中原爽の発言 (厚生労働委員会)
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○中原爽君 おはようございます。自民党の中原爽でございます。
本日はBSE、ボバイン・スポンジフォルム・エンセファロパチーにつきまして、現在いろいろ社会情勢の中で対応がなされているところでありますけれども、病態論と申しますか、この病気の全体像がまだ解明されていないわけであります。しかし、原因といいますか、病因論といいますか、そういったものが一応目に見える範囲内で今わかってきているわけであります。
それで、このBSE発症の病因論あるいは病因的根拠というふうに言われておりますのが異常プリオンたんぱく質ということでありまして、その摂取によりまして体内の増殖、それから蓄積に基づいて症状が発生するということでありますけれども、基本的にこの牛にかかわります問題というのは、草食動物でありますので、草食動物が肉食化するということは生物学上あり得ないわけであります。しかし、一九五〇年代から英国で牛の肉骨粉を飼料として牛に与える、すなわち草食動物であるべき動物が自分の同種族のものを食べるという形になるわけでありまして、いわゆる共食いが起こると、こういう現象であります。これが、一九五〇年代からずっと引き続いて恒常的に飼料を投与する、与えるということが行われたわけであります。結局、草食動物が日々同種の肉、骨を飼料として食べると、こういう状況が続いているわけであります。そこで、この何世代にもわたって自分の身体を食べ続けるということの中でこういうようないわば遺伝子的な生体異常が起こると、こういうことではないかというわけであります。
しかし、言われておりますのは、この異常プリオンたんぱく質というものが自分の身体と同じものであるというわけでありますから、経口摂取をする、たんぱく質を経口摂取いたしますと腸管で一たんアミノ酸に分解されて吸収されるわけでありますけれども、この異常たんぱく質は分解されないままたんぱく質の状態で自分の身体ということで吸収されるということなんでしょうか、その辺はよくわかりませんけれども。そして、それが神経組織に運ばれる。そこで、本来使い古されたこういうたんぱく質はいずれ分解されるわけでありますけれども、それが分解されない状態のまま蓄積をしていくと、こういう現象であろうということであります。
したがって、問題は共食いをするという状況を人為的につくってしまった、本来自然の摂理に反するようなことを人為的に長期間にわたって、牛の何世代にもわたって異常な状況を人為的につくったと、こういうことであろうというふうに思います。
同じような共食いと言われる状態について人間でも起こっているわけでありまして、かつてニューギニアの東部、フォア地区と呼ばれる高地、二千メートル級の高地でありますけれども、そこに未開の民族三万人ほどが文明を隔離された状態で幾世代にもわたって生活していた。一九三二年に初めて発見されたということでありますけれども、この部族は部族間の抗争あるいは死者に対する儀礼的なことから同種族の身体を食べるという状況のことがございまして、いわゆる人肉食、カンニバリズムと言われる状況を何世代にもわたって繰り返してきた、その結果いわゆるヤコブ病類似のクールー病という病気が発生しておるわけであります。三万人の中で年々二百十名ほどが死亡するということだそうでありましたけれども、これは主に死者の脳、脊髄、いわゆる神経系統を調理するということでありまして、その調理にかかわった女性の発生率が六〇%に達するという状況であります。幾世代にもわたって繰り返しておりますので、遺伝的ではありませんけれども、垂直感染が起こる、母親から新生児に病気が移行するということでありまして、小さいお子さん、四歳ぐらいから既に発病するという状況であります。
このことについてオーストラリアの政府は、こういう悪習慣をやめさせるということ、もちろんこの習慣の是正を行いまして、その後、一九五七年以降このクールー病と言われている病気の終えんがといいますか、発病がどんどん減っていくという状況になったということであります。
これはいわゆるヤコブ病とは少し状況が違います。言うならば、まともに共食いをしたという状況下にあるわけでありますので、発病の形態は、いわゆる痴呆の症状が起こるのは非常におくれた形で起こりますけれども、クールー病のクールーというのは震えるという意味でありますので、運動神経の麻痺の症状が先に起こるということだそうであります。
こんな状況下にあるということでありまして、結局、共食いをさせる、嫌な表現でありますけれども、同種族のものが同種族のものを食べるという状況が幾世代にもわたって続くとこういうような異常が起こる。すなわち、神経組織というのは生体からいうと非常に原始的、古い組織でありまして、免疫機構が本来働かない部分というふうに考えていいと思います。したがって、排除すべき異物に対する抗体ができない状況にあるということであります。
そんなことで、現在、牛に係ります異常プリオンたんぱくの蓄積というのは、WHOのデータによりますと脳組織に六四%ぐらい、脊髄に二五%、合わせて九〇%近い八九%前後ということでありまして、ここに異常プリオンたんぱくが集積をするということであります。
そういう意味で、これからこういう基本的な共食いの状態をやめさせる、すなわち自然の摂理に反するような、いわば今様の言葉で言えば環境汚染ということ、こういうことを中止させる、法的に措置をするということがまず基本的な立法府としての考え方でもあろうかというふうに思います。
そういうことで、このクールー病と言われる病気が終息に向かっている、こういう疫学的な見地から見まして、今後とも草食動物である牛に同一種族の牛由来の肉骨粉の使用を制限するような明確な法令上の対応を講ずるべきだというふうに思いますけれども、この点につきまして農水省の所管部局の御見解を伺いたいと思います。