大沼保昭の発言 (憲法調査会)

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○大沼参考人 私も、おっしゃることにほとんど全面的に賛成でありまして、現在の五十一条を根拠とする、米国、英国、あるいはそれを支持するNATOの行動、あるいはそれを支持する日本政府の行動だけでは不十分である。新たな国連の枠組みによる制裁措置、それから、言ってみれば北風だけではだめであって、太陽を含んだ制裁措置というものが必要だろうと思います。
 私が先ほど厚みを持った対テロリズムの連合戦線を構築すべきだと申し上げたのは、こういう理由があるわけです。
 私は、たまたま九月二十六日から十月七日まで中国へ行っておりまして、中国のいろいろな人と九月十一日事件に対する反応について議論したり意見を聞いたわけですけれども、九九%の中国の人々の意見というのは、大変犠牲者には申しわけない言い方になりますけれども、率直に彼らの意見を伝えますと、ざま見ろ、自業自得だという意見だったわけです。これは、中国だけではなくて、途上国の非常に多くの民衆に共有されている感覚だと思います。
 日本はとにかく先進国であり、我々日本国民が目にする報道というのは、ほとんど先進国の報道です。ニューヨーク・タイムズであるとか、イギリスの新聞であるとか、ドイツの新聞であるとかです。我々がテレビを見るのも、CNNとか、あるいはそれをそのまま放送するNHKその他の放送です。
 だけれども、よくよく考えてみると、世界の六十億のうち、国際社会が米国の今の行動を支持しているといって、先進国は一体何割を占めるのか。二割しかいないわけです。八割は途上国の民衆であるわけです。途上国の民衆の感情を無視して、果たしてこの問題が解決できるだろうか。彼らは、本当にその大部分が、絶望的な貧困それから宗教的なふんまん、文化的な劣等感や非差別意識というものを持って今日の世界を暮らしている。そういう六十億のうちの八割の視点というものを見失って、国際社会が支持している、国際社会が行動をとっているということを余り簡単に言うべきではない。もし国際社会と言うのであれば、中川議員が今おっしゃったように、国連の枠組みを通して、国連の授権を得た上で、制裁をやるなり復興計画をつくるなりという行動をとるべきだ。五十一条による自衛権の行使というのはあくまでも例外的な措置であって、それに全面的に乗っかってしまうということは非常に危ういものがあるというふうに私は思います。

発言情報

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発言者: 大沼保昭

speaker_id: 13023

日付: 2001-10-25

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会