桑原豊の発言 (本会議)

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○桑原豊君 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいまの総理の御報告に関し、総理に質問いたします。(拍手)
 今回のAPEC会合は、二十一世紀に入り、世界経済が厳しさを増してきた中で、前代未聞の同時多発テロが発生するという極めて深刻な状況を背景に開催されました。参加各国が強い危機感を共有し、テロの影響をはね返すため、今後の方向性を模索し、国際協調の強い意志を確認するという、歴史的に大変重要な会合であったと認識いたしております。まさしく、我が国の経済力と外交の真価が問われる場であったとも言えましょう。
 そこで、まず、今回のAPEC会合に当たり、総理がAPECをどのように位置づけ、そこでの我が国の役割と戦略についてどのように認識しておられたのか、その所期の目的は十分達成できたのか、お伺いをいたします。
 テロ事件を受けて、APECにおいて初めて政治的な声明が発表されました。特に、日本のアフガン復興支援に対して強い期待が寄せられております。民主党も、そのために我が国が懸命の外交努力を行うべきであると一貫して主張してまいりました。政府としても、和平復興会議を東京で開催する意思を表明した以上、慎重かつ着実に外交努力を積み重ねることが重要であります。
 しかしながら、率直に申し上げて、私どもには、今後、政府がどのような戦略、戦術を持ってアフガン復興への外交を展開していこうとしているのか、全く見えてまいりません。
 そこで、総理に伺います。
 昨日、いわゆるテロ特別措置法が成立をいたしました。まず、この法律によって実施される自衛隊の海外派遣に関して、インドネシアを初めとしたイスラム諸国やアジア各国はどのようにこのことを理解し、反応しているのでしょうか。また、膠着状態とも伝えられるアフガン情勢の今後の展開についてどのように認識しておられるのか。その認識に基づいて我が国として具体的にどのような貢献ができるとお考えなのか。まさしく、これから策定する基本計画の基礎をなす根本的な認識について、パキスタン及び周辺イスラム諸国との関係、中東和平プロセスへの関与、貧困問題への取り組みなどを含め、見解をお伺いいたします。
 また、首脳声明には、テロ対策について国連を中心とする外交の重要性がうたわれていますが、我が国として、国連にどのような役割を期待し、どのように働きかけているのか、お伺いをいたします。
 さて、世界経済の回復に向けて我が国経済をしっかり再建することは、APECが最も期待しているところであります。今回のAPEC首脳宣言における持続的成長の促進のための構造改革や金融の効率化、ソーシャルセーフティーネットの開発など、まさしく我が国へのメッセージそのものであります。
 構造改革を断行し、新しい時代の要請にこたえる経済対策を講じることが急務であります。不良債権処理、特殊法人改革、規制改革など、与党内の抵抗勢力を排除して断行すべきであります。補正予算は、従来のばらまき型から脱却し、新産業創造・新雇用創出型に転換すべきと考えます。当然、総理の公約である国債三十兆円の枠も堅持すべきであります。
 総理は、各国首脳に対して、我が国が進める構造改革の進捗状況について説明をし、理解を得たとのことでありますが、どのような御説明をされたのか。特に、前回ブッシュ大統領と会談されたときからどのような具体的進展があったと説明をされたのか、厳しいアジア経済の中で、我が国の回復への工程表でどれほどの時間軸を示されたのか、各国は十分満足しているのか、これらの点について総理の答弁をいただきたいと思います。
 また、米国への同時多発テロ以来、航空産業、観光産業に大きな被害が出ています。とりわけ、米軍基地のある沖縄への観光客は激減いたしております。沖縄の観光、経済振興を含めて、政府の具体的な対応策をあわせて総理に伺います。
 次に、APEC首脳宣言で、早期立ち上げについて確認されたWTO新ラウンドについてお尋ねいたします。
 同時多発テロで深刻な危機に立たされた世界経済を再活性化するためにも、自由化促進に向けた広範な議題のもとで新ラウンドを立ち上げることは、大変重要な意味を持っております。万一失敗すれば、世界の貿易・投資にさらに冷水を浴びせ、世界経済が危機的状況に陥ることにもなりかねません。
 当然のことながら、我が国は、WTO新ラウンドの立ち上げに主導的な役割を果たすべきと考えます。新ラウンド立ち上げに向けて日本として具体的にどのような行動に取り組むのか、総理の見解を伺います。
 次に、WTOへの加盟申請をしている中国との関係について質問いたします。
 日本は、WTOのルールに基づいて、中国産のネギ、生シイタケ、イグサにセーフガードを暫定発動しました。その対抗措置として、中国が、自動車、携帯・自動車電話、空調機の日本製品三品目に特別関税を課したことは憂慮すべき事態と考えます。報復措置はWTOでは認められておらず、WTOへ加盟申請している中国がかかる措置をとったことは納得できません。しかし、今回の事態を招いた政府の対中外交における責任は極めて重いと思います。
 今月二十一日の日中首脳会談で、総理は、この問題を話し合いで解決すると改めて確認されました。与党では、交渉決裂を前提に早々と本格発動を声高に唱える向きもあるようですが、私は、あくまでも、日本政府は、中国政府と粘り強く話し合い、貿易制限的な措置をとらなくても事態を収拾できるよう努力を続けるべきだと考えます。
 この点について総理はどのような展望をお持ちなのか、明快なる答弁をいただきたいと思います。
 次に、ロシアとの関係についてお伺いします。
 日ロ関係は、森総理のころから首脳会談を重ねていますが、平和条約締結交渉、北方四島返還については、実質的には全く進展がないと言わざるを得ません。それどころか、先般、ロシア政府が北方四島周辺水域で第三国漁船の操業を認めるなど、日本との領土交渉をないがしろにするような行動に出たことは極めて遺憾でした。このような事態を外交的に阻止できなかったことは、我が国外交の失態であったと断ぜざるを得ません。
 事務レベルで交渉中とのことですが、なぜ首脳レベルで政治的な決着を図らなかったのか、交渉の現状と今後の展望はどうなのか、総理並びに外務大臣及び農林水産大臣から、国益を踏まえた御見解を伺いたい、このように思います。
 さらに、北方四島について、APECでのプーチン大統領との会談で、歯舞、色丹の議論と国後、択捉の議論を同時に、かつ並行的に進めていくことで一致とありますが、これは、北方四島を二島ずつに分けて、前者はその返還について、後者はその帰属について考えるということでしょうか。我が国の方針は、外務大臣が何遍も答弁されたように、四島一括返還と考えますが、だとすれば、なぜ二つに分けて交渉するのか、その意味するところは何なのか、総理並びに外務大臣の明確な答弁をお願いいたします。あわせて、今後の日ロ交渉について、どのような展望と方針を持って取り組んでいくのか、総理のお考えをお伺いします。
 最後に、今回の同時多発テロ、中東地域における衝突、炭疽菌の恐怖など、今、世界は不安の中で動揺しております。日本は、平和外交によって、各国、国連等と一致協力して、平和で安定し、豊かで公正な国際社会を築いていくという断固たる意志を示していくべきです。その意味で、今、日本外交は極めて重要な局面にあります。
 今回のAPECでの合意を踏まえ、構造改革の断行など日本経済の再生を図るとともに、アフガン復興などで積極的な役割を果たすなどの外交努力に全力を傾けていくことを強く政府に要請し、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

発言情報

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発言者: 桑原豊

speaker_id: 21528

日付: 2001-10-30

院: 衆議院

会議名: 本会議