2002-07-05
衆議院
細田博之
政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会
細田博之の発言 (政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会)
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○細田委員 本日から、公職選挙法改正案について審議に入れるということで、大変有意義な審議ができることを願っております。
昨年の十二月に、新しい国勢調査に基づきまして、次の衆議院選挙から新しい区割りを設定すべきであるということで、衆議院議員選挙区画定審議会設置法に基づいて審議会の勧告が行われ、その内容が出されたわけでございます。
我が自由民主党といたしましては、他の政党のことはわかりませんが、非常にまじめに、一つ一つ分析をして、それが適当な中身であるかどうかということを検討いたしたわけでございます。審議会のおっしゃることだからすべて丸のみにすればいいというのは、ある意味では立法権の放棄でもございますし、審議会はまじめに、もちろん非常にいい勧告を出していただきましたが、なかなか地元の事情まで及ばない場合もある。
例えば、徳島県の例などございまして、大変高い山がございまして、剣山という山があります。海抜千九百五十五メートル、これを越えるのはとても普通の交通では無理でございまして、山すそを回って徳島市を回らないと向こう側へ行けない、こっち側にも来られない。地勢的にも歴史的にも、交流がほとんどない。そういうところを、人口の数によって一つの選挙区にこのたびまとめてしまおうというようなことも行われております。
また、東京都におきましては、昔から、武蔵野、三鷹、小金井といえば一つの地域でございます、菅直人幹事長ですか、地元でもありますけれども。普通、だれが考えても、武蔵野、三鷹、小金井というのは一つの単位で、府中、調布、狛江、稲城、ここは一つかなと。しかし、そっちの方が人口が多い。そこで、勧告案は、これはいろいろな前提を置いて、では、三鷹市をはがして、そして、他方から府中市をはがして交換すれば、ちょうど人口格差がよくなるからいいのではないか。二つだけ例を申しましたが、北海道とか、その他たくさんそういう例が見られることがわかっておるわけでございます。
これは、きょうの金田議員を初め、同僚議員が関連の質問をいたすわけでございますが、我々は、やはり全国の情勢を一番知っているのが国会議員ということもございますので、真剣に、前向きに取り組むということで、検討いたしたわけでございます。
そして、例えば一減と言われたところでも、私どもの島根県、竹下委員もそこにおられますけれども、三人区を二人区にすると言われれば、人口格差拡大、九十五選挙区になったことの原因が島根にあるということで、やむを得ない、これは受け入れようということを了承しておりますし、山形県においても、大分県においても、それは了承しておるわけでございます。
しかしながら、北海道や静岡では新たに二倍を超える選挙区を、静岡で二つ、北海道で一つ、わざわざつくるような選挙区の変更を行うということで見直しが行われていることから、これもちょっとおかしいんじゃないかという議論が行われ、いわゆる二増三減案、そして格差をすべて二倍未満に抑えようということの案が党で了承される。これは、普通、与党というのはなかなか、国会議員の集団でなかなかないのでございますが、そこまで了承を得ました。
これは党利党略じゃないか、あなた方の有利に直したんじゃないかというようなことが一部マスコミなどで出ましたが、つぶさに見ていただくと、そんなことはございません。民主党と自民党とどっちが有利かわからない実態のところも多いですし、やはり我々は、国会でございますから、立法府としては十分に検討しなければならないということ。
それから、何よりも大事なことは何かといえば、これは総務大臣にこれからお伺いするわけですが、憲法十四条に基づく格差の問題であると考えるわけでございます。
芦部東大教授、先般お亡くなりになりましたが、「憲法」岩波書店、百十七ページに書いてございますが、ごく簡単に言いますと、
具体的には、一票の重みが議員一人当たりの人口の最高選挙区と最低選挙区とで、おおむね二対一以上に開くことは、投票価値の平等の要請に反すると解するのが妥当である。一票の重みが特別の合理的な根拠もなく選挙区間で二倍以上の較差をもつことは、平等選挙の本質を破壊することになるからである。この二対一の基準は、学説では広く支持されているが、最高裁の判例では明確な基準は示されていない。
云々と書いて、過去の判例などが出ておるわけでございます。
私は、こういう憲法論が本問題の非常に大きな論点でございますので、九十五にもなってしまったわけでございますが、できれば今回においてもみんな二倍未満にすべきだという考えも持っておりますし、また、勧告の中にございますように、わざわざ二倍を超える選挙区を一部でつくることは望ましくないのではないか、そういうふうにも考えるわけでございます。
過去、三倍未満ならまあまあだというような判例があったんですが、あの時代は、先生方百も御承知のように、どんどんどんどん人口移動が始まって、三・何倍になってしまった。そこで、最高裁も困りまして、三倍を超えるに至ったということは、やはりどう見ても憲法に違反すると思う、しかし、選挙を無効にするわけにもいかないという判例が出ておる。だから、三倍を超えれば違憲であって、三倍未満であれば合憲であるというはずはないんです。学説すべてにわたって出ておりますように、二倍だということを考えるべきであろうと思います。
そこで、画定審議会設置法では、各県一配分規定があるということ、それで県ごと配分でございますから、五増五減で出されるということは、審議会の勧告としてはしようがないでしょうと、法律に書いてあるんですから。そこまでは結構です。
しかし、その三条の第一項には、はっきりと二倍以上とならないことを基本とするということが具体的に書かれておって、芦部さんが本でも言っておりますように、いろいろな状況を考える、行政区画、地勢、交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行って、格差が二倍以上にならないようにすることを基本とすると一項で書いてある。ただし、二項において、一割り振って県別の割り振りは決めましょうよと言っているんですが、やはり一項と二項では、一項の方が本来重いわけでございます。
審議会としては、二項を守って、勧告は出す。しかし、国会は、やはり本来の憲法上の議論から、本来二倍未満とする努力をすべきでありますし、もう一つ申しますと、十年後の国勢調査を考えると、またこの規定が問題になって、小さな県の定数が三に維持された場合は、二倍を超える選挙区が二十ぐらいにふえることが考えられるんですが、私は、その場合は、我々の国会の良識としても、二倍未満にすることが一項によって基本なんですから、必ずそういうふうに修正すべきだと考えるし、それは十年後の話をするよりも、まず本年度、今において本来すべきことではないかということを考えるわけでございます。
長々といろいろ申しましたけれども、総務大臣にぜひお伺いいたしたいわけでございますが、やはりこの憲法論というのは大事なわけでございますし、硬直的に、今の規定があればもうそれが金科玉条、これでよしとするというようなことではいけないので、政府としてもあるいは立法府としても前向きに、せっかくここまで来たのでございますから、九つまで来たのでございますから、できるだけゼロに近づけるとか、二倍以上の選挙区を新たにつくらないとかという努力は本来すべきことであると思いますが、いかがお考えか。その憲法論についてお願いします。