鮫島宗明の発言 (農林水産委員会)

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○鮫島委員 昨年の八月に我が国でBSEが発生してから九カ月近くたっているわけですけれども、何とかここに来てBSE対策の特別措置法案の成立間近という状況になったことは、我々野党議員の功績も大きいとは思いますが、農商務省が始まってから百二十年の歴史の中でも特筆すべき大事件だったんではないかと。
 こういう大事件に対して九カ月という時間はたちましたが、特別措置法案の成立にこぎつけるに至ったことは、我が党の国対からは怒られるかもしれませんが、やはり農林水産大臣に武部勤氏がいらして、副大臣に遠藤武彦氏がいた、人を得て今日のような状況にこぎつけたということは、私は、農林水産大臣の不信任決議案の提案理由を述べさせていただきましたが、人間武部勤に関してはつゆほどの恨みがあるわけではなくて、公的なポジションとしての農林水産大臣に対して多々抗議を申し上げたわけで、そこだけは御理解いただきたいと思いますし、きょうもそういう意味では農林水産大臣という公的なポジションに対して多少きついことを言わざるを得ないことも御了解いただきたいと思います。
 農林水産省、私は、まだまだ大変大きな問題を抱えていて、農林水産行政そのもの、三つぐらいのアキレス腱があるんではないかと思います。普通の人間は二つしかアキレス腱はありませんが、自民党の幹事長は三つアキレス腱があるのかもしれませんが。後でお考えいただきたいと思います。
 後継者問題、特に中山間地域を含めて条件不利地域で農業を今後どうやって継続していくのかという大課題がありますし、それから、このBSE問題も関係ありますが、トレーサビリティーが本当に確保できるのかと。特に、国際的な、海外まで含めたトレーサビリティーをどうやって確保するのかという大課題も残っている。このBSE問題もそうですが、えさの原料まで含めたトレーサビリティーが、三角貿易をやられたときに今の体制では追跡できないという大きな欠点を抱えていると思います。
 アメリカのミートインスペクター、食肉検査官という立場のポジションがありますが、その食肉検査官は、必ず、アメリカに肉類を輸出しようと思ったら、その人に来てもらって、どういう状態で牛、豚、鶏を育てているかというのをその人に見てもらって、その人の判こがないと出荷できないというのがミートインスペクターの仕事の骨格だと思います。
 私が農林水産省にいた十年ぐらい前の話ですが、ミートインスペクターの話によると、日本の鶏肉はアメリカには輸出できませんよということを言われました。それは、飼い方を見ていると残留抗生物質の濃度が高過ぎる、えさ袋には、出荷二週間前からはこのえさは与えてはいけないと書いてあるのですが、どうもそれを守っている農家が少なくて、あるいはそれを守っている養鶏場が少なくて、かなり出荷の直近まで抗生物質入りのえさを与えているものですから、アメリカには出荷できない。そういう生産現場で何を与えてどうやっているのかというのを現場で見ない限りは確認できないというのが、あのアングロサクソンの考え方。
 かつて、オーストラリアからアメリカに輸出された牛肉の中に成長ホルモンが入っているという事件がありましたが、あれも、オーストラリアでの牛の育て方を見ているインスペクターが事前に検疫に通報して、水際で成長ホルモンの微量検出を検査する体制を整えて待ち受けていた、それで初めてキャッチすることができた。
 今、日本も中国の野菜の中の禁止されている農薬の問題なんかが話題になっていますが、農薬取締法があるから大丈夫ですという言い方を農林水産省はしますが、非農薬的化学物質、つまり、農薬として登録されていないような化学物質が使われたら、今の検査体制ではキャッチできない。
 例えば、軍隊の方でもいろいろな薬を使っていまして、背中によく葉っぱをしょって野戦の訓練をしている映像がありますが、あの葉っぱがしおれたんでは空から見てすぐわかってしまうというので、あの背中にしょっている葉っぱを生きているように見せるような薬剤もある。これは多分農薬登録されていないでしょう。そういう薬が使われたら、農薬検査という体制で待ち受けていても、それはつかむことができない。それをキャッチできるのは、唯一生産現場で定点観測をしている人しか正確にはキャッチできないと思います。
 こういうそのトレーサビリティーの問題は、なかなか大変だ。だけれども、大臣がいつもおっしゃるように、消費者サイドに軸足を置いた以上、そういう難しい課題にこれから取り組まなければいけないという課題が農林水産行政にあるということを御自覚いただきたいと思います。
 もう一つ、三つ目のアキレス腱は、私は、バイオマスの利用を含めた農産物の非食用利用という場面が日本では全く弱い。アメリカは、アメリカの全エネルギー依存率の中でのバイオエネルギー依存率を九%にしますということをクリントン大統領がやめる前の八月にドクトリンで発表していましたが、これは物すごい量です、アメリカ全体のエネルギーの一割、九%をバイオエネルギーで置きかえますと。これは、トウモロコシがかなり余っていまして、コーンスターチからアルコールをつくって、それをガソリンに一部まぜるというようなことが中心になっているようです。
 今、先進国の中での余剰農産物の処理で、ノンフードユーズという場面が大変大きく拡大しつつあって、これは地球温暖化対策にも関係しますが、バイオエネルギーあるいはバイオマテリアル、今随分物性的には遜色のないバイオプラスチック類もたくさんできていて、これは泥の中に埋めておけば二カ月ほどで腐るという生分解性のプラスチックというのも、国際的にはもうとっくの昔に実用化しています。
 日本はこれは省庁の壁があって、バイオプラスチックの原料のでん粉は農林水産省だが、プラスチックは経済産業省です。エネルギーも同じで、私は遊休農地には、観光資源も兼ねて、捨てづくりでもいいからとにかく日本じゅうに菜種を植えて、それでバイオディーゼルにすればいいと思いますが、これも、燃料という話になると、これは経済産業省の方で扱いますという形で、どうもノンフードユーズの世界が縦割りの壁でうまく日本では発展しない。これも、私はこれからの農林水産行政が抱えている課題だと思います。
 後継者問題、トレーサビリティーの確保、バイオマスの有効利用、この三つがこれからの課題だと思いますが、BSE問題で一定の締めができれば、こういう課題を、まだ会期ももしかしたらあるのかもしれませんので、そういう課題についてやらせていただきたいと思います。
 本論に入りますが、初めに、五月二十四日金曜日の日本農業新聞、「くみあい配合飼料および代用乳は安全です」という一面全面広告が、農協系というか、JAのくみあい飼料や、問題となっている科学飼料研究所から出されています。ごらんになったと思いますが、一面の全面広告で、くみあい配合飼料、代用乳は安全ですと。
 きのうの遠藤副大臣の御答弁、菅野委員からの質問にも、確かに四頭共通でこの科学飼料研究所の代用乳が与えられているが、まだ疫学的にいってもクロと決まったわけじゃない、余り予断と偏見を持って代用乳が悪いというのもいかがなものかという御発言がありましたが、もちろんクロと決まったわけではありません、しかし、シロと決まったわけでもない。
 それなのに、BSE調査検討委員会の第二次中間報告のごく一部の文章だけを抜き取って、専門家も大丈夫ですと言っているから代用乳は安全ですというこの全面広告を、「酪農・肉牛生産者の皆様へ」という形で出す。この態度もかなり問題があるのではないかと私は思いますが、大臣は、当然これは見ていると思いますが、どんな感想を抱いておりますでしょうか。

発言情報

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発言者: 鮫島宗明

speaker_id: 30100

日付: 2002-05-30

院: 衆議院

会議名: 農林水産委員会