村山格の発言 (国会等の移転に関する特別委員会)

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○村山参考人 お招きいただきまして、ありがとうございます。村山と申します。不動産会社勤務の傍ら、首都機能移転に関するホームページを運営し、日々議論しております。
 本日は、首都機能移転について賛成する理由と、その方法論につきお話しいたしますが、この考えは、勤務先やホームページ参加者の意見を代弁するものでもなく、あくまで私個人の意見であることをお断りいたします。
 まず、賛成の理由を五点列挙いたします。すなわち、東京の都市問題の解決、少子化の緩和、行政スタイルの変革、行政のランニングコストの削減、そして震災対策です。
 まず、一番目の、都市問題の解決についてお話しします。
 委員の先生方にお伺いしますが、現在の東京都市圏が世界的にはどれぐらいの規模なのか御存じでしょうか。国連の九五年現在の資料によれば二千七百万人、断トツで世界一です。大阪圏も世界ランキングでは十二位に入る大都市なんですが、それがかすんで見えるぐらいに東京圏の人口は異常な水準です。
 首都機能移転を行わずに、東京改造、容積率アップによる高層化でこの都市問題を乗り切ろうという考え方もございますが、果たしてそれが可能でしょうか。都市問題のうち、住宅問題、通勤問題は高層化で何とか解決できるのかもしれません。しかし、自動車排気ガスなどの環境問題、水資源や電力などの資源問題、ヒートアイランド問題などは、高層化で東京の居住人口を増加させるとますます事態が悪化してしまうのです。
 また、バブル崩壊後、一時期東京圏への流入人口の伸びが鈍化したため、もう東京圏の人口はふえないという楽観論もございましたが、二〇〇〇年の国勢調査結果を分析する限り、東京圏の人口は再び伸び始めています。大阪圏や名古屋圏などほかの大都市圏が横ばい状態ですので、まさに東京ひとり勝ち状態になっているのであります。
 また、IT化で地方にいながらにして用が足せるので東京集中はなくなると言う方もおられます。しかし、渋谷のビットバレーにIT企業が集中しておるように、IT企業の半数は東京圏に集中しております。また、IT化により、東京の本社から、仙台とか福岡とかの支社を通り越して、末端の秋田とか宮崎とかの営業所へ指示を出せるようになりました。このため、企業では、地方中枢都市の支店機能を本社へ吸収し始めております。その証拠に、オフィスビルの稼働率は、東京は好調ですが、他の都市圏は軒並み苦戦です。
 以上の理由から、何とか東京への人口流入を緩和する手段を講じないと大変なことになると認識する次第であります。
 次に、首都機能移転が東京圏の人口増加に対して抑制効果があるかどうかという点もお話しします。
 新首都の想定人口は最大六十万人ですので、東京圏の人口から見れば微々たる数に見えます。しかし、東京一極集中の最大の原因は人材と情報の集中です。人材の面を考えますと、東京出身の大学生がわざわざ東京を出て地方に就職するということは、今の日本では思いつきもしないかと思うんですが、これが、新首都ができるということで、国家公務員とかマスコミの社員とかで新首都へ就職するというふうな若者が出てくると思います。
 そうなってきますと、東京で就職しないといけないという固定観念が取り払われれば、あとは、東京から大阪へ行くとか、東京から札幌へ行くというふうな若者もふえてくると思います。情報の面も同じことでして、とにかくすべては東京という固定観念をコペルニクスのように転換してくれるのが首都機能移転の効果であります。
 二番目に、少子化の緩和について取り上げます。
 少子化の進行が憂慮されておりますが、エリア別の出生率を比較しますと、東京圏の少子化の進行が顕著でして、全国平均を押し下げております。その要因はいろいろあるでしょうが、東京の劣悪な住宅事情による少子化という要因も無視できないものと思われます。少子化対策としては、保育所の整備も大事ですが、何らかの形で東京の住宅事情の改善も必要だと思います。
 三番目に、行政スタイルの変革についてお話しします。
 今の霞が関の官僚は、地方からの陳情を聞いてやるという行政スタイルが身についています。公僕たる者、聞いてやっているのではなく、みずから国民へ出向いてヒアリングするぐらいでないといけないと思いますが、これは官僚ばかりを責めるわけにはいきません。
 今の東京の都市構造では、気軽に地方へ出向いてヒアリングしてくるということが難しいのです。例えば、官僚の自宅が柏の方にあったら、そこから新幹線の東京駅までわざわざ出て、通勤ラッシュに巻き込まれながら移動しまして、そこから初めて地方に行くということで、非常に体力が消耗する。これでは、官僚の皆さんに行けと言ってもしり込みすると思うんです。もしコンパクトな新首都に移転するという場合、新首都の自宅から新首都の中央駅までの移動というのが楽なために、どんどんどんどんフットワーク軽く出張していくという役人がふえるということで、行政のスタイルも変革していくのではないかと考えております。
 四番目に、行政のランニングコストの削減について申し上げます。
 家賃などの高い東京で庁舎や官舎を維持するということは、実は物すごくランニングコストをかけているということです。首都機能移転では、一時的に建設費等のイニシアルコストが負担になるかもしれませんが、一たんコストをかけてしまえば、その後のランニングコストは安く済むということになります。それで、もし移転をするということであれば、金利水準の低い今がまさに絶好のチャンスであります。
 また、役人が新首都の広い家に住んで、通勤時間も短くなって、日々の暮らしが充実して、その結果、仕事の能率が上がるということになれば、それは結果的に国民にもプラスになるということです。役人の福利厚生という面からも新首都への移転というのを考えてみてはいかがでしょうか。
 最後に、五番目の、耐震性の話です。
 移転に反対される方は、霞が関や官舎の耐震性を強化すれば、わざわざ新首都を建設しなくても事は足りるとおっしゃいます。しかし、私は、次の三点を理由にその意見に対して反論したいと思います。
 一点目は、官舎と霞が関の距離の問題です。
 例えば、世田谷に官舎があるという官僚が、地震が夜間に起こって霞が関へ緊急登庁するという場合でも、もし途中の渋谷で大規模な火災があったりして交通路が寸断されるという事態になりましたら、登庁したくてもできないということになります。したがいまして、東京都市圏全部を防災化しないと政府機能は麻痺しかねません。
 二点目は、公務員の士気の問題です。
 官僚の全員が耐震性にすぐれた官舎に入居しているわけではありません。民間の耐震性に難がある住宅に住んでいるという官僚もいるかと思います。それで、不幸にして自分の家が被災してしまって、あるいは自分や自分の家族が負傷したという官僚がいた場合、そういう官僚がどれだけ士気を維持して復興業務等に当たることができるかという点があります。官僚も人の子でありますので、そういう状況下においてお国のために働けという過度の期待を持つのは酷ではないでしょうか。
 三点目が、電話のふくそうの問題です。
 大規模災害が発生しますと、電話のかかりにくい状態、いわゆるふくそう状態になるんですが、災害復旧のヘッドクオーターをそういう場所に設置するのは甚だ非効率ではないでしょうか。
 以上の理由から、私は、東京被災時のヘッドクオーターの確保としては、新首都の建設が必要不可欠になると考えます。
 なお、新首都を建設しても新首都が被災すれば元も子もないという反論に対しては、神戸では、防災を考慮したニュータウンでは、阪神大震災での人的被害がごくわずかだったという事実を申し上げたいと思います。新首都に万が一阪神大震災クラスの震災が発生しても、致命的ダメージを負うことはないと思います。
 次に、移転の方法論について、いかに初期投資額を少なくし、かつ、環境破壊を少なくするかという観点から、四点申し上げます。
 一点目として、新首都建設に際しては、PFIや不動産証券化の手法を多用し、財政負担をできるだけ少なくすべきです。PFIとは、民間資金を導入して社会資本を整備する手法です。また、民間の不動産では、SPC、J—REIT、不動産特定共同事業などの手法により、広く一般投資家から資金調達を図る不動産証券化、不動産小口化が開発されております。新首都の建設に際しては、これら最新のプロジェクト金融の手法を導入すべきです。
 二点目として、新都市の工事の際には、外国のゼネコンも入札に参加させて、ガラス張りの透明性を確保すべきです。間違っても新首都建設に際して談合等の疑惑が発生してはなりません。
 三点目として、移転先については、環境面の配慮から、既存の都市、特にバブル崩壊後の遊休地の活用も検討対象に含めるべきです。具体的には、名古屋の笹島貨物駅跡、仙台の長町貨物ヤード跡、北海道の苫東地区、北九州の炭鉱地帯などです。
 四点目として、移転先の決定方法として、決定過程の透明性の確保の面から、及び費用を少なくする面からも、堺屋太一氏の主張する競争入札方式を考えるべきだと思います。
 すなわち、最も早く、最も安く移転用地を工面した候補地を新首都とするのです。その場合、入札に勝った候補地を主要官庁や国会の立地する本首都とし、敗れた候補地は最高裁、日銀、公取、人事院等の立地する副首都とすれば、新首都の規模も少なくて済みますし、また、競争で負けた候補地の用地もむだになりません。
 私の意見陳述は以上です。
 最後になりますが、私の運営するホームページでは、利害関係のない多くの市民により、連日、有意義な議論が展開されています。首都機能移転論議がこれからさらに多くの一般市民で議論されることを願いながら、私の意見陳述を終了いたします。
 本日は、まことにありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 115304298X00320011025_016

発言者: 村山格

speaker_id: 9097

日付: 2001-10-25

院: 衆議院

会議名: 国会等の移転に関する特別委員会