界外年応の発言 (国会等の移転に関する特別委員会)
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○界外参考人 畿央の界外でございます。
本日は、本委員会にて意見を述べるという機会を与えていただき、まことにありがとうございます。簡単な資料をお配りしていただいていますので、これに沿って話を進めていきたいと思います。
首都機能移転の是非につきましては、時間が限られていますし、既にこの委員会が開設されてから十年以上が経過していて議論は十分に尽くされているはずですので省略させていただき、移転先候補地について意見を述べさせていただきます。
私は、畿央地域の地元の三重県伊賀地方に住んでいて、「未来の国会都市・畿央」というホームページを作成しております。畿央地域は、知事や県などの行政からではなく、市民の研究グループの提案から始まった場所で、図一のように、畿央地域を応援する一般市民によるホームページは、最初に発言された上田さんの研究会のホームページを含めて全部で四つもあり、市民の歓迎ムードや関心の高さを証明できるかと思います。
一方、他の候補地は行政だけで頑張っているようで、県などがつくったホームページは幾つかあるものの、一般市民によるホームページは私が知る限り一つもありません。それどころか、栃木県では、首都機能移転反対を公約にしていた福田知事が当選しましたし、岐阜県では、首都機能誘致の費用を返還するよう知事が市民グループに訴えられたりしていると聞いております。
さて、私が首都機能移転というものを知ったときに、全国から首都にふさわしい場所を考えた結果、三重県の伊賀地方が最適であると思いました。ここが畿央高原という名前で移転先候補地として挙がっていることは後に知ったのですが、それでは、なぜ畿央でなければならないのかを御説明いたします。
畿央は、中部圏と関西圏という二つの大都市圏の結束点であり、かつ東西日本の境界線上にある日本の真ん中だということです。都道府県の数では、福井県、滋賀県、三重県を境に四十七都道府県が東西に二十二ずつに等分される、日本の真ん中に位置しています。
人口重心につきましては、これは現在岐阜県にありますが、図二のように昔は滋賀県にありました。人口重心が東に大きく移動したのは東京一極集中の影響です。首都機能移転の目的の一つに東京一極集中の是正があるのですから、人口重心は東京一極集中前の滋賀県として考えるべきだと思います。
さて、三重県は一体何地方だと思われるでしょうか。中部なのか関西なのか、人によっても資料によっても答えは違いますし、三重県人はアンケートで何地方に丸をつければいいのかいつも悩まされています。
三重県の中でも特に畿央地域の中心となる伊賀地方は、中部と関西に挟まれた中途半端な場所です。伊賀は関西という言葉がありまして、人や経済の流れは関西圏なのに、行政上は中部圏に入っているため、住民生活との間にギャップが生じ、長年不便を感じてきました。しかし現在は、逆にこのことが、中部と関西の結束点として首都機能移転先候補地として注目される大きな理由となっています。
中部と関西の結束点である一例として、伊賀地方では大阪と名古屋の両方のテレビが映ります。ケーブルテレビに加入しても、放送行政上の名古屋のテレビだけでなく、大阪のテレビも区域外再送信されています。新聞のテレビ欄には大阪と名古屋の両方の番組表が載っていますし、テレビガイドも関西版と中部版が並んで売られています。ほかにも、伊賀地方の書店では、旅の情報誌も就職情報誌もイベント情報誌も、関西版と中部版が両方とも売られています。
このように、畿央は関西と中部の結束点であるわけですが、ここは同時に東日本と西日本の結束点の日本の真ん中でもあります。丸もちと角もち、ウナギを腹から割くか背中から割くか、うどんのつゆの味つけなど、日本の文化は東西で大きく分かれています。東西の文化が関ケ原で分かれることはよく知られていますが、この境界線を南に延ばすと鈴鹿山脈から布引山地へと続いていて、これは三重、畿央地域のど真ん中を通ります。インスタントのカップめんのスープの味つけが東西で違うのを御存じの方もおられると思いますが、伊賀地域では、このイースト味とウエスト味のカップめんが両方とも売られています。
こんな畿央地域に首都機能が移転すれば、特定の地域に偏らない、より広い視点に立った政治、行政を行うことができると同時に、多様な文化を全国に発信することができるようになると思います。
さらに、畿央地域につくられる首都機能都市が関西と中部を結びつける役割を果たして、両都市圏のパワーを存分に活用した新たなネットワーク型の新都市圏を形成することができます。日本第二位の関西圏と第三位の中部圏が一つになることで初めて東京と競争ができるようになり、首都機能を移転して身軽になった世界都市東京との二眼レフの国土構造にすることができます。この二つの大都市圏が互いに競争しながら発展することは、日本全体の発展につながることになると思います。
一方、那須地域は既に東京圏ですし、東濃地域は名古屋の衛星都市で終わってしまうと思います。
さて、新首都は、世界各国から要人が訪れる日本の顔となりますので、日本国内でしか通用しないようなローカルな文化ではなく、世界に通用する高度な文化が必要です。
畿央地域は、京都、奈良、伊勢といった世界遺産級の歴史と文化に囲まれています。さらに、畿央地域自体も、伊賀と甲賀の忍者や松尾芭蕉のふるさとでもあります。忍者も芭蕉も世界に通用する日本文化の一つです。
石原東京都知事の言う江戸以来の歴史、文化への冒涜に対抗できるのは畿央地域しかないと思います。
畿央新都市の交通アクセスや都市像につきましては、最初の上田さんの研究会の首都機能移転構想研究会による「緊急提言 二十一世紀における日本と畿央新都」の提言がすばらしいと思います。
高速道路は完全に多重化されていますし、空港も、関空と中空の二つの国際ハブ空港が利用できます。新幹線も、北陸新幹線を米原経由にして、米原から畿央新都市への支線をつくれば、太平洋側からだけでなく日本海側からも大変便利な場所になります。
先日、山梨のリニア実験センターへ見学に行ってきました。走行試験も順調に進んでいて、残された課題は政治決断だけだと感じました。不況がこのまま続くのであれば、中央新幹線は要らないかもしれません。でも、ずっと不況のままでいいのでしょうか。景気が回復して日本がさらなる発展を目指していくときに、中央新幹線は必ず必要になってきます。
審議会の交通アクセスの評価では、中央新幹線は考えないことになっていました。しかし、首都機能移転が行われるのはきょう、あすではなく、十年も二十年も先です。それに、新首都はその後何百年も続くことになるのですから、現在の交通網ではなく将来の交通アクセスの可能性で考えるべきだと思います。
新首都は、東京から便利過ぎるところではいけないと思います。東京に近いところに段階的に少しずつ首都機能を移転していては、現在の膠着状態をそのままずるずると新首都に引きずっていくだけのような気がします。東京から離れたところに一気に移転して、人心一新の効果を最大限に発揮するべきです。
特に那須地域は、東京から便利過ぎて、引っ越しをせずに東京から通勤する人が出てきてしまいます。また、家に帰ってテレビをつければ相変わらず東京のテレビが映っていますので、東京中心の考え方から脱却できないと思います。
災害の安全性につきましては、畿央は災害の少ないところです。火山は一たん噴火すれば融雪泥流が新都市を襲い、火山灰が長期間降り注ぐことになります。私たちが生きている間は火山が噴火する心配がなくても、新首都は何百年も続くのですから、もっと長いスパンで考えて、火山の近くへの首都機能移転は避けるべきです。図六を見てもおわかりのように、近くに火山がないのは畿央地域だけで、火山災害の心配は全くありません。
地震につきましては、六月に東海地震の想定震源域が見直されて、愛知、岐阜の候補地に近づくこととなりました。
畿央地域は内陸部ですので、海溝型地震の震源からは十分離れています。阪神大震災のときでは、畿央地域の震度はわずか四でした。南海地震や東南海地震が起これば畿央地域でもある程度の震度を記録するかもしれませんが、その震源は阪神大震災のときよりも離れていますし、新都市は最新の耐震性を持った建設技術で建てられるのですから、大きなダメージを与えることはないと思います。
内陸型の地震の危険性は全国どこでも同じだと思いますが、畿央地域の活断層については、今後八百年間以上は活動しないという研究結果が発表されています。
移転先が決まったところで、最後には、最難関の東京との比較考量が待ち構えています。那須や東濃で果たして東京に勝つことができるのでしょうか。土地があるとか交通が便利だとか東京から便利だとか、このような条件は新都市をつくるにはすばらしいですが、だからといって、そこが首都である必要性は全く感じられません。そんなにいいところなら、首都でなくても、学研都市でもニュータウンでも何でもいいのではないでしょうか。
首都機能移転は、首都をつくろうとしているのですから、日本国の顔としてふさわしい場所を選定すべきです。東京との比較考量で東京に対抗できるパワーを持った場所でないと、首都機能移転そのものがなかったことになってしまいます。東京に対抗できるパワーを持った場所は、畿央以外にはあり得ないと思います。
以上で、私からの意見とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)