秋元勇巳の発言 (経済産業委員会)

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○秋元参考人 御紹介いただきました秋元でございます。本日はお招きをいただきまして、大変ありがとうございました。
 実は、私、先ほど御紹介ありましたように、経団連の資源・エネルギー対策委員会の委員長を二年ちょっと前に拝命をいたしました。一昨年からいろいろと勉強をいたしまして、十回以上にわたりましてこの委員会を開きまして、いろいろのエネルギー分野の専門の方々にお話を伺って、いろいろとまとめてきたところでございますけれども、印象といたしまして、個別的には皆様非常に熱心にその目的のためにやっておられるわけでありますけれども、向いている方向が若干、少しずつみんな違うというところがありまして、このままでいきますと、やはり一種の合成の誤謬といいますか、そういったようなことが起こるのではないかというような心配が出てまいりました。
 そういうことで、昨年の初めごろから五月にかけまして鋭意討議をいたしまして、経団連としての「エネルギー政策の重要課題に関する見解」という見解書をまとめまして、昨年の五月に発表をいたしました。この見解書を持ちまして関係の皆様にも御説明に上がったところでございます。
 その中身でありますけれども、ここに参考資料でつけてございますので、これを全部お話をする時間はございませんので、後ほどごらんをいただければというふうに思います。
 基本的な考え方として、エネルギーの基本政策に三つのEというのがある。エナジー・セキュリティーとエンバイロンメント・プロテクションとエコノミック・グロース、この三つがある。この三つを達成しなければいけないわけでありますが、その達成に向けては、まず、供給量と品質を加味した安定供給の確保に最大限に配慮をしつつ、環境、経済との調和を目指した長期的な総合戦略を策定していくことが必要だ、この点を政府に求めたいというのが私どもの見解の骨子でございました。
 基本法でもこの三点を挙げておられます。ただ、三つ目が、このエコノミック・グロースではなくて市場原理の活用というふうになっているわけでございますけれども、これは当然、経済成長のために必要な有力な一手段でございますので、そういう意味では、この三つの要素の達成が必要であるというような文脈には大筋において変わりはないというふうに私は思っているわけであります。
 ただ、私どもの認識では、三つの要素というのは、同じ平面上に存在しているのではなくて、いわば一種の階層構造をなしているというふうに考えているわけであります。我々の文明社会がここまで発展することができましたのも、私どもが潤沢にエネルギーあるいは情報あるいはマテリアルを駆使して文明社会をつくっていったからでございまして、いわばエネルギーは文明社会の血液と言ってもいい、インフラストラクチャーと言ってもいいものであろうというふうに思っているわけであります。
 そういう意味で、やはりエネルギー資源の安定的な供給の確保というのがこの安全保障上の最重要問題でありまして、そのためには、エネルギーの自給率の向上であるとか、さらにはエネルギー源の多様化というようなことを図っていかなければいけないというふうに思うわけであります。
 いろいろなエネルギーのオプションがあるわけでありますけれども、そのエネルギーのオプションを、資源的な制約がどのくらいあるのかということ、それから、それが安全保障の面でどれだけ強力であるかというようなこと、それから、量的にどれだけの供給能力があるか、さらには、安定性といいますか品質、これがどれくらいあるかという、この四つの側面からおのおののエネルギーを十分に評価をして、それを得るために必要な国際情勢であるとか経済状況であるとか、そういうものも勘案しながら安定供給に資するエネルギーを柔軟に選択していくということが必要であろうというふうに思うわけでございます。
 さて、こういう形で供給体制を考えてまいりますと、その上で、最重要課題として浮かび上がってきますのは二つ目のE、地球環境、地球温暖化問題への対応でございます。
 先ほど資源的制約というふうに申し上げましたけれども、この資源的制約は、資源がなくなるという枯渇性ということだけではございませんで、資源を使うことによって環境にどういう影響を及ぼすかという、その環境性というのが非常に大きなファクターとして上がってきているというふうに考えるわけでありまして、この地球環境問題への対応というのは、我が国にとって最重要課題であるというふうに認識をしております。
 そういうことで、当面、供給面におきましては、例えば原子力のように炭酸ガスを排出しないエネルギーを拡大していく、さらには、天然ガスであるとかバイオであるように、炭素を含むエネルギーでも、なるべく炭酸ガスの排出量の少ないエネルギーへの転換を図るというのが供給面で考えることであろうと思います。
 需要面の方では、化石燃料を我々は非常にふんだんに使っているわけでございますから、これをさらに効率的に使っていくということを基本とすべきであろうというふうに考えております。その中で、特に最近、炭酸ガス排出量の伸びの大きい民生、運輸部門の効率的な利用への知恵を出すということが非常に重要な問題であろうというふうに思っております。
 その上で、中長期的な課題といたしましては、新しいエネルギーの開発など革新的な技術開発に取り組んでいくということが非常に大事でありまして、もちろん太陽、風力もございますけれども、将来にわたっては、水素エネルギーをどうしていくか、核融合をどうしていくかというところまで視野が広がっていくべきであろうというふうに考えているわけでございます。
 このような転換を図って技術開発を進めていくということをするためにも、健全な経済状態にあるということが必須なことでございまして、その意味で、経済合理性を追求していくということは避けて通れない問題でございます。
 そういうことで、我が国産業の競争力を強化して経済の活性化に資するためには、産業活動の制約やコストアップの要因になっている制度を見直して、規制改革の推進を通じ、高コスト構造の是正を図っていくことが必要であるというふうに考えるわけでございます。
 こういうことで、三つ要素を挙げますと、やはりこの三つのEの課題につきましては互いに矛盾する側面があることは否めません。その中で、相互のバランスをとるということが非常に肝要なのでありますけれども、やはり、緊急対応時はもとよりでございますし、経済社会が持続可能な発展を遂げていくためにはエネルギーの安定供給が何といっても大前提となるというふうに思います。
 昨年の米国のカリフォルニア州での経験もございますし、比較的余りニュースには載りませんでしたけれども、東部の方でも、結構電気が足りなくて、電圧を少し下げたり、あるいは契約でとめられるところはとめたりというような形で、やはりかなり需要面に影響が出たというようなこともございますけれども、我が国ではさらにこの上に資源的な制約などの状況がございます。
 さらに、我が国では非常に高度の、例えば半導体産業というようなものがございまして、こういうところで使っているエネルギーというのは、非常に質の高いエネルギーじゃないといけないわけであります。ほんの数千分の一停電をしたというようなことでもそれが製品をすべてオシャカにしてしまうというようなことがあったり、あるいは周波数が狂ったり電圧が下がったりというのはもってのほかというような、そういう非常に品質の高いエネルギーが必要な部分がございます。いわゆる高度医療の分野でもまさにそのとおりでございます。
 また、一方では、家庭を暖房していくというような意味で、余り、大して質の必要のない部分というのもあるわけでございますから、そういう、エネルギーの質に応じて、それに応じた供給源を考えバランスをとっていくということは、非常に必要なことではないかというふうに考えているわけでございます。
 そういうことで、エネルギーの供給量と品質を満たすための投資が長期的に確保されるような見通しを、仕組みを十分に検討しながら、高コスト構造の是正や競争環境の整備を進めていく必要があろうというふうに考えております。
 そういうことで、これをエネルギー別に見てみますと、まず化石燃料でございますけれども、供給面でいきますと、やはり、バランスのとれた供給の確保を進めていくということになりますと、天然ガスは、石油に比べますと地球上の偏在性が少のうございますし、炭素の量もエネルギーに対して低いというような面がございます。
 さらには、バイオから出てくるエネルギーというのがございますけれども、これは、我々、太陽エネルギー、風力ということで、太陽のエネルギーを使おうと一生懸命努力しておりますけれども、やはり何億年もかけて太陽のエネルギーをうまく利用するという知恵においては植物にかなうものはないわけでありまして、この植物の知恵を最大限に利用していくということが、我々にとってはやはり非常に重要な問題であろうというふうに考えているわけであります。
 また、さらに燃料のクリーン化というのも必要になってまいりますし、需要面でいきますと、省エネ型の都市づくり、交通システムをさらに整備をしていくというようなことが必要になってまいります。コージェネレーションであるとかマイクロガスタービン、燃料電池というようなものを導入していくというような、エネルギー効率利用の促進というものも必要になってくるのではないかというふうに思います。
 次に、原子力エネルギーでございますけれども、この原子力エネルギーは、やはり安定供給の要請にこたえる非常に貴重な準国産エネルギーであろうというふうに思っております。発電段階でNOx、SOx、炭酸ガスを出さない、クリーンエネルギーであるというのはもちろんでございますけれども、安全の確保はもちろん大前提でございますけれども、今我々が温暖化問題に対応しようとしますと、やはりこれが最も現実的なオプションであるということは否めない事実であります。原子炉一基で炭酸ガスの依存度を〇・数%押し下げる力があるわけでありますし、原子炉が運転をしておりますと、原子炉は三年間燃料が炉の中に入っておりますし、その製造工程の時間も含めますと、備蓄効果としては五年ぐらいの備蓄効果がございます。ちょっと供給が途絶してもとまらないというような意味がございます。
 それから、石油ショックの時代、我々トイレットペーパーを買いに走ったりした時代があったわけでありますが、あれから我々が比較的短時間に脱却できたといいますのは、あの時期に日本とフランスが非常に急速に原子力の建設が進みまして、そのために石油依存度をぐっと下げることができたということ、これが非常に大きな影響があったという、既に実績があるわけであります。
 こういうことを踏まえて、原子力エネルギーについてはきちっとした対応をしていく。さらに、プルサーマル、高速炉に向けた燃料サイクルの推進というのが必須の問題であろうと思います。
 新エネルギーでございますが、これは、太陽光、風力は枯渇することのない未利用の国産エネルギーでございますけれども、何としても、エネルギー密度が低うございますし、やはり稼働率の面で余り高いことが望めないということがあります。そういうことで、基幹電力にはなかなか無理だということがありますが、ニッチで使いますと非常に強力な電力源になります。我々としては、このようなありとあらゆる非化石電力源をもうとにかく総動員をして使っていくということがぜひとも必要であろうというふうに思っているわけでございます。
 こういうことを考えました上で、昨年の五月に出したわけでありますが、昨年の五月の見解後いろいろな問題が起こりました。その後の情勢を考えてみますと、あの後起こった問題として、米国の同時多発テロ、パレスチナ情勢がございました。エネルギー安定供給への懸念が極めてクローズアップされました。中東依存度が一〇%程度のアメリカがシーレーンの確保に血眼になっているという状況の中で、日本は八〇%を超える中東石油依存度を持っているわけでございますので、この問題については、さらに非常に真剣に考えていく必要があろうかというふうに思っております。
 また、総合資源エネルギー調査会の電気事業分科会におきましては、自由化の第二弾という論議が始まったわけでございますけれども、当然のことながら、こういう情勢を踏まえまして、自由化とエネルギーの安定供給、環境保全、この二つのバランスをどうとるかということについて非常に厳しい議論があるというふうに伺っているわけでございます。
 こういうところの中で、自給率では日本にはるかにまさるようなアメリカのエネルギー政策が、総合政策として、日本に先行をするということが起こってまいりました。ブッシュ政権がエネルギー政策を最優先課題と位置づけまして、二〇〇一年の五月に国家エネルギー政策というのを発表したわけでございます。こういう面でアメリカは一歩先を行っていたわけでございますが、その内容については、時間がございませんので、ここでは割愛をさせていただきます。
 温暖化につきましても、既に、省エネ法の改正とか再生可能エネルギーの証書とか、いろいろな制度が出てきてもいます。こういう制度が出てきますと、これがやはりふえてまいります。こういう制度をやはり全体の戦略として総括していく基本法のようなものがさらに必要になった状況ではないかというふうに考えております。
 また、京都議定書批准に向けた国内手続が進んでいるわけでございますけれども、これを批准するということは、我々にとっては容易ならぬ課題を背負うことになるわけでありまして、これを克服していくためにも、非常に強力な総合エネルギー政策が必要になってくるというふうに思います。
 さらに、ITERの問題なども今クローズアップされておりますけれども、これはまた大きなポテンシャルを持つ未来の新エネルギーであるというふうに思います。
 そういうことで、五月以降の情勢は、私ども経団連が五月に提案をいたしました意義をさらに深める、さらに強める効果はあっても薄めるという方向ではないというふうに認識をしております。
 そういうことで、今回、エネルギー基本法、この理念において、私どもの考え方と認識が一致をしておりまして、このようないわゆるエネルギーにおける憲法というようなものの制定をぜひともお願いをしたいというふうにお願いをいたしまして、意見陳述を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 秋元勇巳

speaker_id: 12862

日付: 2002-05-21

院: 衆議院

会議名: 経済産業委員会