独学です。習い始めたのは、もう三十歳超えて。言葉の使い方の中で間違いがあるとすれば勘弁してください。
 私、日本に来る前に、ほかの外国人と同じように日本の教育制度を高く評価していたんです。これは日本の目覚ましい経済発展の大きな原因ではないかと思っていたんです。今でも、外国で日本の基礎教育、特に小学校、中学校、ある程度評価されています。けれども、さっき冲永さんがおっしゃったように、大学になると評価は激減なんです。
 それで、かえって大学教育の貧しさ、貧困、今の日本の経済、特に情報革命の中で大きな足かせではないかということ、プラス、最近の理科系離れ、顕著になって、これは日本の将来にとって好ましくないという評価となったんです。
 もう一つ、外国と比べれば国家の影響、国家のコントロール、指導とか管理はちょっと強過ぎるんではないかと思います。結果は、膠着状態になりやすいんです。例えば、どうして飛び入学が許されていないか。法律の上で禁止されているんです。結果は、優秀な学生、有能な学生は、特に理科系、数学、早く大学へ入らないんですよ。これは日本のノーベル賞の受賞者の少なさの一つの原因ではないかと時々言われています。教育制度の中で官僚的のニュアンスはちょっと強過ぎるんではないかと言われている。
 しかし、諸問題は、前の文部省、国の管理が原因であるとはちょっと言えないんではないかと思います。制度自体いろいろ間違っているんではないか。これはお金の問題よりも制度の問題なんです。そして、制度の改革をやろうと思えば簡単にできるんではないか。
 私、一年間ぐらい国民会議の中で頑張らせていただきました。こういう膠着状態を変えようと思えばそんなに難しくないです。ただ、適当のところで圧力をかければいろいろ改善できるんではないかと、そういう印象を強く受けました。まず大学改革。外国人の目から見たって、諸問題の根源は、諸悪の根源ははっきりしていますよ。十八歳で一つの試験、入学試験で自分の将来は全部決められちゃうんです。どうしてこういうふうになってしまったか。
 私、おととしは財界の委員会によく出席し、経団連、日経連、同友会、みんな教育問題を心配しているんです。最近、日本では、委員会つくれば、必ず女性一人と外人一人入れなくちゃいけない。全部出席させていただきまして、通産省も委員会つくったんですよ。びっくりしました。
 私、財界人に申し上げようとしたんですよ。問題あるとすれば、あなたたちの責任ではないか。学生の成績見ないで、もう三年生として青田買いをやって、卒業しても成績を見ないです。いわゆる学歴社会、学名社会。学名で大分決められております。確かに学生の性格も見ていますけど、一流大学へ入れば性格も確かによくなるんではないか。昔はこの言葉は使っていました、駅弁大学。入れば駅弁のようになってしまうんです。この弊害をなくすための努力は、むしろ財界の責任ではないかと申し上げていたんです。まあ全然反響はなかったわけです。今のまま長く続くんではないかと思います。
 しかし、制度の中で小さな改善しようと思えば幾つかの可能性はある。私、一番期待しているのは、国民会議でもう通りました、最後の報告書にも出ましたように、暫定入学です。合格ラインの下、ちょっと下であっても入学させて、入学金もらわなくて、一年後でもう一回試験を受ければ、受かれば、そうすると正規となるんです。
 問題、御存じでしょう。入学金をもらえば、これは一種の契約です。途中で、学校をやめなさいと、成績の悪い学生を落とすのは不可能なんです。契約違反になっちゃうんです。結果は留年しかないです。これは制度としては最悪ですよ。
 だから、暫定入学、特に地方の子供にとっては非常に大きなプラスになるんではないか。地方は有能の子供が多いんですけれども、入学試験の要領は余りよくなくて、塾も余りないし。だから、うちの大学は、中小企業の経営者の息子さんは多摩大学へどうしても入りたいんです。暫定としてでもいいんです。やっと、いろいろ教授会に働きかけて通りました。しかし名前は変えて、暫定入学ではなくて、暫定入学はちょっと寂しいと言われちゃってチャレンジ入学になったんですけれども。それで人数はまだ少ないです。
 しかし、外国ではほとんどみんな暫定入学ですよ。特に私の国オーストラリアとアメリカ。私立もありますけれども、メーンは州立大学、国立、州立。国民のお金だから、子供たちが大学へ入りたければ、高校をちゃんと卒業したら断りにくいんです。だから、はいどうぞ、入ってもいいですけれども、一年終わって、悪い言葉なんですけれども、足切り試験をやるんですよ。それで、人気学部だったら、人気大学だったら四〇%、五〇%落とすんです。もちろんリピートできますよ。
 私、目の前で見ていたんですよ。千人ぐらい大きな講堂に入って、ざわめき、私語、一つもないんですよ。先生はノートの棒読みであっても、みんな一生懸命メモをとっていますよ。日本の大学はどうですか。もう私語だらけですよ。というのは、落とされたくないんです。二年生も一〇%落とすんです、大体。もちろん卒業試験も受けなくちゃいけない、エリート大学であっても。私、たまたまイギリスの大学だった、四十年前。もちろんみんな卒業させますけれども、エリートだから。しかし、卒業試験は厳しくて、五月、それで自分の成績表を持って企業とか官庁を回って見せなくちゃいけないんです。オックスフォード大学を卒業しても、成績はCとかDだったら評価されないんです。地方の大学へ入って成績よければ評価されるんです。どうして日本は同じようにできないか。それは別の問題なんですけれども。
 いずれにしても、暫定入学の制度が導入されればかなり改善できるんではないかと思います、学生を、全部ではないけれども、ある程度。一生懸命勉強すればほかの学生にいい影響を与えるんではないかと非常に期待しております。
 もう一つ。よく考えれば、やっぱり学部教育を改善するのは無理ですね。ますます欧米と同じようになって、進学率は高くて学力低下、ますます大学院とかビジネススクールに期待すべきではないか。そうすると、学部教育は必要なんですけれども、これ一種の予備校として、一流大学に入りたければ学部の成績よくなければ入れないことにする。それで、一流ビジネススクールとか大学院に入れないと一流の会社にも入れないことにする。つまり、試験は一発勝負ではなくて、十八歳ではなくて、四発ですよ。入学試験、卒業試験、学部、あとは大学院の入学試験、あとは卒業試験。よく勉強します。アメリカのウォートンビジネススクール、有名なビジネススクール、あれは倍率三十六です。コロンビア大学の大学院、私、サッチー・ミッチー戦争でわかったんですけれども、倍率は九ですよ。入りにくいんです。これから日本はああいうふうに移行すれば、大学の教育問題は随分改善できるんではないかと思います。
 そのために大学院教育を強化すべきなんです。きのう、国民会議の第三分科会でそういう提案があったんですけれども、飛び入学、十七歳で入って学部三年間だけだったら大学院二年、二十二歳で卒業できるんですよ。そうすると、日本の場合はオーバードクター問題とかいろいろありますけれども、二十二歳卒業だったら別に問題はないと思います。そのために大学院教育の強化、今は弱いんですけれども、国立大学はもともと学部教育よりも大学院教育に集中して、そうすると自分の学校の出身者だけではなくてあらゆる全国的な一流な成績のいい学部の卒業生を入れる、必要であれば法律の上で強制的にさせれば日本の教育制度は改善できるんではないかと思います。
 いずれにしても、外国ではますます学部教育よりも大学院教育を重視するようになってきまして、そこにビジネススクールも含まれています。
 大学に対しての評価制度は、日本で盛んにそういう必要があると言われています。たしか、アクレディテーション制度、アメリカとか、さっき言われたゴーマン・リポートがあれば大学側は自分の教育制度を改善するインセンティブになる。よく耳にしますのは、そういうノートの棒読みの先生たち、能率の低い先生たちをみんな首にすべきではないかということ。
 しかし、皆さんもっと深く考えていただきたいんですよ。なぜそういう能率の低い先生がまだ存在しているか。一生懸命教えようとしない先生はまだいると思います。目の前に座っている学生は一生懸命勉強しないんです。前に座っている学生が一生懸命勉強しないのに、自分も一生懸命教えるインセンティブがありますか。それで、なぜ学生は一生懸命勉強したくないかは、例の学歴社会ですよ。自分の大学の名前で就職、将来は全部決められちゃうんです。学生の唯一のインセンティブは単位稼ぎです。楽勝科目をよく選んで、全然勉強しなくても無事卒業するんですよ。多摩大学はそうではないですけれども、いろいろ小テストとかいろいろやっていますけれども、いずれにしても、この弊害をなくすのは非常に難しいんです。
 それで、能率の低い先生とかを首にするのは外国でも、アメリカの社会でも、首切り社会でも慎重にやっています。しかし、何か改善すべきではないかと思いますけれども、昇進昇格をもうちょっときめ細かく設定して、そうすると能率の低い先生たちは首切りではなくて昇進しないんです。そうすると本人は反省させられるんではないかと思います。しかし、制度を全部改革しないとこの問題は簡単に解決はできないのではないかと思います。
 私、国民会議で暫定入学、飛び入学、ほかの先生たちと提案してもう一つ通りましたのは学年の九月スタートという、私と木村孟先生の提案なんですけれども、目的は二つ。一つは北半球、アメリカとか欧米とかの留学がやりやすくなるんです。けれども、それよりも高校を三月に卒業して、二月三月終わって、九月大学に入れば、六カ月ぐらいのギャップ、空間は、自由の時間を与えて、その間は奉仕活動とか世界旅行とかできるようになるのではないかと思います。
 奉仕活動について、国民会議の中で盛んに議論されておりましたが、ちょっとイデオロギー的な面があったんです、国に対して義務意識を養成させるために。徴兵制ではないかとも言われた。いや、私、奉仕活動、もちろんアメリカだったら賛成なんです。アメリカだったら一流大学に入りたければ奉仕活動に参加しないと評価されないんです。しかし、強制的よりもある程度は本人の意思の上で、それで奉仕活動だけではなくてほかの社会活動も必要ではないか。イギリスでギャップ制度、非常にはやってきまして、高校を卒業して入学も決まっていて、一年間の休みをとって世界旅行とか、イギリスのウィリアム王子は今南米でどこかの奉仕活動のキャンプに入りまして、一年間ぐらい頑張っている。いずれにしても、六カ月でも結構ではないかと思っています。
 いずれにしても、問題は日本の子供を見て、学生を見て、魅力は多いんです。ただ、大人になっていないです。大学に入っても大人ではないです。まだ子供ですよ。社会とのつき合いは非常に少ないんですが、これは道徳問題とは非常に関係があるのではないか。欧米だったら道徳問題ではなく、これは宗教の影響ではないかとよく言われていますが、そうではなくて、アメリカは確かにある程度そうなんですけれども、それよりも若いとき、社会の中で、ボーイスカウトとかロータリーとかライオンズとか、いろいろのコミュニティースポーツに参加して優秀な社会人と若いときからつき合えるんです。日本の子供は、父親、お父さんとかお母さんと学校の先生だけなんです。それで、お父さんは余りいなくて、いても欠陥パパが多くて。非常にそういう意味で狭い。皆さん、電車に乗って新聞を読んでいる学生を見たことありますか。ゼロですよ。それだけでいろいろ物語っていますよ。外の社会に対して興味がないんです。私、そういう意味では、六カ月ぐらいの余裕の時間を与えればいいのではないかと思っております。
 余り時間がないですけれども、最後は英語教育問題なんです。
 なぜ北朝鮮と同じようにびりになったか。理由ははっきりしています。六年間、中学校、高等学校で間違った英語教育を受ければ、入学試験の英語を受ければ一生上手に英語をしゃべられない人間になってしまう。もう決まっているんですよ。無理しないでください。日本は島国です。我々アングロサクソンと同じなんですよ。イギリスだったら中学校、高校で日本語を教えますか。中国語を教えますか。無理ですよ。隣の国、フランス語の言葉だけなんですよ。それで、ちょっとだけフランス語をしゃべられればブレア首相のように、ああ天才だ、偉いと。実際、フランス語は方言ぐらいの違いだけですよ。
 難しい言葉は、母国語と全く違う言葉は、当然のこと大学でやるべきなんです。十八歳、頭はまだ柔軟。それだけではなくて、自分の選択の上で意欲的に勉強する。何よりもモチベーションが必要なんです。動機づけがないと難しい言葉は習得するのはほとんど不可能なんです。
 みんなは六年間ぐらい読み書きとか教科書とか文法とか、ある程度いいんじゃないかと思っている。頭の中で基礎をつくる、後で口と耳。でもこれはだめです。私、ちょっと語学の問題は経験あります。中国語、ロシア語、日本語を全部勉強しなくちゃいけなかったんです。スタートの時点で口と耳の訓練がないと、一生被害者の形になってしまうのです。
 だから、私の提案は、小学校スタート。できるだけ韓国のように、最近、韓国はよくなりまして、理由は小学校スタート。文部省も意識しています。英会話とか歌とかビデオとかゲームとか。中学校を同じ調子で続けて簡単な英語、英語は国際言葉だから仕方がないです。
 高校はやめてください。やりたければ五%程度でいいんです。日本の将来にとっては大事である理科系とか数学をもっと集中して、それで大学に入ってダブル専攻制度の中でやる。今オーストラリアではやっているのは経済学と日本語とかあるいは中国語と法学です。文学部の中で日本語だけ勉強すれば、あるいは中国語をすれば、日本と同じように就職が難しいんですけれども、ダブル専攻だったら就職抜群ですよ。
 今、ビートたけしの番組を見て、もう本当に驚きまして、上手に日本語をしゃべられる若い外国人がどんどん出ています。みんな大学でスタートなんですよ。ちょっと考えていただきたいと思います。
 以上でございます。(拍手)

発言情報

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発言者: グレゴリー・クラーク

speaker_id: 312

日付: 2001-03-15

院: 参議院

会議名: 予算委員会公聴会