武部勤の発言 (農林水産委員会)
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○武部国務大臣 川内先生との出会いのことは、今ももうきのうのように思い出します。私の大学時代の同級生の坪井君からも先日メールが来ました。今、先生からパーティーの券を買っていただいたというお話も思い出しましたし、また、先生の御親族の方の結婚式に何でもいいから来いと言われまして、私はお祝いを持っていったつもりなんだけれども、後で、いや、こっちが強制的に呼んだんだから祝いは要らないといって返されたこともきのうのように思い出されまして、今お互い政治家として党派の違うところで議論をしなきゃならないというのは、私と川内先生の場合にはちょっと異質であって、早くまた一緒に同じ気持ちで政治の仕事ができるようになればいいな、こう思いました。
それは、これまでの経緯だけじゃありません。先生は薩摩の御出身だと伺いましたが、私は、北海道の流氷に閉ざされるオホーツクの地で育ったわけであります。ですから、生まれながらにして周囲は大地であり山であり海なんですね。ですから、自然の恵みに感謝する気持ち、自然の脅威を恐れる謙虚な気持ち、これは生まれながらにして身についてきた、こう思って、このことについては、自分の育ってきた環境に何よりもありがたいと思って感謝しているわけでございます。
しかも、我が国のことを考えますと、三分の二が急峻な山国ですね。私は、今BSEと花粉症の挟み打ちで苦労しているわけでございますが、この間ちょっと調べましたら、八世紀半のころ、柿本人麻呂が
古の人の植えけむ杉が枝に霞たなびく春は来ぬらし
という歌をつくって、これは当時から、杉の枝に、「霞たなびく」というのは花粉が飛んでいる、ああ、きっと春が来たに違いない、人々がそういう思いを持って春の訪れを楽しんだということだろうと思うのですが、同時に、その当時から木を植えかえていたんですね。木を切ったら、今度はそこにまた木を植えていく。そういう日本文化といいますか、そういう自然から教えられる我々日本民族のライフスタイルとか、そういったものは今やはり原点に返って見直さなくちゃいけない、こう思っております。
そこで、私は、食料の安定供給と美しい国づくりという表題を掲げて武部私案を出しまして、それに基づきまして、ことしのお正月のあいさつ文には「「食」と「農」と美の国づくりに向けて」、こういうふうにしました。
しかし、実際問題、地球温暖化の影響を受けまして、毎年五百万ヘクタール以上の土地が砂漠化しているんですね。これは、一分間に後楽園球場七個ぐらい砂漠化しているんです。今六十億の民がおりますけれども、それでも八億人が栄養失調だと言われています。これが五十年すると九十億を超える。こういうときに、我が国が今食料自給率四〇%ということで、将来を考えますと、この食料の自給の逼迫というものは、もっともっと困難なことになってくるんじゃないかと思うわけでございます。
そういう意味で、やはり食料の安定供給ということも必要でありましょうし、私ども、田舎におりまして、都市の皆さん方との間に、たまには、私たちの税金を何であなたたちの北海道のあんな人の住んでいない、クマが交通事故になるようなところにつぎ込まなくちゃいけないのという厳しいお話もあります。しかし、おいしい水、きれいな空気、美しい自然というものは、都市に住んでいる人々にとってもあこがれだと思います。これは、過去においてはない物ねだりだったかもしれませんが、今ならそれは可能だと思います。
ですから、二十一世紀の農業の位置づけというのは、やはり農業の多面的な機能とか食料の安全保障というような観点から、これは今お話しの経済原則だけじゃなくて、しかし、私は経済発展というものも大事だと思います、市場原理に基づく競争政策というものも今大事なんだろうと思います。しかし同時に、公共原理に基づく共生政策というのがあっていいんじゃないかと思うのですね。そして、都市と農山漁村がお互いに共生、対流する関係、そういうものをしっかりつくっていく。
しかし、それはどうしたらつくれるかという現実の問題を考えますと、今アンケートをとりますと、食の安全ということが、あなたはどういうことで食品を買いますかといったら、かつては安いということが一番だったわけです。今は安全ということなんですね。
そういうことを考えますと、やはり消費者サイドに軸足を置いて、そして消費者の皆さん方が求めるものを供給していく。そのことが自給率の向上にもつながる。そして消費者と生産者が顔の見える関係を構築していく。そして都市と農山漁村に住んでいる人々が絶えず行ったり来たりできる。そしてそこに、時代は変われども日本民族の心といいますか、あるいは日本文化の発祥というものをもう一度見直して、やはり、単に食料というものは我々の生活の糧だけじゃなくて、自然界の一員である、仲間だという意識で私はこの農政というものを進めていきたい、食と農の一体、食と農と美の国づくりということで取り組んでまいりたいと思います。
いつもBSE問題で相当私厳しい追及を受けている間柄でございまして、今先生からの熱い農に対する思いを聞かせていただきまして、非常にきょうは感動この上ない気持ちで聞かせていただいた次第でございますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。