田嶋進の発言 (国会等の移転に関する特別委員会)

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○田嶋参考人 栃木県から参りました田嶋と申します。
 私は、二十一世紀のよりよい日本を築くために、国会等の移転はぜひとも実現すべきであるという立場、それと、移転先は国会等移転審議会で最高点を獲得した栃木・福島地域にすべきであるという立場で意見を述べたいと思います。
 昨今、移転の必要性を疑問視する声が聞かれます。しかし、私は、国会等移転の必要性はいささかも薄れていない、逆に、その必要性は高まっているというふうに考えております。
 そこで、国会等移転の意義につきまして、改めて考えを申したいと思います。
 まず、国政全般の改革の契機についてでございます。
 現在の閉塞感を打破して新しい社会経済システムを構築することが急務であることは、大方の国民の共通認識だと考えております。現在、政府が行っております聖域なき構造改革に期待しているところでございます。
 そうした意味では、国会等の移転は、どんな機能を移転させるかなどを検討する中で、国と地方、行政と民間の役割を見直すことになります。このことによりまして、地方分権や行政改革が本格的に推進されると考えておるところでございます。
 次に、東京一極集中の是正についてでございます。
 我が国に大使館を置かない国が六十四カ所もあると聞いております。国際会議の開催件数は、パリ、ロンドンが二百回を超える一方、東京は六十回程度でございます。こうした状況は、過度の集中の弊害が招いた結果ではないかと考えております。東京への集中を排除し、ゆとりを生み出すことによりまして、世界都市としてふさわしい、一層魅力ある東京になると考えております。
 三つ目の意義、国の災害対応力の強化でございます。
 東京圏の地震等の大規模災害に対する脆弱性の克服、そして国家の危機管理体制の強化という観点からは、特に国会等の移転は重要かつ緊急を要するものであると考えておるところでございます。現在、多くの地震学者が、南関東で大規模地震や直下型地震が発生する可能性の高いことを指摘しております。これに備えるためには、政治、行政の中枢機能と経済の中枢機能が同時被災せず、かつ連絡のとりやすい場所に国会等を移転すべきであるというふうに思います。
 国会等移転により危機管理に対する日本の姿勢を明確にすることは、世界の我が国に対する信頼性を高めることになると考えております。したがいまして、少なくとも、この危機管理に重点を置いた国会等移転は早急に実現すべきと考えておるところでございます。
 これらの意義に加え、新たに整備された新都市は、日本の顔として我が国の進むべき方向を国の内外に示す絶好の機会であると考えております。
 地球温暖化防止などを含め、地球環境問題は全世界に課せられた重い課題でございます。
 一つの例を挙げますと、地球上の生物は想像を絶するスピードで絶滅しているそうでございます。イギリスの生態学者ノーマン・マイアースの著書「沈みゆく箱舟」によりますと、一六〇〇年から一九〇〇年までは約四年に一種の割合で絶滅をしておりました。現在は、約十三分に一種の速さで絶滅しているのではないかということであります。
 したがいまして、最先端の技術を取り入れた環境共生都市を実践し、世界に発信することにより、環境分野において日本が先導的な役割を果たしていくべきと考えておるところでございます。
 次に、移転先地について、基本的な考え方について申し上げます。
 移転先地を決定する際に最も大切なことは、我が国の経済の中心である東京、それと政治行政機能を担う新都市との連携でございます。
 国会等の移転は、数十年かけて段階的に行われるとされております。この期間は、いわゆる重都と呼ばれる状況となります。また、移転完了後においても、政治と経済は、機能といたしましては連携が必要不可欠でございます。いかに情報化が進展いたしましても、重要な場面でのフェース・ツー・フェースの必要性は変わらないと考えております。こうしたことから、新都市の位置は、東京との連携が密接にとれる距離にあることが必要となります。
 ちなみに、栃木・福島地域にある那須塩原駅までは、東京から新幹線で約一時間でございます。中央線の快速で東京駅から八王子駅までとほぼ同じ時間距離にあるわけでございます。
 ここで、栃木・福島地域のうち、那須地域の歴史的な特徴について御紹介をいたします。
 本県の那須地域には、その中心に那須野ケ原と呼ばれる約四万ヘクタールに及ぶ広大で平たんな扇状地がございます。この那須野ケ原の中に、東北自動車道の西那須野塩原インターチェンジに隣接いたしまして、四百ヘクタールの公営牧場など、一団の国公有地が存在しております。その上、この国公有地に隣接いたしまして民間企業一社で所有している土地を加えますと、千二百ヘクタールとなります。千代田区の面積千百六十四ヘクタールを超える一団の土地となるわけでございます。
 那須野ケ原は、かつて明治政府の殖産興業政策の一環といたしまして、大山巌、西郷従道、青木周蔵、松方正義など、明治の元勲たちなどの大農場方式による開拓の舞台となりました。日本が近代国家として生まれ変わった明治初期の新しい国づくりのロマンが今もなお息づく土地柄でございます。二十一世紀の新しい日本をつくろうという国会等の移転先地として、まさにふさわしい場所であると考えておるところでございます。
 最後に、お願いしたい事項について申し上げます。
 貴委員会におかれましては、昨年五月に「二年を目途にその結論を得る」旨の決議をなされるなど、調査審議を進められております。心から敬意を表するものでございます。国会において、法律をつくり、国会等移転に取り組まれておりますことは、その意思を国の内外に表明したものであると受けとめておるところでございます。
 ところで、国会等移転審議会と調査部会は、三年の年月をかけて、延べ回数でいえば月一回を超えるペースで会議を開催し、検討を進められました。
 また、延べ七十二名に及ぶ専門家の方々が、十六の評価項目について、それぞれ専門的な評価を行いました。そして、審議会委員が評価項目の重みづけを行った結果を点数化し、候補地を選定されました。この重みづけによる評価方法は、ピッツバーグ大学のサティー教授が開発したAHP、階層分析法という科学的な意思決定手法でございます。
 何とぞ、移転先地の決定に当たりましては、この審議会の客観的かつ公正に点数化された結果を最大限尊重されますようお願いいたしたいと思います。万が一これと異なる結論が出されるような場合には、その根拠を国民に示されるよう、あわせてお願いするものであります。
 冒頭申し上げましたように、現在の財政状況や公共事業見直し論と絡め、国会等移転を疑問視する議論があります。しかしながら、こうした時代だからこそ、将来に対する投資を重視すべきであると考えております。
 今、米百俵が話題となっております。栃木県出身の山本有三が著した戯曲「米百俵」の中に、小林虎三郎が、米を分けろと詰め寄る藩士たちに言った次のようなくだりがございます。こんな苦しみを孫子にさせるようなことがあっては我々の恥辱だ、今我々はつらくとも、あすの長岡を考えろ、あすの日本を考えろ。私は、まさに国会等移転は、この米百俵の精神で、先を見据えて取り組むべき課題であると思っておるところでございます。
 何とぞ、我々の子や孫が日本人であることに誇りを持ち、夢と希望を持って二十一世紀の日本を担っていけるよう、国会等移転の早期実現を伏してお願い申し上げる次第であります。
 以上で陳述を終わります。ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 田嶋進

speaker_id: 13999

日付: 2001-10-25

院: 衆議院

会議名: 国会等の移転に関する特別委員会