勝俣恒久の発言 (経済産業委員会)
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○勝俣参考人 電気事業連合会の勝俣でございます。
本日は、電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法案に対する電気事業者としての考えを述べさせていただく機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。
現在、京都議定書の目標達成に向け、官民を挙げた必要な諸施策が講じられつつあることと存じます。私ども電気事業者といたしましても、かねてより、CO2をほとんど発生しない原子力発電の新規開発、安全運転、省エネルギーの推進及び自然エネルギーによる発電技術の研究開発等を通じて、積極的な対応を図ってまいっているところでございます。
新エネルギー、とりわけ太陽光、風力については、環境面で見ればすぐれたエネルギー源と言えるものの、経済性、供給安定性等の面でまだ克服すべき課題が多いことから、火力や原子力にかわる基幹エネルギーとして位置づけることは難しく、私ども電気事業者としては、あくまで主力電源を補完するものと考えております。とはいえ、これら新エネルギーは、枯渇することのない貴重な国産エネルギーであるとともに、CO2を排出しないクリーンなエネルギーであります。
こうした観点から、私ども電気事業者は、研究用、自家用設備として先駆的に導入してまいるとともに、平成四年度からは、太陽光及び風力発電によって発生した余剰電力について、電力からの販売料金単価と同額の料金単価によりすべて購入する措置を講じております。
加えて、平成十二年十月、新エネルギーの一層の普及促進に向けた新たな自発的取り組みとして、消費者、企業、電力会社の共同事業としてグリーン電力制度を導入いたしました。
このうち、一般のお客様を対象といたしましたグリーン電力基金については、現在五万口以上の加入をいただいており、参加者からの拠出金と電力会社による寄附金により、既に全国の風力、太陽光発電設備に対する助成を行っております。
また、企業、法人向けのグリーン電力証書システムでは、新エネルギー発電の受託会社であります日本自然エネルギー株式会社を設立し、現在約三十の企業、自治体と御契約いただいているところでございます。
このような取り組みにより、我が国は太陽光発電の設置規模が世界一となるなどの成果を上げているところであります。一部に、我が国を称して新エネ後進国とする御意見がございますが、これは、新エネルギーの定義づけの相違から来る誤解ではないかと思っております。すなわち、欧米諸国では、太陽光、風力、バイオマスに加えて地熱や水力を含めた上で再生可能エネルギーとして取り扱っている場合が多いと伺っております。
我が国におきましても、地熱及び水力を加えた再生可能エネルギー普及状況で見れば、一次エネルギー供給の約五%を賄っており、欧米諸国の導入実績と比較しても何ら遜色のないレベルに達しており、これも、政府の助成策と相まって、私ども電気事業者の地道な取り組みによるものと自負するところでございます。
さて、RPS制度の導入に当たりましては、私ども電気事業者も、総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会における議論に参加させていただき、今後の新エネルギー普及促進に向けた、我が国の実情に即した新たな制度の導入について意見を述べさせていただいてきたところでございます。
RPS制度は、御案内のように、新エネルギーの普及促進に当たり、市場メカニズムを活用しつつ、すべての電気事業者に対して導入目標に応じた新エネルギーの利用を義務づける制度であります。
部会及び小委員会の議論を通じまして、私どもは、この制度について、市場メカニズムを通じて新エネルギー発電事業者のコスト削減インセンティブが働くこと、電気事業者の負担が風力の偏在地域に偏ることなく、その費用負担の公平性が確保できること等から、電力による一定の固定価格での新エネルギー購入義務づけに比べより好ましい制度であると考えております。
同時に、私ども電気事業者といたしましては、このようなRPS本来の市場メカニズムを有効に機能させつつ、最小限のコストで環境保全を実現し、公平かつ実効性ある制度を担保する観点から、さらに、以下に申し上げる措置が必要と考えております。
まず、新エネルギーの対象電力についてでございますが、法案にもございますとおり、環境保全との本来の目的を踏まえますと、太陽光、風力、バイオマス、さらに地熱及び中小水力について対象とし、その導入を促進していくべきとの考え方に賛同します。
一方、廃棄物、とりわけ産業廃棄物発電が対象となることにつきましては懸念を感じております。産業廃棄物を対象とすることにより、本来再利用されるべき廃棄物まで燃焼され、追加的なCO2の発生を助長することにもなり、環境保全という制度の目的に反するものになると考えられるからでございます。
また、産業廃棄物発電は、特段の措置を講ずるまでもなく、電気事業者の対等な競争相手として位置づけることが可能と考えており、本制度により、電力市場における競争中立性が損なわれることになると危惧している次第でございます。
次に、電気事業者に対する新エネルギーの導入義務量となる利用目標について、私どもといたしましては、現実的な設定を行い、その確実な実現を求めるものでございます。
昨年の新エネルギー部会において設定されました、二〇一〇年度における新エネルギー導入量を原油換算で千九百十万キロリットルとするという目標は、最大限の努力を前提としたものと認識しております。
したがいまして、政府におかれましては、制度導入当初は、二〇一〇年度の目標にとらわれ、実現見込みの乏しい数値を設定するのではなく、新エネルギー発電の過去の実績や将来の開発計画等を十分勘案した上で実現可能な設定をお願いいたしたいと思います。
また、利用目標の抑制にあわせて、いわゆる環境価値について適切な上限を設定していただくことを求めるものでございます。
今後、新エネルギー発電事業者と電気事業者との間でやりとりされるであろう環境価値の価格は、新エネルギーの利用目標次第ということもございますが、私ども電力会社に法的義務が設けられていることもあり、相当の売り手市場となることが予想されます。したがいまして、これに伴う環境価値の高騰を避けるためには、適切な上限価格の設定が必要になると考えております。
さもなければ、証書購入料金が電気の小売料金を上回る、いわゆる逆ざやが生ずるおそれもあり、電気事業者への過度な費用負担を強いることが考えられることから、上限価格の設定に当たっては、新エネルギーの発電コスト及び電気の小売料金等を踏まえて、適切に設定することが必要であると考えております。
さらに、新エネルギー発電設備の系統連系対策についてでありますが、いわばお天気任せの風力や太陽光発電では、その発電量につきまして、大幅な変動が避けられないのが実情であります。
電気は貯蔵できないため、系統、いわゆるネットワーク全体で需要と供給を常に均衡させることが必要であり、私ども電力会社が、このような新エネルギーの出力変動に対応して供給量の均平化を図るために相当額の追加的コストを必要とする事態も発生し得るわけでございます。
このようなことを回避する観点から、部会におきまして報告されているとおり、新エネルギーの利用目標は、三年間を目途として、風力発電の連系に伴う系統連系対策が必要とならない範囲にとどめることが必要であると考えております。
最後に、以上の諸課題も含めまして、このRPS制度を我が国の実情に即した実効性のある制度とする観点から、本法施行後三年を経た時点において、制度全般の実績を検証し、必要に応じて見直しを行うべきと考えております。
その際、特に、電力市場における競争中立性確保の観点から、自家発需要家を義務対象とすることも重要な論点と考えております。これら需要家の自家消費は、業界第二位の関西電力に迫る水準であり、我が国の総需要電力量の一〇%強を占めております。これを義務の対象外とすることは、電力市場における競争中立性を損なうだけでなく、自家発の大半が化石燃料を消費している実情を勘案すれば、環境負荷の高い自家発を相対的に助長することにつながり、そもそも、本法の環境保全という目的に反することにもなると考えられるからであります。
なお、将来において、環境税や排出権取引等による包括的な環境・エネルギー政策が導入される場合には、RPS制度における費用負担が二重に課せられることのなきよう、本制度の廃止を含めた制度全般の見直しを行うべきものと考えております。
そもそも、環境保全は、国、産業界、一般消費者全体で取り組むべき重要な問題であり、私どもといたしましても、その一翼を担うことは当然の責務と考えておりますが、加えて、国におかれましても、新エネルギー発電設備に対する補助金等を引き続き継続、さらに拡充していただくことにより、今後とも、新エネルギーの導入促進に十分な役割を果たしていただくことが不可欠と考えております。
本日の電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法案に対する私どもからの意見は以上でございますが、今後とも、私ども電気事業者といたしましては、新エネルギーについて、これまで蓄積してまいりました多様な体験、知見を最大限活用し、民間企業の立場からできる限りの普及拡大に取り組んでいく所存でございます。どうかよろしくお願いいたします。
どうもありがとうございました。(拍手)