大沼保昭の発言 (憲法調査会)

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○大沼参考人 全くおっしゃるとおりだろうと思います。
 私は、国際法学者ですので、例えば武力紛争法、それから軍縮の問題をこれまで少し研究してまいりました。私の考えるところでは、化学兵器と生物兵器というのは、これはいろいろな方が既に言っておられますが、かなり容易につくれる武器、そういう意味で、貧者の大量破壊兵器である。日本だって例の七三一部隊はもう生物兵器をつくっていたわけですから、当時の日本程度のローテクの水準でも生物兵器はできる。
 ただ、戦後、生物兵器が非常に効果的な武器でありながら、なぜ諸国がこの開発にそれほど必死にならなかったのか。もちろん、ソ連は一定程度やりましたし、イラクとかそういううわさはありますけれども、本格的にやらなかったかというと、それは二つ理由があるわけです。
 一つは、生物兵器というのはコントロールが非常に難しい、敵をせん滅させることはできるかもしれないけれども、味方も非常に甚大な被害をこうむる可能性が高い、だから、兵器としてなかなか使いにくいというのが一つであります。それからもう一つは、自分が使ってしまうと相手方も報復でそれを使うだろう、そういうおそれがある、だから生物兵器は使わない、これが二つ目の理由であります。
 今、中川議員がおっしゃったように、現在問題となっているようなテロリストグループの場合には、この二つの前提がいずれも働かないわけです。つまり、自分は死んでも怖くないわけですから、自分が仮に生物兵器を使って死んだとしても、相手に害を与えれば、それはもう使うでしょう。それから、国家間関係でないわけですから、報復ということも考えずに使うことができる。ですから、テロリズムとの闘いというのは、今までの国家間戦争とは全く違った前提に立って考えなければならない、それはもう中川議員のおっしゃるとおりだと思うんです。
 私は、なればこそ、今回の米国の対応というもの、そしてそれをいわば全面的に支持した日本政府の対応というものがかなり疑問なのではないか。船橋洋一さんが九月十一日事件が起こった直後の朝日新聞で書いておられましたけれども、米国は武力行使を将来やるかもしれない、その時点ではまだやるかどうかわかりませんでしたけれども、そのことによってビンラディン一味を捕まえる、あるいは殺すことはできるかもしれない。そういう意味で、テロリストに対しては勝つことはできるかもしれない。しかし、テロリズムに対して勝利をおさめることは非常に困難だろう。つまり、第二、第三のビンラディン、アルカイダが出てくるであろう。そういう意味で、対症療法的な武力行使によるテロリズムへの対応というのは、非常に大きな限界があるということがもっと強く認識されていいというふうに私は思います。

発言情報

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発言者: 大沼保昭

speaker_id: 13023

日付: 2001-10-25

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会