上田雅治の発言 (国会等の移転に関する特別委員会)
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○上田参考人 本日は、首都機能移転について意見を述べる機会をいただきまして、ありがとうございます。私は、都市計画の技術士の仕事をしております上田と申します。どうぞよろしくお願いします。
私は、アジア太平洋の政治文化首都の意義と必要性及び三重・畿央新都構想の位置づけと役割について述べたいと思います。
現在我が国は、明治維新時、戦後改革期に次ぐ第三の改革期にあり、国政全般の構造改革を進め、二十世紀型の欧米先進国キャッチアップシステムを変革し、新しい二十一世紀型の社会経済システムを構築していくことが求められております。首都機能移転は、国家のパラダイム転換を図り、日本創生を牽引していく創造的国家プロジェクトであります。
ところで、二十一世紀はアジア太平洋の時代と言われております。二十世紀の人類文明の中心舞台はヨーロッパ北大西洋地域において展開されましたが、この二十世紀型欧米文明システムは世紀末に起こったグローバルな時代転換の大きな地殻変動に十分に対応できず、二十一世紀には新しい文明システムがアジア太平洋地域という新しい歴史の舞台において形成されることが期待されます。
我が国は、アジア太平洋地域のフロントランナーとして、この地殻変動に主体的に対応しつつ、首都機能移転によって国家のパラダイム転換を図り、新しい二十一世紀の国家像を確立し、この国の形と心を創出していく日本創生新都を創造していくことが求められています。
首都機能を担う新都市である新都は、ニューミレニアム首都として国民国家のパラダイムを転換し、社会経済システムの構造改革を牽引していく日本創生の極となるだけでなく、新しいアジア太平洋文明モデルの構築を先導していく新文明創造の極でなくてはなりません。
まず初めに、アジア太平洋の政治文化首都の意義と必要性について述べたいと思います。
二十世紀末に生じた時代転換の大きな地殻変動は、アジア太平洋の政治文化首都を必要としています。
第一に、西欧近代文明のパラダイム転換であります。
主権国家の排他的な国益の追求は大規模な戦争を引き起こし、核兵器の開発は人類滅亡の危機を招来し、無制約な科学技術の応用開発は人類の生命基盤となっている生態系や地球環境をみずから破壊するという自己矛盾を生じています。そのため、開発・効率と競争システムの二十世紀型西欧文明システムを転換し、循環・共生と共感ネットワークの二十一世紀型文明システムを構築していく必要があります。
第二は、グローバル化による国民国家の再編化の動きであります。
ヨーロッパでは、国民国家の主権を相互に移譲し、超国家機構であるヨーロッパ連合を形成して国家間の経済的統合化と政治的協調化を進めています。一方で、地域の個性や文化を尊重し、補完性の原理に基づいて、地方分権を推進し地域の自立性を高めています。
そのため、我が国においても地方分権改革を進めることはもちろんのこと、国政全般の改革についても、これまでの国民国家の枠内で国家システムの改革を閉じるのではなく、アジア太平洋地域の一員としてアジア太平洋地域の自立と連携を図っていく多元的な国際関係を創造し、世界に開かれた国家と社会のシステムを構築していく必要があります。したがって、二十一世紀のアジア太平洋の時代において、長期的展望に立って、多様な主体が多元的外交を展開し、近代世界システムの改革を図っていくことが求められると言えます。
すなわち、新都は国民国家の首都機能である国家統治機能を果たしていくだけでは十分ではありません。アジア太平洋地域において高度な国際情報が集まり、国連アジア太平洋本部等多様な国際機関が集積し、世界経済の安定化、地球環境の保全、南北格差の是正等、文明的課題の解決に貢献していくグローバルガバナンスの拠点となり、欧米の価値観に偏しないグローバルスタンダードを創出していく世界都市でなくてはなりません。この新都は、アジア太平洋地域において、公正で開かれた交流と対話のもとで国益の相互調整が行われる国際政治の舞台となる国際中核都市となるだけでなく、グローバル・リージョナルな共通課題の共同解決を積み重ねていくことで、相互信頼感と連帯感を培い、アジア太平洋地域の自立と連携を推進していかなくてはなりません。
次に、三重・畿央新都構想の位置づけと役割について述べたいと思います。
二十一世紀のアジア太平洋の時代において、この新都の立地場所は、日本の形と心のパラダイム転換を明確に内外に示すことのできるところであり、東京圏外にあって東京を脱中心化できる経済的、文化的ポテンシャルを有するところでなくてはなりません。歴史的に東京は江戸時代から中央権力が地方を支配する拠点でありました。一方関西は、江戸時代まで日本の首都が所在し、中国、朝鮮等の大陸アジアや東南アジア等の海洋アジアとの深い交流の積み重ねの中で、独自の日本文化を築いてきました。戦後はアメリカをモデルとして経済発展を図ってきたと言える東京の経済文化圏外にあって、なお自立的な経済文化圏を形成しております。
今日関西は、世界都市関西や文化首都関西の理念を掲げ、関西国際空港や関西文化学術研究都市等のグローバルインフラを整備し、主体的に関西の再生に努力しています。したがって、二十一世紀のアジア太平洋の時代において関西に首都機能が移転しますと、東京圏から自立した新首都圏が形成されるだけでなく、伝統文化に根差し東京の価値観と違った世界に開かれた新しい文化、経済が創造され、日本を再生し新しい日本のアイデンティティーを形成することができます。具体的には、三重・畿央新都は関西圏と中京圏が重なるエリアに立地し、G7のカナダ一国の経済力を有する関西と、オランダ一国の経済力を有する中京圏を結節し、将来的には両大都市圏を複合化する広域的新首都圏が形成されます。
この新首都圏は、東京圏に匹敵する質の高い人材、情報、資本を有する世界都市を形成し、東京を脱中心化して、東京を頂点とする価値観を転換します。東京と異質な文化創造力を持つこの新しい政治文化首都は、経済文化首都となる東京と重都構造をなし、国土のダイナミズムを生み出し、我が国の国際競争力やソフトパワーを強化していきます。さらに、アジア太平洋地域において、公正なグローバルスタンダードを創出していく新しい世界システムを形成し、東西文明を融合して、新しいアジア太平洋文明モデルを創造していきます。
最後に、お手元に配付されております参考人の配付資料をごらんいただきたいと思います。
一枚表紙をめくっていただきますと、「図—一 東アジアにおける新しい世界都市と広域国際交流圏」と書いてありますが、これは新しい政治文化首都圏のイメージを示しております。都市はコンパクトシティーでありますが、近隣諸国に新しい世界都市が形成されつつある中で、これらの世界都市と連携していくためには、世界都市として、経済的、文化的ポテンシャルを有する広域的首都圏を形成しなくてはなりません。この新しい政治文化首都が経済文化首都となる東京と重都構造をなすということをイメージしております。
次にめくっていただきますと、「表—一 新都の将来展望」とありますが、これは、現在行われております構造改革の方向性と首都機能移転の関係性を示しております。
次に、「表—二 文明と国家のパラダイム転換」とありますが、これは、文明と国家のパラダイム転換が相互に関係するものであり、国家パラダイムの転換は文明のパラダイム転換でもあるということを示しております。
三番目、表—三は三重・畿央新都の立地優位性を示しておりますが、これは二十一世紀の我が国のビジョン、国家目標とも言っていいと思いますが、それを第一から第七まで私の考えで挙げておりまして、それと首都機能移転の関係を横にマトリックスの形で表現しております。
以上、詳細の御説明は意見書の本論をもってかえさせていただき、私の意見陳述を終わらせていただきます。
御清聴どうもありがとうございました。(拍手)