首藤信彦の発言 (憲法調査会)

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○首藤委員 民主党の首藤信彦です。
 日本の憲法がすばらしいということは、それは確かにそのとおりだと思うわけであります。特に、国際社会において平和を構築し、それを守っていくということをきちっと明記してある憲法として、その時代背景から出てきているものだと思いますが、それは各国の模範となるものだと私も思っております。
 憲法の前文に書いてありますように、「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」本当に美しい言葉だと思います。しかし、ではそれを具体的に条文の中でどうやって定義してあるのか、一体何をすればそういうことになるのかということに関しては、憲法は必ずしも明確でない、そういうふうに言わざるを得ないわけであります。
 現在、平和を維持するには、単に軍事力だけではなく、民主化支援とか予防外交とか、あるいは市民による平和維持活動とか、そうしたさまざまな要件が今現実に行われて、世界の平和を維持するのに役立っております。しかし、そうしたものも日本の憲法というところからは導き出されていかないわけでありまして、世界では、例えば選挙監視、紛争に悩む国が民主国家として再生するための選挙などというものに関して、世界の市民が、あるいは世界の自治体がさまざまな形で職員を送ったり、あるいは市民がみずから組織化していったりしているわけですが、日本においてはそういう活動も非常に十分ではない、そういうふうに考えております。
 そう考えますと、日本の憲法は、その前文における高い精神性の一方で、具体的にどうすれば現実社会の中で平和が維持し構築されるのかということに関しては、必ずしも十分ではないというふうに私は考えておりまして、この点においては、こういうことこそ憲法においてどうすればいいかということを最低限盛り込む必要があるんだと私は考えております。
 同じような視点からもう一つ問題点を言えば、このような憲法がありながら、日本の現実の平和構築努力というものは必ずしもその精神を十分に生かしていないと言わざるを得ないわけであります。例えば、今、毎日殺りくが起こっているパレスチナであります。パレスチナにおいては、皆さん御存じのとおり、日本があれだけの貢献をして、パレスチナ和平ということに関してもさまざまな努力をしているにもかかわらず、今その和平がまさに風前のともしび、消え去ろうかとしている。一九九三年の歴史的なオスロ合意から積み上げてきた和平努力というものが一瞬にして水泡に帰そうとしている。こういうときに日本の外交は何もしていないわけでありまして、私は外務委員会で、このことを犯罪的な沈黙だというふうに表現させていただきました。
 そういうふうに、日本は必ずしも憲法に盛り込まれた精神を現実政治の中で、現実外交の中で生かしていないんではないかということで、私はその点も考えていく必要があると思います。それだからこそ、今国際社会の中で平和を維持するために取り組まれているさまざまな努力、例えば国際人道法の、これも有事法制で最近注目されておりますけれども、ジュネーブ四条約に追加された議定書の問題とか、あるいは最近論議になっています国際刑事裁判所、こうしたものに対しても全然取り組みが十分でないというふうに考えているわけであります。
 それからもう一つ、その日本のすばらしい平和憲法を外国へも輸出すべきだ、そういう御意見もあります。では、どれだけ努力をしてきたか。例えば日本の平和憲法を、別に外国でなくても、日本にいるさまざまな外国人の方も多いわけですね。私の住んでいる神奈川などでは、人口の三%に外国人比率がなろうなんというところもあります。こういうところに、例えば英語で憲法講座がどれだけ組まれているのか、ハングルでの憲法講座がどれだけ組まれているのかということは疑問であります。
 また、私自身は、平和再建NGOとして各地の紛争地でいろいろな平和再建努力をしています。そこで、最近では、例えば東ティモールにおいて今度大統領になるわけですが、シャナナ・グスマンさんなどからも盛んに、日本のすばらしい平和憲法の学者を東ティモールに送って、新しい国、新しい憲法に貢献してくれというふうに頼まれまして、いろいろコンタクトしましたけれども、結局だれも来てくれない、どこからも資金援助も得られないというのが現実であります。
 ですから、そういう点に関しても本当にいろいろな努力をして、憲法の前文に盛られた平和建設の精神性を具体的なものとして国際社会に示していただきたいと思います。
 以上です。

発言情報

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発言者: 首藤信彦

speaker_id: 27368

日付: 2002-04-25

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会