平沼赳夫の発言 (経済産業委員会)
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○平沼国務大臣 おはようございます。
第百五十四回国会における経済産業委員会の御審議に先立ちまして、今後の経済産業行政を行うに当たっての私の所信の一端を申し述べます。
我が国経済が大変厳しい状況にある中、現内閣は、構造改革を推進し、自信と誇りに満ちた経済社会を実現するための挑戦を続けております。
私は、経済産業大臣として、経済の基本的な成長力を高めるための構造改革を推進し、新たな発展の芽を育て、経済を活性化するという使命を遂行してまいる所存であります。
我が国経済の現状は、輸出や生産において減少幅の縮小が見られるものの、設備投資は依然として減少を続けております。加えて、雇用面でも十二月の失業率が五・六%と最高水準を更新するなど依然厳しい状況が続いており、所得環境の悪化は消費の弱含みにつながっております。
また、九〇年代後半から進行しているデフレは、構造改革の進展のおくれにつながっていると同時に、我が国企業の収益を圧迫し、新規投資の抑制をもたらしております。こうした動きが加速すればデフレスパイラルに陥る懸念があります。
さらに、今後、米国経済の回復のおくれなどの下方リスクが顕在化すれば、我が国経済の停滞がさらに長期化するおそれもあります。
こうした中、我が国の潜在的な実力を十分発揮できるよう、果断な政策運営を行っていくことが求められております。我が国経済の回復のためには、デフレを阻止し、イノベーションの促進による新市場・雇用の創出や経営資源の選択と集中、不良債権処理とセーフティーネットの整備などを断固として進めることにより、一日も早く民需中心の自律的な回復軌道に乗せることが必要であります。経済産業省といたしましても、経済活性化に向けた経済運営と経済構造改革を積極的に推進してまいります。
特に、早急に取り組むべきデフレ対応策としては、売り掛け債権担保融資保証制度の積極的活用、セーフティーネット保証・貸し付けの充実、特別保証の返済条件変更の一層の弾力化等の中小企業セーフティーネット対策を強力に進めてまいります。
以上のような厳しい情勢を踏まえ、経済産業省は、平成十四年度予算において、予算を重点分野に大胆にシフトし、構造改革を推進するための技術革新や新たなビジネスへの支援、経済社会の環境変化を踏まえた潜在需要の掘り起こし、及び雇用、中小企業のセーフティーネットの充実を柱とした予算案を提出いたしました。なお、平成十三年度第一次及び第二次補正予算についても、平成十四年度予算と一体として、切れ目なく運用する所存であります。
これより、具体的な施策について述べてまいります。
まず、第一に当省が率先して取り組まなければならない課題は、経済の活性化と我が国産業の競争力の強化であります。
我が国製造業の海外移転が急増するなど、我が国の産業の空洞化が懸念されていますが、これに対しては、国内産業の競争力の強化を図り、高付加価値分野までが海外に移転することを防ぎ、新たな成長分野を育てていくことが何より重要であります。
このためには、高コスト構造の是正や規制改革などを進めることにより、内外の企業にとって魅力的な国内事業環境を整備し、開業、創業へのチャレンジが適切に評価され、促進されるような経済社会システムを構築していくことが必要であります。
また、ライフサイエンス、情報通信等の重点分野における戦略的な技術開発や大学発ベンチャーの創出といった研究開発成果の事業化の推進、潜在的な市場ニーズの掘り起こし、産業再編、事業再構築が円滑に行われるための環境整備、情報化技術による企業の生産性向上などに積極的に取り組んでまいります。
とりわけ、知的財産政策については、研究開発などを戦略的に遂行し、その成果の保護、活用を図るという観点から、重要性が一層高まっております。このため、ネットワーク上のソフトウエアに係る知的財産権保護の明確化等を図るための特許法等の一部を改正する法律案、及び弁理士への特許権等侵害訴訟における代理権の付与を内容とする弁理士法の一部を改正する法律案を今国会に提出いたしました。また、総理が設置される知的財産戦略会議に、産業競争力強化の観点から、積極的に貢献してまいります。
さらに、中小企業をめぐる厳しい環境の中、冒頭に申し上げた金融面での対策に万全を期す一方で、中小企業の開業、創業と経営革新とを積極的に支援してまいります。
また、疲弊の著しい地域経済の再生を図るため、地域経済を支え、世界に通用する新事業が次々と展開される産業集積の形成に向けて、産業クラスター計画に全力で取り組んでまいります。加えて、地域の町の顔である中心市街地の活性化を推進してまいります。
現在、こうした経済の活性化と我が国の産業の競争力の強化のための方策については、当省といたしましても、産業競争力戦略会議を設置して検討を進めておりますが、その成果も踏まえ、経済財政諮問会議等の議論においても積極的な役割を果たしてまいる所存であります。
第二の課題は、環境、エネルギー問題への取り組みであります。
我が国が現在直面する地球温暖化対策の基本は、環境と経済の両立であります。この認識のもと、京都議定書の目標を達成するため、エネルギー対策や技術開発等を進めるとともに、経済界の創意工夫を生かし、我が国経済の活性化にもつながるような国内制度の整備構築を目指します。また、米国や途上国も含めた一つの国際ルールの構築に向けての外交努力を継続してまいります。
エネルギー政策については、環境保全や効率化の要請に対応しつつエネルギーの安定供給を実現するという基本目標を実現するため、総合的な政策を進めてまいります。
その一環として、近年、エネルギー需要の増加傾向が著しい業務部門等における省エネルギー措置の強化を図るため、エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する法律案を今国会に提出する予定であります。
また、新エネルギー等の利用を促進するため、電気事業者に一定量以上の新エネルギー等による電気の利用を義務づけること等を盛り込んだ電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法案を今国会に提出する予定であります。
さらに、安全確保を大前提に、発電過程で二酸化炭素を排出しない原子力発電の導入、核燃料サイクルの確立に向けた取り組みを推進してまいります。
一方で、循環型社会の構築に向けた取り組みとして、使用済自動車の再資源化等に関する法律案を今国会に提出するとともに、エコタウン事業により、ごみゼロ型都市のプロジェクトのうち、早期の執行が可能なものから緊急に事業展開を図ってまいります。
第三の課題は、対外経済政策であります。
世界経済のグローバル化の進展の中で、対外経済政策を国内経済政策と表裏一体のものとして推進し、国際的なビジネス環境の整備等に戦略的かつ多層的に取り組むことが極めて重要であります。
このため、先般開始されたWTO新ラウンド交渉に積極的に取り組むとともに、アジア等の成長要素を一層積極的に取り込むべく、日ASEAN包括的経済連携構想の具体化を初めとして、二国間や地域的な協定を戦略的に活用しながら東アジア諸国等との経済連携を推進してまいります。
また、先般署名されました日・シンガポール新時代経済連携協定に盛り込まれている、電気製品等を対象とした相互承認を実施するため、特定機器に係る適合性評価の欧州共同体との相互承認の実施に関する法律の一部を改正する法律案を今国会に提出いたしました。
さらなる課題として、悪徳商法対策等を引き続き強化するとともに、インターネットの普及拡大など、新たな社会環境の中で、消費者保護の一層の充実を図っていく必要があります。このため、最近急速に社会問題化しているいわゆる迷惑メール問題に対応するべく、今国会に特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案を提出する予定であります。
また、長引く景気の後退等により売上額が大幅に減少している競輪、オートレースについては、地方自治体の交付金負担の軽減、赤字再建支援、民間活力の活用等により構造改革を強力に後押しする方針であり、今国会に自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案を提出いたしました。
最後に、特殊法人等改革については、昨年十二月に特殊法人等整理合理化計画が策定され、当省所管の法人については、石油公団を初めとした四法人の廃止、五法人の民営化等の方針が決定されました。同計画では、事業の見直しにあわせて、組織形態についても、原則として平成十四年度中に法制上の措置等必要な措置を講じ、平成十五年度には具体化を図ることとしており、今後、真摯かつ早急にこれらの作業に取り組んでまいります。
以上、今後の経済産業政策の基本的方向につき、私の所信の一端を申し上げました。国民各位の御理解のもと、経済産業行政の推進に全力を挙げてまいる所存でございます。委員長初め委員各位の御理解と御協力を賜りますように、よろしくお願いを申し上げる次第であります。(拍手)