中山隆夫の発言 (憲法調査会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○参考人(中山隆夫君) 本論に入らせていただきます。
 まず、裁判所の機構等について簡単に御説明申し上げたいと思います。
 日本国憲法のもとにおきましては、司法権はすべて裁判所に帰属するとともに、立法権は国会に、行政権は内閣にそれぞれ帰属するとされております。そして、各国家機関がその権限を行使するに当たって行き過ぎるのを防止するため、三権相互の抑制と均衡を図る三権分立制度が採用されております。
 本日、お手元にお配りしております資料のうち、その十一がその仕組みを図にしたものでございます。
 このように、裁判所は三権の一翼である司法権を行使し、具体的な事件の処理を通じて国民の権利を守るという重大な使命と職責を与えられておりますが、裁判所がこのような使命を全うするためには、個々の裁判が法以外のいかなる勢力や権力からも拘束されないことが必要であり、そのための制度的裏づけとして憲法上、司法権の独立が保障されているわけでございます。
 さらに、裁判所には、憲法上、国会が制定された法律や行政機関の命令等について、それが憲法に適合するか否かを審査する権限が認められております。いわゆる違憲審査権と呼ばれているものでございますが、後に御説明申し上げます最高裁判所の違憲判決はこの権限に基づくものでございます。
 そして、さきに述べました三権分立制度との関係では、この違憲審査権は、司法が立法または行政の権限行使をチェックする役割を果たしていることになります。他方、立法については、弾劾裁判という形で司法に対するチェックを行い、また行政につきましては、最高裁判所長官についてはその指名、最高裁判所判事については任命を行い、その他の下級裁判所の裁判官につきましては、指名権が認められている最高裁判所の作成した名簿の中から内閣が任命するという形で司法に対するチェックを働かせ、相互に抑制と均衡を図ろうとしているものでございます。
 以上のような使命や権限を担う裁判所は、我が国の憲法及び法律上、最高裁判所、高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所及び簡易裁判所の五種類とされており、法律で定められた管轄の範囲内で各裁判所がそれぞれ事件の処理等を行っているわけであります。
 なお、裁判所の数を御紹介いたしますと、資料にございます最初に「ホワット・イズ裁判所?」というパンフレットがございますが、そこの二ページをごらんいただきたいと思います。そこに今申し上げました五つの裁判所がございますが、最高裁判所は、これは当然のことながら一つであり、東京にしかございませんけれども、高等裁判所は全国に八庁、地方裁判所及び家庭裁判所はそれぞれ五十庁、支部につきましては二百三庁、簡易裁判所は四百三十八庁となっているわけであります。
 そして、正しい裁判を実現するために三審制度、すなわち第一審、第二審、第三審の三つの審級の裁判所を設け、判断の内容に不服がある当事者は上訴の手続により不服申し立てができることとなっているわけでございます。
 それでは次に、憲法調査会の幹事会の御依頼に基づきまして、国民主権と国の機構等に関する最高裁判決について御説明させていただきます。
 ただ、あらかじめお断りしておきたいのですけれども、最高裁判所はこれから御説明する裁判をした当事者という立場にございますので、私といたしましては、裁判の内容の当否と評価にわたる事項や今後出される裁判の予測等については御説明はいたしかねるところでございます。憲法理論の是非につきましても同様でございます。したがいまして、判決文にあらわれている客観的な事実関係と判決内容のみを御説明させていただくことになりますので、先生方には隔靴掻痒の感を抱かれるかと思いますが、御了承のほどよろしくお願い申し上げます。
 法令等の合憲、違憲という憲法判断をした戦後の最高裁判決は多数ございます。その中で何を主要な判例と見るかは、論者によって区々さまざまであります。
 資料一をごらんいただきたいと思いますが、そこに法律雑誌等で戦後の主な憲法裁判例と紹介されているものを一覧表にしたものでございます。次に、資料二をごらんいただきたいと思います。これは、今申し上げました資料一の裁判例の中から、憲法調査会幹事会の方で「国民主権と国の機構」というテーマにふさわしいものとして選定された五件の判決、そのほか代表的な違憲判決等として選定された十一件の判決等でございます。これらにつきまして、ただいまから順次御説明させていただきます。
 国の機構といいますと、憲法において国権の最高機関と位置づけられている国会を思い浮かべるわけでございますが、国会と国民主権ということになりますと、いわゆる一票の格差をめぐる多数の判決がございます。この点については、衆議院、参議院、それぞれ一件ずつ選定されておりますので、御説明申し上げます。
 まず、資料の二ページにございます①の「衆議院議員定数配分規定違憲判決」でございます。
 この判決は、一票の格差が最大約五倍となっていた衆議院議員の定数配分規定につきまして、一票の格差が憲法十四条一項等の要求する選挙権の平等に反する程度になっており、しかも合理的期間内に是正がされなかったので違憲であるとしたものであります。
 なお、この判決は、衆議院議員選挙を無効とすることにより、直ちに違憲状態が是正されるわけではなく、かえって憲法の所期しない結果を生ずるような事情があるとして、その選挙が違法である旨を主文で宣言した上で、選挙を無効とする旨の判決を求める請求は棄却いたしました。
 次に、資料二の三ページにあります②の「参議院議員定数配分規定訴訟判決」であります。
 こちらの方は、一票の格差が最大六・五九倍となっていた参議院議員の定数配分規定につきまして、その格差は憲法十四条一項等の要求する選挙権の平等に反する程度にはなっていたけれども、合理的期間内に是正がされなかったものとは言えないとして、違憲と断ずることはできないとしたものでございます。
 また、衆議院は新たな民意を問うために解散されることがありますが、かつて衆議院の解散が有効か無効かが争われたことがございます。それが四ページの③の「苫米地事件判決」であります。
 この判決は、衆議院の解散は極めて政治性の高い国家統治の基本に関する行為であるから、その有効無効を審査することは裁判所の権限外にあると解すべきであるといたしました。
 次に、最高裁判所裁判官の国民審査に関する判決を御説明申し上げます。
 次ページの④の「最高裁裁判官国民審査事件判決」であります。
 この判決は、最高裁判所裁判官の国民審査は、裁判官を罷免すべきか否かを決定する趣旨の制度であり、裁判官の任命を完成させるか否かを審査するものではないから、白票を積極的に罷免する意思を有するものではない者の数に入れるとしている最高裁判所裁判官国民審査法の規定は憲法に違反しないとしたものでございます。
 次に、六ページの⑤、「条例罰則規定事件判決」をごらんください。
 これは一言で申しますと、罰則を定めた条例が有効か無効かが争われた事件であります。
 この事件は、街頭での売春勧誘行為等について罰則を定めた条例に違反したとして罪に問われた者が、条例に一般的かつ抽象的に罰則の制定を授権した地方自治法の規定及びこれに基づいて制定された本件条例は憲法三十一条に違反して無効であるとして、無罪を主張した事件であります。
 最高裁は、地方自治法は具体的かつ限定的に刑罰を定めることを条例に委任したものにすぎず、憲法三十一条に定める手続によって刑罰を科すものということができるので、本件条例は違憲ではないといたしました。
 ここで、資料二のまた一枚目をごらんいただきたいと思います。
 「国民主権と国の機構」というテーマで幹事会の方から説明を求められましたものは今申し上げました五つの判決でありますが、国会で制定されました法令等の合憲、違憲を判断する裁判所の違憲立法審査権も国の統治機構における重要な作用であり、最高裁の違憲判決等についても説明を求められましたので、幹事会の方で選定されたその余の十一件の判決等について御説明申し上げます。
 まず、最初の「警察予備隊違憲訴訟判決」であります。資料二の七ページにございます。
 この訴訟判決は、我が国の違憲審査権の性格について言及いたしました、いわば違憲審査の土俵を明確にした判決でございます。
 この事件では、国会議員が原告となって、警察予備隊の設置や維持に関して国が行った法令の制定等の一切の行為が無効であると主張し、その確認を求めて直接最高裁に訴えを提起したものであります。先ほども申し上げましたとおり、本件は、最高裁判所が具体的な事件に関係なく抽象的に法令等の合憲、違憲を判断することができるのかという点が最初の争点となった事件でした。
 最高裁判所は、法律、命令等に関して有する違憲立法審査権は、司法権の範囲内においてのみ行使されるものであって、具体的事件を離れて抽象的に法律、命令等が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有するものではないとして、そのような訴えを求めることはできないと判断いたしました。
 続きまして、法令や処分が違憲であるとされたその他の十件の判決ないし決定を順次説明させていただきます。
 先ほど御説明した①の「衆議院議員定数配分規定違憲判決」においても、違憲であるとの判断がされておりますことを改めて申し上げておきたいと思います。
 それでは、資料二の八ページの⑦、「自白調書有罪認定違憲判決」から御説明申し上げます。
 自白の偏重あるいは自白の強要といった弊害を防ぐため、憲法三十八条三項は、本人の自白が唯一の証拠である場合には有罪とすることはできないと規定しております。本件は、ここに言う「本人の自白」の意義が問題となったものであります。
 本判決は、被告人の第一審の公判廷における供述、自白及び被告人の警察官に対する尋問調書中の供述、自白は、いずれも憲法三十八条三項に言う「本人の自白」に該当するから、裁判所が事実認定をするに当たり、これら以外に自白を補強する証拠なしに有罪認定をすることは許されないといたしました。
 次に、次ページの⑧、「強制調停違憲決定」でございます。
 裁判所が、戦時民事特別法という法律に基づきまして、家屋の明け渡し請求事件を職権で調停に付したのですが、調停がまとまらなかったため、調停にかわる決定をしたという事件に関するものであります。この調停にかわる決定は非公開の手続で行われたわけですが、そのことが裁判の公開を定めた憲法八十二条等に違反するか否かが争点となったものであります。
 本判決は、当事者の意思いかんにかかわらず、終局的に事実を確定して当事者の主張する権利義務の存否を判断する裁判は、公開の法廷における対審及び判決によってなされなければならないというのが憲法八十二条の趣旨であり、本件の決定は、家屋の明け渡し請求権という権利義務の存否が争われている事件について終局的になされた裁判であることから、この事件について非公開の手続で審理判断したことは違憲であるとしたものであります。
 次に、十ページの⑨、「第三者所有物没収違憲判決」でありますが、これは、貨物を密輸した罪により被告人から貨物を没収いたしましたが、その貨物には第三者の所有物も含まれていたところ、その第三者たる所有者に告知、弁解、防御の機会を与えずに没収を行ったのは、財産権を保障した憲法二十九条、さらに適正手続を保障した憲法三十一条に違反するとしたものであります。
 十一ページの⑩の「余罪量刑考慮違憲判決」でありますが、これは、起訴されていない犯罪事実で、被告人の自白以外に証拠のないものをいわゆる余罪として認定し、これをも実質上処罰する趣旨のもとに重い刑を科すことは、適正手続を定めた憲法三十一条に反するし、かつ、被告人の自白だけでは有罪とすることができないとする憲法三十八条三項にも違反するとして違憲としたものでございます。
 次に、十二ページの⑪の「偽計自白有罪認定違憲判決」でありますが、これは、捜査段階におきまして妻が被告人との共謀の事実を供述していませんのに、検察官が被告人に対し、妻が共謀の事実を供述したとうそを告げて被告人に自白をさせた事件についてであります。このような偽計によって被告人が心理的強制を受け、その結果、虚偽の自白が誘発されるおそれがある場合には、偽計によって獲得された自白はその任意性に疑いがあるから証拠とはできないと解すべきであって、このような自白を証拠に採用することは憲法三十八条二項に反するとしたものであります。
 次の⑫の「高田事件判決」であります。これは、弁護人の要望もあって併合予定の別件の審理を優先したところ、その審理が予想外に長期化したため、結果的に第一審で十五年余にわたる審理の中断があった事件でありますが、このように長期間にわたり全く審理が行われなかったことは、迅速な裁判を受ける権利を保障した憲法三十七条一項に違反するのであって、その審理を打ち切るという非常救済手段をとることも認められるとしたものであります。
 十四ページの⑬、「尊属殺重罰規定違憲判決」でありますが、これは、被告人が実の父親を殺害した事案で、親などの尊属を殺害した場合について規定しておりました当時の刑法二百条は、その法定刑が死刑または無期に限定されている点において余りに厳しいものであり、普通殺人に関する刑法百九十九条の法定刑に比較して著しく不合理な差別的取り扱いをするものであって、法のもとの平等を定めた憲法十四条一項に違反するとしたものであります。
 十五ページの「薬事法距離制限規定違憲判決」は、薬事法の規定に基づき薬局等の配置の基準を定めた条例の距離制限規定は、過当競争による不良医薬品の供給の防止等を目的として定められたものではあるけれども、距離制限はその目的のために必要かつ合理的な規制とは言えないから、職業選択の自由を定めた憲法二十二条一項に違反するとしたものであります。
 十六ページの「森林分割制限規定違憲判決」は、森林の共有者は、共有物の分割を認めた民法の規定にかかわらず、共有している森林の分割を求めることができないと定めていた森林法の規定について、この分割制限規定の目的は、森林の細分化を防止することによって森林経営の安定を図り、もって国民経済の発展に寄与するという点にあるが、そのように森林の分割を制限することは、その立法目的との関係において合理性も必要性もないとして、財産権を保障した憲法二十九条に違反し、無効であるとしたものであります。
 十七ページの「愛媛玉串料訴訟違憲判決」でありますが、愛媛県が靖国神社や護国神社に対して公金から玉ぐし料等を支出したことが政教分離の原則に違反するかが争点となった事件でありますが、県が玉ぐし料等を支出したことは、県が特定の宗教団体とのみ意識的に特別のかかわり合いを持ったことを否定することはできず、政教分離を定めた憲法二十条三項、八十九条に違反するとしたものでございます。
 御依頼のございました裁判例についての御説明は以上でございますが、外国の憲法裁判制度についても簡潔に説明せよという御依頼がございましたので、英米独仏の制度につきまして簡単に御説明させていただきます。
 資料三という二枚紙をごらんください。
 一枚目の英米独仏の制度を見ますると、特別の憲法裁判所制度を有するのはドイツだけでございます。アメリカは、日本と同様、通常の裁判所が具体的事件を前提として憲法判断を行う仕組みとなっており、イギリスとフランスではそもそも裁判所は違憲審査権を有しておりません。
 なお、ドイツの憲法裁判所の制度につきましては、次に別紙をつけてございますが、ドイツの憲法裁判所では、通常の裁判所が具体的事件について適用しようとする法律が違憲であると考えるときは、その手続を中止して憲法裁判所に判断を求めることになっております。そして、このような具体的事件に伴う違憲判断、合憲判断とは別に、連邦政府、州政府、あるいは連邦議会議員の三分の一からの申し立てがあれば、具体的事件と離れて、法令が違憲であるかどうかの判断をする抽象的違憲審査の制度が設けられております。また、公権力によって憲法上の基本権を侵害された者は、一定の要件のもとで、対象となった法律や処分等の合憲性の審査を申し立てることができるともされているところであります。
 以上が憲法関係のものでございますが、我が国の司法の実情についても概略を説明していただきたいという御依頼がございましたので、これについても簡単に御説明申し上げます。
 まず、地裁の第一審の事件数について御説明させていただきます。資料四をごらんいただきたいと思います。
 資料四は、地裁の民事訴訟事件の推移を示しております。訴訟事件の数につきましては、社会情勢、経済の規模、景気、法曹人口等さまざまな要因により影響を受けるものでありますが、ごらんいただけばおわかりになりますように、長期的に見ますと大幅に増加してきており、平成十二年度は新受件数が十五万六千八百五十件に上っております。
 また、地裁の刑事訴訟事件については、資料五にありますように、戦後の社会状況を反映して昭和二十四年、二十五年がピークとなり、一たん減少した後、増減を繰り返しながらほぼ横ばいで推移しておりましたが、昭和五十年ころから増加傾向になり、昭和六十年ころからは減少に転じたものの、最近は再び増加傾向になってきております。平成十二年は新受事件数が九万四千百四十人で、近年で最も多くなっております。
 次に、平均審理期間を見ますると、資料四に戻っていただきたいと思いますが、地裁の民事訴訟事件につきましては、昭和四十八年の十七・三カ月をピークとしておおむね短縮傾向にあり、平成十二年では八・八カ月まで短縮されました。これは、運用レベルにおきまして裁判所が中心となり争点整理や集中証拠調べを行うとともに、これらが国会における御審議を経て新民事訴訟法として結実し、平成十年にこれが施行されたことによるものと思われます。
 また、地裁の刑事訴訟事件については、資料五にございますように、昭和四十九年には六・六カ月でございましたが、これをピークとして年々短縮され、平成十二年度は三・二カ月、起訴から判決までが三・二カ月ということになっております。
 民事訴訟事件、刑事訴訟事件、いずれにつきましても非常に長いというような御批判があるところは承知しておりますが、実はこの平均審理期間について見ますれば、国際的に見て遜色のない水準にあると言ってよいと思われます。一部に非常に長くかかっている長期係属事件というのがございますが、これを見たものが資料六と七でございます。民事、刑事とも、昭和四十年代後半をピークに大幅に減少していることがおわかりになるかと思います。
 しかしながら、地裁の民事訴訟事件については、争いがあって証拠調べをして終了した事件、あるいは公害訴訟のように訴訟当事者が極めて多数の大型事件、医事関係事件などのような専門的事件、これらは解決までに依然として長期間を要しておりますし、刑事訴訟事件についても、件数はごくわずかでありますが、御承知のオウム事件のように極めて長期間を要する例もあるわけでございます。今後、このような長期間を要している事件について、さらにこれを短縮化していくということが裁判所に課せられた課題であるというふうに認識しております。
 次に、資料八が裁判官の数の推移を示したグラフでございます。
 裁判所としては、事件数の変動あるいは事務処理形態や事務処理体制の変化など諸要素を総合的に考慮して確実に増員を行ってまいりました。平成十三年度の定員は、裁判官は三千四十九人であり、裁判官以外の裁判所の職員は二万二千四十七人となっております。
 資料九が、最高裁の年間受理件数の推移を示したものでございます。
 戦後しばらくは刑事事件が非常に多く、民事・行政事件が少ないという状況が続いておりましたが、その後逆転し、民事・行政事件が刑事事件の数を大きく上回っております。また、最近は民事・行政、刑事ともに増加傾向にございます。
 民事・行政事件につきましては、最高裁の負担を軽減し、本来最高裁が担っている憲法判断や最終審としての判断を示して法令の解釈を統一するという重大な機能をより一層充実強化しようとする観点で、さきに申し上げました平成十年一月一日施行の新民事訴訟法におきまして、最高裁に対する上告の理由が大きく制限されることになりました。
 その結果でありますけれども、上告事件の平均審理期間は平成九年には九・五カ月であったものが平成十二年には五・四カ月、行政上告事件のそれは平成九年に十三・八カ月であったものが平成十二年には七・四カ月と大幅に短縮され、また未済事件のうち係属後一年を超えるものの割合が減少するなど、事件の重さに応じた事件処理の効果が徐々にあらわれつつあるのではないかと考えております。
 以上が御依頼のございました事項についての御説明でございます。御質問がございましたらお受けいたしますが、先ほども申し上げましたように、裁判例につきましては、最高裁判所は判決をしたいわば当事者でございますので、その当否や評価といった点については申し述べることは差し控えさせていただきたいと思います。そのあたりは、そのような評価等を専門にしていらっしゃる憲法の学者の方々が大勢いらっしゃると存じますので、そちらの方にゆだねることにいたしまして、裁判所としては客観的な事実関係や判決文の内容等についてわかる範囲でお答えさせていただきたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。

発言情報

speech_id: 115314184X00320011121_004

発言者: 中山隆夫

speaker_id: 7930

日付: 2001-11-21

院: 参議院

会議名: 憲法調査会