憲法調査会
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会
会議録情報#0
平成十三年十一月二十一日(水曜日)
午後一時開会
─────────────
委員の異動
十一月七日
辞任 補欠選任
松村 龍二君 桜井 新君
松岡滿壽男君 椎名 素夫君
─────────────
出席者は左のとおり。
会 長 上杉 光弘君
幹 事
市川 一朗君
加藤 紀文君
谷川 秀善君
野沢 太三君
江田 五月君
高橋 千秋君
山下 栄一君
小泉 親司君
委 員
愛知 治郎君
荒井 正吾君
景山俊太郎君
近藤 剛君
斉藤 滋宣君
桜井 新君
陣内 孝雄君
世耕 弘成君
中島 啓雄君
舛添 要一君
松田 岩夫君
松山 政司君
大塚 耕平君
川橋 幸子君
北澤 俊美君
小林 元君
角田 義一君
直嶋 正行君
堀 利和君
松井 孝治君
柳田 稔君
魚住裕一郎君
高野 博師君
山口那津男君
宮本 岳志君
吉岡 吉典君
吉川 春子君
大脇 雅子君
福島 瑞穂君
平野 貞夫君
事務局側
憲法調査会事務
局長 桐山 正敏君
参考人
最高裁判所事務
総局総務局長 中山 隆夫君
最高裁判所事務
総局行政局第二
課長 増田 稔君
─────────────
本日の会議に付した案件
○日本国憲法に関する調査
(国民主権と国の機構)
─────────────
この発言だけを見る →午後一時開会
─────────────
委員の異動
十一月七日
辞任 補欠選任
松村 龍二君 桜井 新君
松岡滿壽男君 椎名 素夫君
─────────────
出席者は左のとおり。
会 長 上杉 光弘君
幹 事
市川 一朗君
加藤 紀文君
谷川 秀善君
野沢 太三君
江田 五月君
高橋 千秋君
山下 栄一君
小泉 親司君
委 員
愛知 治郎君
荒井 正吾君
景山俊太郎君
近藤 剛君
斉藤 滋宣君
桜井 新君
陣内 孝雄君
世耕 弘成君
中島 啓雄君
舛添 要一君
松田 岩夫君
松山 政司君
大塚 耕平君
川橋 幸子君
北澤 俊美君
小林 元君
角田 義一君
直嶋 正行君
堀 利和君
松井 孝治君
柳田 稔君
魚住裕一郎君
高野 博師君
山口那津男君
宮本 岳志君
吉岡 吉典君
吉川 春子君
大脇 雅子君
福島 瑞穂君
平野 貞夫君
事務局側
憲法調査会事務
局長 桐山 正敏君
参考人
最高裁判所事務
総局総務局長 中山 隆夫君
最高裁判所事務
総局行政局第二
課長 増田 稔君
─────────────
本日の会議に付した案件
○日本国憲法に関する調査
(国民主権と国の機構)
─────────────
上
上杉光弘#1
○会長(上杉光弘君) ただいまから憲法調査会を開会いたします。
日本国憲法に関する調査を議題といたします。
本日は、国民主権と国の機構に関する憲法判例について最高裁判所当局から説明を聴取した後、質疑を行います。
なお、発言は着席のままで結構でございます。
まず、最高裁判所当局から説明を聴取いたします。最高裁判所事務総局総務局長中山隆夫君。
この発言だけを見る →日本国憲法に関する調査を議題といたします。
本日は、国民主権と国の機構に関する憲法判例について最高裁判所当局から説明を聴取した後、質疑を行います。
なお、発言は着席のままで結構でございます。
まず、最高裁判所当局から説明を聴取いたします。最高裁判所事務総局総務局長中山隆夫君。
中
中山隆夫#2
○参考人(中山隆夫君) 最高裁事務総局総務局長の中山隆夫でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
本日は、今、会長の方からお話がございましたように、国民主権と国の機構に関する憲法判例について説明を求められました。それで参上いたしました。御説明には、本来であれば担当局長であります行政局長が最適任でございますけれども、本日、よんどころのない事情により出席いたしかねますので、私が参った次第でございます。
ただ、私には専門外であり、いささか荷が勝ち過ぎるところがございますので、担当局の第二課長の隣に座っております増田稔を同道いたしました。御質問によりましては、増田の方から御説明申し上げることを御理解願いたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。
それでは、座ったままで失礼してよろしゅうございますでしょうか。
この発言だけを見る →本日は、今、会長の方からお話がございましたように、国民主権と国の機構に関する憲法判例について説明を求められました。それで参上いたしました。御説明には、本来であれば担当局長であります行政局長が最適任でございますけれども、本日、よんどころのない事情により出席いたしかねますので、私が参った次第でございます。
ただ、私には専門外であり、いささか荷が勝ち過ぎるところがございますので、担当局の第二課長の隣に座っております増田稔を同道いたしました。御質問によりましては、増田の方から御説明申し上げることを御理解願いたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。
それでは、座ったままで失礼してよろしゅうございますでしょうか。
上
中
中山隆夫#4
○参考人(中山隆夫君) 本論に入らせていただきます。
まず、裁判所の機構等について簡単に御説明申し上げたいと思います。
日本国憲法のもとにおきましては、司法権はすべて裁判所に帰属するとともに、立法権は国会に、行政権は内閣にそれぞれ帰属するとされております。そして、各国家機関がその権限を行使するに当たって行き過ぎるのを防止するため、三権相互の抑制と均衡を図る三権分立制度が採用されております。
本日、お手元にお配りしております資料のうち、その十一がその仕組みを図にしたものでございます。
このように、裁判所は三権の一翼である司法権を行使し、具体的な事件の処理を通じて国民の権利を守るという重大な使命と職責を与えられておりますが、裁判所がこのような使命を全うするためには、個々の裁判が法以外のいかなる勢力や権力からも拘束されないことが必要であり、そのための制度的裏づけとして憲法上、司法権の独立が保障されているわけでございます。
さらに、裁判所には、憲法上、国会が制定された法律や行政機関の命令等について、それが憲法に適合するか否かを審査する権限が認められております。いわゆる違憲審査権と呼ばれているものでございますが、後に御説明申し上げます最高裁判所の違憲判決はこの権限に基づくものでございます。
そして、さきに述べました三権分立制度との関係では、この違憲審査権は、司法が立法または行政の権限行使をチェックする役割を果たしていることになります。他方、立法については、弾劾裁判という形で司法に対するチェックを行い、また行政につきましては、最高裁判所長官についてはその指名、最高裁判所判事については任命を行い、その他の下級裁判所の裁判官につきましては、指名権が認められている最高裁判所の作成した名簿の中から内閣が任命するという形で司法に対するチェックを働かせ、相互に抑制と均衡を図ろうとしているものでございます。
以上のような使命や権限を担う裁判所は、我が国の憲法及び法律上、最高裁判所、高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所及び簡易裁判所の五種類とされており、法律で定められた管轄の範囲内で各裁判所がそれぞれ事件の処理等を行っているわけであります。
なお、裁判所の数を御紹介いたしますと、資料にございます最初に「ホワット・イズ裁判所?」というパンフレットがございますが、そこの二ページをごらんいただきたいと思います。そこに今申し上げました五つの裁判所がございますが、最高裁判所は、これは当然のことながら一つであり、東京にしかございませんけれども、高等裁判所は全国に八庁、地方裁判所及び家庭裁判所はそれぞれ五十庁、支部につきましては二百三庁、簡易裁判所は四百三十八庁となっているわけであります。
そして、正しい裁判を実現するために三審制度、すなわち第一審、第二審、第三審の三つの審級の裁判所を設け、判断の内容に不服がある当事者は上訴の手続により不服申し立てができることとなっているわけでございます。
それでは次に、憲法調査会の幹事会の御依頼に基づきまして、国民主権と国の機構等に関する最高裁判決について御説明させていただきます。
ただ、あらかじめお断りしておきたいのですけれども、最高裁判所はこれから御説明する裁判をした当事者という立場にございますので、私といたしましては、裁判の内容の当否と評価にわたる事項や今後出される裁判の予測等については御説明はいたしかねるところでございます。憲法理論の是非につきましても同様でございます。したがいまして、判決文にあらわれている客観的な事実関係と判決内容のみを御説明させていただくことになりますので、先生方には隔靴掻痒の感を抱かれるかと思いますが、御了承のほどよろしくお願い申し上げます。
法令等の合憲、違憲という憲法判断をした戦後の最高裁判決は多数ございます。その中で何を主要な判例と見るかは、論者によって区々さまざまであります。
資料一をごらんいただきたいと思いますが、そこに法律雑誌等で戦後の主な憲法裁判例と紹介されているものを一覧表にしたものでございます。次に、資料二をごらんいただきたいと思います。これは、今申し上げました資料一の裁判例の中から、憲法調査会幹事会の方で「国民主権と国の機構」というテーマにふさわしいものとして選定された五件の判決、そのほか代表的な違憲判決等として選定された十一件の判決等でございます。これらにつきまして、ただいまから順次御説明させていただきます。
国の機構といいますと、憲法において国権の最高機関と位置づけられている国会を思い浮かべるわけでございますが、国会と国民主権ということになりますと、いわゆる一票の格差をめぐる多数の判決がございます。この点については、衆議院、参議院、それぞれ一件ずつ選定されておりますので、御説明申し上げます。
まず、資料の二ページにございます①の「衆議院議員定数配分規定違憲判決」でございます。
この判決は、一票の格差が最大約五倍となっていた衆議院議員の定数配分規定につきまして、一票の格差が憲法十四条一項等の要求する選挙権の平等に反する程度になっており、しかも合理的期間内に是正がされなかったので違憲であるとしたものであります。
なお、この判決は、衆議院議員選挙を無効とすることにより、直ちに違憲状態が是正されるわけではなく、かえって憲法の所期しない結果を生ずるような事情があるとして、その選挙が違法である旨を主文で宣言した上で、選挙を無効とする旨の判決を求める請求は棄却いたしました。
次に、資料二の三ページにあります②の「参議院議員定数配分規定訴訟判決」であります。
こちらの方は、一票の格差が最大六・五九倍となっていた参議院議員の定数配分規定につきまして、その格差は憲法十四条一項等の要求する選挙権の平等に反する程度にはなっていたけれども、合理的期間内に是正がされなかったものとは言えないとして、違憲と断ずることはできないとしたものでございます。
また、衆議院は新たな民意を問うために解散されることがありますが、かつて衆議院の解散が有効か無効かが争われたことがございます。それが四ページの③の「苫米地事件判決」であります。
この判決は、衆議院の解散は極めて政治性の高い国家統治の基本に関する行為であるから、その有効無効を審査することは裁判所の権限外にあると解すべきであるといたしました。
次に、最高裁判所裁判官の国民審査に関する判決を御説明申し上げます。
次ページの④の「最高裁裁判官国民審査事件判決」であります。
この判決は、最高裁判所裁判官の国民審査は、裁判官を罷免すべきか否かを決定する趣旨の制度であり、裁判官の任命を完成させるか否かを審査するものではないから、白票を積極的に罷免する意思を有するものではない者の数に入れるとしている最高裁判所裁判官国民審査法の規定は憲法に違反しないとしたものでございます。
次に、六ページの⑤、「条例罰則規定事件判決」をごらんください。
これは一言で申しますと、罰則を定めた条例が有効か無効かが争われた事件であります。
この事件は、街頭での売春勧誘行為等について罰則を定めた条例に違反したとして罪に問われた者が、条例に一般的かつ抽象的に罰則の制定を授権した地方自治法の規定及びこれに基づいて制定された本件条例は憲法三十一条に違反して無効であるとして、無罪を主張した事件であります。
最高裁は、地方自治法は具体的かつ限定的に刑罰を定めることを条例に委任したものにすぎず、憲法三十一条に定める手続によって刑罰を科すものということができるので、本件条例は違憲ではないといたしました。
ここで、資料二のまた一枚目をごらんいただきたいと思います。
「国民主権と国の機構」というテーマで幹事会の方から説明を求められましたものは今申し上げました五つの判決でありますが、国会で制定されました法令等の合憲、違憲を判断する裁判所の違憲立法審査権も国の統治機構における重要な作用であり、最高裁の違憲判決等についても説明を求められましたので、幹事会の方で選定されたその余の十一件の判決等について御説明申し上げます。
まず、最初の「警察予備隊違憲訴訟判決」であります。資料二の七ページにございます。
この訴訟判決は、我が国の違憲審査権の性格について言及いたしました、いわば違憲審査の土俵を明確にした判決でございます。
この事件では、国会議員が原告となって、警察予備隊の設置や維持に関して国が行った法令の制定等の一切の行為が無効であると主張し、その確認を求めて直接最高裁に訴えを提起したものであります。先ほども申し上げましたとおり、本件は、最高裁判所が具体的な事件に関係なく抽象的に法令等の合憲、違憲を判断することができるのかという点が最初の争点となった事件でした。
最高裁判所は、法律、命令等に関して有する違憲立法審査権は、司法権の範囲内においてのみ行使されるものであって、具体的事件を離れて抽象的に法律、命令等が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有するものではないとして、そのような訴えを求めることはできないと判断いたしました。
続きまして、法令や処分が違憲であるとされたその他の十件の判決ないし決定を順次説明させていただきます。
先ほど御説明した①の「衆議院議員定数配分規定違憲判決」においても、違憲であるとの判断がされておりますことを改めて申し上げておきたいと思います。
それでは、資料二の八ページの⑦、「自白調書有罪認定違憲判決」から御説明申し上げます。
自白の偏重あるいは自白の強要といった弊害を防ぐため、憲法三十八条三項は、本人の自白が唯一の証拠である場合には有罪とすることはできないと規定しております。本件は、ここに言う「本人の自白」の意義が問題となったものであります。
本判決は、被告人の第一審の公判廷における供述、自白及び被告人の警察官に対する尋問調書中の供述、自白は、いずれも憲法三十八条三項に言う「本人の自白」に該当するから、裁判所が事実認定をするに当たり、これら以外に自白を補強する証拠なしに有罪認定をすることは許されないといたしました。
次に、次ページの⑧、「強制調停違憲決定」でございます。
裁判所が、戦時民事特別法という法律に基づきまして、家屋の明け渡し請求事件を職権で調停に付したのですが、調停がまとまらなかったため、調停にかわる決定をしたという事件に関するものであります。この調停にかわる決定は非公開の手続で行われたわけですが、そのことが裁判の公開を定めた憲法八十二条等に違反するか否かが争点となったものであります。
本判決は、当事者の意思いかんにかかわらず、終局的に事実を確定して当事者の主張する権利義務の存否を判断する裁判は、公開の法廷における対審及び判決によってなされなければならないというのが憲法八十二条の趣旨であり、本件の決定は、家屋の明け渡し請求権という権利義務の存否が争われている事件について終局的になされた裁判であることから、この事件について非公開の手続で審理判断したことは違憲であるとしたものであります。
次に、十ページの⑨、「第三者所有物没収違憲判決」でありますが、これは、貨物を密輸した罪により被告人から貨物を没収いたしましたが、その貨物には第三者の所有物も含まれていたところ、その第三者たる所有者に告知、弁解、防御の機会を与えずに没収を行ったのは、財産権を保障した憲法二十九条、さらに適正手続を保障した憲法三十一条に違反するとしたものであります。
十一ページの⑩の「余罪量刑考慮違憲判決」でありますが、これは、起訴されていない犯罪事実で、被告人の自白以外に証拠のないものをいわゆる余罪として認定し、これをも実質上処罰する趣旨のもとに重い刑を科すことは、適正手続を定めた憲法三十一条に反するし、かつ、被告人の自白だけでは有罪とすることができないとする憲法三十八条三項にも違反するとして違憲としたものでございます。
次に、十二ページの⑪の「偽計自白有罪認定違憲判決」でありますが、これは、捜査段階におきまして妻が被告人との共謀の事実を供述していませんのに、検察官が被告人に対し、妻が共謀の事実を供述したとうそを告げて被告人に自白をさせた事件についてであります。このような偽計によって被告人が心理的強制を受け、その結果、虚偽の自白が誘発されるおそれがある場合には、偽計によって獲得された自白はその任意性に疑いがあるから証拠とはできないと解すべきであって、このような自白を証拠に採用することは憲法三十八条二項に反するとしたものであります。
次の⑫の「高田事件判決」であります。これは、弁護人の要望もあって併合予定の別件の審理を優先したところ、その審理が予想外に長期化したため、結果的に第一審で十五年余にわたる審理の中断があった事件でありますが、このように長期間にわたり全く審理が行われなかったことは、迅速な裁判を受ける権利を保障した憲法三十七条一項に違反するのであって、その審理を打ち切るという非常救済手段をとることも認められるとしたものであります。
十四ページの⑬、「尊属殺重罰規定違憲判決」でありますが、これは、被告人が実の父親を殺害した事案で、親などの尊属を殺害した場合について規定しておりました当時の刑法二百条は、その法定刑が死刑または無期に限定されている点において余りに厳しいものであり、普通殺人に関する刑法百九十九条の法定刑に比較して著しく不合理な差別的取り扱いをするものであって、法のもとの平等を定めた憲法十四条一項に違反するとしたものであります。
十五ページの「薬事法距離制限規定違憲判決」は、薬事法の規定に基づき薬局等の配置の基準を定めた条例の距離制限規定は、過当競争による不良医薬品の供給の防止等を目的として定められたものではあるけれども、距離制限はその目的のために必要かつ合理的な規制とは言えないから、職業選択の自由を定めた憲法二十二条一項に違反するとしたものであります。
十六ページの「森林分割制限規定違憲判決」は、森林の共有者は、共有物の分割を認めた民法の規定にかかわらず、共有している森林の分割を求めることができないと定めていた森林法の規定について、この分割制限規定の目的は、森林の細分化を防止することによって森林経営の安定を図り、もって国民経済の発展に寄与するという点にあるが、そのように森林の分割を制限することは、その立法目的との関係において合理性も必要性もないとして、財産権を保障した憲法二十九条に違反し、無効であるとしたものであります。
十七ページの「愛媛玉串料訴訟違憲判決」でありますが、愛媛県が靖国神社や護国神社に対して公金から玉ぐし料等を支出したことが政教分離の原則に違反するかが争点となった事件でありますが、県が玉ぐし料等を支出したことは、県が特定の宗教団体とのみ意識的に特別のかかわり合いを持ったことを否定することはできず、政教分離を定めた憲法二十条三項、八十九条に違反するとしたものでございます。
御依頼のございました裁判例についての御説明は以上でございますが、外国の憲法裁判制度についても簡潔に説明せよという御依頼がございましたので、英米独仏の制度につきまして簡単に御説明させていただきます。
資料三という二枚紙をごらんください。
一枚目の英米独仏の制度を見ますると、特別の憲法裁判所制度を有するのはドイツだけでございます。アメリカは、日本と同様、通常の裁判所が具体的事件を前提として憲法判断を行う仕組みとなっており、イギリスとフランスではそもそも裁判所は違憲審査権を有しておりません。
なお、ドイツの憲法裁判所の制度につきましては、次に別紙をつけてございますが、ドイツの憲法裁判所では、通常の裁判所が具体的事件について適用しようとする法律が違憲であると考えるときは、その手続を中止して憲法裁判所に判断を求めることになっております。そして、このような具体的事件に伴う違憲判断、合憲判断とは別に、連邦政府、州政府、あるいは連邦議会議員の三分の一からの申し立てがあれば、具体的事件と離れて、法令が違憲であるかどうかの判断をする抽象的違憲審査の制度が設けられております。また、公権力によって憲法上の基本権を侵害された者は、一定の要件のもとで、対象となった法律や処分等の合憲性の審査を申し立てることができるともされているところであります。
以上が憲法関係のものでございますが、我が国の司法の実情についても概略を説明していただきたいという御依頼がございましたので、これについても簡単に御説明申し上げます。
まず、地裁の第一審の事件数について御説明させていただきます。資料四をごらんいただきたいと思います。
資料四は、地裁の民事訴訟事件の推移を示しております。訴訟事件の数につきましては、社会情勢、経済の規模、景気、法曹人口等さまざまな要因により影響を受けるものでありますが、ごらんいただけばおわかりになりますように、長期的に見ますと大幅に増加してきており、平成十二年度は新受件数が十五万六千八百五十件に上っております。
また、地裁の刑事訴訟事件については、資料五にありますように、戦後の社会状況を反映して昭和二十四年、二十五年がピークとなり、一たん減少した後、増減を繰り返しながらほぼ横ばいで推移しておりましたが、昭和五十年ころから増加傾向になり、昭和六十年ころからは減少に転じたものの、最近は再び増加傾向になってきております。平成十二年は新受事件数が九万四千百四十人で、近年で最も多くなっております。
次に、平均審理期間を見ますると、資料四に戻っていただきたいと思いますが、地裁の民事訴訟事件につきましては、昭和四十八年の十七・三カ月をピークとしておおむね短縮傾向にあり、平成十二年では八・八カ月まで短縮されました。これは、運用レベルにおきまして裁判所が中心となり争点整理や集中証拠調べを行うとともに、これらが国会における御審議を経て新民事訴訟法として結実し、平成十年にこれが施行されたことによるものと思われます。
また、地裁の刑事訴訟事件については、資料五にございますように、昭和四十九年には六・六カ月でございましたが、これをピークとして年々短縮され、平成十二年度は三・二カ月、起訴から判決までが三・二カ月ということになっております。
民事訴訟事件、刑事訴訟事件、いずれにつきましても非常に長いというような御批判があるところは承知しておりますが、実はこの平均審理期間について見ますれば、国際的に見て遜色のない水準にあると言ってよいと思われます。一部に非常に長くかかっている長期係属事件というのがございますが、これを見たものが資料六と七でございます。民事、刑事とも、昭和四十年代後半をピークに大幅に減少していることがおわかりになるかと思います。
しかしながら、地裁の民事訴訟事件については、争いがあって証拠調べをして終了した事件、あるいは公害訴訟のように訴訟当事者が極めて多数の大型事件、医事関係事件などのような専門的事件、これらは解決までに依然として長期間を要しておりますし、刑事訴訟事件についても、件数はごくわずかでありますが、御承知のオウム事件のように極めて長期間を要する例もあるわけでございます。今後、このような長期間を要している事件について、さらにこれを短縮化していくということが裁判所に課せられた課題であるというふうに認識しております。
次に、資料八が裁判官の数の推移を示したグラフでございます。
裁判所としては、事件数の変動あるいは事務処理形態や事務処理体制の変化など諸要素を総合的に考慮して確実に増員を行ってまいりました。平成十三年度の定員は、裁判官は三千四十九人であり、裁判官以外の裁判所の職員は二万二千四十七人となっております。
資料九が、最高裁の年間受理件数の推移を示したものでございます。
戦後しばらくは刑事事件が非常に多く、民事・行政事件が少ないという状況が続いておりましたが、その後逆転し、民事・行政事件が刑事事件の数を大きく上回っております。また、最近は民事・行政、刑事ともに増加傾向にございます。
民事・行政事件につきましては、最高裁の負担を軽減し、本来最高裁が担っている憲法判断や最終審としての判断を示して法令の解釈を統一するという重大な機能をより一層充実強化しようとする観点で、さきに申し上げました平成十年一月一日施行の新民事訴訟法におきまして、最高裁に対する上告の理由が大きく制限されることになりました。
その結果でありますけれども、上告事件の平均審理期間は平成九年には九・五カ月であったものが平成十二年には五・四カ月、行政上告事件のそれは平成九年に十三・八カ月であったものが平成十二年には七・四カ月と大幅に短縮され、また未済事件のうち係属後一年を超えるものの割合が減少するなど、事件の重さに応じた事件処理の効果が徐々にあらわれつつあるのではないかと考えております。
以上が御依頼のございました事項についての御説明でございます。御質問がございましたらお受けいたしますが、先ほども申し上げましたように、裁判例につきましては、最高裁判所は判決をしたいわば当事者でございますので、その当否や評価といった点については申し述べることは差し控えさせていただきたいと思います。そのあたりは、そのような評価等を専門にしていらっしゃる憲法の学者の方々が大勢いらっしゃると存じますので、そちらの方にゆだねることにいたしまして、裁判所としては客観的な事実関係や判決文の内容等についてわかる範囲でお答えさせていただきたいと思います。
以上でございます。ありがとうございました。
この発言だけを見る →まず、裁判所の機構等について簡単に御説明申し上げたいと思います。
日本国憲法のもとにおきましては、司法権はすべて裁判所に帰属するとともに、立法権は国会に、行政権は内閣にそれぞれ帰属するとされております。そして、各国家機関がその権限を行使するに当たって行き過ぎるのを防止するため、三権相互の抑制と均衡を図る三権分立制度が採用されております。
本日、お手元にお配りしております資料のうち、その十一がその仕組みを図にしたものでございます。
このように、裁判所は三権の一翼である司法権を行使し、具体的な事件の処理を通じて国民の権利を守るという重大な使命と職責を与えられておりますが、裁判所がこのような使命を全うするためには、個々の裁判が法以外のいかなる勢力や権力からも拘束されないことが必要であり、そのための制度的裏づけとして憲法上、司法権の独立が保障されているわけでございます。
さらに、裁判所には、憲法上、国会が制定された法律や行政機関の命令等について、それが憲法に適合するか否かを審査する権限が認められております。いわゆる違憲審査権と呼ばれているものでございますが、後に御説明申し上げます最高裁判所の違憲判決はこの権限に基づくものでございます。
そして、さきに述べました三権分立制度との関係では、この違憲審査権は、司法が立法または行政の権限行使をチェックする役割を果たしていることになります。他方、立法については、弾劾裁判という形で司法に対するチェックを行い、また行政につきましては、最高裁判所長官についてはその指名、最高裁判所判事については任命を行い、その他の下級裁判所の裁判官につきましては、指名権が認められている最高裁判所の作成した名簿の中から内閣が任命するという形で司法に対するチェックを働かせ、相互に抑制と均衡を図ろうとしているものでございます。
以上のような使命や権限を担う裁判所は、我が国の憲法及び法律上、最高裁判所、高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所及び簡易裁判所の五種類とされており、法律で定められた管轄の範囲内で各裁判所がそれぞれ事件の処理等を行っているわけであります。
なお、裁判所の数を御紹介いたしますと、資料にございます最初に「ホワット・イズ裁判所?」というパンフレットがございますが、そこの二ページをごらんいただきたいと思います。そこに今申し上げました五つの裁判所がございますが、最高裁判所は、これは当然のことながら一つであり、東京にしかございませんけれども、高等裁判所は全国に八庁、地方裁判所及び家庭裁判所はそれぞれ五十庁、支部につきましては二百三庁、簡易裁判所は四百三十八庁となっているわけであります。
そして、正しい裁判を実現するために三審制度、すなわち第一審、第二審、第三審の三つの審級の裁判所を設け、判断の内容に不服がある当事者は上訴の手続により不服申し立てができることとなっているわけでございます。
それでは次に、憲法調査会の幹事会の御依頼に基づきまして、国民主権と国の機構等に関する最高裁判決について御説明させていただきます。
ただ、あらかじめお断りしておきたいのですけれども、最高裁判所はこれから御説明する裁判をした当事者という立場にございますので、私といたしましては、裁判の内容の当否と評価にわたる事項や今後出される裁判の予測等については御説明はいたしかねるところでございます。憲法理論の是非につきましても同様でございます。したがいまして、判決文にあらわれている客観的な事実関係と判決内容のみを御説明させていただくことになりますので、先生方には隔靴掻痒の感を抱かれるかと思いますが、御了承のほどよろしくお願い申し上げます。
法令等の合憲、違憲という憲法判断をした戦後の最高裁判決は多数ございます。その中で何を主要な判例と見るかは、論者によって区々さまざまであります。
資料一をごらんいただきたいと思いますが、そこに法律雑誌等で戦後の主な憲法裁判例と紹介されているものを一覧表にしたものでございます。次に、資料二をごらんいただきたいと思います。これは、今申し上げました資料一の裁判例の中から、憲法調査会幹事会の方で「国民主権と国の機構」というテーマにふさわしいものとして選定された五件の判決、そのほか代表的な違憲判決等として選定された十一件の判決等でございます。これらにつきまして、ただいまから順次御説明させていただきます。
国の機構といいますと、憲法において国権の最高機関と位置づけられている国会を思い浮かべるわけでございますが、国会と国民主権ということになりますと、いわゆる一票の格差をめぐる多数の判決がございます。この点については、衆議院、参議院、それぞれ一件ずつ選定されておりますので、御説明申し上げます。
まず、資料の二ページにございます①の「衆議院議員定数配分規定違憲判決」でございます。
この判決は、一票の格差が最大約五倍となっていた衆議院議員の定数配分規定につきまして、一票の格差が憲法十四条一項等の要求する選挙権の平等に反する程度になっており、しかも合理的期間内に是正がされなかったので違憲であるとしたものであります。
なお、この判決は、衆議院議員選挙を無効とすることにより、直ちに違憲状態が是正されるわけではなく、かえって憲法の所期しない結果を生ずるような事情があるとして、その選挙が違法である旨を主文で宣言した上で、選挙を無効とする旨の判決を求める請求は棄却いたしました。
次に、資料二の三ページにあります②の「参議院議員定数配分規定訴訟判決」であります。
こちらの方は、一票の格差が最大六・五九倍となっていた参議院議員の定数配分規定につきまして、その格差は憲法十四条一項等の要求する選挙権の平等に反する程度にはなっていたけれども、合理的期間内に是正がされなかったものとは言えないとして、違憲と断ずることはできないとしたものでございます。
また、衆議院は新たな民意を問うために解散されることがありますが、かつて衆議院の解散が有効か無効かが争われたことがございます。それが四ページの③の「苫米地事件判決」であります。
この判決は、衆議院の解散は極めて政治性の高い国家統治の基本に関する行為であるから、その有効無効を審査することは裁判所の権限外にあると解すべきであるといたしました。
次に、最高裁判所裁判官の国民審査に関する判決を御説明申し上げます。
次ページの④の「最高裁裁判官国民審査事件判決」であります。
この判決は、最高裁判所裁判官の国民審査は、裁判官を罷免すべきか否かを決定する趣旨の制度であり、裁判官の任命を完成させるか否かを審査するものではないから、白票を積極的に罷免する意思を有するものではない者の数に入れるとしている最高裁判所裁判官国民審査法の規定は憲法に違反しないとしたものでございます。
次に、六ページの⑤、「条例罰則規定事件判決」をごらんください。
これは一言で申しますと、罰則を定めた条例が有効か無効かが争われた事件であります。
この事件は、街頭での売春勧誘行為等について罰則を定めた条例に違反したとして罪に問われた者が、条例に一般的かつ抽象的に罰則の制定を授権した地方自治法の規定及びこれに基づいて制定された本件条例は憲法三十一条に違反して無効であるとして、無罪を主張した事件であります。
最高裁は、地方自治法は具体的かつ限定的に刑罰を定めることを条例に委任したものにすぎず、憲法三十一条に定める手続によって刑罰を科すものということができるので、本件条例は違憲ではないといたしました。
ここで、資料二のまた一枚目をごらんいただきたいと思います。
「国民主権と国の機構」というテーマで幹事会の方から説明を求められましたものは今申し上げました五つの判決でありますが、国会で制定されました法令等の合憲、違憲を判断する裁判所の違憲立法審査権も国の統治機構における重要な作用であり、最高裁の違憲判決等についても説明を求められましたので、幹事会の方で選定されたその余の十一件の判決等について御説明申し上げます。
まず、最初の「警察予備隊違憲訴訟判決」であります。資料二の七ページにございます。
この訴訟判決は、我が国の違憲審査権の性格について言及いたしました、いわば違憲審査の土俵を明確にした判決でございます。
この事件では、国会議員が原告となって、警察予備隊の設置や維持に関して国が行った法令の制定等の一切の行為が無効であると主張し、その確認を求めて直接最高裁に訴えを提起したものであります。先ほども申し上げましたとおり、本件は、最高裁判所が具体的な事件に関係なく抽象的に法令等の合憲、違憲を判断することができるのかという点が最初の争点となった事件でした。
最高裁判所は、法律、命令等に関して有する違憲立法審査権は、司法権の範囲内においてのみ行使されるものであって、具体的事件を離れて抽象的に法律、命令等が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有するものではないとして、そのような訴えを求めることはできないと判断いたしました。
続きまして、法令や処分が違憲であるとされたその他の十件の判決ないし決定を順次説明させていただきます。
先ほど御説明した①の「衆議院議員定数配分規定違憲判決」においても、違憲であるとの判断がされておりますことを改めて申し上げておきたいと思います。
それでは、資料二の八ページの⑦、「自白調書有罪認定違憲判決」から御説明申し上げます。
自白の偏重あるいは自白の強要といった弊害を防ぐため、憲法三十八条三項は、本人の自白が唯一の証拠である場合には有罪とすることはできないと規定しております。本件は、ここに言う「本人の自白」の意義が問題となったものであります。
本判決は、被告人の第一審の公判廷における供述、自白及び被告人の警察官に対する尋問調書中の供述、自白は、いずれも憲法三十八条三項に言う「本人の自白」に該当するから、裁判所が事実認定をするに当たり、これら以外に自白を補強する証拠なしに有罪認定をすることは許されないといたしました。
次に、次ページの⑧、「強制調停違憲決定」でございます。
裁判所が、戦時民事特別法という法律に基づきまして、家屋の明け渡し請求事件を職権で調停に付したのですが、調停がまとまらなかったため、調停にかわる決定をしたという事件に関するものであります。この調停にかわる決定は非公開の手続で行われたわけですが、そのことが裁判の公開を定めた憲法八十二条等に違反するか否かが争点となったものであります。
本判決は、当事者の意思いかんにかかわらず、終局的に事実を確定して当事者の主張する権利義務の存否を判断する裁判は、公開の法廷における対審及び判決によってなされなければならないというのが憲法八十二条の趣旨であり、本件の決定は、家屋の明け渡し請求権という権利義務の存否が争われている事件について終局的になされた裁判であることから、この事件について非公開の手続で審理判断したことは違憲であるとしたものであります。
次に、十ページの⑨、「第三者所有物没収違憲判決」でありますが、これは、貨物を密輸した罪により被告人から貨物を没収いたしましたが、その貨物には第三者の所有物も含まれていたところ、その第三者たる所有者に告知、弁解、防御の機会を与えずに没収を行ったのは、財産権を保障した憲法二十九条、さらに適正手続を保障した憲法三十一条に違反するとしたものであります。
十一ページの⑩の「余罪量刑考慮違憲判決」でありますが、これは、起訴されていない犯罪事実で、被告人の自白以外に証拠のないものをいわゆる余罪として認定し、これをも実質上処罰する趣旨のもとに重い刑を科すことは、適正手続を定めた憲法三十一条に反するし、かつ、被告人の自白だけでは有罪とすることができないとする憲法三十八条三項にも違反するとして違憲としたものでございます。
次に、十二ページの⑪の「偽計自白有罪認定違憲判決」でありますが、これは、捜査段階におきまして妻が被告人との共謀の事実を供述していませんのに、検察官が被告人に対し、妻が共謀の事実を供述したとうそを告げて被告人に自白をさせた事件についてであります。このような偽計によって被告人が心理的強制を受け、その結果、虚偽の自白が誘発されるおそれがある場合には、偽計によって獲得された自白はその任意性に疑いがあるから証拠とはできないと解すべきであって、このような自白を証拠に採用することは憲法三十八条二項に反するとしたものであります。
次の⑫の「高田事件判決」であります。これは、弁護人の要望もあって併合予定の別件の審理を優先したところ、その審理が予想外に長期化したため、結果的に第一審で十五年余にわたる審理の中断があった事件でありますが、このように長期間にわたり全く審理が行われなかったことは、迅速な裁判を受ける権利を保障した憲法三十七条一項に違反するのであって、その審理を打ち切るという非常救済手段をとることも認められるとしたものであります。
十四ページの⑬、「尊属殺重罰規定違憲判決」でありますが、これは、被告人が実の父親を殺害した事案で、親などの尊属を殺害した場合について規定しておりました当時の刑法二百条は、その法定刑が死刑または無期に限定されている点において余りに厳しいものであり、普通殺人に関する刑法百九十九条の法定刑に比較して著しく不合理な差別的取り扱いをするものであって、法のもとの平等を定めた憲法十四条一項に違反するとしたものであります。
十五ページの「薬事法距離制限規定違憲判決」は、薬事法の規定に基づき薬局等の配置の基準を定めた条例の距離制限規定は、過当競争による不良医薬品の供給の防止等を目的として定められたものではあるけれども、距離制限はその目的のために必要かつ合理的な規制とは言えないから、職業選択の自由を定めた憲法二十二条一項に違反するとしたものであります。
十六ページの「森林分割制限規定違憲判決」は、森林の共有者は、共有物の分割を認めた民法の規定にかかわらず、共有している森林の分割を求めることができないと定めていた森林法の規定について、この分割制限規定の目的は、森林の細分化を防止することによって森林経営の安定を図り、もって国民経済の発展に寄与するという点にあるが、そのように森林の分割を制限することは、その立法目的との関係において合理性も必要性もないとして、財産権を保障した憲法二十九条に違反し、無効であるとしたものであります。
十七ページの「愛媛玉串料訴訟違憲判決」でありますが、愛媛県が靖国神社や護国神社に対して公金から玉ぐし料等を支出したことが政教分離の原則に違反するかが争点となった事件でありますが、県が玉ぐし料等を支出したことは、県が特定の宗教団体とのみ意識的に特別のかかわり合いを持ったことを否定することはできず、政教分離を定めた憲法二十条三項、八十九条に違反するとしたものでございます。
御依頼のございました裁判例についての御説明は以上でございますが、外国の憲法裁判制度についても簡潔に説明せよという御依頼がございましたので、英米独仏の制度につきまして簡単に御説明させていただきます。
資料三という二枚紙をごらんください。
一枚目の英米独仏の制度を見ますると、特別の憲法裁判所制度を有するのはドイツだけでございます。アメリカは、日本と同様、通常の裁判所が具体的事件を前提として憲法判断を行う仕組みとなっており、イギリスとフランスではそもそも裁判所は違憲審査権を有しておりません。
なお、ドイツの憲法裁判所の制度につきましては、次に別紙をつけてございますが、ドイツの憲法裁判所では、通常の裁判所が具体的事件について適用しようとする法律が違憲であると考えるときは、その手続を中止して憲法裁判所に判断を求めることになっております。そして、このような具体的事件に伴う違憲判断、合憲判断とは別に、連邦政府、州政府、あるいは連邦議会議員の三分の一からの申し立てがあれば、具体的事件と離れて、法令が違憲であるかどうかの判断をする抽象的違憲審査の制度が設けられております。また、公権力によって憲法上の基本権を侵害された者は、一定の要件のもとで、対象となった法律や処分等の合憲性の審査を申し立てることができるともされているところであります。
以上が憲法関係のものでございますが、我が国の司法の実情についても概略を説明していただきたいという御依頼がございましたので、これについても簡単に御説明申し上げます。
まず、地裁の第一審の事件数について御説明させていただきます。資料四をごらんいただきたいと思います。
資料四は、地裁の民事訴訟事件の推移を示しております。訴訟事件の数につきましては、社会情勢、経済の規模、景気、法曹人口等さまざまな要因により影響を受けるものでありますが、ごらんいただけばおわかりになりますように、長期的に見ますと大幅に増加してきており、平成十二年度は新受件数が十五万六千八百五十件に上っております。
また、地裁の刑事訴訟事件については、資料五にありますように、戦後の社会状況を反映して昭和二十四年、二十五年がピークとなり、一たん減少した後、増減を繰り返しながらほぼ横ばいで推移しておりましたが、昭和五十年ころから増加傾向になり、昭和六十年ころからは減少に転じたものの、最近は再び増加傾向になってきております。平成十二年は新受事件数が九万四千百四十人で、近年で最も多くなっております。
次に、平均審理期間を見ますると、資料四に戻っていただきたいと思いますが、地裁の民事訴訟事件につきましては、昭和四十八年の十七・三カ月をピークとしておおむね短縮傾向にあり、平成十二年では八・八カ月まで短縮されました。これは、運用レベルにおきまして裁判所が中心となり争点整理や集中証拠調べを行うとともに、これらが国会における御審議を経て新民事訴訟法として結実し、平成十年にこれが施行されたことによるものと思われます。
また、地裁の刑事訴訟事件については、資料五にございますように、昭和四十九年には六・六カ月でございましたが、これをピークとして年々短縮され、平成十二年度は三・二カ月、起訴から判決までが三・二カ月ということになっております。
民事訴訟事件、刑事訴訟事件、いずれにつきましても非常に長いというような御批判があるところは承知しておりますが、実はこの平均審理期間について見ますれば、国際的に見て遜色のない水準にあると言ってよいと思われます。一部に非常に長くかかっている長期係属事件というのがございますが、これを見たものが資料六と七でございます。民事、刑事とも、昭和四十年代後半をピークに大幅に減少していることがおわかりになるかと思います。
しかしながら、地裁の民事訴訟事件については、争いがあって証拠調べをして終了した事件、あるいは公害訴訟のように訴訟当事者が極めて多数の大型事件、医事関係事件などのような専門的事件、これらは解決までに依然として長期間を要しておりますし、刑事訴訟事件についても、件数はごくわずかでありますが、御承知のオウム事件のように極めて長期間を要する例もあるわけでございます。今後、このような長期間を要している事件について、さらにこれを短縮化していくということが裁判所に課せられた課題であるというふうに認識しております。
次に、資料八が裁判官の数の推移を示したグラフでございます。
裁判所としては、事件数の変動あるいは事務処理形態や事務処理体制の変化など諸要素を総合的に考慮して確実に増員を行ってまいりました。平成十三年度の定員は、裁判官は三千四十九人であり、裁判官以外の裁判所の職員は二万二千四十七人となっております。
資料九が、最高裁の年間受理件数の推移を示したものでございます。
戦後しばらくは刑事事件が非常に多く、民事・行政事件が少ないという状況が続いておりましたが、その後逆転し、民事・行政事件が刑事事件の数を大きく上回っております。また、最近は民事・行政、刑事ともに増加傾向にございます。
民事・行政事件につきましては、最高裁の負担を軽減し、本来最高裁が担っている憲法判断や最終審としての判断を示して法令の解釈を統一するという重大な機能をより一層充実強化しようとする観点で、さきに申し上げました平成十年一月一日施行の新民事訴訟法におきまして、最高裁に対する上告の理由が大きく制限されることになりました。
その結果でありますけれども、上告事件の平均審理期間は平成九年には九・五カ月であったものが平成十二年には五・四カ月、行政上告事件のそれは平成九年に十三・八カ月であったものが平成十二年には七・四カ月と大幅に短縮され、また未済事件のうち係属後一年を超えるものの割合が減少するなど、事件の重さに応じた事件処理の効果が徐々にあらわれつつあるのではないかと考えております。
以上が御依頼のございました事項についての御説明でございます。御質問がございましたらお受けいたしますが、先ほども申し上げましたように、裁判例につきましては、最高裁判所は判決をしたいわば当事者でございますので、その当否や評価といった点については申し述べることは差し控えさせていただきたいと思います。そのあたりは、そのような評価等を専門にしていらっしゃる憲法の学者の方々が大勢いらっしゃると存じますので、そちらの方にゆだねることにいたしまして、裁判所としては客観的な事実関係や判決文の内容等についてわかる範囲でお答えさせていただきたいと思います。
以上でございます。ありがとうございました。
上
谷
谷川秀善#6
○谷川秀善君 自由民主党の谷川秀善でございます。
ただいまは、最高裁の中山総務局長さんから「国民主権と国の機構」に関する憲法判例についてお話をお聞かせいただき大変参考になりましたが、私は、かねがね現在の最高裁判所が本当に憲法の番人と言えるかどうか大変疑問に思っておる一人でございます。
憲法第八十一条では、「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。」と規定されております。したがって、最高裁判所の大変大きな任務の一つは、国会や内閣の制定した法令が憲法に違反していないかどうかを審査することであると思っております。この規定によりまして最高裁判所が法令審査権の最終裁判所であるというわけですから、地方裁判所も高等裁判所も当然法令違憲審査権を持っていることになります。
そこで、二、三お伺いをいたしたいと思いますが、地方裁判所や高等裁判所がある法令を憲法違反であると判断したにもかかわらず最高裁判所が合憲と判断した場合、こういう例が過去に幾つかあったと思いますが、もちろんその場合には最高裁判所の判断が優越されるわけですが、人間が判断することですからそんなに大きな差はないと思われるんです。そうすると、特に学説上通説と言われているものが下級審の違憲判決を支持するものである場合、最高裁が違った判断をした場合、最高裁判所の判断の法解釈に私は疑問が残るのではないかな、こう思っておるんですが、中山さんはどうお考えでございましょうか。
この発言だけを見る →ただいまは、最高裁の中山総務局長さんから「国民主権と国の機構」に関する憲法判例についてお話をお聞かせいただき大変参考になりましたが、私は、かねがね現在の最高裁判所が本当に憲法の番人と言えるかどうか大変疑問に思っておる一人でございます。
憲法第八十一条では、「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。」と規定されております。したがって、最高裁判所の大変大きな任務の一つは、国会や内閣の制定した法令が憲法に違反していないかどうかを審査することであると思っております。この規定によりまして最高裁判所が法令審査権の最終裁判所であるというわけですから、地方裁判所も高等裁判所も当然法令違憲審査権を持っていることになります。
そこで、二、三お伺いをいたしたいと思いますが、地方裁判所や高等裁判所がある法令を憲法違反であると判断したにもかかわらず最高裁判所が合憲と判断した場合、こういう例が過去に幾つかあったと思いますが、もちろんその場合には最高裁判所の判断が優越されるわけですが、人間が判断することですからそんなに大きな差はないと思われるんです。そうすると、特に学説上通説と言われているものが下級審の違憲判決を支持するものである場合、最高裁が違った判断をした場合、最高裁判所の判断の法解釈に私は疑問が残るのではないかな、こう思っておるんですが、中山さんはどうお考えでございましょうか。
中
中山隆夫#7
○参考人(中山隆夫君) 大変厳しいお言葉をいただきました。今のお言葉をお聞きして、最高裁はこれまで以上にその役割を果たすについて心していかなければならないなという感を抱いたわけであります。
地方裁判所や高等裁判所がある法令を憲法違反であると判断したものの中には、今の御質問にもありますように、学説により支持されているものもございますが、最高裁判所といたしましては、法令等が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所として、そのような下級裁の判断や学説を十分に踏まえた上で、あらゆる側面から総合的に検討し、最終的に法令が違憲であるか否かを判断しているものでありまして、そのような検討を経た上で、必要がある場合にはちゅうちょすることなく毅然としてその権限を行使してきたものと考えております。
以上でございます。
この発言だけを見る →地方裁判所や高等裁判所がある法令を憲法違反であると判断したものの中には、今の御質問にもありますように、学説により支持されているものもございますが、最高裁判所といたしましては、法令等が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所として、そのような下級裁の判断や学説を十分に踏まえた上で、あらゆる側面から総合的に検討し、最終的に法令が違憲であるか否かを判断しているものでありまして、そのような検討を経た上で、必要がある場合にはちゅうちょすることなく毅然としてその権限を行使してきたものと考えております。
以上でございます。
谷
谷川秀善#8
○谷川秀善君 やっぱり信頼だと思うんですね。だから、国民が最高裁判所の判断を本当に信頼できるというような努力をこれからもお続けいただきたいというふうに思います。
それで二つ目でございますが、日本の裁判は、今の御説明でも大分裁判の期間が、ずっと時間がかからなくなっておりますけれども、昔からよく言われますね、裁判は非常に長いと。なかなか結果が出ないということをよく言われるわけですが、例えばある案件で十年かかったとしますね、その裁判が。そして、最高裁判所で最終的にその件が法令の違反、違憲だと判断されたとしますね。そうすると、法令ができてから違憲だと判断されるまでに十年かかるわけですね。そして、その違憲の法令が十年間ずっと適用されていると。こういう非常に何というか不合理な現象が続くわけですね。
この点について、どうお考えでございましょうか。
この発言だけを見る →それで二つ目でございますが、日本の裁判は、今の御説明でも大分裁判の期間が、ずっと時間がかからなくなっておりますけれども、昔からよく言われますね、裁判は非常に長いと。なかなか結果が出ないということをよく言われるわけですが、例えばある案件で十年かかったとしますね、その裁判が。そして、最高裁判所で最終的にその件が法令の違反、違憲だと判断されたとしますね。そうすると、法令ができてから違憲だと判断されるまでに十年かかるわけですね。そして、その違憲の法令が十年間ずっと適用されていると。こういう非常に何というか不合理な現象が続くわけですね。
この点について、どうお考えでございましょうか。
中
中山隆夫#9
○参考人(中山隆夫君) 先ほども御説明いたしましたけれども、我が国の裁判所は具体的事件を前提として、その解決に必要な範囲で憲法判断を行うといういわゆる付随的審査制というものを採用しているところであり、そのため、具体的な事件で問題とされない限り、法令等が違憲であるかどうかは裁判所は判断を示すことができません。そのため、結果的に違憲の法令が長期間放置されるという事態も起こり得るところであります。また、訴訟につきましては、第一審判決後、控訴審を省略して直ちに上告するという跳躍上告の制度も認められておりますけれども、原則として三段階の審級制度を採用しているところです。
憲法違反の有無を争点とする訴訟について、最上級審である最高裁まで争われることになれば、これまたある程度の審理期間を要することになるのはシステムとしてやむを得ない面もあろうかと思われます。しかし、委員が問題点として御指摘になるように、憲法違反の法令が長期間適用される事態というのは決して好ましいことではございません。
そこで、裁判所は、下級裁も含め、憲法論が争点となっている訴訟については、ひときわその審理の充実あるいは迅速化のために努力してきたところでありますが、今後もさらに努力を傾けていきたいと考えているところであります。
以上です。
この発言だけを見る →憲法違反の有無を争点とする訴訟について、最上級審である最高裁まで争われることになれば、これまたある程度の審理期間を要することになるのはシステムとしてやむを得ない面もあろうかと思われます。しかし、委員が問題点として御指摘になるように、憲法違反の法令が長期間適用される事態というのは決して好ましいことではございません。
そこで、裁判所は、下級裁も含め、憲法論が争点となっている訴訟については、ひときわその審理の充実あるいは迅速化のために努力してきたところでありますが、今後もさらに努力を傾けていきたいと考えているところであります。
以上です。
谷
谷川秀善#10
○谷川秀善君 できるだけ審査を迅速にやっていただいて、そのギャップが余り生じないようによろしくお願いを申し上げたいと思います。
ただいま中山さんの方からお話がございましたが、我が国の違憲審査というのは、おっしゃったように具体的な事件が起こって初めて裁判を通じて発動されるということになるわけですね。例えば、自衛隊法が憲法違反であると考えて、裁判所に自衛隊法が憲法違反であるのではないかと訴えても、裁判所はそれを受けつけてくれませんね。具体的にどんな事件が起こって、どんな条項が憲法違反なのかどうかを提示しなければならないわけですね。
自衛隊法の前身である警察予備隊法が制定をされたときに、当時の左派社会党が同法令の違憲性を求める、最高裁判所にその判断を求めましたけれども、最高裁判所は、「我が裁判所は具体的な争訟事件が提起されないのに将来を予想して憲法及びその他の法律命令等の解釈に対し存在する疑義論争に関し抽象的な判断を下すごとき権限を行い得るものではない。」ということで門前払いしていますね。
だから、いわゆる日本の裁判所は結局、ただいま御説明あったようなドイツの裁判所のように、違憲だけを裁判する機能を現在持っていないわけですね。具体的な事例がなければ違憲判断をする機能を持っていない。だから、私はむしろ、これは憲法改正の問題にも絡むと思いますが、憲法判断だけをする、専門にする裁判所といいますか、これに特化してはどうかと思っていますが、中山総務局長はどうお考えでございましょうか。
この発言だけを見る →ただいま中山さんの方からお話がございましたが、我が国の違憲審査というのは、おっしゃったように具体的な事件が起こって初めて裁判を通じて発動されるということになるわけですね。例えば、自衛隊法が憲法違反であると考えて、裁判所に自衛隊法が憲法違反であるのではないかと訴えても、裁判所はそれを受けつけてくれませんね。具体的にどんな事件が起こって、どんな条項が憲法違反なのかどうかを提示しなければならないわけですね。
自衛隊法の前身である警察予備隊法が制定をされたときに、当時の左派社会党が同法令の違憲性を求める、最高裁判所にその判断を求めましたけれども、最高裁判所は、「我が裁判所は具体的な争訟事件が提起されないのに将来を予想して憲法及びその他の法律命令等の解釈に対し存在する疑義論争に関し抽象的な判断を下すごとき権限を行い得るものではない。」ということで門前払いしていますね。
だから、いわゆる日本の裁判所は結局、ただいま御説明あったようなドイツの裁判所のように、違憲だけを裁判する機能を現在持っていないわけですね。具体的な事例がなければ違憲判断をする機能を持っていない。だから、私はむしろ、これは憲法改正の問題にも絡むと思いますが、憲法判断だけをする、専門にする裁判所といいますか、これに特化してはどうかと思っていますが、中山総務局長はどうお考えでございましょうか。
中
中山隆夫#11
○参考人(中山隆夫君) お答え申し上げます。
いわゆる憲法裁判所を設けることを初め、最高裁判所に憲法判断に特化した機能を付与するか否かにつきましては、今御指摘のありましたように現行憲法の改正を含む制度のありようの問題でありまして、裁判所としてそれを是とかあるいは非とする、コメントする立場にはないことは御理解いただきたいと思います。
この発言だけを見る →いわゆる憲法裁判所を設けることを初め、最高裁判所に憲法判断に特化した機能を付与するか否かにつきましては、今御指摘のありましたように現行憲法の改正を含む制度のありようの問題でありまして、裁判所としてそれを是とかあるいは非とする、コメントする立場にはないことは御理解いただきたいと思います。
谷
谷川秀善#12
○谷川秀善君 だから、やっぱり裁判はその事件だけに判断するわけですね。
例えば、尊属殺人の判断が違憲だということで四十八年に違憲判決が出ました。結局、平成七年までずっと刑法は改正されませんでしたから、尊属殺人の規定は生きていたわけですね。何か具体的にはある段階で、いわゆる起訴をする場合でも普通殺人で起訴しておられたようで、そのギャップはある程度司法の方で埋めていたのではないかと思いますが、この場合やっぱりある程度司法の方で早く、この場合は刑法の改正でございますが、早くしないと、これは四十八年から平成七年というのは大変な期間ですね、その辺についてどうお考えでございましょうか。中山参考人。
この発言だけを見る →例えば、尊属殺人の判断が違憲だということで四十八年に違憲判決が出ました。結局、平成七年までずっと刑法は改正されませんでしたから、尊属殺人の規定は生きていたわけですね。何か具体的にはある段階で、いわゆる起訴をする場合でも普通殺人で起訴しておられたようで、そのギャップはある程度司法の方で埋めていたのではないかと思いますが、この場合やっぱりある程度司法の方で早く、この場合は刑法の改正でございますが、早くしないと、これは四十八年から平成七年というのは大変な期間ですね、その辺についてどうお考えでございましょうか。中山参考人。
中
中山隆夫#13
○参考人(中山隆夫君) 今、御質問の中にもございましたように、我が国では付随的違憲審査制をとっております。当該事件の解決に必要な限りで違憲審査を行うということにしておりますことから、違憲判決の効力もその当該事件に限って効力を持つ、いわゆる個別的効力説というのが通説とされております。もっとも、個別的効力といいましても、他の国家機関、立法機関あるいは行政機関は、最高裁判所の違憲判決を尊重すべきであるというふうに言われているところであります。
そのような観点からいえば、違憲判決が出されましたときに、その執行に当たる行政機関においてその条項を適用しないようにし、あるいは法令の制定機関によって速やかにその廃止または改正がされる、それが一番好ましいことであろうとは考えております。
この発言だけを見る →そのような観点からいえば、違憲判決が出されましたときに、その執行に当たる行政機関においてその条項を適用しないようにし、あるいは法令の制定機関によって速やかにその廃止または改正がされる、それが一番好ましいことであろうとは考えております。
谷
谷川秀善#14
○谷川秀善君 いろいろ問題があろうと思いますが、そういうことで最高裁判所、国民が皆信頼をして期待をしているわけでございますので、どうぞよろしくお願いを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
この発言だけを見る →ありがとうございました。
上
高
高橋千秋#16
○高橋千秋君 民主党・新緑風会の高橋千秋でございます。貴重な機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
私は法律家ではございませんので初歩的な質問になるかもわかりませんが、お許しをいただきたいと思うんですけれども、最高裁判所というと、私たちからすると非常に縁遠い、余り縁がない方がいいのかもわかりませんが、非常に縁遠いところだなというふうに思っております。
その中で、幾つかの違憲判決、合憲判決、それぞれここに事例をいただきましたけれども、非常になかなか難しい判断を迫られているなというふうに思いますが、幾つか具体的なことでお伺いをしたいなというふうに思います。
その中で、きょういただいた資料の中に「主な憲法裁判例年表」というのがありますけれども、この中に、ナンバーの二十四番、二十七番、三十八番それぞれに、全逓東京中郵事件判決、それから都教組事件判決、それと全農林警職法事件判決というのがあります。
これは、基本的な部分というのは労働基本権の部分のことについての判決なんですけれども、きょう午前中の本会議の中でも給与二法というのが通りました。人勧のことが通ったんですけれども、私、昨日、総務委員会の中でもこの全農林の警職法事件判決について少し触れたんですが、人事院勧告というのが、そもそも日本の今の公務員に対しては労働基本権というのが認められていない、それの代償措置として人事院勧告制度というのがあるということになっています。
ただ、先ほど申しましたこの三つの判例、これはそれぞれかなり違うわけですね。一番最初の方からいくと、三つの段階に分かれるというふうな説明があるんですけれども、特に全逓の東京中郵事件判決のときに、この労働基本権について、制約的ではありますが少し認めるような判決が出ている。一方で、全農林警職法の方では、これについては認めないというような判例が出ているわけであります。ただ、この全農林の警職法のときには裁判官の中でかなり反対意見もあって、僅差でそういうことが通ったというふうに聞いております。
確かに難しい問題ではありますけれども、この件について、意見は述べられないということで再三にわたって念押しをされましたので、具体的な、客観的なことで結構ですけれども、この件についてまずお伺いをしたいと思います。中山さんの方にお願いします。
この発言だけを見る →私は法律家ではございませんので初歩的な質問になるかもわかりませんが、お許しをいただきたいと思うんですけれども、最高裁判所というと、私たちからすると非常に縁遠い、余り縁がない方がいいのかもわかりませんが、非常に縁遠いところだなというふうに思っております。
その中で、幾つかの違憲判決、合憲判決、それぞれここに事例をいただきましたけれども、非常になかなか難しい判断を迫られているなというふうに思いますが、幾つか具体的なことでお伺いをしたいなというふうに思います。
その中で、きょういただいた資料の中に「主な憲法裁判例年表」というのがありますけれども、この中に、ナンバーの二十四番、二十七番、三十八番それぞれに、全逓東京中郵事件判決、それから都教組事件判決、それと全農林警職法事件判決というのがあります。
これは、基本的な部分というのは労働基本権の部分のことについての判決なんですけれども、きょう午前中の本会議の中でも給与二法というのが通りました。人勧のことが通ったんですけれども、私、昨日、総務委員会の中でもこの全農林の警職法事件判決について少し触れたんですが、人事院勧告というのが、そもそも日本の今の公務員に対しては労働基本権というのが認められていない、それの代償措置として人事院勧告制度というのがあるということになっています。
ただ、先ほど申しましたこの三つの判例、これはそれぞれかなり違うわけですね。一番最初の方からいくと、三つの段階に分かれるというふうな説明があるんですけれども、特に全逓の東京中郵事件判決のときに、この労働基本権について、制約的ではありますが少し認めるような判決が出ている。一方で、全農林警職法の方では、これについては認めないというような判例が出ているわけであります。ただ、この全農林の警職法のときには裁判官の中でかなり反対意見もあって、僅差でそういうことが通ったというふうに聞いております。
確かに難しい問題ではありますけれども、この件について、意見は述べられないということで再三にわたって念押しをされましたので、具体的な、客観的なことで結構ですけれども、この件についてまずお伺いをしたいと思います。中山さんの方にお願いします。
中
上
高
増
増田稔#20
○参考人(増田稔君) それでは、御指摘のありました三件の判決につきまして、客観的な概要を私の方から御説明させていただきます。
まず一件目でございます。全逓東京中郵事件判決について御説明させていただきます。
この事件は、被告人らが全逓信労働組合の役員として東京中央郵便局の職員に対して勤務時間内に行われる職場集会に参加するよう説得しまして、現に三十八名の職員を職場から離脱させたとして郵便法違反の罪、具体的には郵便物の取り扱いをしない等の罪の教唆犯として起訴された事件でございます。
この事件につきまして、最高裁判所は、争議行為が労働組合法一条一項の目的を達成するためのものであり、暴力の行使その他不当性を伴わないときは正当な争議行為として刑事制裁の対象とはならないが、そうでない場合には郵便法の罰則が適用され、これを教唆した者は共犯になるという、こういう判断をしております。
続きまして都教組事件でございます。
この事件は、都教組の幹部でありました被告人らが公立学校の教職員たる組合員に対しまして勤務評定実施に反対する一斉休暇闘争の指令を配布しまして、闘争への参加を呼びかけた行為が地方公務員法上禁止されている争議行為のあおり行為に当たるとして起訴された事件でございます。
この事件につきまして、最高裁判所は、地方公務員法を文字どおりに解することは労働基本権を保障した憲法の趣旨に反するので、処罰の対象になるものは争議行為及びあおり行為の違法性が強いものに限られるとしまして、この事件について無罪判決を言い渡しております。
続きまして、全農林警職法事件の判決について御説明いたします。
この事件は、全農林労組の幹部でありました被告人らが内閣の警職法改正法案の衆議院提出に反対する運動の一環といたしまして正午出勤行動の指令を出しまして、また職場大会において職員に対し争議行動をあおったとして起訴された事件でございます。
この事件につきまして、最高裁判所は、公務員の地位の特殊性と職務の公共性を根拠といたしまして、公務員の労働基本権に対し、必要やむを得ない限度の制限を加えることは十分合理的な理由があると言うべきであるとした上で、財政民主主義の観点から、公務員の勤務条件の決定に関して、政府が国会から適法な委任を受けていない事項について公務員の争議行為は的外れであること、公務員の争議行為には市場の抑制力がないこと、労働基本権の制限に対して、人事院を初めとする適切な代償措置が講じられていることから、国家公務員法による争議行為及びそのあおり行為等の禁止は憲法二十八条に違反せず、また争議行為及びあおり行為のうち違法性が強いもののみを処罰の対象とする不明確な解釈は憲法三十一条に違反する疑いがあるといたしまして、従前の判例を変更して被告人らを有罪としたものであります。
以上、長くなりましたが、三件の判決について御説明させていただきました。
この発言だけを見る →まず一件目でございます。全逓東京中郵事件判決について御説明させていただきます。
この事件は、被告人らが全逓信労働組合の役員として東京中央郵便局の職員に対して勤務時間内に行われる職場集会に参加するよう説得しまして、現に三十八名の職員を職場から離脱させたとして郵便法違反の罪、具体的には郵便物の取り扱いをしない等の罪の教唆犯として起訴された事件でございます。
この事件につきまして、最高裁判所は、争議行為が労働組合法一条一項の目的を達成するためのものであり、暴力の行使その他不当性を伴わないときは正当な争議行為として刑事制裁の対象とはならないが、そうでない場合には郵便法の罰則が適用され、これを教唆した者は共犯になるという、こういう判断をしております。
続きまして都教組事件でございます。
この事件は、都教組の幹部でありました被告人らが公立学校の教職員たる組合員に対しまして勤務評定実施に反対する一斉休暇闘争の指令を配布しまして、闘争への参加を呼びかけた行為が地方公務員法上禁止されている争議行為のあおり行為に当たるとして起訴された事件でございます。
この事件につきまして、最高裁判所は、地方公務員法を文字どおりに解することは労働基本権を保障した憲法の趣旨に反するので、処罰の対象になるものは争議行為及びあおり行為の違法性が強いものに限られるとしまして、この事件について無罪判決を言い渡しております。
続きまして、全農林警職法事件の判決について御説明いたします。
この事件は、全農林労組の幹部でありました被告人らが内閣の警職法改正法案の衆議院提出に反対する運動の一環といたしまして正午出勤行動の指令を出しまして、また職場大会において職員に対し争議行動をあおったとして起訴された事件でございます。
この事件につきまして、最高裁判所は、公務員の地位の特殊性と職務の公共性を根拠といたしまして、公務員の労働基本権に対し、必要やむを得ない限度の制限を加えることは十分合理的な理由があると言うべきであるとした上で、財政民主主義の観点から、公務員の勤務条件の決定に関して、政府が国会から適法な委任を受けていない事項について公務員の争議行為は的外れであること、公務員の争議行為には市場の抑制力がないこと、労働基本権の制限に対して、人事院を初めとする適切な代償措置が講じられていることから、国家公務員法による争議行為及びそのあおり行為等の禁止は憲法二十八条に違反せず、また争議行為及びあおり行為のうち違法性が強いもののみを処罰の対象とする不明確な解釈は憲法三十一条に違反する疑いがあるといたしまして、従前の判例を変更して被告人らを有罪としたものであります。
以上、長くなりましたが、三件の判決について御説明させていただきました。
高
高橋千秋#21
○高橋千秋君 御説明のとおりだと思うんですが、この判例は同じ内容についてかなり判決が変わった大きな例ということで有名な判決だそうなんです。
公務員自体、勤労者には変わらないわけで、自分の給料はやっぱり自分たちで交渉して決めるべきだということだと私は思うんですが、そのことに対して、国民への奉仕者ということで基本権が認められていないわけでありますけれども、それのあくまでも代償措置としてこの人勧、人事院の制度、ほかにもありますけれども、代償措置でこれを制約しているということなんです。
今、行革推進本部の中で公務員制度改革自体が見直されようとしています。この中で、先ほど申しました代償制度の人事院勧告自体の力というのを弱める方向にあるというふうに聞いているんですけれども、そうなると、またそこを基本としてきた、代償制度を基本としてきたわけですので、判例自体が今後、まだ訴訟されていないわけですからわかりませんが、判例自体が変わっていく可能性もあると思うんですが、裁判官がこの全農林の事件のときはごろっとかわったということで判決がかなり厳しくなったというふうに聞いているんですが、そのことについてはいかがでございましょうか。
この発言だけを見る →公務員自体、勤労者には変わらないわけで、自分の給料はやっぱり自分たちで交渉して決めるべきだということだと私は思うんですが、そのことに対して、国民への奉仕者ということで基本権が認められていないわけでありますけれども、それのあくまでも代償措置としてこの人勧、人事院の制度、ほかにもありますけれども、代償措置でこれを制約しているということなんです。
今、行革推進本部の中で公務員制度改革自体が見直されようとしています。この中で、先ほど申しました代償制度の人事院勧告自体の力というのを弱める方向にあるというふうに聞いているんですけれども、そうなると、またそこを基本としてきた、代償制度を基本としてきたわけですので、判例自体が今後、まだ訴訟されていないわけですからわかりませんが、判例自体が変わっていく可能性もあると思うんですが、裁判官がこの全農林の事件のときはごろっとかわったということで判決がかなり厳しくなったというふうに聞いているんですが、そのことについてはいかがでございましょうか。
増
増田稔#22
○参考人(増田稔君) 先ほど総務局長が御説明しましたとおり、判決の憲法理論の当否でありますとか、評価、位置づけに関することに関しましては事務当局の方からコメントすることは難しい問題でありますので、御了承をいただきたいと思います。
この発言だけを見る →高
高橋千秋#23
○高橋千秋君 わかりました。
なかなか意見は述べにくいんだと思うんですけれども、私はかなり問題をまだまだ含んでいる判例の幾つかだと思うんですけれども、意見が言えないということですのでなかなか質問が難しいんですが。
ほかに、今回御説明いただいた中で、衆議院、参議院のそれぞれの定数の問題があります。投票者の平等性という問題で、きょういただいた中には幾つか出ておりますが、私は直近の中で、平成十二年九月六日に判決が出ている参議院議員定数配分規定違憲訴訟、これの判決について、簡単で結構ですが御説明いただけますでしょうか。
この発言だけを見る →なかなか意見は述べにくいんだと思うんですけれども、私はかなり問題をまだまだ含んでいる判例の幾つかだと思うんですけれども、意見が言えないということですのでなかなか質問が難しいんですが。
ほかに、今回御説明いただいた中で、衆議院、参議院のそれぞれの定数の問題があります。投票者の平等性という問題で、きょういただいた中には幾つか出ておりますが、私は直近の中で、平成十二年九月六日に判決が出ている参議院議員定数配分規定違憲訴訟、これの判決について、簡単で結構ですが御説明いただけますでしょうか。
増
増田稔#24
○参考人(増田稔君) 判決の内容に関してのことでありますが、私の方から御説明させていただきます。
まず、参議院に関するものといたしまして、平成十二年九月六日の大法廷判決について御説明させていただきます。
この事件は、平成十年七月十二日に行われました選挙区選出の参議院選挙につきまして、選挙人が、公職選挙法の規定によると一票の格差が最大四・九八倍に及んでおり、この規定が憲法十四条一項等に違反して、これに基づいて行われた選挙は無効であると主張しまして選挙の無効の判決を求めた事案でございます。この事件につきまして、最高裁判所は、本件選挙当時の一票の格差は憲法上看過することができないと認められる程度には達していないとして、定数配分規定は違憲ではないとしたものでございます。
次に、衆議院に関するものといたしまして、平成十一年十一月十日の大法廷判決について御説明させていただきます。
この事件は、平成八年十月二十日に行われました衆議院選挙について、選挙人が、公職選挙法の規定によると一票の格差が最大二・三〇九倍に及んでいて、この規定が憲法十四条一項等に違反して、これに基づいて行われた選挙は無効であると主張して選挙の無効の判決を求めたものでございます。この事件について、最高裁判所は、本件選挙当時の一票の格差は一般的に合理性を有するとは考えられない程度に達しているとまでは言うことができないとして、定数配分規定は違憲ではないとしました。
以上が定数訴訟についての最新の最高裁の判決でございます。
この発言だけを見る →まず、参議院に関するものといたしまして、平成十二年九月六日の大法廷判決について御説明させていただきます。
この事件は、平成十年七月十二日に行われました選挙区選出の参議院選挙につきまして、選挙人が、公職選挙法の規定によると一票の格差が最大四・九八倍に及んでおり、この規定が憲法十四条一項等に違反して、これに基づいて行われた選挙は無効であると主張しまして選挙の無効の判決を求めた事案でございます。この事件につきまして、最高裁判所は、本件選挙当時の一票の格差は憲法上看過することができないと認められる程度には達していないとして、定数配分規定は違憲ではないとしたものでございます。
次に、衆議院に関するものといたしまして、平成十一年十一月十日の大法廷判決について御説明させていただきます。
この事件は、平成八年十月二十日に行われました衆議院選挙について、選挙人が、公職選挙法の規定によると一票の格差が最大二・三〇九倍に及んでいて、この規定が憲法十四条一項等に違反して、これに基づいて行われた選挙は無効であると主張して選挙の無効の判決を求めたものでございます。この事件について、最高裁判所は、本件選挙当時の一票の格差は一般的に合理性を有するとは考えられない程度に達しているとまでは言うことができないとして、定数配分規定は違憲ではないとしました。
以上が定数訴訟についての最新の最高裁の判決でございます。
高
高橋千秋#25
○高橋千秋君 先ほど谷川委員の方からも質問がありましたけれども、時間がかなり短くなってきているとはいうものの、やっぱりかなりの時間がかかっているわけですよね。この定数訴訟についても、訴訟が行われて結局判決が出るころには当事者はもうほとんどいないというような状況が続いているように思います。
その意味でも、これはつい最近も中選挙区の復活というような話もありましたけれども、これについてもまた違憲訴訟のようなものが出るのかもわかりませんが、その防止効果だとか、いわゆるもっと事前から意見を言うようなことも必要なのではないかなと思うんですが、なかなか今の話では具体的な訴訟がない限り出せないということがありましたけれども、そうであれば、先ほどの時間の問題、もっとやっぱり早くしていくべきだろう。それから、最近、ヤコブの和解の件とかハンセン病のことだとかいろいろありますけれども、これらについても、先ほどの選挙の話ではありませんが、既に訴訟を起こした方が亡くなってしまっているということがかなりあるわけですね。
ですので、やはり私は、一般の人から見ると何でこんなに時間がかかるんだと。確かにいろいろな調査をしてかなりの資料をつくってやっていかなければいけない。それから、裁判については本当に中身を十分吟味しなければいけないということから、時間がかかるのはある程度はやむを得ないにしても、やはり当事者がもういなくなってしまって何のためにやっているのかわからない、判例をつくるためだけの訴訟になっているような気もするんですが、この件について、中山さんの方からお答えいただけますでしょうか。
この発言だけを見る →その意味でも、これはつい最近も中選挙区の復活というような話もありましたけれども、これについてもまた違憲訴訟のようなものが出るのかもわかりませんが、その防止効果だとか、いわゆるもっと事前から意見を言うようなことも必要なのではないかなと思うんですが、なかなか今の話では具体的な訴訟がない限り出せないということがありましたけれども、そうであれば、先ほどの時間の問題、もっとやっぱり早くしていくべきだろう。それから、最近、ヤコブの和解の件とかハンセン病のことだとかいろいろありますけれども、これらについても、先ほどの選挙の話ではありませんが、既に訴訟を起こした方が亡くなってしまっているということがかなりあるわけですね。
ですので、やはり私は、一般の人から見ると何でこんなに時間がかかるんだと。確かにいろいろな調査をしてかなりの資料をつくってやっていかなければいけない。それから、裁判については本当に中身を十分吟味しなければいけないということから、時間がかかるのはある程度はやむを得ないにしても、やはり当事者がもういなくなってしまって何のためにやっているのかわからない、判例をつくるためだけの訴訟になっているような気もするんですが、この件について、中山さんの方からお答えいただけますでしょうか。
中
中山隆夫#26
○参考人(中山隆夫君) 今、御指摘がありましたように、司法は新しいほど芳しいという言葉もありますけれども、早目早目に紛争処理の役割というものを果たしていかなければお話のようなことになってしまうだろうと思っております。
そのために、裁判所としましては、適正な裁判を実現するのはこれは当然のことでありますが、さらに迅速な裁判を実現しようということで種々工夫をしてまいりました。その結果が、先ほど先生方には意外に思われたかもしれませんけれども、例えば民事の訴訟事件では一審の平均審理期間が八・八カ月、刑事では三・二カ月、こういうような状況にもなってきているところであります。
ただ、今御指摘がありましたような医事関係訴訟というものを一つ取り上げてみますと、これは三十五・八カ月まだかかっているというのが実態であります。平成二年、十年前はこれが四十二・八カ月でしたから、その間かなりの努力をしてきた結果は御理解いただけるかというふうには思いますけれども、今後はこういった専門的な知見を要する事件、これについてどういうふうに対応していくかというのが最大の課題であります。
そこで、一例としては、この医事関係事件、ことしの四月から東京地裁、大阪地裁、あるいは十月から千葉地裁において医療過誤を専門に扱うそういった集中部をつくりました。さらには、お医者さんの鑑定人がなかなか得られない、こういうところもございましたので、この七月に医療の専門家も参加して鑑定人などの推薦をするための全国的な委員会システム、医事関係訴訟委員会というものを最高裁に設置し、あらゆる面からそういったものに対応してまいろうと考えているところでございます。
今後とも、そういった努力を続けてまいりたいと思っています。
この発言だけを見る →そのために、裁判所としましては、適正な裁判を実現するのはこれは当然のことでありますが、さらに迅速な裁判を実現しようということで種々工夫をしてまいりました。その結果が、先ほど先生方には意外に思われたかもしれませんけれども、例えば民事の訴訟事件では一審の平均審理期間が八・八カ月、刑事では三・二カ月、こういうような状況にもなってきているところであります。
ただ、今御指摘がありましたような医事関係訴訟というものを一つ取り上げてみますと、これは三十五・八カ月まだかかっているというのが実態であります。平成二年、十年前はこれが四十二・八カ月でしたから、その間かなりの努力をしてきた結果は御理解いただけるかというふうには思いますけれども、今後はこういった専門的な知見を要する事件、これについてどういうふうに対応していくかというのが最大の課題であります。
そこで、一例としては、この医事関係事件、ことしの四月から東京地裁、大阪地裁、あるいは十月から千葉地裁において医療過誤を専門に扱うそういった集中部をつくりました。さらには、お医者さんの鑑定人がなかなか得られない、こういうところもございましたので、この七月に医療の専門家も参加して鑑定人などの推薦をするための全国的な委員会システム、医事関係訴訟委員会というものを最高裁に設置し、あらゆる面からそういったものに対応してまいろうと考えているところでございます。
今後とも、そういった努力を続けてまいりたいと思っています。
高
上
魚
魚住裕一郎#29
○魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。このような御質問の機会を与えていただきまして、感謝申し上げます。
中山総務局長が権力分立の中での御答弁をいたしまして感謝申し上げますが、論憲という立場で、よりよき裁判所制度にしたいということで何点か質問をさせていただきたいと思います。
先ほど判例を御紹介していただきました。一番、二番が衆議院そして参議院の定数配分の訴訟判決となっているわけでありますが、一つは事情判決で請求は棄却するという形、そしてまたもう一つは立法裁量論で内容的に退けているということでございますが、やはり程度問題、不平等の程度問題もありますし、また是正に要する期間というものも具体的に見ていかなきゃいけない問題だろうと思います。
裁判所の判断に基づいて、例えば衆議院においては区画定審議会ですか、あるいはよりよく格差是正のために中選挙区制を復活させるべきだというような提案もなされておりますし、また参議院においても、昨年定数削減をした上で格差を少しでも軽くしていこうというような努力をしているわけでありますが、そういう最高裁の判断に基づいて立法府としても努力をしておりますが、ただそれが間に合わない場合、やはり判断をせざるを得なくなってくるんだろう。
そういう場合には、状況によりますけれども、やはりいつまでも事情判決あるいは立法裁量論で退けていってしまうと、国民主権を本来生かすべき制度のあり方について司法の役割も放棄してしまうことになってしまうのではないか、そういうような疑問を持つものでございまして、事情判決なり立法裁量論の射程というのはどの辺まで考えておくべきか、この点について御教示いただきたいと思います。
この発言だけを見る →中山総務局長が権力分立の中での御答弁をいたしまして感謝申し上げますが、論憲という立場で、よりよき裁判所制度にしたいということで何点か質問をさせていただきたいと思います。
先ほど判例を御紹介していただきました。一番、二番が衆議院そして参議院の定数配分の訴訟判決となっているわけでありますが、一つは事情判決で請求は棄却するという形、そしてまたもう一つは立法裁量論で内容的に退けているということでございますが、やはり程度問題、不平等の程度問題もありますし、また是正に要する期間というものも具体的に見ていかなきゃいけない問題だろうと思います。
裁判所の判断に基づいて、例えば衆議院においては区画定審議会ですか、あるいはよりよく格差是正のために中選挙区制を復活させるべきだというような提案もなされておりますし、また参議院においても、昨年定数削減をした上で格差を少しでも軽くしていこうというような努力をしているわけでありますが、そういう最高裁の判断に基づいて立法府としても努力をしておりますが、ただそれが間に合わない場合、やはり判断をせざるを得なくなってくるんだろう。
そういう場合には、状況によりますけれども、やはりいつまでも事情判決あるいは立法裁量論で退けていってしまうと、国民主権を本来生かすべき制度のあり方について司法の役割も放棄してしまうことになってしまうのではないか、そういうような疑問を持つものでございまして、事情判決なり立法裁量論の射程というのはどの辺まで考えておくべきか、この点について御教示いただきたいと思います。