中津川博郷の発言 (文部科学委員会)
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○中津川委員 副大臣、現場の認識は非常に甘いと思いますね。私は、二十五年、このゆとり路線の中でしっかり調査研究してきたか、現場をしっかりと把握してきたかということではちょっと不満なんですが、私がちょっと分析したんですよ。少し長くなりますが、それで後でまた御意見を賜りたいというふうに思います。
私は、ゆとり教育がもたらした現場への影響というのは大変深刻だと思っています。それは、今副大臣が御答弁いただいたような、期待していたようなものでは全くなかった。一番、明らかな学力低下、二番、勉強からの逃避、勉強嫌いな小中学生をたくさんつくってしまった、三番目、皮肉なことに学校の荒廃が進行した、この三点であります。
まず、一番目の学力低下については、少しデータを申し上げたいんですが、昨年の十一月に東京大学の研究グループが、十二年前に大阪大学が行った調査と全く同じ問題を使って、十二年前と同じ学校の同じ小学五年生と中学二年生を対象に、国語と算数、中学は数学になりますが、テストを実施して成績を比較したところ、興味深い結果が出ました。
小学五年生ですと、国語の平均が、十二年前ですと七十八・八です。そして、今回が七十一・五です。算数の平均が、十二年前は八十・六ですが、今回が六十九・一です。中学二年生、国語の平均が、十二年前が七十一・七、今回が六十七・六、数学の平均が、十二年前は六十九・七、今回が六十四・六なんです。
それで、つけ足しがありまして、塾に通う子の平均点の低下は小さいが、通っていない子の低下は大きいというコメントが書いてあるんですね。中学二年生の数学の場合、塾に通う子の平均点の低下はマイナス一・三点、しかし、塾に通わない子の平均点の低下はマイナス八点なんです。
それと、これだけでは足りませんので、もう一つ、これは有名な調査としてよく話題に乗るんですが、国際教育到達度評価学会、IEAでありますが、これは平成十一年、調査結果が発表されたときに、文部科学省は、その前、これは平成七年にやったわけですが、その結果と比較して、順位が若干落ちている、中学二年の数学で三位から五位、理科で三位から四位ですね、しかし、わずかなものだと。それで、文部科学省の表現は、有意差はない、こういう表現で、大したことはないじゃないかと。
確かに、依然トップグループにはいるものの、もっと前のをちょっと調べてみました。昭和三十九年から五十六年というゆとり教育の影響がなかった時点からその推移を見れば、明らかに傾向的に落ちているんですよ。むしろ、この程度の低下にとまっているのが不思議なくらいです。
これはなぜかと考えますと、この辺を分析してもらいたいんですが、私は、私学とか塾の果たした役割が大きいという点はあると思いますよ。一〇%か二〇%ぐらいの底上げはしているかもしれません。
もう一つ挙げましょう。これは、大学生の学力低下です。
京都大学の西村和雄教授、慶応大学の戸瀬信之教授、埼玉大学の岡部恒治教授らによって実施された大学一年生を対象とする算数、数学テストによって判明した事実はまさにショッキングだったですね。トップレベルの大学生十人のうち二人が小学校の分数計算ができない。このことは、一九九九年に「分数ができない大学生」、そしてたしか翌年に「小数ができない大学生」として出版されて大きな反響を呼んだというのは、多分委員の方たちも御存じかと思うんですね。
これが、今までゆとり教育を受けてきた子供たちの実態なんですよ。これらの結果を深刻に受けとめて、何が原因で学力や意欲が低下しているのかというのをもう論じなければいけないと思いますね。
それから、一通り三点を、私の私見も交えて、データを入れながら申し上げさせてもらいますが、二番目の勉強からの逃避ですが、これは、諸外国と比較してみますと、もう明らかです。
日本は、世界で最も勉強をしない子供のいる国になっちゃったんですね。今、皆さん、学校の先生は宿題を出さないんですよ。予習、復習もしないんです、子供。日本全国至るところに、繁華街、夜うろうろ小学生や中学生が歩き回っている姿、何も都心部だけじゃありませんよね。こういう現象ですよ。
総務庁が九四年、九五年に、日米韓、この国際比較調査をしたんですが、七歳から十五歳までの子供が学校以外で勉強している時間を比べたところ、一時間以上勉強するというのが、日本が五六・三%、アメリカが七八・七%、韓国が八八・〇%、二時間以上勉強するとなると、日本は二三・二%、アメリカが四一・〇%、韓国が六〇・〇%です。
総務庁に最近のはないかと言ったら、ないと言うので、この同じデータの比較はできないんですが、興味深いのが去年暮れに出たじゃないですか。昨年末に公表されたOECDの学習到達度調査ですね。日本の十五歳生徒の宿題や勉強に費やす時間が、何と三十二か国中最下位なんですよ。ゆとり教育というから、ゆとりができて、家で好きな勉強をしたり、あるいは不得意な勉強をしたりする、そういうことを期待していたんでしょう。ところが、並行して、家でも勉強しない子を大量生産してきたというのが実態ですね。
折も折、四月二十二日月曜日です、毎日新聞の朝刊に、「発信箱」という中で「ゆとり教育」、瀬川至朗という科学環境部の記者が書いております。ちょっと急いで読ませてもらいます。
日本人の議論は、誤解に基づくことが少なくない。例えば、「ゆとり教育」。米国などでは、自由な雰囲気の中、自主性を伸ばす教育が実践されているとみなされ、日本の「詰め込み教育」の見直しが求められる。が、米国の実情はどうか。
一昨年までの四年間、米国特派員として、首都ワシントン近郊のメリーランド州の町に住んだ。そのとき、息子が地元の公立中学に通った経験からは、「ゆとりなんて、とんでもない」というのが正直な感想だ。
一日七時間。日本の大学と同じで、教科ごとに教室が異なる。なのに休み時間は四分。みんな急いで移動する。トイレに行くと次の授業に遅刻する。学校が終わると、理科や社会も含めて、宿題がどっさり。各教科に「プロジェクト」というリポートを書かせる宿題があり、夜の十一時、十二時ごろまで机に向かうことも珍しくない。泣きながら、朝の五時までかかったこともあった。とにかく分量に圧倒される。
その息子が、日本では地元の公立中学に通った。
公立中学です、
感想を聞くと「日本の学校は楽だ」と言う。休み時間があり、何よりも宿題がほとんどないことが大きかった。帰宅してからは、学習塾を除けば、テレビやゲームの時間が長かった。時間的な「ゆとり」はすでにあるという印象だ。
「中学校はジェイル(刑務所)と呼ばれている」。カリフォルニア州のGMS中学のベネット校長はこう教えてくれた。米国人は、子どものころから遊んでいると思ったら大間違い。しっかり鍛えなければ、自分で考え、うまく表現する能力が身に着くはずがない。
タイミングよく、こういう記事が出ておりました。
それから、私が三点目に指摘しました学校荒廃の進行ですが、五十五年のゆとり導入と並行して、当時猛威を振るっていたのは校内暴力ですよね、これにかわって、いじめ、登校拒否、引きこもり、学級崩壊などの問題が立て続けに起きてきました。
数字を挙げますと、いじめに関しては、昭和六十年四月から十月に起きたいじめ件数は十五万五千件、これは小中高合計であります。また、体罰は二千八百十六件、検挙、補導された小中高生は千九百二十名にも上っている。また、不登校児童生徒数ですが、ゆとりが導入された昭和五十五年に比べて、平成十年度は八・九倍にふえているんですよ。加えて、校内暴力も一時下火になっていたのが増加し始め、昭和五十五年当時のレベルまで達している。
この実態は、一体どういうことなんでしょう。ゆとりを導入することによって教育現場がまさに暴風雨ですね。この原因を究明したのかと、私、冒頭に申し上げたんです。いかがですか。