山田正彦の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○山田正彦君 私は、自由党を代表して、ただいま議題となりましたテロ対応特別措置法案並びに民主党提出の修正案に反対、自衛隊法の一部を改正する法律案に反対、海上保安庁法の一部を改正する法律案に賛成の討論を行います。(拍手)
 米国における同時多発テロは、自由主義、民主主義の否定であり、このようなテロリズムとは断固闘わなければなりません。国際社会に対する挑戦であるテロという最も卑劣な行為に対しては、国際社会が一致協力して、その撲滅に努める必要があります。
 とりわけ、我が国は、昭和五十二年九月、ダッカ日航機ハイジャック事件において、日本赤軍ら九人の釈放と身の代金要求に屈するという、法治国家、民主主義国家として国際社会における恥ずべき行為を容認したという過去を持っております。私どもは、この経験を踏まえ、テロに対する認識と覚悟を新たにする必要があります。
 しかし、今回の政府の対応は、日本国憲法の解釈にかかわる判断を全く示すことなく、無原則で場当たり的、なし崩し的に自衛隊を海外に派遣しようとしており、このようないいかげんな政治手法こそは、日本国並びに日本国民の将来を大変危うくするものであります。
 今回の法案のように国家と国民の安全にかかわる重要法案は、国会において十分に審議した上で討論、採決に至るべきことは当然であります。しかるに、法案に対する実質審議は、参考人質疑を入れてもわずか六日間、三十二時間の審議のみで衆議院を通過させようというのは、拙速以外の何物でもなく、我が国の議会主義に大きな汚点を残すものであると言わなければなりません。
 このように採決を急ぐ必要がどこにあるのでしょうか。巷間言われているように、総理がAPECに出席する前に衆議院を通過させたかったと考えていたのであれば、言語道断であります。(拍手)
 テロ防止等に関する特別委員会の審議を通じても、一体、政府が何をしようとしているのか、何のための法案なのか、さっぱり明らかにされておりません。政府は、テロリズムとの闘いを、我が国の安全確保の問題と認識して主体的に取り組むとしておりますが、我が国の安全確保すなわち安全保障は、日本国憲法の運用、解釈にかかわるところであります。それにもかかわらず、政府はこの問題に全く触れず、何らの判断も示しておりません。
 政府は、国連安保理決議千三百六十八号のテロ非難決議を、あたかもそれによって米国の武力行使が容認されたかのごとき見解のもとに、米国の戦争に参加しようとしております。これは、国民に対する全くのごまかしであります。
 総理は、今回の委員会審議で、自衛隊が戦力であることを政府として初めてお認めになりました。これは事実上の解釈改憲ではありませんか。また、防衛庁長官は、爆弾を積んで突っ込んでくるテロのトラックに反撃できると答えられ、また、誘導ミサイルの発射は戦闘行為に当たらないとも述べられました。政府は、集団的自衛権の行使は憲法上許されない、武力行使はできないとしながら、まさに国民をごまかし、なし崩し的に憲法解釈を変更して、自衛隊の行動範囲を拡大しているのであります。総理みずからがあいまいさを認め、法律的な一貫性、明確性を問われれば答弁に窮すると言うように、わずかな審議の間にも支離滅裂となる答弁が繰り返されたのであります。
 そのようなやり方をするのではなく、自衛隊を派遣したいのであれば、政府は明確に、憲法解釈を変えたいならば変えると明言し、日米安保条約の改定も含め、集団的自衛権の行使を認めた上で派遣すべきものであります。(拍手)
 自衛隊という軍事力を動かすこと自体が武力行使に該当するのは、世界の常識であります。武力行使はしないと言いわけしながら、自衛隊を派遣して諸外国と共同行動させる政府の姿勢は、憲法が否定する、自国のことのみに専念して他国を無視する姿勢そのものであります。自衛隊という軍事力を動かすことは、政治の最も重い決断であります。そのような重大事を場当たり的、なし崩し的に行うことは、敗戦に至る昭和史の教訓を忘れたものであり、日本を再び誤らせることになると言わざるを得ないのであります。(拍手)
 この見地から、テロ対策特別措置法案は、憲法についてのあいまいな政府解釈のもとに成立させるべきではなく、このような無原則な法改正には断固反対であることを表明いたします。
 また、民主党提出の修正案にも、政府案同様、根本的な考え方が違うため、当然、賛成するわけにはまいりません。
 自衛隊法改正案についても、有事法制や危機管理法制などについての政府自身の考え方を示すことなく、また、警護する対象を慎重に吟味することなく、唐突に、また安易に自衛隊に新たな任務を付与しようとするものであり、我が党としては反対であります。
 また、海上保安庁法の一部を改正する法律案については、唐突に提出された感は否めませんが、かつて自自公三党連立政権で合意した領域警備に係る法制化措置であり、賛成いたします。しかし、運用に当たっては、これが効果的に行われるよう、迅速的確な対応を強く求めるものであります。
 なお、自由党は、国の安全保障に対する基本的な考え方を示した、国の防衛及び自衛隊による国際協力に関する法律案を衆議院に提出し、現在、テロ防止等に関する特別委員会で審議されております。
 日本国憲法において、武力の行使を含む自衛隊の軍事行動が認められるのは、一、個別的であれ集団的であれ、我が国が直接侵略を受けた場合、あるいは放置すれば武力攻撃に至るおそれのある周辺事態における自衛権の発動、二、国連の安保理または総会による武力行使容認決議がなされ、その要請に基づく平和活動が行われる場合に限られるものとしております。あわせて、所要の規定を整備しようとするものであります。
 平成十年十一月十九日、自由党は、自民党と連立政権をつくるに当たり、今回、自由党が提出した法案と全く同様の考え方に基づいて、法制度を整備するという合意書を、当時の小渕総理と小沢党首の間で取り交わしたのであります。これまでにその合意に基づいて法整備を進めていれば、今日、このような拙速な政府・与党の対応もなかったでありましょう。
 議員各位には、自由党提出の基本法案が速やかに成立しますようお願い申し上げ、私の討論を終わります。(拍手)

発言情報

speech_id: 115305254X00720011018_017

発言者: 山田正彦

speaker_id: 20267

日付: 2001-10-18

院: 衆議院

会議名: 本会議